https://threadreaderapp.com/thread/1195616119056293888.html
結論だけ書いておくと、女性の役者さんについて「俳優のだれそれ」と書いているのは、旧来のメディアでは朝日新聞、新興ネットメディアではAbemaTIMESで、ほか、毎日・読売・産経もNHKも「女優のだれそれ」という用語法だった。
かつて、女性の看護師は「看護婦」、女性の警察官は「婦警」「婦人警察官」、女性の保育士は「保母」と呼ばれていたのだが、そういった職業については性別に依らない用語(「看護師」、「警察官」や「警部補」など、「保育士」)が使われるようになってかなり経つ。一方で「俳優」「女優」だけは変わらない(男性の俳優について「男優」と呼ぶのは、特別な場合に限られる。「女優の八千草薫さんが亡くなった」とは言っても、「男優の高倉健さんが亡くなって〇年になる」とは普通言わないわけで)。
英語でも「俳優 actor」と「女優 actress」の用語は今転換期にあるようで、上記threadreaderapp.comにも入れてあるが、英国ではガーディアンが性別にかかわらず役者はactorと呼んでいる一方で、BBCなどは女性の俳優はactressとしている。
今日もガーディアンに女性の俳優/女優のインタビューが出ていたが、やはりactorという用語が使われている。
Australian actor Mia Wasikowska trained as a ballet dancer in her teens before switching careers. In 2010 she was the highest-grossing film star in the world after playing the lead in Tim Burton’s Alice in Wonderland and starring alongside Annette Bening and Julianne Moore in The Kids Are All Right. She has since starred in Jane Eyre opposite Michael Fassbender and as the writer Robyn Davidson in Tracks. Now she plays Judy in Judy and Punch, Mirrah Foulkes’s unruly, subversive, feminist take on the traditional puppet show.
https://www.theguardian.com/film/2019/nov/16/mia-wasikowska-interview-judy-and-punch
ガーディアンは遅くとも2011年9月には、「女性ならば自動的にactressと呼ぶ」というのをやめている。
https://www.theguardian.com/theobserver/2011/sep/25/readers-editor-actor-or-actress
See also:
2014年12月01日 「女の子」でも「女性」でも、「ヒーロー」。
http://nofrills.seesaa.net/article/409903492.html
以上、メモ。
※この記事は
2019年11月16日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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