「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2017年03月30日

英国が正式にBrexitの手続きを開始した日のこと&「北アイルランドにとってのBrexit」について(雑な「分離」論に要注意)

29日、英国では朝イチでテリーザ・メイ首相が正式に「EU離脱」の意思をEU側に伝える書状に署名し、英国の代表者がブリュッセルにそれを届けるという手続きが行なわれた。書状を受け取ったEU側の代表者、ドナルド・トゥスク欧州理事会議長(「EU大統領」とも呼ばれる立場)は、「もうすでにミス・ユー状態である」的なことを記者会見で述べた。これから2年をかけて、英国はEUを離脱する。

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※レターは全部で6枚。全文はこちらからPDFで閲覧できる

その「英国」は、正式名称を「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」といい、「グレート・ブリテン」はイングランド、ウェールズ、スコットランドから成り立っている。だから「イングランド、ウェールズ、スコットランド、および北アイルランド連合王国」と言ってもよさそうなものだが、そう言うのも正確ではない……というあたりが実に英国らしくめんどくさい。まず第一に、英国は「連邦」ではない。1997年に政権をとった労働党による改革で、ウェールズとスコットランドに自治議会・自治政府が設置されたが(それぞれ権限には違いがあり、スコットランドのほうが「高度な自治」を行なっている)、イングランドにはそういう自治政府はなく、イングランドの立法は英国全体の立法府(すなわちウエストミンスターの議会、以下「国会」)が行なっている。一方で、北アイルランドは、1921年の「アイルランド分断」によって「北アイルランド」が今のような形で正式に成立して(つまり「プロテスタントがカトリックより多くなるように境界線を引いた上で、アイルランドのほかの部分からもぎ取られて」)以来、ずっと自治議会・自治政府を有し、ブリテン島とは別の政治を行なってきた。これは基本中の基本中の基本である。

「北アイルランド紛争」が生じたのも、単に「IRAがいたから」ではなく、その自治議会・自治政府のもとで、「少数派」である「カトリック系住民」(←日本のマスコミ様用語)が二級市民の扱いを受けてきたことが原因である。南アフリカのアパルトヘイトにもなぞらえられたその差別構造を覆すためには武装闘争しかないと多くの若者たちが信じた現実が、北アイルランドにはあったのだ。議会が常に「プロテスタント」(正確には「ユニオニスト」、つまり「英国との連合・統一 unionの維持を望む人々」)が優位になるよう選挙区割を決めたり(ゲリマンダリング)、住宅や就業といった人がまともに生活するうえでの基本的なことでも、「カトリック」は差別されていたりといった状態だった。元々北アイルランド紛争については「女王陛下に牙をむいたテロ集団IRA」的な漫画チックな説明がなされることが珍しくなかったかもしれないが、そのような勧善懲悪の物語は現実とはかけ離れている。興味がおありの方は、今月亡くなったマーティン・マクギネスについて、政治学者の菊川智文さんが2014年に書かれた電子書籍(Amazon Kindleのみ)にそういった背景がわかりやすくまとめられているので、参照されたい(Kindle Unlimitedに入っている。別途買い求める場合は250円)。

Brexit以降の日本語での「北アイルランド」に関する言説の多く(メインストリームの報道を含む)、特に「(英国からの)分離」という用語でスコットランドと北アイルランドを単に並べている言説は、北アイルランドに関するこの基本的事実を踏まえていそうにないので、注意を要する。北アイルランド(「北部アイルランド」、「北部6州」)は、あらかじめ、「アイルランドとしての統一性」を奪われた存在であり、その統一性を取り戻そうというのが、北アイルランドという領域において「アイリッシュ・ナショナリズム」と呼ばれる思想・理念・運動である。その「アイルランドの統一」のために武力を使うことを辞さない、というより、武力を以てしか「アイルランドの統一」は達成できない、と信じている人々が、さまざまなIRAをはじめとする「アイリッシュ・リパブリカン」(以下、単に「リパブリカン」)である。

https://twitter.com/GerryAdamsSF彼らリパブリカンは、1916年のイースター蜂起から100年という大きな節目を迎えた翌年である今年、"1 Million Voices for Irish Unity" という運動を組織している。Twitterでは@IrishUnityで、FBのページもある。リパブリカンの政党であるシン・フェインの主要メンバーのTwitterのアイコンは、今年に入ってからずっと「赤地に白丸」になっているが(右図参照 via kwout)、それがこの運動のアイコンだ。彼らが求めているのは「北アイルランドの英国からの分離」というよりは、「南北アイルランドの統一」である。その「アイルランドの統一」は、単に人の流れや経済上の結びつきのために国境を開放するだけでなく、国家主権・領土というものを前提とする場合、必然的に「北アイルランドの英国からの分離」を意味する(「英国の一部であること」と「アイルランド国家の一部であること」は、相互に排他的である)。

日本語圏では、アイリッシュ・ナショナリズム/リパブリカニズムについてのそういった基本をふまえずに、単に「分離」として「Brexit後に高まる声」的に処理するという非常に乱暴なことが行なわれ、結果、はなはだしく不正確な印象が漂わされるということになっている。

NHKなどは、シン・フェイン所属の欧州議会議員であるマルティナ(マーティナ)・アンダーソン(彼女は政治家になる前はIRAの闘士で、女性刑務所でのハンスト闘争を実行した人である)にインタビューまでしているのに「独立も? イギリスのEU離脱で揺れる北アイルランド」などという記事を出しているが(2016年のEUレファレンダム後)、一体何をどう取材したらこうなるのか、まったくわからない。取材者がどんなストーリーを抱えていたのかは察することしかできないが、少なくとも、「統一アイルランド United Ireland」という用語とその理念を理解し、「《北アイルランド独立》などということを画策していたのは、ユニオニストの側の過激派である」という歴史的事実を踏まえていたら、こうはならない。これは決して「軽微な間違い、勘違い」ではないし、「立場によって見方が違うこと」でもない。単なる事実把握の欠落だ。

で、そのマルティナ・アンダーソンだが、英国のメイ首相が「EU離脱」の手続きを正式に開始したことを受けて、France 24でコメントしていたと本人が報告している。




この映像がどこかで見られないかどうか、あとで確認してみようと思う(F24はYouTubeなどに映像を多くアップしている)。

さて、メイ首相はEUへの書簡を特使に託したあと、ウエストミンスターの議会(国会)へ向かった。国会の下院では、毎週水曜日は恒例で党首討論 (Prime Minister's Questions, PMQs)が行なわれる(ちなみに先週は車を暴走させて議事堂敷地に突っ込もうとした「テロ」のため議場から首相が退避して中断した)。Brexitの手続きを開始した日のPMQsで最初に質問に立ったのは、北アイルランドの議員だった。

北アイルランドからウエストミンスターの議会に議員を出している政党は、現在、ユニオニスト(英国との連合維持派)のDUPとUUP、ナショナリスト(統一アイルランド派)のSDLP、SF(シン・フェイン)の4党である(これにAPと略されるアライアンス党を加えた5党が北アイルランド自治議会の主要政党でもある)。これら4党のうち、シン・フェインは「正当性を認めない議会への出席はしない」という「非出席主義」により、ウエストミンスターの議会には、議席を有していても出席していないので、議場での審議・討論や採決の際は数に入らない。

……とまあ、北アイルランドはいちいち説明が長くなってややこしくていけない。

で、DUP, UUP, SDLP, SF, APの北アイルランド主要5政党の中で「EU離脱」を推したのは、DUPだけだった。北アイルランドでのEUレファレンダムの結果は、離脱賛成が44%くらいだったが、それはDUP支持者と、北アイルランド自治議会に議員を出せないようなフリンジのユニオニスト過激派(その中には極右もいる)と、それらより数は少ないだろうが反グローバリズム・反ネオリベラリズムのがちがちの左翼の票だった。大まかに経済界、産業界、ミドルクラスは「EU残留」を支持しており、ユニオニストの側でもUUPは「残留」のためのキャンペーンを展開した。ここまで整理しておくと、UUPは「EU残留」の立場をとったが、北アイルランドの文脈では「アイルランドの統一」の側(ナショナリスト)ではなく「英国との連合維持」の側(ユニオニスト)の政党である(ちなみにUUPは公的にブリテンの保守党とつながってきた)。SDLPやSFは「アイルランドの統一」の側で、なおかつ「EU残留」の立場だった。DUPは「英国との連合維持」の側で「EU離脱」だった。

3月29日、英国がBrexitの手続きを開始した日にウエストミンスターの議場で行なわれたPMQsで最初に質問に立った北アイルランドの議員は、このUUPの議員である。






ハンサードを見てみよう。
https://hansard.parliament.uk/commons/2017-03-29/debates/CBEE7527-6165-4A80-B2F8-4C659FFB0D49/OralAnswersToQuestions

Prime Minister
The Prime Minister was asked−

Engagements
Danny Kinahan (South Antrim) (UUP)
Q1. If she will list her official engagements for Wednesday 29 March.

The Prime Minister (Mrs Theresa May)
I would like to update the House on last week’s terrorist attack. Since my statement on Thursday, the names of those who died have been released. They were Aysha Frade, Kurt Cochran, Leslie Rhodes and, of course, PC Keith Palmer. I am sure that Members of all parties will join me in offering our deepest condolences to their friends and families. The police and security services’ investigation continues; two people have been arrested and remain in custody.

This morning I had meetings with ministerial colleagues and others, and in addition to my duties in this House, I shall have further such meetings later today.

Danny Kinahan
I echo those sentiments and congratulate the Prime Minister on all the good work done last week and since that time.

I also congratulate the Prime Minister and the Government on triggering article 50 today. I know that this is a momentous action for the whole of the United Kingdom. Although I, in common with the right hon. Lady, campaigned to stay in, we recognise that the people have spoken, and we offer the Ulster Unionist party’s full support in ensuring that the negotiations deliver the best for the whole of the United Kingdom, and particularly for Northern Ireland.​

I ask the Prime Minister to confirm that, in the extremely improbable event that a border poll should take place regarding the future of Northern Ireland within the United Kingdom during her premiership, her Government would fully support any official remain campaign, just as the Government have done in regard of the EU and indeed Scotland.

The Prime Minister
The hon. Gentleman is absolutely right that today we give effect to the democratic decision of the people of the United Kingdom, who voted for us to leave the European Union. It was a call to make the United Kingdom a country that works for everyone, not just the privileged few. We are, of course, fully committed within that to ensuring that the unique interests of Northern Ireland are protected and advanced as we establish our negotiating position. Our position has always been clear−that we strongly support the Belfast agreement, including the principle of consent that Northern Ireland’s constitutional position is a matter for the people of Northern Ireland to determine. As our manifesto made clear, we have a preference for Northern Ireland to remain part of the United Kingdom, and we will never be neutral in expressing our support for that, because I believe fundamentally in the strength of our Union.


メイ首相が言っている「ベルファスト合意」(別名「グッドフライデー合意」、略語としては常にこの別名が用いられ、GFAという)の原則、「北アイルランドのコンスティテューショナル・ポジション(帰属)は、北アイルランドの人々が決めること」は、これまでは「建前であり、本心であり、本音である」と私は思ってきたのだけど(ぶっちゃけ、英国政府は北アイルランドなどという面倒なものとは関係をもちたがっていない。英軍が、通常の「駐屯」を除いては撤退した現在は、国民の関心も薄れている。それに、英王室もひそかに「アイルランドの南北分断は解消されるべき」と考えてきたことが、いわゆる「30年ルール」で開示された文書などからわかってきている)、「英国のEU離脱」という大きな環境変化と、それにともなうスコットランドの動向という要素によって、わからなくなってきた。つまり、英国政府は「北アイルランドの帰属は北アイルランドの人々が決めること」という建前を維持したまま(その建前をかなぐり捨てることは、さすがに矜持が許さないだろう)、「人々が決める」機会を提供しようとしないことで、建前を建前のままにしておくのではないか、ということだ。「統一アイルランド」は「実現の可能性などない、絵に描いた餅」のまま永久保存されるのではないか、ということだ。

実際、3月2日の北アイルランド自治議会選挙の結果、ユニオニスト(DUPとUUPとその他の政党)の数的優位が維持できなくなり、なおかつユニオニスト、ナショナリスト両陣営の第一党であるDUPとSFの議席差がわずか1となったあと(&DUP党首とRHIスキャンダルをめぐり、自治議会・政府が機能停止したままという選挙前の状況が続いているなか)、英国政府の発するメッセージのトーンが「ん?」というものになってきている。(私は過剰に疑り深いのかもしれないが、英国政府の言うことを額面どおりに受け取るほどナイーヴではないわけで……特にスコットランド独立可否レファレンダム後のスミス勧告だっけ、あのあとは……)















実際、空転している北アイルランド自治議会&政府のことは何とかしなければならないわけで、そちらは下記のような進展が、Brexitの手続き開始と並行して伝えられている。こういう時に「ウエストミンスターの直轄統治 direct rule」というのがまともにありうる選択肢として報道されていないことは、2002年の空転時とはかなり違ってはいるかもしれない。しかし、既にウエストミンスターから "consider all options" という言葉が出てきているのもまた事実だ。





で、29日のPMQsにおいてメイ首相が "As our manifesto made clear, we have a preference for Northern Ireland to remain part of the United Kingdom, and we will never be neutral in expressing our support for that, because I believe fundamentally in the strength of our Union." と述べた(ソースは上掲)ことについて、ベルファスト・テレグラフが次のようにフィードして:



リパブリカン運動(シン・フェインとIRA)のメディア、An Phoblachtはこうフィードしている:



これに対してアダムズは特に反応していないようだが、ストーモントでのEU残留派のデモについて数多くRTしている。










そもそもシン・フェインの案は、北アイルランドにスペシャル・ステータスを(この文言自体、英国政府には刺激的だよ。ボビー・サンズあたり参照)、というものだ。ただしこの政党は上述の通りウエストミンスターに議席は持っていても出席しないので、シン・フェインの案がウエストミンスターで語られることはない。




下記の "national" は「アイルランド」のことである。この点、説明しだすとまた書き終わらなくなるので先に行くけど。






もちろん、アイルランド共和国の中央政府にとって、北アイルランドのことは、国内的にはフリンジだ(そもそもアイルランドはアイルランドで政治危機があって、エンダ・ケニー首相の退陣は決定している。去年の選挙の結果も「おもしろい」ものだったが……というか大爆笑した)。それにしても、アダムズが議場からツイートしてきた写真はすごい。









どうでもいいけど、「スペシャル・ステータス」って連呼するの、やめたげて (・_・)

この日の新聞一面ギャラリーは、見ておく価値がある。





以下、#BrexitDayの私のTwitterから。ここまでで貼りこんだものも少し重複している。



































スコットランドにとてもお詳しい翻訳者の杉本優さんとのやり取り(「やり取り」にはなってないけど)。ソースも示さず乱暴ですみません。できればあとで足します。











実際、北アイルランドで大手メディアなりSlugger O'Tooleのような政治ブログなりを見ていると、"the Union is secure" というコンセンサスができています。2012年から始まった「旗騒動」は、そのような「連合(英国の一部というステータス)は安泰である」という抽象論を理解しえず、「たかが旗の掲揚」のような目に見えるシンボルの現状維持が崩れると大騒ぎするような人々が、ジェイミー・ブライソンのような活動家の煽動で集結したことで発生・継続したのですが、そういう人々のことがニュースになることはあっても、騒がない人々のことはニュースにならない。だから、"the Union is secure" というコンセンサスがあることは、よほど北アイルランドに関心がある人しか知らないんじゃないかと思います。

で、Brexitでそのコンセンサスが、少し、揺らいでいるんです。そういうタイミングで行なわれたのが、RHIスキャンダル(再生エネ切り替え促進プログラムで私服を肥やす悪質業者が続出し、制度設計をしたDUPの政治家たちは責任を取ることを拒否)がきっかけとなった北アイルランド自治議会の解散・総選挙。解散を引き起こしたのはマーティン・マクギネスの副ファースト・ミニスター辞任でしたが、そのマクギネスが辞任・政界引退して2ヶ月で病死というめまぐるしいことになったのはニュースになり、そして自治議会選挙(3月2日)の結果、北アイルランドが成立して以降ずっと維持されてきた「ユニオニストの優位」が崩れたことは大きなニュースにはなっていないし、居住者か研究者かオタクでもなければ関心を払わない。オタクを自認する私自身、書こうとするとゲラゲラ笑い出してしまい、収拾がつかなくなって、ブログにすら書いていないというていたらくなのでダメなんだけど、まあ、こんな個人ブログが書いたところで、NHKのような大大大メディアが「独立も?」とかいうfake newsを流しているところでは、何にもならないんすよね。

ほんと、研究書の一冊でも読めばいいのに……立命館の南野泰義教授が新刊を出されましたね。ごっつい価格なのでまだ手が出せないんですが、南野教授の北アイルランドについての論文は、ネットで読めるものがけっこうあるので、まずはResearch Mapを見たり、ウェブ検索したりしてください。

4842055758北アイルランド政治論: 政治的暴力とナショナリズム
南野 泰義
有信堂高文社 2017-03-08

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繰り返しになりますが、菊川先生の電子書籍は、もっと気軽・手軽に読めます。

いかに平和をもたらすか?: IRAリーダーからトップ政治家へ マーティン・マクギネス
いかに平和をもたらすか?: IRAリーダーからトップ政治家へ マーティン・マクギネス菊川智文

2014-08-09
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※この記事は

2017年03月30日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼















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