「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2016年02月21日

「人間の盾」戦術を仮にとったとしても、もう通用しないのではないかと思わざるをえない。

2002年、米英が「なんとしてもイラクを爆撃する」と意気込んでいたころ、メディアで注目された言葉のひとつに「人間の盾 human shield(s)」というのがあった。「人間の盾」とは、誰かの攻撃の標的になりそうなものの前に人間が立ちふさがって、攻撃を思いとどまらせるということだが、当時のイラクの大統領、サダム・フセインは、米英を含む諸外国の人々を大勢イラクに入らせて、米英の攻撃を思いとどまらせようとした。その「盾」の参加者の中には、その機会にイラクの実情を見て、外部に伝えようという人たちもいた。

そういう非常に大きな目立った出来事を経て、「人間の盾」という言葉はニュースでよく見るものになったが、その意味合いというか「色」は(少なくとも英語圏で伝えられている事柄に関する限り)、「卑劣な独裁者やテロ組織が、自分たちの身を守るために、無辜の一般市民を自分たちの前に立たせるもの」という方向に傾いていき、ほどなく、民間人の標的に攻撃を加えた者たちがその攻撃を正当化する際の言い訳として通用するものとなっていった。「確かにわれわれは民家を攻撃した。しかし、その建物の陰から武装勢力が攻撃をしかけてきたので反撃しただけだ。武装勢力は卑劣にも、民家と中にいる一般市民を『人間の盾』として利用したのだ。亡くなった市民は気の毒だが、責められるべきは彼らを殺したわれわれではなく、彼らを殺させる状況を作った卑劣な武装勢力である」というストーリーは、今さら腹を立てるのもばかばかしいくらい、既に陳腐化している。

この異常性は、それについて発言すると「反米め!」などと殴りかかってこられるという地べたのリアリズムによって、より異常になっている。「人を殺すな、ましてや民間人を殺すな」と言うことが「反米」などの政治性で解釈されるというこれは、いったい何なのだろう。

……ということを、私は「人間の盾」という言葉を見るたびにもやもやと、0.5秒くらいの間に思うのだが、その「人間の盾」について、どうも状況が変わりつつあるのではないかということを、もはや「戦争」と呼ばれさえしないバラク・オバマの「テロとの戦い ver 2.0」に関連するニュースの中で、ときどき感じることがある。

つまりそれはもう、「無視されることが前提」になりつつあるのではないかと。(そして、それが本当に「もう」なのかどうか、私にはわからない。1945年3月、なぜ東京の下町はあれほどに燃やし尽くされたのか。)

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2016年02月19日

ラミ・ジャラーさんがトルコ当局に逮捕された(「解放要請署名ご協力のお願い」の訳文あり)→土曜日に解放された。

ラミ・ジャラーさんがトルコに逮捕された――と書いただけで「わかった、それ以上の説明は必要ない」という方は、解放要請署名のページに飛んでいただきたい

シリアの「蜂起(革命)」を2011年から追ってきた人なら、ラミ(ラーミー)・ジャラーさんの活動のことは知っているだろう。「蜂起(革命)」の初期には「アレクサンダー・ペイジ」の名前で、ネットで英語で現地(シリア国内)のことを伝える活動をしていたシリア人男性だ。(今もその名義のTwitterのページは残ってはいるが、もう更新はされていない。)

その後、彼は実名の「ラミ・ジャラー」での活動に切り替え、TwitterやFacebookといったソーシャル・ネットはもちろん、英語圏の大手報道機関を通じても、シリア内戦で投下されるたる爆弾やクラスター爆弾の下にいる人々のことを伝えている。詳しい経歴はウィキペディアの英語版に書かれている。ソーシャル・メディアのページは下記。

Twitter: https://twitter.com/ramijarrah
FB: https://www.facebook.com/ramijarah

ラミさんは英国育ちなので、英語を使った現地報告を行っている。ここ数ヶ月は、戦況がぐっと動き出したアレッポ市から伝えている。

先週のFrance 24(フランスの英語チャンネル)での電話による報告の様子(電話なので音声がちょっと聞き取りづらい):


1月のPBS(米公共放送サービス)での報告:


そのラミさんが、水曜日(17日)にトルコのガジアンテップでトルコ当局によって逮捕されたとのことで、彼が参加している「シリア・キャンペーン」が解放要請署名を募っている。
https://act.thesyriacampaign.org/sign/free-rami/

以下、その詳細。詳細を読まなくてもいいという方は、↑↑上のリンク↑↑から、署名のページに飛んでいただきたい。

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「2年前に消息を絶った旅客機のパイロットが生存していた」とでっちあげているアメリカの嘘ニュース・サイトについて、少し。

「2年前に行方不明になったマレーシア航空便のパイロットが、台湾で発見」とかいう "ニュース" (←引用符つき)があると聞いた。

結論だけ先に書くと、これは英語圏の「嘘ニュース」、「冗談ニュース」サイトの記事をご丁寧に日本語化した個人ブログである。大真面目に受け取るべき「ニュース」ではない。

しかしそれが「はてなブックマーク」で何百というブクマを集めているともいう。見てみると、「はてブ」のトップページに載っていた。300件をゆうに超えるブクマ数だ。



だが、当該ブログは、うちと同じで、「ブクマコメント一覧を非表示」にしている。それ自体は悪いことでも何でもないが(ちなみにうちがブコメ一覧を非表示にした経緯の説明はこちら。文句は読んでからどうぞ)、そのために、300以上をつけている「はてブ」のどのくらいが、この "ニュース" を真に受けているのかがわからない。ユーザーがつけたタグに「デマ」、「嘘ニュース」があるので、全部が「釣られて」いるわけではないということはわかるが、「航空」、「ニュース」など「まともなニュース」についてのタグと思われるものもあるので、真に受けている人や「マジか!」と言ってる人も一定数……というより相当数いることだろう。



当該のブログ(「はてなブログ」を利用している)のTweetボタンの上にある「ツイート一覧 (list)」から見ると、Twitterでは「これは本当なのだろうか」的なコメントがわっさり出てくる。そう書いている5秒を使って、元ネタのサイトがどういうところか見てみればいいんじゃないですかね。それすらしないのがソーシャル・メディアの流儀かもしれんけど。。。

というわけで、不要なことかもしれないが、一応、元ネタのサイトについて「解説」しておく。


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2016年02月18日

唖然とするだけで終わることもできるが、唖然とした上で生産的にもなれる。人間ってすごい(ということだと思う)

日本国内で唖然とするよりないことが報道されているが:
自民党の丸山和也参院議員は2月17日の参院憲法審査会で、アメリカのオバマ大統領を引き合いに「アメリカは黒人が大統領になっている。これは奴隷ですよ。建国当初の時代に、黒人・奴隷が大統領になるなんて考えもしない」と述べた。

http://www.huffingtonpost.jp/2016/02/17/maruyama-slip-of-tongue_n_9251242.html


(この人、弁護士だよね。自分の発した言葉がどう解釈されるかによって、物事の成り行きが変わるということは、知ってるはずだよね。)

そのアメリカでも唖然とするよりないことがあって、そして世界中で「ネタ」にされて、最終的には「世界各国・各地域のひみつへいき図鑑」ができてる。

ジェブ・ブッシュは「これがアメリカだ!」として拳銃の写真をツイートした。インターネットは反応した……
http://matome.naver.jp/odai/2145571759825672801


生産的で、とてもよいと思う。(え

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2016年02月14日

シリア情勢は先が読めなくなっているが、ますます何も読めなくなってきた。

「先」どころか「今」も読めない感じ。

泥沼化するシリア内戦、ついにトルコが攻撃を。サウジアラビアも関与を検討?
http://matome.naver.jp/odai/2145538243773288401


めりけんフィルターを通して語られる「ニュース」では、非常に軽く扱われると思います(実際、扱いは軽い)。何しろアメリカが主導する役目で「和平についての話し合い」(とやら)が行われているのとまったく同時に、いわば「アメリカの頭越し」の形でこういうことになっている。あらかじめ用意されている《物語》にフィットしないからなるべく触れないようにするという方向に傾くのではないかと。それに、これ以上「オバマの失策」の話は、大統領選挙の年には望まれてないはず(シリアについては、「アサド・マスト・ゴー」という発言や、化学兵器使用が「レッドライン」だなどという発言で「口だけ大将」になってたことから、イスイス団についての「封じ込め」の《物語》まで……、「失策」でないことを探すのが大変なほど)。

何があったかなどは全部上記のNAVERまとめのページに記録してあるので、そちらをご参照ください。

なお、当初、「まとめ」のタイトルが「爆撃」となっていたのを「攻撃」に修正してあります。「まとめ」のページを公開する前に修正したはずなのですが、最近のNAVERまとめはFirefoxだと文字入力がおかしいので(カーソルが頻繁に「右から左に書く言語」の挙動になる)修正したつもりでできていなかったのかもしれません。

そして、例によって、ニューヨーク・タイムズが厚顔無恥でひどい



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2016年02月10日

アブ・グレイブ刑務所について。もしくはウィキペディア日本語版のデタラメな記述を修正するのにどのくらい時間と手間がかかるかについて。

2月5日(金)、アメリカから、12年前の出来事に進展があったというニュースがあった。何かの事件の真犯人がわかったとかそういうことではない。ACLU(アメリカ市民的自由連合; 「アメリカ自由人権協会」ともいう)が、2003年10月から米国政府(国防総省)に開示を求めてきた資料がようやく開示された、というニュースだ。書いているのは軍事・情報関係専門で、エドワード・スノーデンの「暴露」についてもガーディアンUSで多くの記事を書いてきた元WiredのDanger Roomの「中の人」だったスペンサー・アッカーマン(Twitterを見るとわかるが、「イクメン」しながら、仕事をしている)。開示されたといってもごく一部に過ぎない。ACLUが開示を要求していたのは1800点、今回開示されたのはそのうちの約200点だ。ACLUの闘いはまだまだ続くのだった……

Nearly 200 images released by US military depict Bush-era detainee abuse
Spencer Ackerman in New York
Friday 5 February 2016 20.59 GMT
http://www.theguardian.com/us-news/2016/feb/05/us-military-bush-era-detainee-abuse-photos-released-pentagon-iraq-afghanistan-guantanamo-bay

ということでブログを書こうと、エディタを立ち上げて、ACLUが何を求めていたのかを説明するために、情報・ソースがまとまっている英語版ウィキペディアでそのトピックを改めて読み返すことにした(何しろ12年以上前のことだ。物事の前後関係や細部は、何かを書けるほどには覚えていない)。

agwpd.png英語版ウィキペディアの検索窓に、abu ghraibと打ち込んだ。その2語を全部打ち込むまでもなく、探し物はサジェストされた。「アブ・グレイブにおける拷問、および非収容者の虐待」

「アブ・グレイブ」(日本語圏では当初、「アブ・グライブ」とも表記されていた)はイラクの地名である。ここには大きな刑務所があり、サダム・フセイン政権下で逮捕された政治囚(反体制派)が拷問され、殺害されて埋められていたというが、2002年、おそらく国連査察が入っていたころのことだろう、囚人は特赦で釈放され、関係書類は施設内で燃やされ、詳細はわからなくなってしまった。ウィキペディア英語版に書いてあるが、90年代に行なわれた大量殺人(大量処刑)の犠牲者の遺体がまとめて埋められていた場所が複数個所発見されている。しかし2004年以降、「アブ・グレイブ」という地名から広く連想される人権侵害は、それではなくなっている。

2003年3月20日に開始されたイラク戦争(国連での決議を取り付けず、米英を中心とし「国際的」な体裁を整えたいわゆる「有志連合」によって行なわれた、国際法上の正統性を有さない対イラク武力行使。当時こういうことを書くと、大変なことになったんですよ。あのころSNSなんかあったら、私、ネットやめてたと思う)で、4月9日にバグダードが陥落し、サダム・フセイン政権が崩壊した後に、米軍(建前上は「連合軍」)がこの施設を接収した。当時、この施設にはバアス党員や「テロ容疑者」(それは誰だってありえた。逮捕するのに根拠など特になかったのだから)が収容されていた。その施設の名前(「アブ・グレイブ刑務所」)が国際ニュースに普通に出てくるようになったのは、2004年4月、米CBSの時事番組『60 Minutes』で、ここで米軍が何を行なっているかが示されたあとだ。

……という説明を、2016年2月のスペンサー・アッカーマンの記事についてブログに書くときに書き添えておく必要があると思ったので(もう「アブ・グレイブ刑務所」といっても、話が通じなくなっているだろう。何しろ2005年7月7日のロンドンの同時多発テロでさえ、「ああ、言われてみればそんなことがありましたっけねぇ」という反応だ)、いろいろと情報がソースつきでまとまっているウィキペディア英語版を参照したのだ。

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2016年02月09日

Index on Censorshipのジャーナル、「タブー」特集号(今日まで無料開放)

先日少し言及した通り、Index on Censorshipのジャーナルの最新号が、今日(2月9日)まで無料開放されている。アカデミックなジャーナルで、普段は「自分の通っている大学の図書館が購読していたら図書館で読む」ような媒体が、だれにでも開かれる貴重な機会だ。

無料開放されている今号のテーマは「タブー」で、目次は下記:
http://ioc.sagepub.com/content/44/4.toc

一通り、各記事の見出しと冒頭だけは見て、2本くらい記事を読んだ段階だが、非常に興味深いと思った。

中でも、かなりわかりやすく、身構えずに、それでも鋭い「論考」を、言葉にあまり頼らずに見ることができるのが、特集の最後に置かれた各国の風刺画家11人の作品の紹介(本人のコメントつきのもある)。下記URLからアクセスできる。(無料開放の期日をすぎると、そのままではアクセスできなくなる。以下、本稿でそのままはりつけているURLについては同じ)
PDF: http://ioc.sagepub.com/content/44/4/52.full.pdf+html
HTML: http://ioc.sagepub.com/content/44/4/52.full

最初に紹介されているのがセルビアの作家、Predrag Srbljanin(テーマは「性」)。続いてヨルダンのOsama Eid Hajjajの作品が2点(テーマは「宗教主義」。ヨルダンは1951年に同性愛を合法化/違法でなくしたと。イングランドよりずっと早かったんだ)。その次がエクアドルのBonil(テーマは「家庭内暴力」)とVilma Vargas(テーマは「宗教」)。そしてチリ人でイングランドに拠点を置くFiestoforo(テーマは「妊娠中絶」)、フランスのT0ad(テーマは「非・性的な裸体」)、英国のBen Jennings(テーマは「性」、というか「変態性欲」だな、これは……)と、インディペンデント紙の風刺画家Dave Brown(テーマは「歴史修正主義」、というかストレートに、ネタニヤフのトンデモ史観)。

そして、これが一番すごいと思ったのだが、英ガーディアンの風刺画家、Martin Rowsonの4コマ作品。テーマは「タブーに切り込むと標榜すること」。すばらしい。「タブーに切り込むと標榜しながら、単に下品なだけのお笑い(コメディ)」に笑わないということが、ひとつの場でいかに白眼視されるか。これは日本では(Fワードなどの汚い言葉というより)「下ネタが通じない、お堅い奴」が白眼視される状況を引き合いに出すのがわかりやすいだろう。
http://ioc.sagepub.com/content/44/4/52/F10.expansion.html

続いて、私の大好きな北アイルランドの風刺作家、Brian John Spencer(12月に、「ようやくピーター・ロビンソンを風刺画にして手応えを感じ始めたのだが、引退しちゃうんだよな」とボヤいていた)。テーマは「ひとつのタブーが打ち破られても、別のタブーはそのまま残っている状態」。つまり「同性愛」と「死」で、ストリートに現れるプラカードでは「ソドミー」と「胎児殺し」(妊娠中絶)だが、これを「笑い」にするには少し間接的にしなければうまくいかないのだろう。これも見事。ここで「男性カップル」を使わないのもクレバーだ。
http://ioc.sagepub.com/content/44/4/52/F11.expansion.html

最後は、この数年、ますます宗教保守による世俗主義への圧力が強まっているバングラデシュのKhalil Rahmanの作品で、テーマは「女性」。
http://ioc.sagepub.com/content/44/4/52/F12.expansion.html

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2016年02月07日

欧州の「報道の自由」はどうなっているのか、Index on Censorship/Mapping Media Freedomの報告

Index on Censorshipのニューズレター(メルマガ)を購読している。世界各地、特に欧州の「言論の自由」(含: 報道の自由)についてのさまざまな話題や最新ニュースを読みやすくまとめた内容で、基本的に週1度、金曜日の夜9時ごろに配信されてくる。以前、ここが主催する署名に応じたら自動的に送られてくるようになったもので、今、サイトをざっと見てもこのニューズレター、どうやったら配信してもらえるようになるのかがわからないが、英語圏の報道を見ていても気づかないようなトピックもちょこちょこと入っているので、「言論の自由」に関心がある人は購読すると便利かもしれない。(このニューズレターはウェブサイトの「今週の更新まとめ」のようなものなので、これは購読しなくても、サイトをこまめにチェックしていればよいのかもしれない。)

Index on Censorshipは英国の非営利団体(本部はロンドン)。設立は1972年、東西冷戦下の「鉄のカーテン」の向こう側の反体制派の声を公にすることが当時の目的だったが、現在は全世界的に「自由な言論」を求めていく活動を行っている。詳細はAboutのページを参照。もっと詳しいあれこれは、ウィキペディアに書かれている(いろいろと不十分な項目だが)。東西冷戦という構造での「西側」における「言論の自由」というタームが、実のところ何を《意味》していたかがよくわかると思う。(しかも直接的に「アメリカ目線」ではないということは、うちら日本で「『国際ニュース』といえばとりあえず何でもアメリカ目線」という前提が当たり前という環境の者には、別の光を与えてくれるものだ。)

さて、そのIndex on Censorship (以下 IoC) のニューズレターの2月5日号をさっき読んだ。"GROWING PRESSURE ON EUROPE'S JOURNALISTS AND MEDIA PLURALISM" (欧州のジャーナリストたちへの高まる圧力と、メディアの多様性)というタイトルだ。



ここで報告されているのは、Mapping Media Freedom(報道の自由をマッピングする)というプロジェクトでの最新の調査結果で、IoCの記事は下記URLで読める(HTML版のほか、PDF版も用意されている)。
https://mappingmediafreedom.org/plus/index.php/2016/02/03/pressure-on-media-professionals-and-pluralism-growing/

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2016年01月27日

リオネル・メッシとビニール袋と、「ネットの力」の限界と「出典を書いておくこと」の重要性

messi.png今、Twitterで「メッシ Messi」を検索しようとすると、不思議な検索後候補が表示されるはずだ。左のキャプチャ画像の一番上の「犬 dog」は、メッシが新たに飼うことになった犬(写真がアップされた)のことだし、二番目の「シャツ shirt」はありがちな検索ワードだが、三番目の「ビニール袋 plastic bag」には「何のこっちゃ」と思うだろう。

ここでいうビニール袋 (plastic bag) はいわゆる「レジ袋」のことだ。日本では白地か半透明で、チェーン店の場合はお店のロゴが印刷されているものがほとんどだと思うが、国外旅行などすると、赤や青のストライプ入りのものもよく見かけると思う。下記の写真のような袋だ。




この「赤や青の縦じまのレジ袋」を見ると、私の場合、ロンドンのストリート・マーケットが強く思い出される。「ストリート・マーケット」といっても、「こだわりの手作り」とか「ワンランク上」とかいうのとは違う方向性の、地名でいえばホワイトチャペルやブリクストンのようなところだ(下記はブリクストンのマーケット)。ぺらっぺらでとても弱い袋で、一度つかったらそれっきりの「使い捨て」で、せいぜいがゴミ箱の中に入れるゴミ袋になるくらいだった。



その凡庸な消耗品のビニール袋が「ニュース」になっている。それも、またもやバロンドールに選出された超一流のフットボーラー、スーパースターのメッシ関連で……。

発端はTwitterにアップされ、大いにバイラルした一枚の写真である。

青い縦じまのレジ袋の底を切り取ったものをかぶって着た幼い男の子の写真。背中には "MESSI 10" と青のマジックペンか何かで大きく書いてある。アルゼンチン代表でのメッシだ(この発想は「アイデア賞」もの)。

1月20日までの数日間、サッカーについてさまざまなニュースや話題を扱う読者数の多いサイト(複数)が、この写真に注目してTwitterアカウントでも取り上げていた。左に示すキャプチャはその一例で、Bleacher Report UKのツイートである(私がこの写真を最初に見かけたのはこのツイートだったはず)。

この「ほほえましい写真」はこうしてソーシャル・ネットでバイラルしていたのだが、「ほほえましい」と同時に、この写真は「レプリカ・ユニも買えないかわいそうな境遇の子供」の写真でもある。写真が撮影されたのは砂色の風景の中で、確かに「開けた都会」、「経済的に恵まれた環境」のようには見えない。いったい、どこの写真だろうか――。この時点では、撮影地はイラク北部、クルド自治州(イラクのクルディスタン)の中でも北にある町、ドホーク(ドゥホク: Dohuk)だ(と思われる)と言われていた。

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2016年01月25日

イスイス団のビデオが新たに出され、パリの街を襲った戦闘員がイラク/シリアで何をしたかが示された。

1月23日からこちら、「1年前の今日」の自分のツイートを読み返すと、つらい。
http://twilog.org/nofrills/date-150123/asc
http://twilog.org/nofrills/date-150124/asc
http://twilog.org/nofrills/date-150125/asc

あの人たちの首を切って殺した人物は、2015年11月12日(パリの同時多発テロの前日)にラッカで米軍が行なった攻撃で死んだ。ただしそれが、イスイス団の側から「事実」として確定されたのはつい先日、1月20日だ。イスイス団の機関誌の13号で、奴への追悼特集のページが組まれていたのだ。

そしてその13号で、大きな扱いをされていたのが、2015年11月13日のパリの同時多発テロのことで、あの事件について機関誌がああいうふうに扱うということは「事件はイスイス団が起こした」という特大の声明で、いや、あの攻撃から2ヶ月経過してるんだけどね、それでもやはり世界的に各報道機関が記事にするようなニュースになった。

そこに加えてさらに今日(25日)、映像が出た。

それについて、NYTのジャーナリストやSITEのアナリストのツイートを一箇所にまとめてある。

「連中を見たら、殺すべし」と題するISISのビデオ。ジャーナリストやアナリストはどう見るか。
http://matome.naver.jp/odai/2145369556647616901


「連中を見たら、殺すべし」というそのビデオのタイトルは、「異教徒を殺す」ことに熱心なイスラム過激派や、「イスラムが平和の宗教なんて大嘘だ」とわめきたてるユーラビア(「イスラム化するヨーロッパ」)論界隈で「イスラムの最大の特徴」であるかのように扱われているクルアーンの一節で、文脈から切り離されてぐるぐるしている言葉だ。

また、イスイス団が「むわはははは」と脅しをかけてくる小道具としてハッカー風味の演出を加えているのだが、これは秒速で「フェイク」と見破られた。エドワード・スノーデンさん、ぱねぇ。(マジで。)

しかし、こういうビデオが出たと聞いても、もう「異常」とは感じなくなってしまった。フォーリーさんが殺され、湯川さんが拘束されたときにはまだ、そうではなかった。

こんなことにも慣れてしまう。
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2016年01月21日

本来、「自由」な存在である美術館・博物館の楽しみ方のひとつの例。

博物館や、それに類する「過去からの蓄積」についてのニュースといえば、「イスイス団による破壊」という話題が多いという日常の中、ほっとするような、楽しいハッシュタグがTrendsに入っていました。

英語圏ハッシュタグ「美術館・博物館でセルフィ」祭りが楽しそう。
http://matome.naver.jp/odai/2145331651013290801


ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーって、中の撮影可でしたっけ。現代の作家・現代の肖像画は著作権・著作隣接権などがあるのでダメかもしれませんが、古い時代の肖像画の部屋で、ティーンエイジャーがセルフィを撮影している光景の写真があったりします。

あと、各施設が収蔵している名画・彫刻などを「セルフィを撮る人」のように加工して見せてくれてたり。フェルメールも、レイトンも、ロダンも。それから、英国の地方の施設に多い「動物の剥製が展示されている博物館」では、その施設の「顔」的な剥製(見学に来る小学生に大人気、みたいな存在)の前でのセルフィ撮影のベスト・ポジションを示してくれてる館があったり。

#MuseumSelfies というこのハッシュタグ、発起人(呼びかけ人)はマー・ディクソンさんという英国在住のキュレーター(学芸員)で、美術館・博物館をテーマにした中高生の学習活動の企画などをなさってきたと個人のサイトにあります

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2016年01月19日

ISIS(ISIL, IS, イスイス団)のメディアについて、改めて確認しておくといいんじゃないかと思うことのメモ

「陰謀論」はよく見かけるが、これはちょっと……というのがあったので、カウンターとして、ウィキペディア程度でわかることを元に、少し書いておくことにする。

見かけたのは「イスイス団はアメリカが作った」説の一種だ。「アメリカのジョン・マケイン上院議員が、イスイス団の団長と会っていた証拠写真」みたいな、政治的な意図が背景にあると思われる言いがかりなら単にスルーするが、今回見かけたのは「イスイス団のメディア」について話が混乱しきっていることがベースにありそうなので、基本的なことを改めて整理しておけば、それだけでも役に立つのではないかと思う。

というわけで以下2点。1点は「イスイス団のメディア」について。もう1点は「イスイス団の機関紙をアップしているサイト」について。

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2016年01月16日

ウィキペディアが15歳になったというので、特設サイトで使われている写真について調べてみた。

wpd15.pngウィキペディアが15周年を迎えたそうで、Wikipedia15という特別サイトを作っている。

このサイトのバナーの、「2人並んで、教科書らしきものを広げている、カチューシャをして制服らしきものを着た女の子2人」の写真が気になった。手にしている教科書らしきものはアラビア語らしきもので書かれているようだし、雰囲気もなんとなく、パレスチナの小学生かな、と思ったのだ。

バナーの片隅には "Tanya Habjouqa, CC-BY-SA 3.0" と、撮影者の名前とクリエイティヴ・コモンズのライセンス詳細は記されているが、写真のキャプションのようなものは見当たらない。撮影者の名前で検索すると写真家としてのサイトがすぐに見つかったし、やはりパレスチナをテーマに撮影してきた人だということもわかるが(Aboutを見ると、ヨルダン出身でアメリカで学んだ写真家だ)、サイト内のギャラリーには、この写真は見当たらない。

そこで、この画像のURLを取得してGoogleで画像検索をするが、「この画像の最良の推測結果: lengua materna」(スペイン語で「母語」の意味)と言われるだけで、写真がどこで撮影されたものなのかはわからない。いつもはGoogle画像検索で有効なのだが、「すべてのサイズ」のページで表示される画像を見ても、撮影地情報がない。「一致した画像を含むページ」は、世界各地のスペイン語圏のブログや何かのプロジェクトのサイトで、本当に単に「母語」を表す素材画像として使われているようだ。ううむと思いつつ検索結果の2ページ目まで進んでようやく目にした英語のページがOpen Michiganというサイトだ(「サイト」といってもここもWordPressを使ったブログだが)。そのサイトのトップページ(最新記事一覧)に「インターン募集のお知らせ」という2015年8月付けの記事があり、そこでこの写真が使われていた。記事末尾には、"Photo by Tanya Habjouqa (UNESCO) [CC BY-SA 3.0-igo (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0-igo)], via Wikimedia Commons." というまともなクレジット表記もある。

このリンク先でわかったのだが、この写真は2011年のユネスコ(UNESCO)とウィキメディアのパートナーシップでの写真提供プロジェクトに入っていたもので、撮影場所はヨルダンの首都アンマンの小学校だそうだ。

今、私はこの調べものをほんの10分程度で終えたが、(一般人に使用可能な)ネットがなかったころにこういうことを調べようとしたら、掲載媒体の出版社やフォト・エージェントに問い合わせたりして、丸一日、あるいはそれ以上かかっていただろう。

こういうことが、うちら「文系」とバカにされる立場の一般人にとっての「ネットの恩恵」の柱で、それはすなわち、フランシス・ベーコンの金言(昔、銀座の近藤書店のブックカバーにも印刷されていた)、「知は力なり Knowledge is power」の、Knowledgeを手に入れることが極めて容易になった(つまり、Powerも手に入れやすくなった)ということであり、その点でのここ15年の環境の整い方は実にすばらしいと思うが(特設サイトに集められている「北米&西欧以外の世界各地の声」もその点を再確認するようなものが多い)、環境だけ整っても肝心の「手に入れることができる『知 Knowledge』」が充実していなければ、あまり意味はない。

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2016年01月14日

「わたしはいつでも、人々が威厳を保っているようすを見せようとしてきた」(セバスチャン・サルガド)

16世紀にポルトガル人がやってきたとき、ブラジルの海沿い3500キロは、内陸に向かって約350キロ拡がる大西洋岸森林に覆われていた。面積にしてフランスの2倍に当たる。わたしの両親の土地はこの生態系に属していた。政治恩赦のあと帰国できるようになって、レリアとわたしが戻ってみたら、木が切られてしまっていた。ペロバスというのが有名で、カシのいとこみたいな木だが、それ以外にもいろいろな種類が、発展の真っ最中だったブラジルの諸都市の住宅整備やら、鉄鋼業に木炭を提供するやらに使われていた。森林が伐採されたせいで、雨が降っても水のたまる場所がなくなって、そのまま流れていっていた。両親の土地は肥えていて、昔は牧草地や、水田や森に覆われていたのに、ひからびて草一本生えていなかった。わたしが子どもだったころ、このあたりに住んでいた30世帯ぐらいの家族はいなくなって、牛飼いしか残っていなかった。戻るたびに、このプロセスは目に見えて加速していた。

――セバスチャン・サルガド+イザベル・フランク(中野勉訳)『わたしの土地から大地へ』(河出書房新社、2015年)、pp. 134-135


高名な写真家であるセバスチャン・サルガドの(ジャーナリストに語るという形で言語化された)自伝、『わたしの土地から大地へ』を読み終えたので、読書メモ。

最初のページを、「セバスチャン・サルガドの写真を見ることは、人間の尊厳を体験するということだ」と、この本をつくったフランスのジャーナリスト、イザベル・フランクは書き始めている。「ひとりの女性、男性、子どもであるというのはどういう意味なのかを理解することだ」。

この本は、世界的な写真家であり、「開発」や「社会構造の変化」の中で故郷を(事実上)喪失した人物であり、ダウン症の息子の親であり、「木を植える人」であるサルガドに、フランクがじっくりと話を聞いたものを、一冊の本としてまとめたものだ。聞き書きだが、インタビュー形式ではなく、サルガドがひとり、ただ語っている(しゃべっている)形式で書かれている。サルガドの写真は口絵で全13点(既発表作)が掲載されている。

フランクが「まえがき」で「いまから皆さんと共有したいのは、彼の語り部としての才能である」(p. 9)と書いている通り、全25章で構成されたこの本は、各章は10ページ内外で、各章の終わりの部分が次の章の話題につながっていくという入念に考えられたつくりになっていて、流れるように読み進めることができる。ことばも視覚情報も、何もかも断片化されたものがただそこらじゅうに、読みきれない・見きれないほど大量に転がっていて常に流れてくるという日常的なそれとは別世界の「情報の宝庫」である。インターネットの接続を切って、単にページを繰るための本だ。(実際、この本ってネットがほとんど出てこないんじゃないか。)

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2016年01月13日

イスタンブールのど真ん中で自爆攻撃を起こされたトルコでの「言論の自由」

「テロが起きた」ということは日本語でもたくさん伝えられても、「政府による対テロのシステム作り」についてはそうではないかもしれません。

下記に、ちょっとは書いてあります。

トルコ、イスタンブールの爆弾テロはTwitterでどう報告されたか(&政府の対応が何とも言いがたい)
http://matome.naver.jp/odai/2145263234187659601




2011年の震災のころ、事実を無視していろいろと「日本ダケーー」と言い張ってたみなさん、お元気?

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2016年01月09日

これでも人は言う、「さすがテロリストだな、子供をダシに苦境をでっち上げている」と――戦争の兵器としての飢餓 (1) #SaveMadaya

追記: 本稿についてのご発言は歓迎しますが、中身を読んでからにしてください。英語の部分も、飛ばさずに読んでください。読めますよね?



以下、アップロード時のまま。


「イスラム国」を自称する勢力(ネットスラングで「イスイス団」、本稿では「ISIS」と表記)が乗り込んでいって、勝手に首都にしてしまっているシリアの都市、ラッカ。1月8日(金)も、英語圏メディアで大きな扱いのニュースがあった。ラッカ市民の20歳そこそこのイスイス団戦闘員が、自分の母親を「処刑」したという。それも、イスイス団がラッカの人々に告げたところでは、宗教的な理由でだ(「背教」だという)。すさまじい腐れカルトである。

さて、そのラッカで、シリアの「内戦」がまだ「革命」だったころに反アサド政権の活動をしていた人たちが、2014年1月(もう2年になろうとしている)のISISによるラッカ制圧後に、ISISによる人権侵害などを記録し、ラッカの外への情報の流れを作るために組織したのが、「ラッカは静かに殺されつつある Raqqa Is Being Slaughtered Silently (RBSS)」という活動家集団である。サイトはアラビア語と英語の2言語で運営され、英語版は http://www.raqqa-sl.com/en/ である。ほか、FBやTwitterでも情報発信を行なっている。

彼らは2015年、CPJの「インターナショナル・プレス・フリーダム・アウォード(国際報道の自由賞)」を受賞した。ラッカに関する英語圏の報道の情報源として報道記事でもよく名前を見るようになってきたが、元々「反アサド政権」の民主化要求運動の活動をしていた彼らが、「反アサド政権」よりも「反ISIS」を優先せざるを得なくなってきていること自体が、「シリア内戦」の残酷な現実を示している。2015年10月末には、国境のトルコ側のウルファ(ISISのテリトリー外)でメンバー1人とその友人を殺された(斬首、刺殺)ほか、12月半ばにはイドリブでまた1人殺され、12月末にはトルコのGaziantepでRBSSの映像を手がけていたNaji Jerfさんが撃ち殺された

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2016年01月08日

シャルリー・エブド編集部襲撃事件から1年

#CharlieHebdo: あれから1年
http://matome.naver.jp/odai/2145217114012124801


全部ここ↑に入れてある。

1周年を前に英BBCが放映したドキュメンタリーが、非常に評価が高い。




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2016年01月07日

#Twitter10k Twitter投稿可能文字数の引き上げ(本質的には「140字超えても、削らなくてOK」という話)

Twitterは以前から、「ユーザーがこんな使い方をしているので、それを簡単にする機能を実装しよう」ということをしてきた。

例えば、今では当たり前になっている「RT (retweet; リツイート)」は、2009年夏のイランの動乱のときは、まだなかった(ハッシュタグはもうあった)。この動乱のときの「現地からのツイート」や「Twitter上での全世界的な連帯・精神的支援の広がり」によって、Twitterは「IT系」、「ギーク」や「アーリー・アダプター」、「ネットのへヴィユーザー」を超え、「特にIT系に詳しいわけでもないジャーナリスト」のような人たちにも認知されていったのだが、あの動乱のときに「情報の流れを止めない」ために行なわれた「RTキャンペーン」(#PlzRT というハッシュタグのついた本文を手動でコピペし、冒頭に RT @username: の形で元の発言者名を書き加えてツイートする、という形で行なわれた)や、外部サイト(Twitpic.com, ImageShackなど)に写真をアップしてURLを貼るというユーザーの自主的な使い方は、Twitterの機能を大きく変化させた。
From September through October 2010, the company began rolling out "New Twitter", an entirely revamped edition of twitter.com. Changes included the ability to see pictures and videos without leaving Twitter itself by clicking on individual tweets which contain links to images and clips from a variety of supported websites including YouTube and Flickr, and a complete overhaul of the interface...

https://en.wikipedia.org/wiki/Twitter


ツイート内にURLを貼るとやたらと文字数が食われてしまうので、ユーザーの多くは外部の短縮URL(bit.ly. is.gd, tinyurlなど)を利用していたのだが(2011年の「アラブの春」のときもそうだった)、Twitterはそれも自分たちのデフォルトの機能として組み込むようになった。
Since June 2011, Twitter has used its own t.co domain for automatic shortening of all URLs posted on its website, making other link shorteners superfluous for staying within the 140 character limit.

https://en.wikipedia.org/wiki/Twitter


そんなふうに、今私たちが普通に使っている機能の多くが、Twitterが始まってからユーザーを増やし、広く使われるようになった過程で、ユーザーがどのように使っているかということに基づいて実装されてきたものだ。

今回の「上限を140字から、10,000字に引き上げ」というのも、それと同じことだ。

Twitter, 「投稿文字数の上限140字」やめるってよ #Twitter10k
http://matome.naver.jp/odai/2145208581742082101


この方針が最初に公にされたのは、日本時間で6日午前1時ごろにフィードされたRe/Codeというオンライン媒体の(やけにとっちらかっていて読みづらい)記事(つまり「急いで出した記事」と思われるもの)のようだが、その記事が出て「うわさ」が広まったころに@Jack (Twitter CEO) が、長文のテキストの画像を使い、「140字上限の撤廃」の意義をアピールしつつ、趣旨を説明するツイートを投稿した。

@Jackのその投稿の文面は、上記ページで文字(テキスト)起こしし、対訳をつける形式で日本語化したので、上記ページでごらんいただきたい……と、リンクしたところでほとんど誰もリンク先に飛んで記事を読んだりしないという、完全に社会に普及したあとのインターネットの特性が、スマフォの時代になってますます苛烈化し、そういう環境でのネットユーザーの行動パターンの変化が、今回のTwitterの方針転換を促したのだが(「ふつう、リンクなんかクリックしないっしょ」というのが《常識》の人々を、Twitterは取り込まねばならない。純粋に、ビジネス上の必要から)。

ジャックの書いてることを読む限り、今回のことは「上限の引き上げ」というより、「上限の(限りなく『撤廃』に近い)緩和」の意図での方針の転換だ。

しかし、人々の間での話題としては、「上限の緩和」という受け取られ方はせず、「上限の引き上げ」としてぐるぐる回っている。それも「極端すぎる引き上げ」として。

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2015年12月31日

もはや war on terror とは呼ばれない「テロとの戦い」は

……あちらの勝ちです。

gdn31dec2015.png

※画像クリックで全景のキャプチャ。

Brussels cancels new year celebrations over terror fears
http://www.theguardian.com/world/2015/dec/30/turkey-says-it-has-foiled-isis-plot-to-launch-new-years-eve-attack


※記事はAP

In Belgium, meanwhile, an investigation was continuing into what authorities characterised as a “serious threat” of holiday season attacks directed at police, soldiers and popular attractions in the capital city of Brussels. The arrest of two suspects was announced on Tuesday by the Federal Prosecutor’s Office, along with the seizure of military-style training uniforms, computer equipment and propaganda materials from the Islamic State. No weapons or explosives were found.
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2015年12月29日

人の生命の問題を、「ホームページにアップする文書」でなんちゃらしようという耐えられない軽さ

撤回されたっていうことで、これまで公に書いたものをまとめておきます。

「撤回された」というのはこれ:
安田純平さん拘束 身代金要求の発表撤回 国境なき記者団
12月29日 17時53分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151229/k10010356351000.html

下記は「国境なき記者団(RSF)」のサイトのトップページのキャプチャ。構成が見づらい(と私は感じる)ページなのだが、一番上のJournalism is not a crimeのバナーは今一番熱心にやってるキャンペーンの話で、本編はその下だ。そして安田さんについてのRSFの報告の撤回は、ニュースサイトでいえば「トップニュース」の扱いと言ってもよいだろう。



でもね、これ、きっとネットには、「撤回」される前の話がずーっと残る。現に、「NAVERまとめ」で私が作成したページに、私の意図とは関係なく一方的に表示される「関連まとめ」なんかでは「身代金が要求されていたことが発表された」とかいうセンセーショナルな、クリック稼ぎの「まとめ」がハバきかしてる。(「発表」って、直接の関係者がその事実があると述べたわけでもないときに、見出しにするかね? クリック稼ぎは「上等」かもしれんが、1ミリくらいはご家族のことを考えたらどうなのかね)

※以下作業中。へべれけなのでいちいち作業が遅い。

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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