「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2015年09月30日

北アイルランド、ジーン・マコンヴィルさん殺害事件に関し、ジェリー・アダムズ、ボビー・ストーリーら6人のリパブリカンを不起訴に。

昨年4月末、ジェリー・アダムズが逮捕されたことをご記憶だろうか。日本語でもいくらかは報道されていたと思う。逮捕に至った容疑は、40年以上前の1972年にIRAによってスパイであると断定され、拉致され、拷問・殺害されて人知れず埋められたジーン・マコンヴィルさんの殺害に関与していたというものである。具体的には、当時のIRAの指導者として、マコンヴィルさん殺害の指示(指令)を出した容疑がかかっていた。

しかしながら、アダムズはIRAの指導者だったことを否定している。それどころか、「自分がIRAにいたことはない」と主張している。

64786271-m.jpg


というわけで、こういう結論が正式に出されたとしても、誰も驚いていない。

Jean McConville murder: Sinn Féin leader Gerry Adams will not face Disappeared charges
http://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-34391198


Sinn Féin leader Gerry Adams will not face charges in connection with the IRA murder of Jean McConville, the Public Prosecution Service has confirmed.

Six other people, including Bobby Storey, Sinn Féin's northern chairman, will also not face charges linked to the 1972 killing.

Jean McConville, 37, a widow, was abducted from her west Belfast home, shot and secretly buried.

Mr Adams said the decision was "long overdue".

"There was never any real basis for questioning me in respect of this case. I played no act or part in Jean McConville's death," he said.


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2015年09月22日

北アイルランド、IMC状の武装勢力監視機関のメンバーが告知された。

はてなブックマークの「コメント一覧」を非表示にしているだけで「誤訳が〜」とか「誘導が〜」とか「罪深い」とか言われてて、極めてばかばかしい状況だが、北アイルランドでのこの動きについては日本語で少し書いておこうと思う。あとから自分で検索できるようにしておくことが目的であり、別に誰かを「誘導」したいわけではないし、「誘導」などという高度なことをする技量も知識も私にはないことをお断りしておく。

5月と8月の2件の殺人事件で、「IRAがまだ存在している」ことが(今更のように)問題視され、UUPがストーモントの自治政府から大臣を引き上げ、特に英国政府に対してあれこれ交渉をした末に、DUPも財務ポストを除外して大臣は引き上げ、ファースト・ミニスターはピーター・ロビンソンが一時引っ込んで (step aside) 財務大臣が代行として兼任するというかなりアクロバティックなことをやるという形で、ストーモントの自治政府は「生命維持装置につながれている状態」にある。

この局面を打開するために、2004年から2011年まで北アイルランドの武装組織の活動を監視していたthe Independent Monitoring Commission (IMC) のような独立監視組織を新たに立ち上げようということで話がまとまったようで、先ほど、英国政府のテレサ・ヴィラーズ北アイルランド担当大臣によってそのメンツが告知された。

英国政府のページ:
https://www.gov.uk/government/news/villiers-announces-names-of-independent-reviewers

報道各社:
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/northern-ireland/northern-ireland-paramilitary-organisations-independent-review-panel-named-31548875.html
http://www.u.tv/News/2015/09/22/Panel-appointed-to-review-NI-paramilitaries-45418
http://www.bbc.com/news/uk-34323374


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2015年09月20日

ピーター・ロビンソンがまた入院した。(翌日には退院)

5月におそらく心臓発作を起こして倒れ、ベルファストで一番設備の整った病院に搬送されて手術を受け、4日間入院していたピーター・ロビンソンが、土曜日(9月19日)、また病院に搬送され、日曜日(20日)は病院で過ごしているそうだ。

今度は「薬の副作用で、大事(だいじ)をとって入院」と病院は説明しているが、明日月曜日(21日)から国技「エクストリーム交渉」が始まるというときに、大丈夫なのだろうか(5月の入院もタイミング的に似ていたが)。

公にされている情報は、少ない。UTVもベルファスト・テレグラフもBBCも、情報としてはどこも同じである。



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2015年09月15日

「アイリッシュ・ニュースの記者が脅迫されている」って……

さて、北アイルランドは地味にエクストリームな状態が続いている。そもそも今回のこのごたごたを引き起こしたのは「存在していて、なおかつ消えてしまったIRA」(プロヴィジョナルIRA)だが、最終的には、(「Real IRA改め自称IRA」などではなく)その「IRA」を含めたパラミリタリー組織の監視を行なう機関を設置するというのが落としどころになりそうな気配はする。ただし、「気配」にすぎないし、何がどうなるかは全然わからない。

そんな中で、アイリッシュ・ニュースの記者が脅迫されているというニュースが来た。

'Chilling' death threat against Belfast journalist
http://www.u.tv/News/2015/09/14/Chilling-death-threat-against-Belfast-journalist-44911


北アイルランドでは、武装組織が「殺す」という脅迫を出すと、たいていは警察から「標的」に連絡がある。そういった脅迫のケースの中にはニュースになるものもある。シン・フェインの政治家が脅迫されると、よく、「シン・フェインのだれそれが脅迫された」という見出しでBBC Newsの記事になっている。記事の中身は「脅迫には屈さない」とか「ああいうことをするのは犯罪者だ」とかいった脅迫対象の人のコメントがメインだ。

ジャーナリストが脅迫されてニュースになることもないわけではないが、政治家に対する脅迫に比べたら件数はずっと少ないし、脅迫対象の人の名前も出されない。マジで危ないからだ。

今回の脅迫事例でも、脅迫されているジャーナリストの名前は明らかにされていない。でも、所属媒体だけでも充分に衝撃的だろう。

アイリッシュ・ニュースはベルファストを拠点とする新聞のひとつで、ナショナリストを主要な読者としている(ベルファスト拠点でユニオニストを読者とする新聞がニューズレター、ユニオニズム寄りではあるかもしれないがより総合的なのがベルファスト・テレグラフ)。

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2015年09月11日

奇策・「歴史は繰り返す」(ただし変奏し、巻き込みながら)

Triple-Spiral-Symbol-heavystroked.pngケルトのぐるぐる渦巻き模様。どこから始まっていてどこで終わるのか、どうつながっているのか、確かめようとしてじっと見ると目が回る。

北アイルランドについてのニュースをネットでフォローするようになって約15年になる。当初は「さっぱりわからないのは、私に前提となる予備知識がないから」だったのだが、ある程度の予備知識が備わってくるうちに、知識があれば何が何なのかがわかる部分と、そうでない部分とがはっきり見えてくる。ほどなく、「これはあのぐるぐる模様みたいなものなんだ」という気持ちになる。そうすると、全体はよりはっきり見えてくる。

やや逆説的かもしれないが、そういうことはある。そしてそこでは、ぐるぐるは相互に影響しながらぐるぐるしている。

さっきまで、IRAについて用いられていたフレーズが、今はユニオニストについて用いられる。それで何の不思議もない。私が「これが人の世の営み、ザッツ・ライフ!」などとモニターの前でニヤニヤしているのは、アイルランド成分の大量補給のせいだ。

というわけで、「ストーモント危機」に対し、DUPが奇策を繰り出した。私はモニターの前で、「眉間にシワ」⇒「ハラハラ、ドキドキ」で見ていたのだが、最終的には大爆笑している。



ピーター・ロビンソン、この人はおもしろすぎる。いろいろ「黒い」部分もあるはずだけどね(特に不動産関連)。

というわけで、DUPが最後通牒をした翌日、9月10日の「ストーモントの危機」の大きな局面の顛末は、下記を参照。まさかのDUPの奇策でみなさん大爆笑(つっても北アイルランドなので、シニカルだよ)。

Northern Ireland: Stormont crisis, or is it circus?
http://chirpstory.com/li/284318


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2015年09月10日

「彼が真実を認めるかどうかです」とUUPに言われた「彼」は……

1つ前のエントリ、「北アイルランド、ストーモント体制は、本当に、もちこたえられないかもしれない」の件、象徴的なのは、これだと思うんですよ。昨日、ボビー・ストーリーの逮捕の報道があり、マーティン・マクギネスのコメントが出て、騒然としていたときの実際のタイムラインより(via https://twitter.com/nofrills/lists/ni )。



パロディ・アカウントとかじゃないですよ。本人ですよ。

本人がどういうつもりであれ(あの人は「変人」なので、どういうつもりなのかは余人にははかりしれない)、見ている立場からいえばこれは、「この事態をまじめに受け取ってません」という意思表示以外の何ものでもないわけで、私が側近や党幹部だったら「もういいから、ひっこんでてください」と言ってスマフォやPCを取り上げてたと思う。

しかもこの「でっかい羊さん(原文ママ)」のツイートの次に何をしているかというと……

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北アイルランド、ストーモント体制は、本当に、もちこたえられないかもしれない。

さて、前項でみた「人名 (はぁと)」などのTwitterスパムは、ボビー・ストーリーの逮捕についてのツイートを見ていたときにあまりに目障りだったので記録しておくことにしたものだが(以前のTwitterスパムについてのエントリも多く見てもらえているようだし、スパムの傾向は書いておけばきっとどこかで役立つ)、重要なのは本題である。

主にニュース系のあれこれをアーカイヴしておいた。
Northern Ireland: Senior republicans including Bobby Storey arrested
http://chirpstory.com/li/284111


ボビー・ストーリーはシン・フェインの幹部だが(議席は持っていない)、「政党幹部」というより「ポスト紛争社会のコワモテの顔役」で、ナショナリスト・コミュニティの若いのが暴れればニラミをきかせて説教するとか、ミルタウン墓地のリパブリカンの墓がロイヤリストのバカ者に荒らされたときには新聞記事にニラミをきかせて出てきたりとかしている。1998年ベルファスト合意(グッドフライデー合意)での早期釈放規定により釈放されたが、16歳のときからIRAで活動している筋金入りのIRAメンバーである。1983年の「ロング・ケッシュ/メイズ大脱獄」のメンバーの一人でもあり、この人の「紛争後」の変遷は、「テロリストと話をする」という英国政府の(当時の)方針を象徴的に表していたと言ってもよい(そういう変遷を見せた人は、この人だけではないのだが)。
https://en.wikipedia.org/wiki/Bobby_Storey

その人が、「IRAの内部での争いごと」による殺人事件に関連して警察に逮捕された。英国での「逮捕 arrest」は、日本でいう「重要参考人」についても行なわれることがあるし、この事件での逮捕者(既に何人か出ている)はこれまでのところ無条件で釈放されているし、ボビー・ストーリーも地域の顔役として「参考人」的な立場での逮捕なのではと考えられもするのだが、逮捕というのはそれ相応の手続きにのっとって行なわれるものであり、そんなにすっと「流せる」ことではない。しかもシン・フェインの幹部を逮捕するということは、PSNI(警察)としてもそう気軽には(=ヒラのIRAメンバーを逮捕するときのようには)やらない。

で、今日のこの展開は重要なのだが、これが一筋縄でいく話ではない。そんなときには北アイルランドのベテランのジャーナリストの解説が出てくるのを待つのが定石で、今日も待ってたら、もうブライアン・ロウアンの解説が出ている(このエントリを書いてからアップするまでの間に別の人の分析も出てるかもしれない)。気分が重くなる話なので、そのつもりでどうぞ。

Stormont’s warning signs...
09 Sep 2015
http://www.u.tv/Blogs/2015/09/09/Stormonts-warning-signs-44687
Inside the Stormont building there were warning signs - pointing to a wet surface.



Politics is slipping and sliding.

Martin McGuinness talked of "a very serious moment" and said what is needed is "a period of reflection".

There may not be time for that.

This time, Stormont really is in trouble - with one source predicting "endgame".


(´・_・`)

……というわけです。

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2015年09月05日

「ボビー・サンズのハンスト」を「海外では〜」と語るな。

昨日(4日)にTwitterで連続投稿した件。何か気の利いた地の文を書こうとしてみたが、特に思いつかないので、ただツイートを貼り付ける。

「北アイルランド(特にベルファスト)での毎年夏の騒動」の文脈にあることを、勝手に「2011年の夏の英国での暴動」の一部だと解釈してそのように書いたり、「欧州ではこれが標準」とかいった無知に基づいたトンデモ語りを展開したりしてた例もあったよな、と思いつつ、「ボビー・サンズのハンスト」のような特異例を、「海外ではハンストはこうやる」みたいにして広めるなよ、アホ、とくだをまいている、という話だ。



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2015年08月31日

「テレビ番組名をなんとかランド化する」ハッシュタグ(英語圏……というよりなんとかランド圏)

わけのわかんないことになってるなんとかランド、週末はいつも通り、スポーツ(ゲーリック・フットボールなど)で盛り上がっていますが、ハッシュタグも盛況のようです。

(・_・)

少しこういう成分を補給しないと、いろいろと無理目なので、補給しておきましょう。まだ先は長いですよ、きっと。ひょっとしたら、ここからエクストリーム交渉が始まるかもしれないし。。。

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2015年08月30日

「IRA内部での殺し合い」が、ストーモントの自治政府を機能停止させそうな件。

北アイルランド政治が、「なぜそんなことで膠着状態に陥るのか」ということで膠着状態に陥るのは単に「デフォ」だが、今また味わい深いことになっているのは「いつものこと」とはちょっと違う。「いつも」とは違う結果になる可能性が高い。つまり「ただの膠着状態」では終わらなさそうだ。

存在していて、同時に存在していないあの組織が存在していることが、あったりまえだのくらっかー的なことというか、「部屋の中の象」的なものではなく、(紛糾している状態を維持することは得意な政治家たちによって)「何か明確な反応を示すべき問題」となっている。UUPがストーモントの自治政府から離脱するのだ。(といっても、UUPは閣僚ポストは1つしか持っていない。)

党としての意思は既に決定されているが、正式な手続きが済むのは土曜日(8月29日)の予定で、そのための会合がもうすぐという段階のBBC News NIのトップページはこうなっている。(下記画像はクリッカブル。記事が上書きされると思うので現時点のもの→ https://archive.is/Wofs3



UUP党首、マイク・ネスビットの舵取りについて、アレックス・ケインさんがBTに書いている記事が非常に興味深い。(記事自体はネスビットの人となりを説明する部分がとても長いので、読むのには時間がかかるかもしれない。お茶いれてどうぞ)
http://www.belfasttelegraph.co.uk/opinion/debateni/uup-leader-mike-nesbitt-is-taking-his-biggest-gamble-yet-31486114.html
Removing the UUP from the Executive is the biggest risk he has taken. It will, almost certainly, lead to the collapse of the Executive in the next couple of weeks and nobody can be sure what happens afterwards. He is clearly up for an early election, reckoning that Robinson and the DUP are weaker than they were, yet not so weak that Sinn Fein could sneak into the First Minister's Office - an outcome that would damage Nesbitt.

But if there isn't an early election and if the DUP decides to play rough with him - and it's worth remembering that the DUP is at its most ruthlessly effective when its back is to the wall - then there could be a very unpleasant war between the two big unionist brands.

Nesbitt is also going to need to nail down a coherent, credible response to the question, "under what conditions would you return to an Executive that includes Sinn Fein"? He cannot go into an election without that answer.

The next election will be the most important election for the UUP since the 1998 Assembly election: which is when the first signs of decline were obvious. Nesbitt has raised the stakes by setting an agenda the DUP is not comfortable with. There are enormous risks for him, of course, but also enormous possible rewards. ...


ネスビットは元々政治畑の人ではなかった。リネン工場を経営する実業家の家に生まれたが、工場が1973年にボムられて家業が途絶え、ケンブリッジ大を経てベルファストのクイーンズ大学の修士課程にいるときにスポーツ・ニュースの分野でBBCで仕事を始め、その後UTVに移ってニュースキャスターとして活躍し、Victims Commissionを2年ほど率いたあと、2010年にUUPで政治活動を開始。そして、早くも2012年にUUP党首となって以降は、2000年代に一度は溶け去ってしまったかに見えたUUPが党勢を回復しつつある(と見られている)。そこで思い切った策に出た、というのがケインさんの解説だ。

そんなUUPの態度に、当初は否定的なことを発言していたDUPも、結局はUUPと同じように行動するしかないらしく、今度こそは本当に「あなた、ストーモントちゃんが、息をしていないの!」だ。

そのへんの流れは、タイムラインにて。
http://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-34083430

このあとがどうなるかはわからない。

これを引き起こしたきっかけというのが、IRA内部での殺し合いの発生と「IRA (Provisional IRA) がまだ存在している」ということで、そんなわかりきった、あったりまえのことで、今更何を……と思うのだが、そこはそれ、ほれ、例の「政治的駆け引き」ってことのようで、正直、何が何やら。

おかげでジェリー・アダムズの「根拠のよくわからない全否定」がまた見られるなど、マニアにはたまらない展開ではあるんですけどね。。。

というわけで、今回のこの事態の発端となった「IRA内部での殺し合い」について、少し書いておきます。

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2015年08月23日

ついにプロヴィジョナルIRAが「例の猫」状態にありながら、その状態を脱した模様。

今から10年前の2005年7月28日、「IRA指導部は正式に武装キャンペーン終結を命令した」というステートメントが出た(→ステートメントの映像)。

この時点で話題になっていたのが、「で、IRAは解散するのか、しないのか」だった。というより、「やっぱり組織解体はしないよね」ということだった。ステートメントの文面でも、そこは曖昧(解釈次第)だった。というより、"The IRA is fully committed to the goals of Irish unity and independence and to building the Republic outlined in the 1916 Proclamation. We call for maximum unity and effort by Irish republicans everywhere." などという辺りからは、組織が存在しなくなるという解釈はできなかったのだが、「解体」を読み取りたい人は読み取れる文面ではあった。実際の文面より:
The leadership of Óglaigh na hÉireann has formally ordered an end to the armed campaign.

This will take effect from 4pm this afternoon.

All IRA units have been ordered to dump arms.

All volunteers have been instructed to assist the development of purely political and democratic programmes through exclusively peaceful means.

Volunteers must not engage in any other activities whatsoever. ...

IRA (Provisional IRA) は、基本的に、かっちりした指揮系統を有する組織で、その指揮系統がなくなれば組織も存在しなくなるが、指揮系統がなくなったら指導部の方針(武装活動の停止)は徹底されない。それどころか有名無実化する可能性すらある。なので、指揮系統は維持したまま武装活動を停止し、別方向での活動(これが北アイルランドでは「コミュニティ・ワーカー」と呼ばれる活動←ぶっちゃけ)を組織している。IRAという組織を解体してしまうことは、ありていにいえば「権力の空白」を生じさせることになる。これは北アイルランドでの「和平プロセス」というか "peace before justice" のリアルな話で、IRAだけでなくロイヤリストの側にも言えてることだ。

というわけで、組織は存在していないが、同時に存在しているという状態になっていたはずだ。

その「存在していないんだけど、同時に存在している組織」がやはり存在しているということが現在ニュースになっていて、無駄に難解である。「ここらで、めんどくさいので『シュレディンガーIRA』と呼ぶことにすればいいのに」と思う。



Who hasn't been aware of their existence? (・_・)

というか、こんなヘッドラインを見せられた日には次のように反応するしかなく……

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2015年08月15日

いつものことなんですが、ベルファストのパレス・バラックスのことは「MI5の拠点」って言ったらどうなんでしょう。

またパレス・バラックスに爆発物というニュース。この「パレス・バラックス」についてBBCが依然として「アーミーの拠点」と言い張っている件をメモしておく。



Palace Barracksといえば「MI5の拠点」であることは周知で(軍施設の中にMI5の北アイルランドの拠点がある)、5年前の2010年4月にカーボムでの攻撃があったときもBBCなど英メディアは「アーミーの拠点」といい続け、欧州大陸のメディアが遠慮なく「MI5の拠点」と書いていたことがある。

BBCの上記記事も、下のほうで、次のように書いてはいるのだが。
In April 2010, a bomb planted by the Real IRA, a dissident republican group, exploded outside the army base which houses MI5's Northern Ireland headquarters.

http://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-33934215

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2015年07月23日

1989年、英軍に殺されたロイヤリストの武装組織メンバーと、2015年にロイヤリストの掲げる英軍の旗。

北アイルランドからの日々のニュースを見ていると、ときどき、とんでもない「闇」がぱっくりと口を開けていることがある。

これもそのひとつだ。それも、さほど「語られて」はいないと思われる「闇」。

Son of UVF man rips down SAS flag at Twaddell protest camp in Belfast
By Ciaran Barnes
20/07/2015 | 09:27
http://www.belfasttelegraph.co.uk/sunday-life/son-of-uvf-man-rips-down-sas-flag-at-twaddell-protest-camp-in-belfast-31389099.html

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2015年07月21日

2015年の12thのパレードについて。

さて、前項の続き。11thのボンファイア(前夜祭)が11日(土)の夜に行なわれ、12日は日曜日で安息日、続く13日の月曜日に、毎年恒例の12thのパレードが行なわれた。

欧州の日付で13日は、ギリシャに対する金融支援についてEUで合意がみられたことや、任天堂の岩田社長の死去、そしてイラン核協議での合意とめまぐるしかった。そんな中、北アイルランドのパレードのニュースは、気をつけて見ている人でなければ目に止まらない程度だった。例年通り、「行きはよいよい、帰りは怖い」という展開だ。(「行き」=のぼり、「帰り」=くだり、というイメージで。)





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2015年07月20日

2015年の7月11日(イレヴンス)のボンファイアについて。

july2015.jpg今年の7月のカレンダーはこうなっている(写真参照。これはうちの壁に貼ってあるみずほ銀行のカレンダーで、色が「レッド・ホワイト&ブルー」なのは偶然である)。11日が土曜日、12日が日曜日だ。プロテスタントの原理主義では日曜日は休まなければならない日(活動を禁止される日)で、北アイルランドで毎年7月12日に「トゥウェルフス 12th」のパレードを行なうオレンジのサッシュを着けた人たちも、日曜日は休む。7月12日が日曜日に重なった場合は、パレードは13日に行なう。(「イレヴンス 11th」のボンファイアは変更なし。)

今年は、かなり緊張感が高い感じがしていた。11thのボンファイアも12thのパレードも緊張感が高いのも、「毎年のこと」ではあるのだが、設営中のボンファイアが放火されたり、南部連合の旗だの、ナチス・ドイツのSSの旗だの、「北アイルランドのプロテスタンティズム」とは直接関係しない旗が掲揚されたり、カトリックに対する暴力を煽る言葉が交通量の多い道路脇に出現したりと、「緊張感が高い」というより「やばい」感じ、いやむしろ「ヤヴァイ」感じが、がんがん漂っていた。

で、どうなったかというと……というのが本エントリの主旨である。1週間も間があいてしまったが、書かないよりはましだろう(ほっとくとほんとに書かないからね……プリンス・オヴ・ウェールズとジェリー・アダムズの握手ですらスルーしているのが最近の私だ)。

今年は、12日の日曜日が「スレブレニツァの虐殺」から20年の式典で、12日は個人的にはそちらに意識を向け、時間を割いていたが、並行して11th/12thも見てはいた。

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2015年07月19日

【アイルランド成分】「大学院生でメガネ男子のヘンダーソンくん」宛ての郵便物が、無事に届けられた件。

東京はむちゃくちゃ暑い(気温も湿度もものすごい。夜9時に扇風機のない屋外に出るのと、使い終わって換気扇を回して2分くらいのお風呂場に入るのと、同じくらいの感覚)ので、アイルランド成分をネットに補給して癒しの天使になろうと思う。

といっても、いつものようなこういう成分では癒しにも何もならない。

こういう成分だ:






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9年前にバーベキューの人たちを襲撃した約15人の集団の1人だけ、傷害に続いて殺人でも起訴された。

先行する記事の件、詳細がわかった。フィヌケン・センターが述べていた通り、2006年7月のデリーでのバーベキュー襲撃事件でのポール・マコーレーさん(2015年6月6日死亡)の殺人容疑で起訴されたパイパー・ジョン・マックレメンツは、既に同じ事件で傷害の容疑で有罪判決を受け服役していたダリル・プロクターの別名だ。北アイルランドではこのような事例は初めてだという。

Man charged with Paul McCauley murder
11:41 Saturday 18 July 2015
http://www.derryjournal.com/news/man-charged-with-paul-mccauley-murder-1-6857344
A 24-year-old man has appeared in court charged with the murder of Paul McCauley.

Piper John McClements, formerly known as Daryl Proctor, appeared at a special sitting of Derry Magistrate’s Court on Saturday.

McClements, of The Fountain, is charged with the murder of Mr McCauley on June 6, 2015.

...

McClements was previously convicted of causing grievous bodily harm with intent to Mr McCauley and served a prison sentence for this.

The court heard this is the first case of its kind in Northern Ireland where a person has been convicted of an assault and then charged with murder after the victims death.


Daryl Proctor charged with Paul McCauley murder
By Donna Deeney
17/07/2015 | 16:50
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/northern-ireland/daryl-proctor-charged-with-paul-mccauley-murder-31383276.html

The 24-year-old who was arrested yesterday morning is Daryl Proctor.

...

Proctor, also known as John McClements, was arrested on the anniversary of the brutal attack.

Detectives made the arrest in the Fountain Estate in Derry and took Proctor to Strand Road police station for questioning.


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2015年07月18日

9年前、デリーでモブに襲撃されて脳に傷害を負わされた人が亡くなり、新たに「殺人」の容疑者が起訴された。

2015年6月初旬、北アイルランドのデリーから、ある男性の死亡が伝えられた。ポール・マコーリーさん。9年前の2006年7月に理不尽な暴力を受けて以来、意識を取り戻すことなく、彼は死んでしまった。襲われたとき29歳で、子供がひとりいた。仕事は公務員。

Paul McCauley dies after being beaten in 2006 attack
7 June 2015
http://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-33034023

Senior Investigating Officer DCI Michael Harvey said: "On behalf of the entire police family, I want to extend our deepest sympathies to the McCauley family following Paul's death.

"They have conducted themselves with great dignity over the past almost nine years since the vicious attack on Paul and his friends. The love and care they gave to Paul have been a beacon of light in a tragically dark set of circumstances."


この襲撃事件は、当時、大きなニュースになった。私もBBC Newsの記事とSlugger O'Tooleのエントリを元にブログを書いている。ちょうど、ぴったり9年前だ。

2006年07月18日 バーベキューしてたら襲撃された――デリー(北アイルランド)
http://nofrills.seesaa.net/article/21688298.html


Man 'critical' after gang attack
http://news.bbc.co.uk/1/hi/northern_ireland/5186604.stm

デリー(ロンドンデリー)のWaterside areaのChapel Roadのある家の裏で、先週末、ある男性の送別会が開かれていた。まもなくアゼルバイジャンで教職に就くその男性を送り出すために、カトリックもプロテスタントも含む友人たち(その中にはイングランド人、ルーマニア人、ポーランド人もいた)が集まって、バーベキューをしていた。20人ほどが集まり、和気藹々と過ごしたあと、何人かが残ってゴミを燃やすなど後片付けをしていた。時間は午前3:40ごろ。

そこをthugsが襲撃した。3人の男性が暴行を受け、1人(29歳)は頭部に重傷を負い、ベルファストの大病院に搬送されたが重態、1人は顎を砕かれ、1人はあざだらけ。警察ではこの襲撃を殺人未遂事件として扱っている。


この時点ではまだ、「頭部に重傷」の男性がその後意識を取り戻すことがないなどということになるとは私も思っておらず、ブログのトーンは恥ずかしいほど楽観的で、遠慮なく「外部の観察者」の野次馬の視線で、「そこで何が語られているか」をじろじろと見ている。当時はまだ「ソーシャル・メディア」と呼ばれるものは(少なくともうちら一般人の手の届くところには)なく、北アイルランドに関してはSlugger O'Tooleのコメント欄が最も「リアル」な発言の場だったのだが(あのころのあのサイトにどれだけ学ばせてもらったことか)、私のブログでは事件そのものより、それをめぐって人々がSOのコメント欄で何を話しているかを詳しく観察・記録している。

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2015年07月17日

デリーで「軍葬」で送られた「ハンガーストライカーの母」。

現在に至る北アイルランドの自治議会(Assembly)と自治政府(Exective)の体制を固めたのは2006年のセント・アンドルーズ合意で、ここでDUPがシン・フェインとの権限の分担(パワー・シェアリング)を受け入れた(「イアン・ペイズリーがYesと言った」)ことで北アイルランドの政治は動いた。当時はまさに「ありえないことが起きた」と言われたし、実際にそうだった。

合意の翌年、2007年1月にもうひとつ「ありえないことが起きた」。シン・フェインが党大会で「警察支持」を決めたのだった。

北アイルランドの「民意が問われた」のは、そういう大きな「ありえない」意思決定がなされた直後の2007年3月だった。結果は、DUPの方針転換も、シン・フェインの方針転換も、「有権者によって支持された」。どちらも、それぞれの陣営での第一党の地位を確保、というよりしっかり固めた。そして2007年5月にはイアン・ペイズリーとマーティン・マクギネスが「チャックル・ブラザーズ」と呼ばれるほど和気藹々とした雰囲気の中、ストーモントが再起動した。

その2007年3月の自治議会選挙の直前、私はある候補者についての記事を読んでいる。

2007年03月07日 「私の目の前で死んだ息子のために」
http://nofrills.seesaa.net/article/35396797.html

ペギー・オハラは、卒中から回復しつつある過程にある。「息子のため。パッツィのためにやっているんです。私はあの子が死ぬのをベッドの傍らで見取ったんですから」

シン・フェインは体制側に「身売り」したのだと彼女は言い切る。「闘争の結末が警察の支持だなんて、あの子たちが知っていたら、くだらない、意味がないと思ったでしょうね」


ペギーの息子のパッツイは、1981年5月21日に23歳の若さで死んだ。ロングケッシュ(メイズ)刑務所でのハンガー・ストライキでの4人目の死者(このときのINLAのハンガーストライカーとしては最初の死者)となったのだ。(このハンストは、ボビー・サンズだけが有名になっているが、合計で10人が死んでいるということは、忘れてはならない。)

ペギー・オハラは、がっちがちのリパブリカンだった。シン・フェイン(Provisional IRA)とは別の組織で活動していた。

そのペギー・オハラが亡くなったことを、私は意外な形で知った。

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2015年07月08日

南部連合旗が掲げられて騒動になっている北アイルランド、今度はカリックファーガスにナチス・ドイツの旗が掲げられた

朝イチで見るニュースが「ナチの旗」だったりする今日この頃、夏ですね。今年は11日が土曜日、12日は日曜日で完璧ですね。というわけでそろそろ夏の民族大移動が始まりそうな北アイルランドからの今朝(日本時間)最初のニュースがこれですよ、これ。




変な検索履歴をまた付け足しつつ調べてみると、これはSS-Heimwehr Danzigの旗だということがわかりました。
https://commons.wikimedia.org/wiki/Flaggen_Nazi-Deutschlands

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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