映画の原作の小説は、日本でも翻訳出版されている。
![]() | ブルックリン (エクス・リブリス) コルム トビーン 栩木 伸明 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() by G-Tools |
さて、東京でも35度を超えた日曜日の午後、何気なくamazonのページで「コルム・トビーン」のほかの本を確認してみると、『ブルックリン』と『マリアが語り遺したこと』の2冊しかない。ほかにもあるんじゃないかと図書館横断検索などして見つけたのが、下記の本である。
![]() | ヨーロッパは書く ウルズラ ケラー 鳥影社ロゴス企画 2008-08 by G-Tools |
2008年に出されたこの翻訳書(学術書)の「内容」欄には、次のようにある。
拡大するEU、グローバル化、ヨーロッパの文学は今、いかなる状況にさらされているのか。33カ国の作家たちがそれぞれの立場で論じる。
この「33カ国の作家たち」に、アイルランドのコルム・トビーンも入っているわけだ。英国があんなことになった直後に見ると痛みすら覚えるが、おもしろそうな本だ。それにしても「33カ国」とは多い。現在のEurovision Song Contestよりは少ないかもしれないが、EU(欧州連合)よりは多い。2008年に学術書として翻訳出版されているということは、原著は2005年ごろのもので(実際には2003年であることがあとで判明した)、そのころの「ヨーロッパ」で、EUは「拡大」していたばかりでなく、「統合(インテグレーション)」を強めようとしていた。具体的には(最終的にはポシャって、代わりに「リスボン条約」という形になった)EU憲法の時期だ。今回の英国でのEUレファレンダムに際して「離脱」派が「国家の主権を侵害する超国家(スーパーステイト)に反対する!」と絶叫していたが(下記に例をいくつか)、彼らの言っていることは基本的に、10年以上前の「EU憲法条約」の批准手続きをめぐり、代議制に頼らず、加盟国の国民による直接投票で決定すべきと要求していた人々(英国やフランスでその声は大きかった)の言っていたことと同じであり、6月23日以降、何となくぼんやりと2000年代半ばのことを思い出したりしている……。
などということがたぶん1秒もかからずに頭をよぎり、この本の目次が見てみたい、いや、見なければ、と画面に目を走らせていた。次の瞬間には、amazonで「なか見検索」ができるようになっていることに気づいた。
「33カ国」には当然英国は含まれているだろう。誰が出ているのだろう。カズオ・イシグロだったりするかな――そう思って、わくわくしながら「なか見検索」で目次を見た。
文章のタイトルと、作家の名前と、「33カ国」の国名が並んでいる。アイスランド、ロシア、オランダ、ルーマニア、ポーランド、スロヴェニア、フィンランド、イタリア、スペイン、デンマーク……
あ、あれ? (・_・)
もう一度見る。
「イギリス」という文字列を探すのではなく、「英国」や「連合王国」で探さねばならないのかもしれない。まさか「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」と表記しているわけではないだろう(もしその表記だったら、即座に見つけられる)。
目を皿にして、真剣に画面を見る。 (o_o)
……あ、あれ? (^^;)
私が知りたかったことは、「なか見検索」で読めるpp. 7-8の「ドイツ語版の序文」に書かれていた。Amazonにログインしていなくても読めるので、EUであれ、地理的概念としてのそれであれ、「ヨーロッパ」に関心がある人は、ぜひ読んでみていただきたい。当時(2003年以降の数年間)の「世界の中のヨーロッパ」を、ニュースに出てきたものとしてでも記憶しておられる方は、いろいろなことを思い出すだろう。
ラム爺ビ〜〜〜ム!
(とか言ってると「不謹慎だ!」と怒られるんだよね)
ヨーロッパは書く ウルズラ ケラー https://t.co/vTmHLS8F5R 2003年に企画された欧州33カ国の33人の作家の文集。EUに限らずロシアやノルウェー、トルコなども入っているが、英国が…「なか見検索」で「ドイツ語版の序文」を読むと、うわぁぁぁ。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) July 3, 2016
冒頭に微妙に戻る。そもそも本稿はアイルランドについて書いていたのだ。
成分が一定濃度に達すると、こちらが何もしなくても、向こうから成分がやってくる。それをアルゴリズムという。 pic.twitter.com/lVsNRN90dC
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) July 3, 2016
下記は、EURO 2016進行中にふと立ち寄った100円ショップ「ダイソー」で見て、次の瞬間には手にとってレジに並んでいた「成分」乱舞の手ぬぐい。現在、PCの電源を落としたあとのキーボードの防塵担当として活躍してもらっている。

※この記事は
2016年07月03日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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