中でも「すごいな……」と唖然としたのがこれ。
MeToo便乗デマ: トランプ支持者がでっち上げた「特別検察官の疑惑」が、あまりにも雑すぎて唖然。
https://matome.naver.jp/odai/2154101196908466101
「元モサド職員が設立した調査会社」を名乗る会社(?)が、ドナルド・トランプのロシアとの関係の真相を明らかにしようとしているロバート・ムラー特別検察官(「ムラー」は日本語圏では「モラー」「マラー」などとも表記される)にセクハラ疑惑が! と言い出し、極右陰謀論者や極右の情報サイト(ヲチャは知ってると思うけど、例の「パンディット」のところね)がそれに乗っかって、ネット上でやんややんやと騒ぎ始めたが、そっこうでその「元モサド職員が設立した調査会社」に実態がないことが暴かれた、という顛末。「笑い話」としてまとめておいた。
「実態がない」ってほんとに実態がない。携帯電話のワン切りやスパムメールで行なわれる「あなたのアダルト番組の使用料金が未納になってますよ」詐欺で使われる「○○省何とかかんとか部」みたいな架空のお役所と同じくらい、実態がない。何しろ、本当にネット上にしか存在しない。サイトで「調査会社の職員」として並んでいる人々の写真は、ネット上から拾い集めたものだ。それも写真の見栄えがよい人を選んでいるのか、モデルとか俳優とかが入っている。Google画像検索ではひっかからなかったらしいが、Yandexを使えば一発でバレる嘘だったようで、間抜けすぎて実話とは思えない。昔よくあった「3バカの珍騒動」の映画みたいだ(身内で「博士」とか呼ばれて「あったまいーな、お前!」と褒められる奴がやってそう)。
「笑い話」ではあるのだが、「アミナ」こと「ダマスカスのゲイ・ガール」や、ブラジルの非実在「イケメン戦場カメラマン」や、議員をひっかけるためにネット上の美女の写真を使って「ネカマ」戦術を用いた記者のことなどを思うと、笑えない。
でもやっぱり、雑すぎて笑える。
そして、CNNなどに対し「フェイクニュース!」と叫んでいる側の連中がこういうことをやっているという事実には、やはり、笑えない。
ところでこの雑なでっちあげの中の人、前から名前を知られていた人物である。
私、トランプ氏の味方です−自称世界で最も若いヘッジファンド運用者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-18/OUV20D6JTSER01
2017年8月18日 13:07 JST
- ジェイコブ・ウォール氏のツイッター投稿をトランプ氏がリツイート
- ウォール氏の会員資格を米先物協会は剥奪、SECも調査
トランプ米大統領がJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)やブラックロックのラリー・フィンクCEOらの支持を失ったすぐ後に、同大統領は金融業界であまり知られていない人物からのツイッター投稿を歓迎していた。その人物とはジェイコブ・ウォール氏だ。
カリフォルニア州コロナ出身のウォール氏は自称、世界で最も若いヘッジファンド運用者。19歳の同氏は既に、米証券取引委員会(SEC)の調査対象でもある。……
2017年、19歳でさっそうと米大統領のTLとメディアに登場したこの「少年投資家」は、当時運用していたファンドは絶好調とかいうことを言いながら、投資家へのリターンがショボすぎて、当局に通報されたらしい。
「投資」だの「運用」だのが全部デタラメだったという可能性もあるのだろうが、私もどんどん陰謀論脳になっていくので(実際、英国でのアーロン・バンクスの件など追ってればそうなると思うよ)、「そのファンド、背後は何?」などと思わずにはいられない。
まあ、詐欺師本人はまだ20歳。今回の「"ムラー特別検察官のセクハラ" というでっち上げ」で名前を上げた、ということでまだまだちやほやされるんじゃないかと思う。ごくごく限定的な界隈で。
少なくとも「なんとかパンディット」界隈は、顔を潰された形になるので、もう絶縁するだろうけれど、極右のフリンジなど縁が切れたって痛くも痒くもないよね、野望を抱いている青年にとっては。
それにしても、弱冠20歳で "he's got a shady past" とか書かれるの、半端ないって。
Jacob Wohl, Teen Hedge Funder Turned Pro-Trump Media Star, Was Accused of Cheating Clients
This 20-year-old Trump acolyte bills himself as a finance prodigy, but like his hero, he’s got a shady past.
https://www.thedailybeast.com/jacob-wohl-teen-hedge-funder-turned-pro-trump-media-star-was-accused-of-cheating-clients
Kelly Weill
06.14.18 5:31 AM ET
日本語圏のみなさんは、どうかこの人物の名前は覚えておいて、そして投資詐欺にひっかかるなどということのないようにしてください。この時点でもすでに「ネット上の他人の写真を勝手に使って何かをする」ということをしているので、常習犯でしょう。しかもそのときに「私の写真が勝手に使われている」という人が声を上げているのに、今回、性懲りもなくまた「ネット上の他人の写真」で「元モサドの調査会社」をでっち上げているので、「ばれたのは運が悪かったから」くらいしか考えてないのではないかと。
ちなみに今回の「元モサドの調査会社」の設立では、この「青年投資家」はこんなことをやってる。「調査会社」に必要な資格を持ってもいないし、その過程で、家から放り出されて車に寝泊りしていた女性がその車が盗まれて困っているのを食い物にしている。
Jacob Wohl’s Fake P.I. Firm Ghosted on Ex-Homeless Woman Looking For Her Stolen Truck
https://www.thedailybeast.com/jacob-wohls-fake-pi-firm-ghosted-on-a-destitute-woman-looking-for-her-stolen-truck
Lachlan Markay, Adam Rawnsley
11.02.18 3:45 PM ET
Jacob Wohl’s fake investigations firm took $1200 from a woman, then disappeared. https://t.co/FSc5u3RqR5
— Will Sommer (@willsommer) November 2, 2018
この点、突っ込みを入れられたときの逃げ方がまたゲスい(上記The Daily Beast記事参照)。だが、そんなことは驚くべきことでも何でもないのかもしれない。何しろこれ↓↓を、共和党はかついでいるのだから。
When the far-right attribute blame to George Soros for the *existence of non-white migration* they are using a polemical substitute for the anti-semitic conspiracy theory of "Jewish Communists" promoting “white g@nocide”. https://t.co/06UiGDUgM5
— Liam Hogan (@Limerick1914) November 1, 2018
#UPDATE Donald Trump has unleashed his two main weapons: boasts about the economy and fear-mongering over immigration, four days ahead of midterm electionshttps://t.co/VbNLg1nnn6 pic.twitter.com/K4yDUknY15
— AFP news agency (@AFP) November 2, 2018
一方でFacebookはこんなふうだ。(あの企業はトンデモで利益を得ているから、トンデモをありがたがり続けることはこれからも変わりないだろう。Googleも同じ。仮に中の人たちは「我々が何をするかに関係なくああいう言説は存在し続ける」とか「彼らに場を与えるのは必要悪だ」と言うにしても)
Despite long-running international efforts to debunk the idea of a “white genocide,” Facebook was still selling advertisers the ability to market to those with an interest in the myth just days after the Pittsburg massacre. https://t.co/m5iJRnCOKm
— The Intercept (@theintercept) November 2, 2018
Earlier this week, we were able to select “white genocide conspiracy theory” as a pre-defined “detailed targeting” criterion on Facebook. After we contacted Facebook for comment, it deleted the category, apologized, and said it should have never existed. https://t.co/2QhgXxtxkx
— The Intercept (@theintercept) November 2, 2018
"After selecting 'white genocide conspiracy theory' as an ad target, Facebook provided 'suggestions' of other, similar criteria, including interest in the far-right-wing news outlets RedState and the Daily Caller..." https://t.co/dJMVtiX8Y8
— Eric Geller (@ericgeller) November 2, 2018
Facebook sorry for 'white supremacist ad' - https://t.co/jSegbuW3mf
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) November 3, 2018
'"The Facebook ad check service is currently operating far below the standards we should expect from a company of that size and wealth."'
そしてTwitterではこんなことが報じられている。なお、「これのことか?」という私の発言についてだが、確認は取っていない。
ツイッター、米選挙の偽情報拡散アカウントを削除 https://t.co/V1vsQSPBTu "報道によると、削除されたアカウントの多くでは、民主党員を装い、有権者に6日の中間選挙で投票を見合わせるよう促す投稿があったという。"
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) November 4, 2018
こういうのがあるんだけど、これのことか? → https://t.co/vlKxjEzG47 Blexit = Black exit. 米中間選挙で黒人は民主党に投票しないようにという呼びかけ。そのハッシュタグの投稿のうち16%が以前クレムリンのプロパガンダを喧伝していたアカウントのもの。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) November 4, 2018
'Despite the hiccups, the torrent of tweets pushing the Blexit hashtag on Twitter gives the impression that African-Americans are rejecting the Dems in droves. Over 15 hours ending Friday afternoon, the Daily Beast captured more than 250k tweets amplifying the Blexit movement.'
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) November 4, 2018
※この記事は
2018年11月05日
にアップロードしました。
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