そのひとつがジェイミー・バートレットの『操られる民主主義: デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』(草思社)。電子書籍もあるので、書店に出向かずとも読むことができる。
草思社
売り上げランキング: 32,318
本書内容より
・アンケート回答がビッグデータに吸い込まれていく
・自分が知っている以上に自分のことが知られている
・トランプの大統領選とケンブリッジ・アナリティカ
・イギリスのEU離脱、プーチンのサイバー戦の正体
・ネットは人びとの抑えられた感情を増幅していく
・怒りの共有が細分化された「部族」を生みだす
・プラットフォームを持つ企業が市場を独占する
・AIは仕事の格差を産み、社会の分断が加速する
・仮想通貨とブロックチェーンが揺るがす社会基盤
◎本書もくじより
イントロダクション テクノロジーが社会を破壊する?
第1章 新しき監視社会――データの力は自由意志をどのように操作しているのか
第2章 「部族」化する世界――つながればつながるほど、分断されていく
第3章 ビッグデータと大統領選――デジタル分析が政治のありかたを揺るがす
第4章 加速する断絶社会――AIによって社会はどうなるのか
第5章 独占される世界――ハイテク巨大企業が世界をわがものとする
第6章 暗号が自由を守る?――国家を否定する自由主義者たち
結論 ユートピアか、ディストピアか
エピローグ 民主主義を救う20のアイデア
このテーマでのバートレットの講演:
で、昨日調べものでamazon.co.jpである書籍のページを閲覧したとき、そのページの下部に、
The People Vs Tech: How the Internet Is Killing Democracy
Jamie Bartlett
¥320
と表示されているのに気付いた。というか正確には、「¥320と見えたのは見間違いで、¥1,320かな」と思ったので二度見した。
見間違いではなく、Kindle版が本当に320円だった。その場でamazonにログインしてこのKindle版を購入した(そして「デジタル積読」をまた増やしてしまった……)。
そんなことよりさっき、ジェイミー・バートレットの『操られる民主主義』の原書がAmazon Kindleで320円になってるのを発見したから、みんなDLするといいと思うよ。https://t.co/jZ1AKgwrbS 何かのセールなのかな、78%オフになってる。 pic.twitter.com/SLrv9n7yRH
— nofrills/共訳書『アメリカ侵略全史』作品社 (@nofrills) March 2, 2019
何かのセールで一時的に安くなっているのかなと思ったが、確認できる範囲では何の説明もない。
Amazonの著者ページは使い物にならないので、検索して確認してみると、同じ "The People Vs Tech" でも、ISBNがB07BVH6M5Vのものは320円(出版社: Dutton)で、B077JJ8YG7のものは550円(出版社: Ebury Digital)となっている。Duttonは米国、Eburyは英国の出版社なので、320円か550円かは米英の価格の違いを日本円にしたことによる差だと思うが、550円でも安い。
Dutton版:
Ebury版:
完全に一致。出版社名と表記の英米差(大文字の使い方)以外、どこにも違いがない。でも値段が違う。こういうことがあるのでAmazonのKindleで洋書(というか、英語の本)の電子書籍を買うときは注意が必要となる。なお、各ページで確認したところ、ペーパーバックはどちらも同一の価格で、\1,457となっている。
というわけで私はジェイミー・バートレットという英国のジャーナリストの本を米国版で買ってしまったわけだが、こういう分野だから英米の違いはあまり関係ないだろう。文学作品で「英語」が「米語」に直されたりしていると興ざめになることがあるが(一例としてハリー・ポッターの事例)……。
バートレットの英語は特に難しいわけではなくかなりすいすい読めるので、「英語の本はあまり読まないけど、内容は興味あるし、こんなに安いならちょっと読んでみようかな」と思った程度の人でもとっつきやすいと思う。英語の勉強のために読みたいという人なら、日本語訳を参照しながら読み進めることもできるだろう。米国版でも英国版でも、amazon.co.jpの商品ページで「なか見検索」ができるようになっているから、自分に読めるかどうか見てから決めたい人は、中を見てみるのがよいだろう。
なお、バートレットの著書は他にも安く読めるようになっている。
ジェイミー・バートレット、Kindleで他の本も安くなってる。Radicalsが400円: https://t.co/J7377BaQNC "the strange and exciting worlds of the innovators, disruptors, idealists and extremists who think society is broken, and believe they know how to fix it" pic.twitter.com/sdedSU7wpy
— nofrills/共訳書『アメリカ侵略全史』作品社 (@nofrills) March 2, 2019
The Dark Netが500円: https://t.co/xD4CuodAVX (『闇(ダーク)ネットの住人たち』 https://t.co/sY5YMLPDTL の原書) pic.twitter.com/BuMKLuXArb
— nofrills/共訳書『アメリカ侵略全史』作品社 (@nofrills) March 2, 2019
バートレットのTwitterより:
Top work from @SkyNews & @cardiffuni: 53 councils & one third of UK police forces are using ‘predictive algorithms’ to spot problems early. But who’s checking for bias in the data? pic.twitter.com/bHtdJx2lK8
— Jamie Bartlett (@JamieJBartlett) March 2, 2019
And not only bias -- don't forget, the @ICOnews found the Gangs Matrix unlawful, mentioned in this feature. Significant risk of adverse effect, not distingushing victims and perpetrators among "nominals", no oversight and much more https://t.co/o3xSJY5arm pic.twitter.com/z845zocTws
— Jen Persson (@TheABB) March 2, 2019
なお、楽天KOBOでも見てみたが、"The People Vs Tech" の米国版(Dutton)は322円(「電子書籍はなるべくKOBOで揃えたい」「楽天のポイントを使いたい」などの理由がある人は、KOBOで買ってもKindleと2円しか違わないから、迷うことはない)、英国版(Ebury)は1,213円となっている。一方、Amazon Kindleで400円のRadicalsと、Kindleで500円のThe Dark Netは、KOBOだと1,348円だから、価格差が大きい。
https://books.rakuten.co.jp/search/dt?f=A&kathr=Jamie+Bartlett&mt=0&o=0&cy=0&won=0&h=30&g=101&e=0&v=2&spv=2&s=4&sv=30
KindleにせよKOBOにせよ、専用端末を買わなくてもPCやタブレット、スマホでアプリを使って読むことはできるので(ただし専用端末には扱いやすさ、読みやすさや目の疲れにくさといった利点がある)、あちこちのアプリに蔵書が分散してしまうという煩雑さをいとわなければ、どれで買っても同じだ。もっと小さな版元が出している電子書籍なら、版元のサイトで直接買えばDRMのかかっていないPDFやEPUBで買えることがあったりもするが、この本は大手のPenguin系列なのでそういうこともないだろう。
紙の本(新品)だって、再販制度がなければこのように、それぞれの販売店での価格を比較検討して買うということになるわけだが、日本ではそういうことになる可能性は、今のところ、見えてきていない。断裁する前に市場に出されている過剰在庫のバーゲン本は、同じ本でも店舗によって900円だったり850円だったりするが。
※この記事は
2019年03月03日
にアップロードしました。
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