Cableは、2010年、初夏の「コラテラル・マーダー」、秋の「アフガニスタン戦争ログ」と「イラク戦争ログ」に続いて、ウィキリークスによってウェブに「放流」された米外交公電のこと。戦争の記録とは異なり、公電の多くは機密指定外だったが、「世界各地の米外交官がこんなことを本国に書き送っていた」ということがおおっぴらにされて、米国は赤っ恥をかいた。大量の公電の公開にあたり、ウィキリークスと組んでいたのがガーディアン。プロのジャーナリストとして、人に情報を伝える際に必要な「情報の整理」などをサポートしたのだが、いろいろあってウィキリークスのジュリアン・アサンジを怒らせてしまい、アサンジが反ユダヤ主義丸出しの妙な言いがかりをつけるなどして完全に決裂。そこらへんのことは書籍としてまとめられ、日本語化もされている。「内幕もの」として時間が経過してもおもしろいので、未読の方はぜひ(公共図書館にも入っているはず)。
さて、その #Cablegate のときに、膨大な情報を整理して見出しをつけて流すという報道のスタイルに、Twitterが非常に適役だった。ガーディアンでは見出しや要点をフィードするためにTwitterのアカウントを開設した。 @GdnCables である。このアカウントからは、リークされた公電についての報道記事の見出しや要点だけでなく、関連ニュースもツイートされた。リーク元の(当時の名前でいう)ブラッドリー・マニング上等兵(現在はチェルシー・マニング)に関するニュースや、ジュリアン・アサンジのスウェーデンへの身柄引き渡しに関するニュースなども多く流された。例えばこんなふうだ。
#cablegate WikiLeaks cables lay bare US hostility to international criminal court http://bit.ly/fvo12F #wikileaks
— Guardian WikiLeaks (@GdnCables) December 17, 2010
#cablegate Bradley Manning: MEPs' open letter to the US government http://t.co/xEbmjaiM #wikileaks
— Guardian WikiLeaks (@GdnCables) November 29, 2011
このアカウント、ジュリアン・アサンジの奇妙としか言いようのない行動のあとウィキリークスの活動も彼らへの注目度も下火になり、またそれ以上にガーディアンがアサンジに嫌われてウィキリークスについて以前よりずっと少ししか書けない・書かない状態になってからは、活動は止まっていた。だから私も、このアカウントの存在すら忘れていた。
そのアカウントが、いきなりまたしゃべっているのに気づいたのは、つい先ほどだ。

ここでツイートされているニュースのトピック(エボラ、アラン・ヘニングさん殺害)はどちらも、ウィキリークスの「ケーブルゲート」とは関係ない。
いや、ひょっとしたらCablegateの公電の中に「エボラ」に関する重要な情報があったのかもしれない。アラン・ヘニングさんを殺害した集団(「イスラム国」を自称している)は、元は2004年のファルージャ包囲のころにイラクで組織化されたジハディ集団なので、それに関する情報が公電の中にあるのかもしれない。しかし、そうであるにしても関係が薄すぎるし、こんな長い間休眠していて、覚えている人が何人いるか……というアカウントが再稼動していたら、真っ先に「乗っ取られた(ハッキングされた)のではないか」と疑ってしまう。
実際、ツイートされているURLは安全なのだろうか。
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