いつも通りに英国のニュースをネットで見ている限り、現在の英国でのトップニュースは「労働党内に反ユダヤ主義が存在しているとされる問題」だが、これが異様なほどメディアによってヒートアップさせられているのは、5月5日投票予定の地方選挙、特にロンドン市長選挙前というタイミングによるものだ(「反ユダヤ主義が組織内に存在していること」が問題なら、労働党で亡命ユダヤ人の息子が党首をしていたころに、
保守党所属の国会議員がナチのコスプレでパーティーを開いていたようなことは「愚か者の愚行」で済ませられまい)。これは、あとに残す影響などを考えるとめちゃめちゃ毒性が高く、気が重くなるような話であるにせよ、どのくらいの人がどの程度の関心を抱いて記事などを見ているかというと、「その筋のプロ」や「政治オタク、選挙戦略オタク」、「非難されている人々の支持者」や「陰謀論者」が格別高い関心を持っているだけで、一般にはさほど……、というに近い状態なのではないかと思う。
イングランドの外ではどうかわからないが、少なくともイングランドで一般に広く関心を集めているのは、そのような「選挙前の煽りネタ」よりむしろ、サッカー、プレミアリーグの「アンダードッグ」のことだろう。少し前まで、トップ4のチームにはまだリーグ優勝の可能性があったときには(私の観測圏によるものかもしれないが)まだそこまでではなかったと思うが、いい感じで首位にいたはずのうちが
圧倒的な4位力を見せ付けるようになったときには(私の観測範囲でさえも)「御伽噺 fairly tale」とか「夢を実現させた人たち dream makers」とかいった表現がぽんぽん飛び出すようになり、4月末にはついに「あと1勝で自力優勝」というところまで来ていた
レスター・シティFCのことだ。
そのレスター・シティ、5月1日(日)にはマンチェスター・ユナイテッドのホーム、オールド・トラフォードで試合を行ない、日本でも(レスターに岡崎が所属している関係で)スカパーか何かで試合が見られる環境にあった人が大勢いたようで、大変な話題になっていた。サッカーニュースのサイトやスポーツ雑誌などのサイトだけではなく、一般のメディアでまで大きく取り上げられているのを(テレビはないし新聞もほとんど見ない)私でも目にした。
1日の試合は、ボール支配率は圧倒的にMUFCが上回っていたが、結果は1-1のドローで(終盤、1人累積イエローで退場となっても、ホームの大歓声に押されるMUFCに得点させなかったのがすごい)、最速での優勝決定は、2日(月)となる(ちなみに、英国と日本の時差は、英国が夏時間の期間中は、8時間だ)。リーグ2位のトッテナム(以下、「白いとこ」)がチェルシー(以下「青いとこ」)に負けるか引き分けるかすればレスター・シティのリーグ優勝が確定し、白いとこが青いとこに勝てば、もう少し先になる。
その月曜日、レスター・シティのプレイヤーやチームスタッフは、サポさんたちと同様に、テレビに釘付けになって白いとこ対青いとこの試合を見ていることになるだろうが、監督のクラウディオ・ラニエリさんは96歳のお母さんとランチをするためイタリアに戻り、試合が行なわれている頃にはイングランド行きの飛行機に乗っているそうで、
ご本人が「白・青の試合結果を知るのは、私が一番遅くなるでしょうね」と言っている。そんな記事が、ガーディアンのトップページに出ている。
レスター・シティの話題なのに、いちいちマンチェスター・ユナイテッドのプレイヤーが入っている写真を使ってくるのがガーディアン(元マンチェスター・ガーディアン)なのだが、そんなことをいちいち書きたがるのは薀蓄たれのオタクだけだし、「何でここでレスターの選手の写真じゃないのか!」と怒る人がいたら、「これがガーディアン・クオリティ」と思って落ち着いていただければいいと思うだけで、別にどうでもいいよと思った方には、「オタクの無駄知識」と受け流していただければよい。
で、そのレスター・シティ。かつてはよほど詳しいか好きな人でない限りは、「ああ、二部リーグにいるチームですね」という認識だったと思う。
ウィキペディアで確認すると、2003-04シーズンはプレミア・リーグにいたものの、翌年にはチャンピオンズ・リーグ(紛らわしい名称だが二部リーグ)に降格して、プレミアに来たのは昨シーズン、2014-15年のことだ。二部リーグにいた期間中には、さらに1つ下のリーグ・ワン(紛らわしい名称だが三部リーグ)に落ちていたこともある。
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posted by nofrills at 23:00
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