そういう場合、私は私にわかる圏で、その言葉をめぐって何が起きているのかを把握すればよいだけだ。そのときのメモが私にしては多くのretweetsをいただいていたので、こちらにも投稿しておこうと思う。
そもそもその話題のフレーズ「人間以下」とは何なのか。いや、「以下」だとか「未満」だとかじゃなく(それ、この文脈ではかなりどうでもいいことです。揚げ足取り)、社会科学系としてはUntermenschを連想せざるを得ないじゃないっすか。Twitterがついにネオナチ(ヒトラーとナチズムの信奉者)を直接標的にしたのか?
Untermensch (... underman, sub-man, subhuman; plural: Untermenschen) is a term that became infamous when the Nazis used it to describe non-Aryan "inferior people" often referred to as "the masses from the East", that is Jews, Roma, and Slavs – mainly ethnic Poles, Serbs, and later also Russians. The term was also applied to most Blacks, and persons of color, with some particular exceptions, such as the Japanese. Jewish people were to be exterminated in the Holocaust, along with Romani people, and the physically and mentally disabled. ...These concepts were an important part of the Nazi racial policy.
Etymology
Although usually incorrectly considered to have been coined by the Nazis, the term "under man" was first used by American author and Klansman Lothrop Stoddard in the title of his 1922 book The Revolt Against Civilization: The Menace of the Under-man. It was later adopted by the Nazis from that book's German version Der Kulturumsturz: Die Drohung des Untermenschen (1925).
ナチスがその政策において用いたこの "Untermensch" という用語は、上述の通り、英語では "subhuman", "under-man" と表される。その英語の用語の意味を英語で解説すると、 "less than human" となる。今回「人間以下」(少し後に「人間未満」に改訳されたらしい)として日本語圏でぶんぶん飛び交っているのは、この "less than human" を直訳したフレーズであるようだ。
……と、話はここでは終わらない。どうやら今話題の "less than human" は、ナチスも採用した人種主義思想の用語という文脈にあるものではないらしい、ということに気付くまでには、ほんの2秒程度しかかからなかった。「人間以下」というフレーズだけでおちゃらけている(&自分たちがそもそもTwitterが何を言っているのかを理解していないということを把握せずに、何かを生産的な形で考察しているつもりになっている)日本語圏を一歩出てみたら、それは明白なことだった。
そもそも日本語圏で「人間以下」として大騒ぎになっているのはTwitterのブログの日本語版だ。原文(英語)を日本語に翻訳したものである。
これは翻訳の問題かな、とまず思った。米原万里さんの時代なら、翻訳には「不実な美女」と「貞淑な醜女」があると認識していればよかったのかもしれないが、私たちが日常で接する《翻訳》が往時のそれとは比べ物にならないほど幅が広くなり、品質的にもアレなことになって、結果、「不実な醜女」も少なくないということになっているという現状を認識すれば(ここまで、「表現が性差別的である」ことについてお詫びします。ちなみに米原さんの本は1994年です)、まずはその「人間以下」なるフレーズが「不実な醜女」ではないかということを確認するのが定石だ。

不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か (新潮文庫)
というわけで原文を参照するとこうなっている。
For the last three months, we have been developing a new policy to address dehumanizing language on Twitter. Language that makes someone less than human can have repercussions off the service, including normalizing serious violence. Some of this content falls within our hateful conduct policy..., but there are still Tweets many people consider to be abusive, even when they do not break our rules. Better addressing this gap is part of our work to serve a healthy public conversation.
つまり、dehumanizing language = Language that makes someone less than human. Dehumanizeがキーとなるフレーズおよび概念で、それを補足的に説明し、また言い換えた表現にless than humanが出てくる。
しかしながら日本語圏で火がついたのは後者のほうで、そこからわけのわからないこと(動物なりきりアカウントが「わたし、パンダですけど」的に発言しまくる動物写真展に見物客がわんさか、的な状況)になったようだ。
翻訳の問題というか訳語の問題もあるのだろうし(「非人間化する」という訳語ではOKが出ないという現場事情はありうる)、その概念を扱いなれていない人々には通じないという「文化の違い」の問題もあるだろうが(例えば人権関係の活動をしている人にはdehumanizeの意味はすっと通じるはずだ……と前提してかかると全然通じなくて、逆に罵倒されたり自己批判せよと迫られたりすることになることもありうるので要注意なんだけどね)、そもそもdehumanizeという概念は、英語圏では通じても、日本語圏では通じないのではないかとすら思うわけだ。
私自身、大学のときに西洋思想概説みたいなめっちゃ詰め込みの厳しい授業を通じて(「受験戦争」を経験した直後でも厳しいくらい詰め込んだが、「そのくらいは知っておかないとまったく話にならないレベル」に到達することもおぼつかなかったが、「話にならないレベル」がとんでもなく高いということがわかったことはとてつもなく大きな収穫だった。ちなみにそこまでの教育をしてくれる大学はあまり多くはないようだ)、ならびに当時よく(翻訳で)読んでいたヨーロッパの文学作品の多くを通じて、強烈な違和感を抱いていたのが、「絶対的」ともいえる「人間中心主義」(humanism)だった。
その話を書き出すと終わらなくなるので先に行くが、その思想は「人間か、そうでないか」というフラットな区分けではなく、「人間か、人間より上か、人間より下か」という上下関係のある区分けだ(と、少なくとも私は理解し、そして違和感を抱いた)。
そういう上下の区分けは仏教思想にもあるが(「畜生道に落ちる」とかね)、ヨーロッパの考え方と、その言語が把握しまた描いている世界は、単に上下に区分けしているだけでなく中心が常に「人間」に置かれていて、そこに、なんか飲み込めないような違和感を覚えたのだ。
「人間より上」は(創造主たる神は別格中の別格として)、いわゆる「超人思想」としてカーライルとかニーチェとかに出てくるあれ。「人間より下」は、本稿の上の方に述べたナチズムのあれが一番強烈なものだが、純粋にヒト(ホモサピエンス)以外の(キリスト教でいう)創造物・被造物を「人間(ヒト)が支配すべきもの」と位置づけているという思想で、それは「自然と人間の共存」というのとは全然異なる、「人間が自然を支配する」という近代西洋の行動原理を規定していた……とか書いてると、本格的に、何の話をしようと思ってこのブログ記事を書き出したのかがわからなくなる。
で、なんだっけ。
ああ、そうそう、dehumanize.
dehumanizeという語は、de + human + -ize という構造になっていて、humanizeの対義語である。
humanizeは、日本語にすれば「人間化する」だろうが、そんな日本語では概念はつかめない。英英辞典(Oxford)を参照しよう。
1. Make (something) more humane or civilized.
his purpose was to humanize prison conditions’
2. Give (something) a human character.
‘dogs are wonderful friends but why do we try to humanize them?’
1のほうは「対象をよりhumaneに、あるいは(つまり)civilizedにする」という定義で、例文は「彼の目的は、監獄内の状態をよりhumane/civilizedにすることだった」という意味。
2は「対象に、人間の性質を与える」という定義で、例文は「犬は確かによき友ではあるが、どうして私たちは犬をいちいち人間扱いしようとするのか」というような意味。
dehumanizeはその反対の意味で、つまり「対象のhumaneさ、あるいは(つまり)civilizedさの度合いを減じる」とか「対象から、人間の性質を奪う」とかいった意味になる。これが《意味》として、「人間以上」のもの(超人、神)に与えられることは(フィクションなら「人間離れした」スーパーヒーローについて用いられることはあるかもしれないが)実際にはあまりなくて、たいてい、「人間以下」と、おとしめるように用いられる。
例えば、dehumanizing working conditionsといえば「勤労者の人間性を奪うような労働環境」という意味になる(現代日本語では「ブラック職場」だろうか)。それがどういうものかは、ロバート・オーウェンに関する著作などを見ればわかるだろう。具体的には休日を与えないとか、一日中働かせっぱなしにするとか、食事時間が30分しかないとか、トイレに行く暇もないとか、あるいは従業員が使えるトイレが非常に離れた場所にあるとか、無理やり残業させるとか、結婚させないとか出産させないとかいったことがあるだろうが、いずれにせよ働いている人が人間らしい生活が送れないような環境はdehumanizingという言葉で語られる。そこでの前提は、「humanであることはよいことだ」であり、「そのhumanをhumanたらしめているものを奪うことは悪いことだ」である。(誤解されたくないので念のために書いておくが、私自身はその価値観は共有していると思う)。
そのdehumanizeという語をそのまま日本語にすれば、「対象を非人間化する」、「対象から人間性を奪う」ということになる。
だが、それでは「理屈っぽい」とか「何のことかイマイチわからない」とか、「論文でも書いてるつもりか、わかりづらいから書き直せ」とか言われてしまうことにもなりうる。
そういう場合に「人間扱いしない」という訳語を選択することがある。(「まるで動物/虫けら扱いする」では行きすぎだが、文脈によっては「超訳」として許容されるだろう。)
しかしそうすると、日本語圏では、「『人間』に比べて『人間以外』は下なのか」などという方向性の反発を食らうことにもなりかねない。つまりdehumanizeの「非人間化」という概念そのものが通じないわけだ。
オー、ニホンゴムズカシーネー。
そういう場合、普通の翻訳物ならば、まっとうな翻訳者ならば、概念そのものを表せる日本語を(多くの場合かなりの時間と手間をかけて)探してきてそれを適用するという作業を行なうだろう。原文からは少々離れてしまうかもしれないが、《意味》は伝えられる。《意味》を伝えることが翻訳の仕事ならば、原文からは離れてしまっても許容される――これが「不実な美女」の翻訳だ。私はそういう場合の自分の翻訳は「不実な凡人」程度だと思っているが(あるいは説明的にデコりまくった「貞淑な厚化粧&アクセじゃらじゃら」)、それでもこの場合は「他人をおとしめる」的な方向で訳出しようと検討するだろう(実際にどのように訳すかはここには書かない。書くと盗まれるだけだろうから……たいしたものじゃなくても盗まれるのはいやだし、盗まれることを警戒するのもいやだから、最初から書かない)。
しかしそのような「不実な美女」が認められない場合がある。著作物の同一性保持の観点から「直訳以外は一切認めない」とする契約もあるし、ほかにもさまざまな事情で「貞淑な醜女」型の翻訳しか認められないことがある。翻訳者の個性や独自の判断など不要で、誰がやっても同じようになるべきである文などはそういう制約があってもおかしくない。
推測だが、Twitter社のブログの日本語訳は、おそらく、非常に制約された中で出されている日本語訳だろう。だからわかりづらいし、「翻訳物」のクサさがある。しかし、このくらいのクサさのある「日本語文」は、インターネットが普及してからはどんどん一般化してきている。ショッピングサイトの「今すぐ買う」的な不自然な日本語は、今や違和感を感じる人もほとんどいなくなっているかもしれない。
「不実な美女か貞淑な醜女か」。上に述べたようなdehumanizeという語の《意味》(とその語が背負っている文化)を踏まえて、今回のTwitterのブログの文面の問題の箇所をもう一度読み比べてみると、見え方が違ってくるかもしれない。
For the last three months, we have been developing a new policy to address dehumanizing language on Twitter. Language that makes someone less than human can have repercussions off the service, including normalizing serious violence.
https://blog.twitter.com/official/en_us/topics/company/2018/Creating-new-policies-together.html
過去3ヶ月間、私たちはTwitter上で人間性の否定に対処するためのポリシーに取り組んできました。人間性を否定し人間以下に扱う会話は、暴力を正常化することを含め、Twitterのサービス外に悪影響を与える可能性があります。
https://blog.twitter.com/official/ja_jp/topics/company/2018/Creating-new-policies-together.html
(あー、今よく見たら訳抜けしてるじゃん。For the last three months, we have been developing a new policy to address dehumanizing language on Twitter. と、including normalizing serious violence. の下線部が抜けてる。あと、Language that makes someone less than human を「会話」と訳しているのはどうなのかね。「言葉遣い」でしょ。off the serviceはこの場合は「サービス外に」ではなく「サービス外で」だ。翻訳チェッカーがいないのかもしれないけど)
以下、ツイートの貼り付け。
Twitter Releases New Policy on 'Dehumanizing Speech' https://t.co/XRNHL2hUQl via @WIRED この件、日本語圏は「人間以下」という訳語にとらわれた感想やまぜっかえしであふれているので、結局コンセプトとしてはどういうことなのかを確認するには、英語で読んだほうがいいですよ。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
“We obviously get reports from ppl abt content that they believe violates our rules that does not. The dehumanizing content and the dehumanizing behavior is one of the areas that really makes up a significant chunk of those reports,” says Del Harvey, Twitter’s VP of trust&safety.
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
'Susan Benesch, whose research Twitter cites in its announcement, defines dehumanizing speech as “describing other people in ways that deny or diminish their humanity,” like comparing them to insects, demons, or bacteria.' いわゆる「バイキン」扱いなど。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
ここでいわれている "dehumanizing speech" の一番有名な具体例は、1994年ルワンダでの「ゴ○○○ども」ではないかと思います。また他には、戦争のときの敵国民の非人間化を目的とした言葉の諸事例も広く知られているはず(ジョン・ダワー『容赦なき戦争』 https://t.co/DNPzaDwFiz などを参照)。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
'Previously a comment like “all women are scum and should die” wd need to be targeted at an individual to break Twitter’s rules. The new policy wd remove the requirement that a user who is potentially a member of the protected class be referenced or discussed in the tweet itself'
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
ここで参照されているscumという単語はこういう意味(日本語で確認したければネットで無料で参照できる英和辞典ではなく研究社大辞典などで確認を): https://t.co/8BtwRrlRxF 原義は「池などの表面の汚い膜」。そこから転じて「人間の屑」。実際には罵倒語として後者の意味で使われているのしか見ない
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
'Tittr is giving users 2 wks to comment on the new rule via a survey form; questions include whether the policy is clear & how it cd be improved. It will be available in English, Spanish, Arabic, & Japanese.' このレベルの話になると英語基準でポリシー決められてもなあという気はする
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
例えば例示されているscumという語は、ニュースやエッセイなどを読んでいる限り「膜」の意味ではまず見ない(学術論文などではまた別かもしれないし、歴史的文書でも違ってくるはず)。ほぼ常に「クズ野郎」的な意味でしか見ない。だからそれが「人間以外(以下)」と言われてもピンと来ないのではと。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
逆に考えれば「クズ野郎」とかいう発言で通報されることもありうるということになるわけで、それもどうかなっていう。例えばニュースを見て「一日警察署長とかやってたタレントが飲酒運転でひき逃げかよ、クズにもほどがあるな」と述べたらどうなるのか?
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
こうなってくると、言語学者(リンギスト。日本語圏ではちょっと違ってレキシコグラファーになるのかな)をおおぜい動員して議論してコンセンサスを形成しなければならない域になるだろうし、そのコンセンサスにも異論は噴出するはず。ほんとにscumレベルの語も対象にしたいのだろうか。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
'After the dehumanizing speech statute becomes a permanent part of Twttr’s rules the hardest work of actually enforcing it will begin. Unlike, say, a cryptocurrency scam, dehumanizing speech might be difficult to spot−in part bc it’s dependent on context & hard to exactly define'
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
がっさりやるには、AIが得意そうな分野ではあるけれど……> 'because it’s dependent on context and hard to exactly define' 文脈はそのツイートのリンク先やリプライ先、当該アカウントの過去(一定期間)の発言である程度は判断されうる(必ず判断されるというわけではない)。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
そういうところがちゃんとしてないと、ドラマ見ながら「ほんっと、こいつクズだわ」と感想を書きながら、別件で誰かと話をしていたり、別の話題を並行して書いていたり、ふと目にしたTwをR/Tしたりするような場合(つまりよくあるTwitterの使い方をしていた場合)に混線して誤判定が頻出するような……
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
ユーザーの側も「文脈」を明示するように努めた方がよい(無難である)ということか。単発で連ツイせず自分の発言にリプライする形にしたり、ハッシュタグをつけて何について話しているのかをわかるようにしたり(ドラマの感想で「ほんとこいつクズ」と書く場合はドラマ名をハッシュタグで示すなど)。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
でもスマホでTwitterアプリを立ち上げずに別のアプリからTwitterにフィードする場合など、リプライで続けたくても操作が面倒だから、単発の連ツイにしてしまうということもありがちだ。ハッシュタグは文字数が超過しそうだと省略するし、あまり連続して使うのもうるさいかなと気を使ったりしてしまう。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
Twitterの元の文書を英語で読んだけど: https://t.co/oWNBbMounj 要するに最も重要なdefinitionの部分が、もっと先にある(この文書の元になった)学術研究を参照しないと理解できないというか、書いてる人もどのくらいわかってるのか疑問というか……「大学生のレポート」的というか。んでこの内容で
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
……ユーザーからの意見を募り最終的には社内で "a cross-functional working group, incl members of our policy development, user research, engineering, and enforcement teams" によって方針を決定するっていうんだけど、この人たちに任せて大丈夫なのか。言語の専門家いないじゃん。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
こんなんで機能するシステムになるとはちょっと思えない。要は「文脈」とか「真意」の問題になるわけで、「機械翻訳はなぜ使えないのか」という問題と根は同じ。人海戦術で対応するしかない分野じゃないのかなあと思うけど、ジャックはそれを機械でやることにとことんこだわってる。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
WIREDの記事を見る限り、そもそも問題はこの夏にYTやFBが規約違反ということでアレックス・ジョーンズを出禁にしたときにTwitterがそうしなかったことから生じているように思われる。ジャックは「ジョーンズは規約違反はおかしていない」と言い張った(が実際には違反していたと判断されうる事例多数) pic.twitter.com/dMGyMf0V4L
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
……しかし現実にジョーンズは「危険な言説」をまき散らかしてきた。だから規約のほうを改めなければならない……と、こういう話かと。そしてこの問題は基本的に「それをすっきりhandleできる人などいない」という問題だ(「言論の自由」とか「話者の意味」とか、めっちゃいろいろ絡んでいる)。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
※キャプチャ画像の出典は https://t.co/oGraDy1inY (WIRED)
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
https://t.co/oWNBbMounj
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
Twitter’s Dehumanization Policy
You may not dehumanize anyone based on membership in an identifiable group, as this speech can lead to offline harm.
Definitions:
Dehumanization: Language that treats others as less than human. ...
Policyには賛成するし……
……その理念は理解できるし賛同もするが、Definitionsのところが、第一に英語ベースで決められても困るし(完全に一致するわけではない)、第二に、これを所謂「言葉狩り」にせずに運用できるのかどうかという疑問が非常に大きい。そんなところで意見を出しておこう。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
この基準に照らしても「どこどこで作った農産物は毒物」という発言は制限されない。ただし「どこどこで農産物を生産している人々は【非人間化する罵倒表現がここに入る】」だと制限対象となり、「……人々は小学校からやり直すべき」的な「非人間化」ではない表現ならば制限対象とならないということか
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
つまり「今の規約はザルだから、ザルでない規約を作ろう」ということであった場合、改めたあとでもまだザルはザルのままだということは認識しておかねばならないし、それが「ヘイトスピーチ」(およびその規制)というものの厄介さだと思う。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
なお、そもそも発言、表現というものに関して「ザルでないTwitter規約」など、現実にはありえない。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
https://t.co/oWNBbMounj 英語でご意見投稿しようとしている方、280字までしか書けないので気をつけてね。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
今考えていることを280字で英語で書くという壁| orz pic.twitter.com/aYgqwirIOk
※普段は英綴でdehumaniseと書いていますが、本稿はTwitterの米語表記に準じてdehumanizeで統一しました。
※言及した本:

不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か (新潮文庫)

容赦なき戦争―太平洋戦争における人種差別 (平凡社ライブラリー)
※追記:
この件、ブログでまとめました。 https://t.co/6d1EOj9Jlm Twitterのフォームから意見送信もしました。添付画像の感じで。 pic.twitter.com/oX8qy0FXbL
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
はてブ: ツイッター、他人を「非人間的」に扱う投稿禁止へ - WSJ https://t.co/iKaNUwejZP 本当に、深刻なレベルで、dehumanizeという語の表す概念がまったく全然通じてない。dehumanizeじゃなくてdemeaningとして書き直してほしいレベルで通じていない。#CommunicationBreakdown
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
あと、あれだね、日本語圏では社会的に「発言を批判されることは人格を否定されること」みたいなのがあって(それについて日本で仕事してた英語圏の人と話したこともある)、「批判」=「人間扱いしていない」みたいな暴走もありうるので、この新ポリシーは、理念とは別に、運用がどうかという気がする
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
「批判」をめぐっては、極端な場合、(乱暴に要約すると)「人前で批判しないでください」とか、「私が公開した文章について間違いのご指摘は、公開の場ではやらずにメールでこっそりお願いします」的なことも実際にあるわけで。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) September 26, 2018
dehumanizeっていうのは、「女は産む機械」とかそういうのだからね。「女はバカ」とか「女はキモい」とかじゃなくて(そういうのも問題ではあるけど、dehumanizeとは別の次元の問題じゃないかと)。しかし実際には、この曖昧な日本では「キモいって言われた」=「人間扱いされてない」っつって暴走することもありえるよね。むしろ、自分で自分のことを「変態」と呼んで喜んでいるのに、他人から「変態は変態の巣に帰れ」的なことを言われると「差別だ」と逆ギレするような人がネットにはうろうろしているから(私はそれでずいぶん消耗したことがある)、「暴走することもありえる」というより「暴走するに決まっている」というレベルで前提として制度設計に組み込むべきだと思うけど、アメリカ本社主導ではそこまではやらないし、やれないんじゃないかな。何しろ言語と文化が違いすぎる。
※この記事は
2018年09月26日
にアップロードしました。
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