「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2019年04月28日

2019年4月時点: Amazon Prime Videoで見られる映画にはどんなものがあるか(北アイルランド関連、シリア内戦関連など)



基本的に、洋書・電子書籍などAmazonでなければ手に入らないものでなければAmazonは使わないようにしているのだが、Amazon Primeは使っている。ここでしか見られないドキュメンタリー映画があるためだ。

以下、そのドキュメンタリーをはじめ、Amazon Prime Videoで見られる映像作品を、北アイルランド・英国関連、紛争関連のものを中心に列挙しておこう。連休で何かお探しの方に役立てていただければと思う。

目次:
■北アイルランド関連:
1. No Stone Unturned (ノー・ストーン・アンターンド)
https://amzn.to/2V24qvK

2. Shadow Dancer (シャドー・ダンサー)
https://amzn.to/2UN2Ed3

3. Five Minutes of Heaven (レクイエム)
https://amzn.to/2PBng6T

■ジョン・ル=カレ原作:
4. Tinker, Tailor, Soldier, Spy (裏切りのサーカス)
https://amzn.to/2Vy4Yce

5. Our Kind of Traitor (われらが背きし者)
https://amzn.to/2Vui7CV
※2019年5月1日まで!

6. A Most Wanted Man (誰よりも狙われた男)
https://amzn.to/2GPmY9L

7. The Night Manager (ナイト・マネジャー)
https://amzn.to/2GOdxHt
※連ドラだから長い。

■「テロとの戦い」関連:
8. Eye in the Sky (アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場)
https://amzn.to/2DD8ojF

9. Zero Dark Thirty (ゼロ・ダーク・サーティ)
https://amzn.to/2Lbby4j

10. Highway to Hell: The Battle for Mosul (地獄への道:モスルの戦い)
https://amzn.to/2GO1CJI

■シリア内戦:
11. City of Ghosts (ラッカは静かに虐殺されている)
https://amzn.to/2UJxlzN

12. Return to Homs (ホムスへの帰還)
https://amzn.to/2PyhqTK

■ほか……:
その他……


以下、詳細。

1. No Stone Unturned (ノー・ストーン・アンターンド)
Amazon Prime Videoでのご視聴はこちらから→ https://amzn.to/2V24qvK
110分

タイトルは事件後に警官が被害者遺族に言った言葉、「草の根分けても探し出す」という意味の成句にちなんでいるが、石をひっくり返したら裏側にはいろいろついてるし、いろんなものが出てくる。このドキュメンタリーはリアルにそういう話。

1994年6月18日、サッカーの試合をテレビ観戦中の村人たちが、武装勢力に襲われた――近年では中東やアフリカで時々発生するのが報じられる、スポーツ観戦を「堕落」「悪」と見るイスラム過激派の凶行ではない。北アイルランド紛争でのことだ。襲撃された村の小さなパブ(フロアは、東京での古い立ち飲み屋や立ち食い蕎麦屋程度の面積しかない)は血の海となり、34歳から87歳の一般市民6人が殺された。

この事件については以前ブログに書いている。

1994年6月18日、W杯でアイルランドはイタリアに勝ち、ダウン州のパブでは銃が乱射され6人が殺された――「汚い戦争」
(2008年07月03日投稿)
http://nofrills.seesaa.net/article/102090296.html
抜粋:
つまり、2006年6月の時点で、
- ハイツ・バー襲撃に使われた車を供与したことを、英国のエージェントが認めている
- 襲撃犯が現場から逃げるときに使われた車は、後に捜査班によって破壊されている(ああ、NIにはありがち……)
- 犯人がかぶっていたバラクラバのひとつに、毛包が1つ付着していたが、誰も起訴されていない
- 使用された武器のうち少なくともひとつ(一丁)は、英国のエージェントであるブライアン・ネルソンが、南アフリカから輸入したものである
- 犠牲者の遺族が何度も質問を送っているが、北アイルランド警察(PSNI)は、Official Secrets Act(機密保持法)をたてに、それに答えることを拒否し続けている

……以上のようなことが指摘されている。

…(略)…

要するに当局の組織的な、または当局所属の人物の個人的な手引きというか協力があってはじめて実行可能になったということはほぼ確実なのだが、真相究明にはほど遠い状態である。


あと、2012年6月18日にこの事件のときと同じアイルランド対イタリアの試合が行われたときの「まとめ」も。

アイルランド代表が、6月18日の欧州選手権の試合のピッチで喪章をつける理由
https://matome.naver.jp/odai/2133741446506928901

で、1994年6月の事件だから、2019年の現在では25年(四半世紀)になろうとしているのだが、この事件は解決なんかしていない。それどころか、このドキュメンタリーの取材にあたったジャーナリストたちが、警察に逮捕されるということが、リアルタイムで起きている。ミャンマー(ビルマ)とかトルコとかの強権国家で起きていることではない。「西側民主主義」の代表的国家である英国で起きていることだ。

この件、最新のニュースはたぶんこれ(2019年3月1日付):
Loughinisland: Journalists bail extended
https://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-47423757
Lawyers for the two men say efforts were made by police to restrict their ability to speak about the case.

Mr Birney's solicitor Niall Murphy said: "Police today applied for an additional bail condition which would seek to restrict both Trevor and Barry from making public comment in relation to this case."

He added: "The application was ultimately refused by the adjudicating sergeant and the position that currently stands is that they have been bailed now for a further six months so that would be a total of one year on police bail for a case that doesn't exist."


No Stone Unturned 予告編:

監督は、アフガニスタンでの米軍のめちゃくちゃな行動を調査した秀作Taxi to the Darksideなどのアレックス・ギブニー(アメリカ)。

この作品にAmazonでつけている日本語字幕は、ごくわずかに訳語の問題が気になるところがあった。「リパブリカン」が「共和主義者」だったか「共和派」だったか、そういう語で訳されているのはまだしも(対するに「ロイヤリスト」はカタカナのままだったのだが)、「ナショナリスト」が「国家主義者」というのはできれば直してもらいたいところだ。例えば "The Republicans alleged that there was collusion between the police, between the members of the British army, and the loyalist paramilitaries, in the murders of the Nationalists." は「共和派は国家主義者の殺人で警察と英国軍メンバー、そしてロイヤリストの間で共謀があったと主張しました」ではなく、「リパブリカンは、ナショナリストの殺人において、警察と英軍人、そしてロイヤリストの間で……」としないと、意味が通じない。



2. Shadow Dancer (シャドー・ダンサー)
Amazon Prime Videoでのご視聴はこちらから→ https://amzn.to/2UN2Ed3

「レイヴ・カルチャー」と「グランジ」と「ブリットポップ」の時代だった1990年代初めは、あとから振り返れば北アイルランド紛争の末期だったのだが、当時は「いつどのようにしたら終わることができるのかがわからない紛争」の真っただ中としか感じられなかった。すでに拙著などでも書いているが、ロンドンでは「IRAのボム」は日常の一部だった(東京での「人身事故」と同じくらいに)。

その時代、ロンドン地下鉄をボムろうとした女性テロリストは当局に拘束され、息子を守るため治安当局に情報を流すことに渋々同意する。上記、No Stone Unturnedでも言及されているが、当時、本当に行われていた「情報屋作戦」だ。

監督はThe Theory of Everything(邦題はクソすぎるので省略)のジェイムズ・マーシュ。

この映画についても、過去書いているので、そちらをご参照のほど。
映画『シャドー・ダンサー』に関する資料集
https://matome.naver.jp/odai/2136534619967743601

「歴史」に書かれないある《悲劇》という普遍の物語――映画『シャドー・ダンサー』
http://nofrills.seesaa.net/article/354170803.html

1993年とは、どのような年であったか――映画『シャドー・ダンサー』に関連して
http://nofrills.seesaa.net/article/354200024.html

Shadow Dancer 予告編:




3. Five Minutes of Heaven (レクイエム)
Amazon Prime Videoでのご視聴はこちらから→ https://amzn.to/2PBng6T

北アイルランド紛争は、同じ場所に暮らす人々が2つに分かれて、イデオロギーゆえに殺しあった血みどろの紛争に、深慮遠謀をめぐらすものの実際にはかなり無能な英国の軍と情報部が加わった結果、今でも何が何だかわからない状態のままにされていることがとても多くあるが、1998年の和平合意(グッドフライデー合意)後、しばらくの間は、南アフリカの「真実和解委員会」のような取り組みが、南アのような公式なものとしてではなく民間の非公式なものとして行われていた。この作品はそれを背景とするフィクションだが、登場人物は実在の人物に基づいている。

この作品についても、過去に書いているのでそれをご参照のほど。
「しかし、私は北アイルランドのラーガンに生まれたのだ」――ドラマFive Minutes of Heavenの「UVFのメンバー」の言葉
(2009年04月05日投稿)
http://nofrills.seesaa.net/article/116865122.html

邦題は「レクイエム」だが内容は全然「レクイエム(鎮魂歌)」ではない。死んだ者のための物語ではなく、「紛争」に心(の一部)を殺されながら生きている者のための物語だ。

Five Minutes of Heaven 予告編:




4. Tinker, Tailor, Soldier, Spy (裏切りのサーカス)
Amazon Prime Videoでのご視聴はこちらから→ https://amzn.to/2Vy4Yce

説明不要。

これは予告編じゃなくて、あれで。




5. Our Kind of Traitor (われらが背きし者)
Amazon Prime Videoでのご視聴はこちらから→ https://amzn.to/2Vui7CV

ジョン・ル・カレではこれもPrime Videoに入ってるけど、急げ! 「2019/05/01にプライムの閲覧期間が終了します」って出てる。映画化決定と聞いたとき、「小説で最もみっちり描きこまれているディテールはとても映画化しづらそうなのだが、どうするのかな」と思ったら、その要素はほぼスルーということになっていてびっくりした映画。

Our Kind of Traitor 予告編:



6. A Most Wanted Man (誰よりも狙われた男)
Amazon Prime Videoでのご視聴はこちらから→ https://amzn.to/2GPmY9L

ル・カレではこれも。原作の一番重要な部分が……ってなった映画だけど、映像は美しい(アントン・コービン監督)。フィリップ・シーモア・ホフマン最後の作品。この映画でのレイチェル・マクアダムス、好き。

A Most Wanted Man 予告編:




7. The Night Manager (ナイト・マネジャー)
Amazon Prime Videoでのご視聴はこちらから→ https://amzn.to/2GOdxHt

そしてル・カレ原作ではこれ。元はBBCだが、日本ではアマゾン・プライム・ビデオで配信され、目玉的な扱いになってる連ドラ(8回シリーズ)。原作は1993年に出ているが、ドラマは2010年代を舞台としていて、めっちゃリアル。

The Night Manager 予告編:




8. Eye in the Sky (アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場)
Amazon Prime Videoでのご視聴はこちらから→ https://amzn.to/2DD8ojF

ソマリアを拠点とする暴力的イスラム主義集団、アッシャバブを標的とする英米ケニアの合同作戦が、ケニアの首都ナイロビで彼らのアジトを確認した。特に英国がマークしていた英国人の女テロリストを含め、アッシャバブのメンバーをまとめて身柄確保だ、と動き出す間もなく、偵察用超小型ドローン(「空に浮かぶ目」)によって、彼らがまさにこれから自爆攻撃を行なおうとしていることがわかり、遠隔地の英軍・米軍と両国政府トップがこのアジトへのドローンによる攻撃を決定する……。「英国政府ってこうですよねー」感あふれる作品。

緊迫した脚本は、上述したFive Minutes of Heavenも手掛けたガイ・ヒバートの仕事。アラン・リックマンはこの映画が最後の出演作となった。プロデューサーに実はいろいろとガチなコリン様ファース様など。

Eye in the Sky 予告編:




9. Zero Dark Thirty (ゼロ・ダーク・サーティ)
Amazon Prime Videoでのご視聴はこちらから→ https://amzn.to/2Lbby4j

これも説明不要っすよね。あれからもう8年も経つんですね……。

Zero Dark Thirty 予告編:




10. Highway to Hell: The Battle for Mosul (地獄への道:モスルの戦い)
Amazon Prime Videoでのご視聴はこちらから→ https://amzn.to/2GO1CJI

Amazonでの作品ページでの説明の日本語がひどすぎて(たぶん機械翻訳だと思う。文脈を踏まえた訳語になっていないので)、これを読んだだけでは何についての映画なのかがわからないが、イスイス団からのイラク奪還作戦でイラク軍にエンベッドした2人のジャーナリストのドキュメンタリー。Journeyman Pictures作品。42分。映画というより報道番組。これもAmazon独占配信かな。

Highway to Hell 予告編:




11. City of Ghosts (ラッカは静かに虐殺されている)
Amazon Prime Videoでのご視聴はこちらから→ https://amzn.to/2UJxlzN

イスイス団が制圧して勝手に「首都」ということにしていたシリアの都市、ラッカは、2011年のいわゆる「アラブの春」のとき、反アサド政権&反宗教主義の民主化要求活動家がかなりがんばってた都市だった。その彼らは、イスイス団のもとで非常に厳しい状況のなか、@Raqqa_SlのTwitterアカウントを中心としてネットを使い、片言ではないが完璧ではない英語で「現地からの報道」を続けた。その記録映画。

日本でもUPLINKの配給で劇場公開されたけど、Amazon配信で製作されたドキュメンタリー映画。邦題はこの作品の主題であるラッカの活動家集団 "Raqqa is Being Slaughtered Silently" の名称の直訳。

City of Ghosts 予告編:







12. Return to Homs (ホムスへの帰還)
Amazon Prime Videoでのご視聴はこちらから→ https://amzn.to/2PyhqTK

2011年春に始まったシリア革命が「内戦」化していく過程が、予告編だけでも伝わってくる。というか、リアルタイムでTwitter越しに見ていたあの過程が生々しく思い出される。あのときにばらまかれていたデマ――「革命勢力はアルカイダのテロリストだ」というデマ。革命勢力の多くは宗教支配を拒絶し、西洋的な民主主義を規範としていたのに――も含めて、生々しく思い出され、苦しくなってくる。

ホムスは2011年以降のシリアで最も徹底的に破壊された町の最初のひとつだった。ここに潜入して何が起きているかを世界に伝えていた英国のジャーナリスト(米国出身)は居場所をマークされて砲撃を受け、一緒にいたフランスのフォトジャーナリストともども殺された。

Return to Homs 予告編:




その他……
あとはいちいち説明を書くなどしていると、このエントリーを書く間に3本くらい見終わりそうなくらい時間がかかるので、ただ列挙していこう。

Amazonのサイトで、[Prime Video]→[映画]→[外国映画]と進むと、サイドバーに「ジャンル」(「アクション・アドベンチャー」、「アニメ」、「SF」、「コメディ」、「ドキュメンタリー」、「ドラマ」、「ミステリー・スリラー」など)のメニューがあるので、漠然と何かを探したいときはそこから見ていくのも手だが、「年代」のメニューはあんまり使えない(特に古い映画についてはダメ)。自分の知らない映画を見つけるには、各作品ページの下にある「この作品をご覧になったお客様は次の作品もご覧になっています」の欄が「さすがAmazon」感が高い。

まず、アイルランド成分補給するには、ジョン・カーニーの『シング・ストリート』も、『ONCE ダブリンの街角で』も、『はじまりのうた』もある。



ニール・ジョーダンの『プルートで朝食を』(何度見てもいい映画だし、キャストがほんと豪華だな……)もあるし、『オンディーヌ』もある。



あとはタイトルだけ列挙すると、「映画好きなら絶対見てるはず」とされるが、今時意外と見てない人も多そうな『ブレードランナー』(ファイナルカット)や『ショーシャンクの空に』などもあるし、いろんなのの元ネタになってる『ファイトクラブ』や『ヒトラー〜最期の12日間〜』もある。

イラクやサウジアラビアを今のように画定した帝国主義時代の英国人女性外交官・冒険家のガートルード・ベルの伝記映画で、映画としてはおもしろそうだと思っていたが、映画評を読んで邦題通りのお察し案件だと気づいて劇場に見に行く気にならなくなった『アラビアの女王 愛と宿命の日々』も入っている。無料なら見てもいいかと思っているが、まだ見ていない。この映画と同じニコール・キッドマン主演の伝記映画では、『ヘミングウェイ&ゲルホーン』もある。こっちのほうがおもしろいかもしれないな。

伝記映画では、#女性映画が日本に来るとこうなるで話題の発端となったクソ邦題『未来を花束にして』(原題: Suffragette 『婦人参政権活動家』の意味。文学的にするなら『女たちと参政権』くらいの感じか)もある。これだけではなく、#女性映画が日本に来ると……のハッシュタグで言及されていた映画は、邦題がひどすぎてうろ覚えなんだけど『なんとかかんとかプレイブック』(原題: Silver Linings Playbook)など、けっこう入っているのではないかと思う。

『ラビング 愛という名前のふたり』(原題: Loving)も邦題がアレではあるが、実際にLovingという名前の人たちの1950年代の実話に基づいた物語で、上述の『プルートで朝食を』で白人国家アイルランドで生まれ育った黒人と白人のハーフの少女を演じたルース・ネッガが主演している。

ハーフといえば、日本での「ハーフ」の人たちのドキュメンタリー映画、『ハーフ』 (Hafu) も入っている。



何かの拍子で見つけた『迷子の黒猫とボク』も、たぶん私は好きな感じの映画なので見てみよう。監督が「アンソニー・ターシターノ」と知らない名前だったので「どこの映画かな、イタリアかな」と思ったら、主演がラルフ・マッチオだからアメリカっすね。予告編探した。



あと、ヴィルヌーヴの衝撃作『灼熱の魂』や、アスガー・ファルハディの『セールスマン』などもあるし、何となくあれこれ見ていてウォッチリストに追加した作品で『サバイビング・モロッコ』も連休中に見ようかなと思っている。

そこからたどって『ナチスの愛したフェルメール』という作品のページを見てみると、そこにある「この作品をご覧になったお客様は次の作品もご覧になっています」欄で、ハンガリーの『薔薇は死んだ』や、ポーランドの『国家の女リトルローズ』という作品を知ることになり、どちらもウォッチリストへ……後者など、ジャケは完全に私の好みとは分野違いの「エロティック・サスペンス」風なのだが(要は男が美女に翻弄されるという話で、ストーリーより女性のボディやチラ見せがメインの映像作品……いっぱいあるよね)、あらすじが「1967年、共産主義体制のポーランドで民主化運動が高まり、政府は反体制派の指導者摘発を目的にユダヤ人狩りを開始。そんな中、歴史家で大学教授のアダムは、若く官能的な美女カミラと恋に落ち、結婚を申し込むのだが、カミラは「リトルローズ」のコードネームをもつ国家スパイだった」とあっては、見ないわけにいかないじゃない。レビューにも「官能作品ではない」とあるし、こうなってくるとこの「官能もの」っぽいジャケなどのマーケティングは誰得? ってほんとに疑問に思う。

「名作」系ではスタンリー・キューブリックはけっこう入ってるし(ただし『博士の異常な愛情』は別途有料でレンタルすることになる)、私が高校生〜大学生のときにNHK教育テレビ(当時の名称)やNHK BSで見た古典名作映画として、1930年代スクリューボール・コメディの傑作『或る夜の出来事』や、ハリウッドに行く前のアルフレッド・ヒッチコックによる傑作『三十九夜』(ヒッチコックはほかに、『海外特派員』や『サイコ』などがPrime特典で見られる)、第二次大戦後の復興途上にあったイギリスで自国の名作文学を大作映画に仕上げたデイヴィッド・リーンの『オリヴァー・ツイスト』などが入っている。ところで、アマゾンのデータベースでDavidが「デビット」と書かれているようで、「デビッド・リーン」でなぜか検索できない。しかも「オリヴァ・ツイスト」のレビューが近年のロマン・ポランスキーのリメイクと統合されているとか、まったくもってここで映画を見たいとは思えない雑なシステムだ。

というわけで、Amazonでは映画を見る気分がどうも上がらないのだが、バブル期に猫も杓子もレンタルビデオ屋をやってた時代に、中には映画への興味なんかカケラもないけどシノギにちょうどいいや、どっかの店から持ってきたよくわからん在庫に加えて売れ線ハリウッド映画大量に入荷して、空いたスペースにはVシネ並べとけ、っていうような店の棚の片隅でアンディ・ウォーホルの映画を見つけて「うわぁお」となってたような感覚が味わえてないわけではないので、これはこれで楽しいのかもしれない。

Amazon Primeに未登録の方は下記バナーから「30日間無料お試し」ができます。アマゾン・プライム・ビデオのほか、商品配送上の「プライム」の特典や、音楽ストリーミングなどももちろん利用可。音楽はMerzbowもあるよ。




(でもガチで映画が好きな人にはU-NEXTのほうがいいと思う……No Stone UnturnedのためにAmazon Prime入っちゃったので解約してるけど。ただAmazonだと、「Amazonのような場所で、こんなマイナーな映画を見ようという人」同志の目に見えない助け合いみたいなのはあって、レビューが映画好きな人が書いたしっかりしているものが多いので、その点はU-NEXTよりいいかも)

【追記】最後のセクションに書こうと思ってて忘れてた。エドワード・スノーデン関連の映画は2本、Prime特典で見られます。オリヴァー・ストーン監督の劇映画『スノーデン』と、そもそものリーク報道のときのドキュメンタリー『Citizen Four』。

【追記2】 Cheers!
http://b.hatena.ne.jp/entry/nofrills.seesaa.net/article/films-to-watch-for-free-on-amazon-prime-video-in-japan.html

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※この記事は

2019年04月28日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:00 | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼