「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2017年02月18日

【訃報】ディック・ブルーナ

Twitterの@Miffy_UKのアカウントは、ミッフィー、つまりディック・ブルーナの絵本のうさぎ「ナインチェ」(日本では「うさこちゃん」として親しまれてきた)に関連するイベントやグッズ、テレビ番組の告知を行なったり、絵本から抜粋した文と絵をツイートしたり、「子供たちとミッフィーちゃん」という光景の写真やミッフィーちゃんをかたどったお菓子の写真などを紹介している。最近はinstagramからの写真を紹介していることも多い。

普段は色にあふれたこのアカウントが、18日、色を失っていた。ヘッダー写真が真っ白になっていた(黒ではなかった)。

miffiy_uk.png

ディック・ブルーナ。1927年8月生まれのオランダのアーティストが、90歳の誕生日まであと半年あまりというこの時期に、逝ってしまった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Dick_Bruna

その悲報がどのように広まっているかが、私の目の前に開いた小さな窓の中に見えた。

以下はその記録。ささやかな。




































Even Miffy’s face remains apparently constant, with black dots of eyes and a cross of a mouth, although occasionally there is an addition, such as a tear. But, by an infinitesimal tilt of her head, shutting of her eyes or the position of her head in a room or a landscape, Bruna gave Miffy a full range of responses as she did all the things familiar to pre-school children, such as celebrating a birthday, going to the zoo, visiting a playground or going to the seaside.

Miffy’s life is stylised and idealised, and the jaunty tone of the rhyming couplets which map out the story that the illustrations tell so eloquently adds to the upbeat feel of the books, which are reassuring to children and adults alike. ...

Describing how he worked, Bruna said: “For a book of 12 pictures I make at least a hundred.” Each was drawn with a paintbrush specially trimmed by Bruna; as he got older, and despite the success of all his books, he said it got harder and harder to get the image exactly right. Miffy’s eyes and mouth were especially problematic: “That’s all you have. With two dots and a little cross I have to make her happy, or just a little bit happy, a little bit cross or a little bit sad – and I do it over and over again. There is a moment when I think yes, now she is really sad. I must keep her like that.”

https://www.theguardian.com/books/2017/feb/17/dick-bruna-obituary


















オランダ語があり、日本語があり、英語があり、フランス語があり、スペイン語があり、ドイツ語がある。ここには入れていないが、中国語のニュースのフィードもあったし、韓国語のツイートも見かけたと思う。口を開けたところを見せたことのないあのうさぎちゃんは、そのように、多くの言語圏で広く知られていた。それも、元々「キャラクター・グッズ」だったわけではないわけで、語るべきストーリー、伝えるべきメッセージを持った絵本として。

sidebar-miffy.png一通り、Twitterを見終わったあと、自分のアカウントのサイドバーはこうなっていた。ほかにも、引き出しの中に、もうインクが出なくなったペンなどが転がっている。

キティちゃんやキキララなどサンリオの絵がついたものや、ディズニーのキャラクターのものは、自分で買ったことがないのだが(ディズニーは、「ファンタジア」などの映画は見たが、ミッキーマウスをかわいいと思ったことはない)、うさこちゃんとスヌーピーは、文房具などをけっこう買ってた。

昨年秋のフジパンのミッフィーちゃんノベルティがほしくて、普段食べないフジパンの「本仕込」という食パンを買って一生懸命食べて(過剰なもちもちふわふわ系食パンが苦手なんですが、8枚切りだとけっこう美味しかったです)、ようやくシール15点を集めて、迷いに迷って緑色の縦型トートをお店でもらってきて、壁に掛けてニヤニヤしていたのだが、その翌日、近所のおばあちゃんがさしている傘の下から横型トートがのぞいてるのを見て、「やっぱあっちも欲しかった。無理をしてでもあと15点、シールをもらっておくべきだった」などと思っている。

使わなかった応募券が本の間に挟んであったので、そこから、「縦型」と「横型」の違い。

miffytotebag.jpg

迷うでしょ、これ。

(・_・)

ディック・ブルーナ ミッフィーと歩いた60年ディック・ブルーナ ミッフィーと歩いた60年
森本 俊司

別冊太陽 ディック・ブルーナ ミッフィーからの贈り物 ブルーナさんがはじめて語る人生と作品のひみつ (講談社文庫) ディック・ブルーナ 夢を描き続ける力 ディック・ブルーナのデザイン (とんぼの本) ディック・ブルーナ  ぼくのこと、ミッフィーのこと 美術手帖 2010年 04月号 [雑誌] 新装版 ディック・ブルーナさんの絵本のつくりかた (みづゑのレシピ) うさこちゃんのたんじょうび 60周年記念特別大型版【特別付録オリジナルシール&メッセージカードつき】 MOE 2015年 05 月号 [雑誌] うさこちゃん びじゅつかんへいく (4才からのうさこちゃんの絵本セット1) (ブルーナの絵本)

by G-Tools


朝日新聞の森本記者のこの本に、ブルーナが子供たちのための本から、いかに入念に、暴力や対立を排除していたかということが説明されている。

検索とクリック(タップ)だけで、暴力の現場の記録映像や、暴力を賞賛するプロパガンダ映像があふれ出てくる世界、事実の如何を問わず、対立があることが何よりも利用価値のあるものとして重宝されているような世界の中で、ブルーナの描く世界は「夢のような世界」であると同時に、おそらくそれが子供のころ、物心もつかぬころに接した世界であるがゆえに、「いつか帰ろうと思っている理想の世界」なのではないか、とふと思うことがある。そこでは幼いうさこちゃんは自分で考え、自分で行動している。人に指示される通りに動いているわけではない。

そこに、1927年生まれの作家が生きた時代の現実の投影を見ることは、ごく妥当な、ごく当たり前のことだろう。

タブロイドが「法の支配」を理解しようとしないどころか、判事を「人民の敵」と呼び、リベラル・デモクラシー(というより、リベラリズム)をつぶそうという勢力がどんどん声を大きくしている英国で、Miffy_UKのアカウントの中の人たちは何を思うだろう。あるいはミッフィーは、ただの「かわいいキャラクター・グッズ」になっていくのだろうか。

Miffy first appeared in English in 1964 in a UK edition and the title was published almost simultaneously across Europe and in Japan (where Miffy is Usako). Bruna’s other titles included a series of adventures about a little dog named Snuffy (Snuffie in the Dutch original), retellings of traditional tales and the I Can series of books. All of these retained Bruna’s distinctive style and palette, influenced by the work of Matisse and Picasso, which Bruna had discovered while in Paris, and by the graphic design of the De Stijl movement in Holland. His books had a European flavour, while managing to remain non-specific in terms of either time or place.

https://www.theguardian.com/books/2017/feb/17/dick-bruna-obituary





























これ↓、すごい。



Miffy UKのアカウントでの読書会、「びじゅつかん」もあった。














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※この記事は

2017年02月18日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:59 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼















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