「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2020年04月07日

英ボリス・ジョンソン首相、集中治療室へ #新型コロナウイルス

2020年4月5日(日)夜、英国ではエリザベス女王の録画メッセージがTVで放送された。女王が毎年のクリスマスのように決められた時以外に国民に広く、直接語り掛けるのは異例のことで、これまでに行われたのは1991年湾岸戦争での英軍地上部隊投入時という「有事」に際してと、1997年ダイアナさん死去時、2002年皇太后死去時、そして2012年ご自身のダイヤモンド・ジュビリーに際しての4度だけあったそうだ。この録画メッセージの中で女王は、最初に、この危機の時にあって家にいず現場で仕事をしている医療従事者や社会的インフラの従事者を讃え、「今は感染拡大防止のため離れ離れになっている大切な人とも、必ず再び相まみえる日がやってきます」と語った。"We will meet again" というフレーズは、明らかに、過去の戦争において、愛する人を送り出す人と送り出される人との間で歌われたあの曲の引用だ。



日本の「専門家会議」が「オーバーシュート」とかいう変な造語をいきなり定着させてしまったことで言語的に大きなダメージを受けている中で、そんなことをブログに書こうと四苦八苦していたときに、それどころではないニュースが飛び込んできた。

ボリス・ジョンソンの集中治療室(ICU)入りである。

ジョンソンは3月27日(金)に検査を受けて新型コロナウイルス陽性となり、以後、自宅(といってもダウニング・ストリート10番地)で自主隔離となっていた。仕事はリモートで閣議を行うなどしていたが、毎日の記者会見には、それ以来、ジョンソンは姿を見せていない。毎週木曜の夜に行われるようになった、医療従事者ら最前線で働く人々を讃える拍手に加わって、10番地の玄関口にまで出てきているのはメディアでも伝えられていたが、あとはSNSにアップされる自撮りビデオだけだ。その自撮りも、明らかにつらそうで、このウイルスは人によってはちょっとした風邪程度で済むとはいうが、やっぱり発熱がはんぱないから体にはこたえるんだなあ……などと思っていた。ジョンソンは元々、体力は有り余ってる感じの人だから(あのしゃべり方……)、少し寝てれば治るんだろうと思い込んでいた。

しかし実際には、それから1週間が経過した時点でも症状がおさまらなかった。確かジョンソンの1日か2日前に陽性となっていたチャールズ皇太子は7日経過して元気になり、東ロンドンの五輪会場でもあったコンベンション・センターExCELを臨時改装して設営されたNHSナイティンゲール病院の開所式もリモートで執り行っていたし、ジョンソンの(確か)直後に陽性となっていた保健大臣マット・ハンコックは、多少やつれてはいるもののすっかり元気になっていて、NHSナイティンゲール病院開所式典では現場で一番前に立ってリモートの皇太子のスピーチを聞いていた。

しかしジョンソンは、4月5日(日)になっても症状がおさまらないとの理由で、ロンドンの病院(後にセント・トーマス病院であることがわかる)に搬送された。このときは "routine tests" を受けるためだと説明されていた。そういった言葉をネットで見ながら私は、「まだ治療法が見つかってもいない病気について、"routine" とは何なのだろう」と思っていたが、BBCの記事に出ていた医療の専門家の説明では、肺炎の検査(たぶんCTを取るとかそういうの)のことをそう呼んでいるらしかった。まあ、それはroutineといえばroutineなのだろう。医者も検査技師も看護師もみながっちがちの防護服姿であれ何であれ。ジョンソンの入院は、女王のTVメッセージが終わった直後だったという。

ジョンソンは症状が出てから10日以上となっていたが、この時点では政府の責任者はジョンソンであることに変わりはなく(ジョンソンが何らかの理由で働けなくなった場合は、ドミニク・ラアブ(ラーブ)外相が代行として任にあたることが決められている)、ジョンソンは「元気だ」などとメディアを通してさかんに言われていた。ただコブラ・ミーティングや毎日の記者会見はジョンソンはできないので、ラアブが代行する、とのことだった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Boris_Johnson#COVID-19

だがそのときにも、ラアブのフワフワ感というか、いろいろつじつま合ってないよ、というのは気になっていた。












と、スコットランドの@yunodさんとこんな話をし終わって15分ほどで、ロンドンの@yokoaokiさんから速報が出ていることを教えられた。なんてインターナショナル。ポーツマスの@musicyear2000さんも加わって、時差をぶっとばせ(私がおかしいんです)。









TwitterでUnited Kingdomを見ていると、見る見るうちにTrendsのハッシュタグとワードに、この驚きの(だが多くの人がラーブの言動から感じ取っていたに違いない)展開に関する言葉が上がってきた。








報道機関のサイト:






政治家たちも党派を超えて快癒を願うメッセージを寄せている。労働党党首になったばかりのキア・スターマー、ロンドン市長でジョンソンの尻拭いをさせられてきたサディク・カーン、ジョンソンによって党から追い出されたロリー・ステュワート、スコットランドSNPのイアン・ブラックフォードなど。ブラックフォードに対しては、敵対する保守党のアンドレア・レドサムが返礼している。








労組Unite the Unionの事務総長(ジョンソン保守党とは犬猿の仲)も。


回復したマット・ハンコック保健大臣:


回復したオックスフォード大の講師ドクター・キャシディ:




そして、アイルランド:



それと同時に、こういうえぐい検証も容赦なく進められるのが英語圏ついったらんどである。





……これは…………










どうしても小渕さんのことを思い出さずにはいられない。

今現在、世界各地で命をつなぎとめようと闘っている人は、ジョンソンだけではない。

今、特に闘っていない人も、体に気を付けましょう。私はこないだ、普通の風邪(熱なし、鼻水なし、のどの痛みと頭痛と関節痛あり)をひきました。いつもの葛根湯配合の風邪薬やら生姜湯やらでいつものように回復したので、いつもの風邪だったのだろうと思います。



※この記事は

2020年04月07日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 06:50 | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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