「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


2019年03月03日

『操られる民主主義』の原著など、ジェイミー・バートレットの電子書籍が300円台なので買うべき。(付: Amazon Kindleで洋書を買うときの注意)

ここ数年、ビッグデータだAIだフェイクニュースだっていうのと並行して、英語圏では「情報通信技術と民主主義」についての調査・検証や考察がなされていて、2018年(特に後半)は日本語の翻訳書の出版も続いた。

そのひとつがジェイミー・バートレットの『操られる民主主義: デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』(草思社)。電子書籍もあるので、書店に出向かずとも読むことができる。

操られる民主主義: デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか
ジェイミー バートレット
草思社
売り上げランキング: 32,318


本書内容より
・アンケート回答がビッグデータに吸い込まれていく
・自分が知っている以上に自分のことが知られている
・トランプの大統領選とケンブリッジ・アナリティカ
・イギリスのEU離脱、プーチンのサイバー戦の正体
・ネットは人びとの抑えられた感情を増幅していく
・怒りの共有が細分化された「部族」を生みだす
・プラットフォームを持つ企業が市場を独占する
・AIは仕事の格差を産み、社会の分断が加速する
・仮想通貨とブロックチェーンが揺るがす社会基盤

◎本書もくじより
イントロダクション テクノロジーが社会を破壊する?
第1章 新しき監視社会――データの力は自由意志をどのように操作しているのか
第2章 「部族」化する世界――つながればつながるほど、分断されていく
第3章 ビッグデータと大統領選――デジタル分析が政治のありかたを揺るがす
第4章 加速する断絶社会――AIによって社会はどうなるのか
第5章 独占される世界――ハイテク巨大企業が世界をわがものとする
第6章 暗号が自由を守る?――国家を否定する自由主義者たち
結論 ユートピアか、ディストピアか
エピローグ 民主主義を救う20のアイデア


このテーマでのバートレットの講演:



で、昨日調べものでamazon.co.jpである書籍のページを閲覧したとき、そのページの下部に、
  The People Vs Tech: How the Internet Is Killing Democracy
  Jamie Bartlett
  ¥320
と表示されているのに気付いた。というか正確には、「¥320と見えたのは見間違いで、¥1,320かな」と思ったので二度見した。

見間違いではなく、Kindle版が本当に320円だった。その場でamazonにログインしてこのKindle版を購入した(そして「デジタル積読」をまた増やしてしまった……)。





何かのセールで一時的に安くなっているのかなと思ったが、確認できる範囲では何の説明もない。

Amazonの著者ページは使い物にならないので、検索して確認してみると、同じ "The People Vs Tech" でも、ISBNがB07BVH6M5Vのものは320円(出版社: Dutton)で、B077JJ8YG7のものは550円(出版社: Ebury Digital)となっている。Duttonは米国、Eburyは英国の出版社なので、320円か550円かは米英の価格の違いを日本円にしたことによる差だと思うが、550円でも安い。

Dutton版:


Ebury版:


完全に一致。出版社名と表記の英米差(大文字の使い方)以外、どこにも違いがない。でも値段が違う。こういうことがあるのでAmazonのKindleで洋書(というか、英語の本)の電子書籍を買うときは注意が必要となる。なお、各ページで確認したところ、ペーパーバックはどちらも同一の価格で、\1,457となっている。

というわけで私はジェイミー・バートレットという英国のジャーナリストの本を米国版で買ってしまったわけだが、こういう分野だから英米の違いはあまり関係ないだろう。文学作品で「英語」が「米語」に直されたりしていると興ざめになることがあるが(一例としてハリー・ポッターの事例)……。

バートレットの英語は特に難しいわけではなくかなりすいすい読めるので、「英語の本はあまり読まないけど、内容は興味あるし、こんなに安いならちょっと読んでみようかな」と思った程度の人でもとっつきやすいと思う。英語の勉強のために読みたいという人なら、日本語訳を参照しながら読み進めることもできるだろう。米国版でも英国版でも、amazon.co.jpの商品ページで「なか見検索」ができるようになっているから、自分に読めるかどうか見てから決めたい人は、中を見てみるのがよいだろう。

なお、バートレットの著書は他にも安く読めるようになっている。



Radicals (English Edition)
Radicals (English Edition)
posted with amazlet at 19.03.03
Cornerstone Digital (2017-05-18)



The Dark Net (English Edition)
Cornerstone Digital (2014-08-17)


バートレットのTwitterより:




なお、楽天KOBOでも見てみたが、"The People Vs Tech" の米国版(Dutton)は322円(「電子書籍はなるべくKOBOで揃えたい」「楽天のポイントを使いたい」などの理由がある人は、KOBOで買ってもKindleと2円しか違わないから、迷うことはない)、英国版(Ebury)は1,213円となっている。一方、Amazon Kindleで400円のRadicalsと、Kindleで500円のThe Dark Netは、KOBOだと1,348円だから、価格差が大きい。
https://books.rakuten.co.jp/search/dt?f=A&kathr=Jamie+Bartlett&mt=0&o=0&cy=0&won=0&h=30&g=101&e=0&v=2&spv=2&s=4&sv=30

jamie-bartlett-kobo.png


KindleにせよKOBOにせよ、専用端末を買わなくてもPCやタブレット、スマホでアプリを使って読むことはできるので(ただし専用端末には扱いやすさ、読みやすさや目の疲れにくさといった利点がある)、あちこちのアプリに蔵書が分散してしまうという煩雑さをいとわなければ、どれで買っても同じだ。もっと小さな版元が出している電子書籍なら、版元のサイトで直接買えばDRMのかかっていないPDFやEPUBで買えることがあったりもするが、この本は大手のPenguin系列なのでそういうこともないだろう。

紙の本(新品)だって、再販制度がなければこのように、それぞれの販売店での価格を比較検討して買うということになるわけだが、日本ではそういうことになる可能性は、今のところ、見えてきていない。断裁する前に市場に出されている過剰在庫のバーゲン本は、同じ本でも店舗によって900円だったり850円だったりするが。

※この記事は

2019年03月03日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 18:00 | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

……全文を読む
▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼