「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2017年08月21日

ケンブリッジ大学出版局がジャーナル『チャイナ・クオータリー』の記事の一部を中国国内からアクセスできなくした件(リンク集)

標題の件。ブログの地の文を書いている余裕がないのですが、記録のため、Twitterに投稿したものをざっと貼り付けておきます。本稿は、内容的にはリンク集です。

この件、何より必要なのは、原文(英語)でケンブリッジ大学出版局(Cambridge University Press, CUP)のステートメントを読むことです。英語報道ではpull out, remove, blockといった表現が錯綜していて、正確に何があったのか、どういうことが行なわれたのかがよくわかりません。ましてやそれが日本語に翻訳されるとますますわけがわからなくなります(変な例しか思いつかないのですが、911陰謀論で "pull it" というこなれた英語表現の意味をめぐって話が混乱したことを想起していただければと)。

CUPのステートメントへも下記でリンクしていますので、各自、リンク先でご確認ください。

日曜日(20日)には中国の検閲対象となったジャーナル、『チャイナ・クオータリー』の編集長や、検閲対象とされて中国国内からはアクセスできないようにされた論文の著者(研究者)のインタビューも出ています。それも下記にリンクしてありますので、各自、リンク先でご確認ください。

なお、本稿については、リンク先をお読みにならない場合は、SNSやはてブでのコメントは、ご遠慮いただきますよう、お願い申し上げます。

何があったのかについては:
Cambridge University Press blocks readers in China from articles
Richard Adams Education editor
Friday 18 August 2017 19.14 BST
https://www.theguardian.com/education/2017/aug/18/cambridge-university-press-blocks-readers-china-quarterly
Cambridge University Press has blocked readers in China from accessing hundreds of academic articles – including some published decades ago – after a request by Chinese authorities, arguing that it did so to avoid its other publications from being barred.

The publisher confirmed that hundreds of articles in China Quarterly, a respected scholarly journal, would be inaccessible within China, after a letter from the journal’s editor protesting against the move was published.

“We can confirm that we received an instruction from a Chinese import agency to block individual articles from China Quarterly from within China,” CUP said. “We complied with this initial request to remove individual articles, to ensure that other academic and educational material we publish remains available to researchers and educators in this market.”


※以下、Seesaaさんで提供されているツイート埋め込み機能を使うので、少々読みづらいと思いますが、ご寛恕ください。















ここでまた当初のCUPのステートメントに戻りますが:
“We can confirm that we received an instruction from a Chinese import agency to block individual articles from China Quarterly from within China,” CUP said. “We complied with this initial request to remove individual articles, to ensure that other academic and educational material we publish remains available to researchers and educators in this market.”

https://www.theguardian.com/education/2017/aug/18/cambridge-university-press-blocks-readers-china-quarterly
※出典が孫引きですみません。CUPのページは閉じてしまってて、今開いているタブがこれだという以外に理由はありません。


このくだり、ポイントは、to ensure that other academic and educational material we publish remains available だと思うんっすよね。

これは、「中国の人々にこれらのマテリアルがavailableである状態を保ちたい」と読めるのですが、要は、「中国の人々にこれらのマテリアルを買ってもらわないと、CUPの経営的に影響が大きい」ということではないかと。

ケンブリッジ大学出版局といえば、学者さんにとっては学術誌や専門書なのかもしれませんが、学者さんよりさらに多数のユーザー、つまり大きなマーケットなのが、一般の英語学習者なんですよね。

ケンブリッジ大学出版局は、英語の学習教材が事業の大きな柱です。

英国に留学した人が多く受験する「ケンブリッジ英検」も、英国の大学や大学院に留学するときに受験する「IELTS」もケンブリッジで、これらの検定試験のための教材はCUPが出してます。
http://www.cambridgeenglish.org/

中国人の英語学習者というマーケットを失うことは、CUPにとっては避けねばならない大打撃でしょう。おそらくそこで脅しめいたものがあったか、「大人の判断」があったかではないかと思います。

つまり、先日のApple社によるVPN appsの件と同じようなことではないかと。実際CUPのステートメントで用いられている用語にもそういう事情は現れていると思いますが。

いずれにせよ、AppleにせよCUPにせよ、あるいはほかの企業にせよ、(´・_・`)

21世紀がこんなにショボい時代になるとは、15年前の私は考えてもいませんでした。いや、6年前だって。



Update: 主に中国を専門とする研究者や人権活動家たちから次々と非難の声があがり、CUPはほどなく方針を転換した。







その後、二度目の検閲要請が来ているが、それはつっぱねているようだ。



万が一、CUPが中国を出禁になったら、そのときにCUPを支えるべきはうちらだ。個人的には英語教材はOxford派なんだけど(マイケル・スワン)。 (^^;)

1107539331English Grammar in Use Book with Answers and Interactive eBook: Self-Study Reference and Practice Book for Intermediate Learners of English
Raymond Murphy
Cambridge University Press 2015-07-30

by G-Tools

1108403522English Pronunciation in Use Elementary Book with Answers and Downloadable Audio
Jonathan Marks
Cambridge University Press 2017-04-27

by G-Tools

※この記事は

2017年08月21日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 00:22 | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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