kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2008年06月05日

「北アイルランド流」で中東も――ブレアが国会議事堂に戻ってきた

先月のロンドン市長選挙で当選したボリス・ジョンソン(保守党)が正式に国会議員を辞した(英国では兼職は法的には可能なのだが、ジョンソンは国会議員を辞めることを市長選で公約にしていた)というニュースがあった日に、2007年に首相を辞し、同時に国会議員も辞めたトニー・ブレアが国会議事堂に戻ってきた、というニュースが、BBC Newsのトップページに出ている。



Key points: Blair grilled by MPs
By Justin Parkinson
Page last updated at 11:58 GMT, Thursday, 5 June 2008 12:58 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/7437338.stm

※タイミングの問題かもしれないが(トップニュースが不動産バブル崩壊のお知らせと、クライベイビーはレアルに行きたいのという話)、ガーディアンのトップページには出てない。UKカテのトップには出ている。
http://www.guardian.co.uk/politics/2008/jun/05/tonyblair.foreignpolicy

5日午前11時から、およそ1時間にわたって、国会の下院(庶民院)で、英・米・EU・ロシアのいわゆる「カルテット」の中東特使(Middle East envoy)として、議員らの質問に応じた、とのこと。

BBCの記事は、その様子の実況中継だ(見た目的には、まるでサッカーの試合の実況テクストである)。

記事は朝9時半からスタートする。国会での質疑応答を前に、今日は朝のテレビ番組に出演し、9時半には記者会見を行なった。9:30のエントリはそこでブレアが述べたことのまとめだ。

0930: Mr Blair has been talking to the media ahead of his return to the Palace of Westminster. He told GMTV earlier that he was "100% supportive" of successor Gordon Brown, admitting that, given the global economic and security situation, it was "difficult for all leaders at the moment around the western world". In a precursor to his grilling by MPs on his Middle East role, he said it was his aim to help resolve the Israeli-Palestinian conflict "the way we did Northern Ireland". The select committee session begins at 1100.


つまり、朝のテレビで「私はゴードン・ブラウンを全面的に支持します。全世界的に経済の面でも安全保障の面でも厳しい状況にある中、西側世界の首脳はみな苦労しています(ブラウンだけがいろいろと大変なのではない)」と述べ、それからおそらくは記者会見の席で (In a precursor to his grilling by MPs)、中東問題 (the Israeli-Palestinian conflict) は「私たちが北アイルランド(和平)を行なったように」解決するよう運んでいきたい、と。

なるほど、30年くらいかけて秘密のチャンネルを通じて秘密交渉を持って、相手を「交渉魔」、つまり、そこに「交渉」があればとりあえず交渉しようじゃないかという集団にするんですね。(つまらない冗談)

北アイルランドで「英国が(=われわれが)」したことって、結局そうじゃん。サニングデール合意(1973年)からセント・アンドリューズ合意(2006年9月)まで、33年間の「交渉」。ブレアは、「歴代首相ができなかった『最後の仕上げ』をしたのは私」と言いたいのだろうけれど(そしてそれは事実だけれど)、なんか本格的に脱力する。

昨年5月に北アイルランド自治政府(ストーモント・エクゼクティヴ)が「再起動」して以来、「北アイルランド和平」を「紛争解決/紛争転換」のプロトタイプにしたいという英国の意思というか方針はずっと明らかだったし、この数週間、というか今年に入ってからずっと、かなり激しい「プロパガンダ」が――「和平の達成」に尽力しただれそれ、みたいなの――BBCなどに出ていたのだけれども、トニー・ブレアの口から「中東紛争を解決するたったひとつの冴えたやり方の鍵は、北アイルランド紛争の平和的解決にある」ということがはっきり語られたのは、これが初めてかもしれない。初めてではないかもしれない。何度も何度もこういう話が繰り返されたので、いろいろと、もう覚えていない。(笑)本人がそう言ったのか、側近がそう言ったのか、ジャーナリストがそう言ったのか、などなど、記憶がごちゃごちゃだ。

いずれにせよ、きっとイスラエルとパレスチナの政府当局者は、ジョナサン・パウエルの「NI和平の内幕暴露本」(→出版時にガーディアンに掲載された書籍からの抜粋のまとめ)を渡されていることだろう。それが目的で出版された本だろうし、それでいいんだろうけど。

1847920330Great Hatred, Little Room
Jonathan Powell
Bodley Head 2008-03-20

by G-Tools


しかし、「中東紛争もNI式で解決」という英国政府の考え方を説明するときに語られてないこともあるのだが――「ETA」。2006年に停戦を宣言する前にNIの当事者(ジェリー・アダムズ、ファーザー・アレック・リードら)がビルバオに入ってETA側といろいろ話をしていた。つまり、それ以上は考えられないほど濃密に「北アイルランド和平」を直接のお手本としているはずなのだが、これって失敗してないか?

ETAとIRAについてはまた見ておく必要があるので、それは別記事にしよう(長くなるので)。

BBCの「実況」記事、2番目の9:45のポストは、こういう質疑応答は通常は一般公開されていて一般の人の見学ができるのだが、今回は保安上の理由から議場に入れるのは議員と記者だけで、一般の人たちは別室のモニタ画面で見ることになる、という解説。それでも大勢の人が集まっているとか。

10:45のポストでは委員会(the select committee)の委員長、LibDemのマルコム・ブルース議員が最初の質問をするだろう、という説明。

11:00、開始。

11:02、最初の質問(マルコム・ブルース議員)でガザ地区の状況はどうか。ブレアの答え「ひどい terrible」、「人道面での状況は極めて深刻 humanitarian situation is dreadful」。

11:07、ブレアの発言。イスラエル側もパレスチナ側もほとんどが two-state solution を支持しているが(つまり、「イスラエル国」と「パレスチナ国」を作る、という方法。オスロ合意参照)、いずれも「現場の on the ground」状況についての妥協はしたくないと思っている。

11:11、ブレアの発言。ハマスを交渉に関わらせることについて、ハマスが状況をいかに扱うか次第だ。

11:15、ブレアの発言。「イスラエルによるガザ封鎖を正当化するためにこの場に来ているのではない」が、「イスラエル政府が検討している案は非常に限りがある」。さらに……日本語にするのがばかばかしいので英文のままで貼り付けるが、People are "less likely to have an extreme view of the world" if they are allowed to come and study in the US and UK, he adds.

……ええと、北アイルランドってUKの一部ですよね。んで、「カトリックがわれわれを乗っ取ろうとしている」ってアジってた人とかいるんですが(イアン・ペイズリー)。「カトリック・コミュニティの連中は全員IRAサポだから合法的な標的だ」とか、「プロテスタント・コミュニティの連中は(以下、だいたい同文)」とか、「紛争」の当事者の証言は枚挙に暇がないほどあるんですが。

ブレアの言っている「北アイルランド(和平)」って、いったい何のことなのだろう。

それから、2005年7月7日のロンドンの交通機関爆破テロの実行犯、彼らはUKで生まれ育った「過激派」だ。「米国や英国に来て勉強すれば過激な世界観を抱く可能性も低くなるだろう」というのがどういうコンテクストで出てきた発言なのかがわからないので(何のつもりで言ったのか……先日、米国がパレスチナ人に対するフルブライト奨学金を中止という報道があったので、それへの牽制の可能性もあるのだけれど、とにかくこの記述からだけではわからない)何ともいえないのだけれども、いずれにせよ、ぽかーんとしてしまう発言だ。

11:17、特使として十分に独立した立場にあるのかとの疑問がジム・シェリダン議員(労働党)から。ブレアの答え、「一般のパレスチナ人は、イスラエルに何らかのレバレッジのある人物を望んでいる」。(つまり「完全な中立」は否定しているのか。正直だなあ。)

11:19、ガザ訪問について、「害になるタイミングではなく益になる (help) タイミングを選ぶ」。今行っても事態を悪化させるだけだということ? 意味がわからない。

11:21、自身の「カルテットの特使」の立場は、自身の行動を報告するという点においては常に何が何でも正式なものというわけではない(英文がイマイチ意味が取れん。質問文がないからか。The former PM says his position as an envoy for the "Quartet" ... is not always "desperately formal" in terms of reporting his efforts.)

11:23、パレスチナの治安能力が確立されなければ、イスラエルが占領を終わらせることはできない、ということが中心的問題である、とブレア。(Oh no, not another mouth-piece! これは「ニワトリか卵か」論争だし、何より非対称性が……あと、パレスチナで民主的選挙をした結果ハマスが第一党になっちゃったんだから、それを認めなければスタートしないのに、それを認めていないという大問題があるわけで、ひどくCatch-22なのだが。)

11:25、ベツレヘムの観光はインティファーダ前の水準に戻っている、と説明。

11:30、特使としては両論を見ることが重要、とブレア。

11:32、イスラエルによる封鎖の効果とハマスの態度に「フラストレーション」がある、とブレア。これも英文の意味がわからない。There is "frustration" at the effect of the Israeli blockade and the attitude of Hamas, Mr Blair tells the MPs. とあるのだが、Whose frustration is it? BBCのテクスト実況がちょっと雑なのだな。

11:33、メールでの一般の人の投稿質問@「お茶ふき」系。BBCは、こんなものを紹介しているヒマがあるのなら、ブレアの言葉のコンテクストを書いてほしい。

11:35、ヘブロンやジェリコーのような場所に工業地帯を作ることについては「楽観的な人より悲観的な人が多い」が、「ただぼーっとしていても仕方がない」とブレア。ということは、ヘブロンやジェリコーに工場とかいっぱい作る計画があるということ?

11:38、またどうでもいい投稿の紹介。

11:45、投稿で、「ブレアはガザ訪問をすべきではない。IRAの和平交渉をした直後にまた英国に戦争とテロをもたらした人物が和平特使とは、片腹痛い」。Ditto.

11:48、ブレアの発言、パレスチナ側の人の大半はもっと大きな自由を心から欲している (desparate) ……って、このテクスト起こしがランダムすぎてそろそろ頭が痛い。当たり前でしょ、移動すらろくにできない状況で。

11:51、「非常に多くの」産業プロジェクトがあり、パレスチナからもイスラエルからも国際的にも投資が見込まれている (will have)、とブレア。

11:53、パレスチナの生活水準と地下水資源が使えるかどうかについての質問に、カルテットはイスラエルとインフラ整備プロジェクトについて合意しているが、水、特にヨルダン・ヴァレー地域の水の利用については長期的視野に立った決定はまだだ、と回答。

11:58、イスラエル側が設置している検問所についての質問で、人の移動をより迅速にするために「アップグレードする必要がある」と回答し、自身が見たところ「少額でも意味のある投資を行なえば状況はずっと変わってくる」と付け加えた。

……えっと、それは検問所を恒久的なものにするということか? つまり、今のあの壁と検問所を、two-state solutionにおける「国境」にするつもりか? 国際法的に違法な状態で建設されたあれを?

考えられる限りで、最悪だ。なんでこんなことが目の前で粛々と進行しているのだろう。

12:02、今月行なわれるベルリン会議は「実に重要なものだ」と述べ、パレスチナの治安のため、法廷や刑務所のある「適切なプラン」が必要とされている、と述べた。治安状況は「武器を持っている人たち」についての限定的な話ではない。パレスチナの人々は、治安機関改革に賛成してくれるだろうとの観測。「非常に困難なこと」ではあるが、「国家とは単に地理上のものではなく」、一体系の法の支配 (a single rule of law) を必要とする。

……このナラティヴの背後には、IRAの "law beyond law" 状態をなんとか解消したという点についての自信があるはずだ。

12:04、ほとんどの「分別あるイスラエル人」は、二国家案が実現されねばならないということをわかっている、とブレア。これ、どんな質問への回答なのかが重要なのに、質問が書かれていない。

12:07、日本語にするのもばかばかしいので英語のまま貼り付けると:If more "confidence" could be built there could be "momentum", the former prime minister says. It is "natural" to start with Gaza, he adds.

……意味がわからない。前半はまったくの一般論、後半でいきなり「ガザから始めるのが自然だ」。BBCの記者のメモ書きなのだろうが、全然読解できない。

12:09、イスラエルとパレスチナの間でのa sort of civil society exchangeを促進することは非常に重要、と発言。(当たり前すぎて、「だから?」と言いたくなるのだが。これ、この後に「具体的には」という話が出てなければ英語のナラティヴとして変なのだが、そこが書かれていない。)

12:11、ああ、これはつっこまれたので反論しているのだろう。これまでパレスチナ側で、ブレアが「占領に法的根拠を与えている」ということを真剣にとらえた者はいなかった、と発言。そして、
He supports an "integrated strategy", involving politics, security, economics and other aspects of life, he adds, arguing there are "parallels with Northern Ireland".


(@_@) 何を言っているのかよくわかりません。NIへの投資やら、NIの観光産業振興やらは、まずは紛争の停止から始まったというのは確かなのだけれども、それが integrated strategy だというのがわかりません。というか、一般論すぎてなぜわざわざここでNIなのかがわかりません。こんなことを言うために出てきたのか?

で、この点でNIと中東にどんな共通点があるのかもわかりません。観光は、本気になれば、中東のほうが人を集める力は強いはず(宗教関連で)。でも水でさえ争わなければならない中東で(その話もしておいて)、NIメソッドが適用できるという考え方がわからない。水は買おうと思えば買えるのだから経済的に豊かになれば、とか考えてるわけじゃあるまいし(そこまでお花畑なのだったらどうしよう)。

第二次大戦から今の中東は、1990年代から2000年代のNIというより、17世紀のアイルランドみたいなことになっているのではないのか、とツッコミを入れたい。

12:13、国際社会において常に最優先すべきは中東だとかなんとか。つまり、「私はこれだけ一生懸命なんです」というアピールだろうが、この発言の出たコンテクストがわからないのでデコードできない。

12:14、終了。

12:19、Oxfamがコメント。「ガザ地区に生活必需品を届けるための尽力はすばらしい。しかし、すべての検問所の開放を実現する新たなストラテジーを見つけていただきたい」という内容。「人道的危機を悪化させ、交渉を失敗させることは何としても避けねばならない」。

いやぁ、BBCの実況にある言葉から判断して、検問所の開放はやる気ないみたいだけど。

13:39、LibDemの国際開発スポークスマンのマイケル・ムーアが、ブレアを批判。
"Tony Blair has ducked the central issue of the humanitarian obligations of Israel and the international community to deliver assistance to the Palestinian people. He was at best ambiguous about Israel's obligations in providing humanitarian access to Gaza. The Israelis' right to security must never be downplayed, but the deliberate isolation of the Palestinians is an outrage that the world should no longer tolerate."

つまり、「イスラエルと国際社会が人道的に負っている義務(具体的には、ガザ封鎖の解除)については深く立ち入らなかった」、「イスラエルのガザ封鎖については、控え目に言ってもどっちつかずの態度だった」、「イスラエルの安全保障の権利は軽視されるべきではないが、パレスチナ人を故意に孤立させることには国際社会はこれ以上我慢できない」。

このタイミングでこんな批判が出てくるような「中東特使」が、NIを語りつつ、中東和平構想をなんちゃらと言っていること自体が、なんともいえない。



ちゃんと書かれた記事(上記のようなメモでなく):
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/7437630.stm
Mr Blair also told the international development committee, which is investigating the humanitarian crisis in Gaza, of the need to keep pushing for peace in the Middle East.

主要議題は「ガザ地区の人道的危機」だったのか。なら、主要議題についてはのらりくらりとかわしただけじゃないか。

これによると、11:19の「ガザ訪問は害になるタイミングではなく益になる (help) タイミングを選ぶ」というのは、エジプトが仲介をしてイスラエルとハマスの間での交渉が進行しているので、その進展を見守りたいとのこと。今ここで自分がガザに行けば、その交渉がポシャる可能性がある、と言いたいのだろう。

だからといって特使として信頼されていないわけではない、とも述べたというから、まあ、よくわかりませんね。自分がイスラエル側と見なされていることは(暗に)認めているのに。

BBC記事の地の文:
His appointment as a Middle East peace envoy for the Quartet - the US, EU, UN and Russia - was welcomed by Israel and the Palestinian leadership of President Mahmoud Abbas, although many ordinary Palestinians viewed him as pro-Israeli.

The appointment drew sharp criticism from Hamas, the Islamist militants now in control of Gaza, who said he had not been honest or helpful while prime minister.

けっこう大変なことをあっさり書くなあ。

で、ブレアの発言についてのBBCの実況に明示されていないのだけれど、「北アイルランド的」なのはここ↓じゃないかなあ。
Mr Blair has always refused to talk to Hamas, although there have been reports of unofficial contact.

つまり、公式には接触を否定しておきつつ、裏ではチャンネルを開いている、と。

北アイルランドについて英国政府がそうしてきたこと(それも30年にわたって)は、ジョナサン・パウエルの本などを見るまでもなく、既に政府の機密指定解除(いわゆる「30年ルール」)で明らかになっているし、「北アイルランドでやったように」というときにはそれが含まれていると考えることは妥当なのだけれども。

もうちょっと抜粋:
"One thing I am absolutely sure is that this issue is even more important than I thought when I was prime minister of this country. It is fundamental to sorting out the region.

"It is fundamental to peace between the world of Islam and the world of the West and it is fundamental, obviously and most importantly, to decent future for Israelis and Palestinians."


"We have to alter the current state of events fundamentally. What we need to do is to get a period of calm, to get a ceasefire in Gaza, progressively to start reopening the crossings, start to get proper humanitarian help through.

"And then build our way back out of this to a situation where the people of Gaza can be helped and secondly, and very importantly, the situation in Gaza does not disrupt other possibilities of progress."


なんか、バラク・オバマの "change" 連発演説みたい。同じ言葉 (fundamental) の繰り返し。でもブレアって演説しに出てきたわけじゃないんだよね、質疑応答であって。

特に「期待」できることはない、ということだけはわかった。

で、ガーディアンだけど:
Blair firm on boycott of Hamas
Ian Black, Middle East editor
Friday June 6 2008
http://www.guardian.co.uk/world/2008/jun/06/israelandthepalestinians.middleeast

BBCと書いてることが少し違うんだ。別なところを切り取ったのだろうけれども。

まず、ハマスがイスラエルを承認し、ロケット攻撃を止めるまではハマスとの交渉は行なわない、と述べたこと。それについての正当性を訴えたこと。
"The Quartet principles are very clear. Without Hamas accepting them it is difficult to see how we can make progress," he said.


ガーディアンのこの記事には、ブレアが国会で質疑応答に答えたその日に、イスラエルの空爆でパレスチナ人の女の子が殺されたことも書き添えられている(パレスチナから迫撃砲攻撃があり、イスラエルで男性が一人死亡し、イスラエルはその報復を行なった)。

また、木曜日のガーディアンでは、前NI担当大臣のピーター・ヘインが、西側はハマスとの対話を始めるべきと主張したらしいのだけど(見逃していた。→We must talk to the enemy, 5 June 2008)、その発言の内容はもっともなことだ――ハマスに対する拒否権が、和平プロセスを麻痺させている。

しかし西側は、ハマスではなくファタハをバックアップし、それによってハマスを孤立化させることを旨としている。ただしEUや英国の外交官のなかには、非公式に、ハマスを和平プロセスに関わらせる必要があると認めている人もいる。そしてイスラエル側にもそういう人たちはいる。

で、ブレアが本気で「NI流」をやりたいのなら、ハマスが交渉の当事者になることは絶対的に必要なことで(NIでIRAやUDA、UVFが当事者となったように)、つまりブレアが国会で説明したことが意味不明だったのは、カルテットで英国の主張(「ハマスも入れよう」)が受け入れられていないからじゃなかろうか。

で、ブレアは「次の米大統領は云々」の話をしているのだけれど、結局、ブッシュ政権での進展はもう完全に諦めているということで、それは自明のことなのだけれど(カレンダーを見ればわかる)、じゃあその間のガザの人道的危機はどうすんの、ということになると、「いやぁ、今はまだその時期ではないんで」とのらりくらりと……。

また、BBCのほうではガザ地区のことだけだったんだけど、ガーディアンのこの記事ではヨルダン川西岸地区のことも出てくる。
Defending his efforts to remove roadblocks and checkpoints restricting movement in the West Bank, he added: "I don't sit here as the person speaking for the Israelis but it's important to understand their point of view."

こんな態度を取るしかない状況で、産業誘致の話とか、よくできるなあ。呆れるやら感心するやら。

Critics say Blair accepts all Israel's assumptions about security and ignores its illegal settlements. But he said: "People on the Palestinian side are just desperate to get some freedom back for themselves and their families."

「パレスチナ人は自由を欲している」という発言がこんなコンテクストでなされたとは、絶望的だ。イスラエルのイリーガルな入植地がイリーガルかどうかはどうでもよくて、とにかく自由を取り戻したいだけ、という話にされている。記事の書き方かもしれないが、この英文からはそう読める。

ガーディアンの記事はもう1本ある。5日付。
Blair returns to Commons to face MPs' questions on Middle East
Andrew Sparrow, Patrick Wintour and agencies
Thursday June 5 2008
http://www.guardian.co.uk/politics/2008/jun/05/tonyblair.foreignpolicy

BBCなどにも書かれているのだけど、「首相を退いてから中東問題に対する認識が変わった、中東問題は思っていたよりももっと重要なものだと認識している」云々があり、「今の状況を根本的に変えなければならない」と述べ、「ガザ地区での停戦を実現させ、段階的に検問所を開いて適切な人道支援を行なうために、一定期間の平穏を実現させなければならない。そして、ガザでの状況がほかの進展を妨げることがないようにしなければならない」と述べた。(BBCの実況ではこういう発言が断片的にメモされているだけで、まったくの役立たずだ。なぜあんなものを大々的に記事にしたのか、意味がわからない……記者ブログのページで十分なのに。)

「数週間前にイスラエルに対し、ガザにもっと燃料を輸送しなければならないと説得していたが、そのときにパレスチナ側から攻撃があって、ガザに燃料を輸送しようとしていたイスラエルの一般市民2人が犠牲となった。これで状況は難しいものになっている」というのが、「一定期間の平穏が必要」という発言の前提のようだ。

つまり、パレスチナ側からの攻撃を止めるのが先、ということになっている。だがそれがなぜ行なわれているのか……ここには、「イスラエルは攻撃されるから反撃しているだけだ」という状況であるのかどうか、という問いが欠落している。本人は考えてはいるのかもしれないけれど。

あとは既に書いたことと重なっているので省略。

あ、ジム・シェリダンの質問の部分は抜粋しておこう。
Labour MP Jim Sheridan questioned whether that absence was down to a lack of trust of Blair by Palestinians, amid criticism of his role in the Iraq war.

"When people talk about whether you are independent or not what they really mean is you are too close to America or Israel," the former prime minister told him.

"But the thing about this peace deal between Palestine and Israel is that it includes Israel and I find ordinary Palestinians know that whoever helps them in this situation has got to have some leverage with Israel and America to be any use in this situation at all.

"All they want is someone to go and help them sort their situation out."


それと、ヘインがNYUで「ハマスを対話の当事者に」と述べたことについては、ブレアが国会に出る前に、デイヴィッド・ミリバンド外務大臣によって「カルテットの立場とは違う」ということでがっつり押さえられていた、と。

ヘインがどういうつもりでNYUでああいうことを言ったのかはいろいろとかんぐってしまうが(NYのアイリッシュ関係のイベントでの発言。NYUのアイリッシュ・コミュニティは9-11でのショックがとりわけ大きかった――消防士や警官にはアイリッシュが多く、犠牲者がたくさん出たこと、「自分たちがサポートしてきたIRAのやってきたこと」の実態を9-11でやっと知ったこと)、前NI大臣としてのヘインが切り込み隊長で、ミリバンドがセーフティネットで、ブレアはそれには直接は触れない、という役割分担ができているのだと思う。何となく。

それと、西岸地区の封鎖状況について。
In the West Bank as many as 612 roadblocks exist, an increase of 236 since 2005. Blair has negotiated the removal of some in recent weeks, starting with a corridor around Jenin. Palestinian security forces will take over a large block of the northern West Bank, which will also be targeted for investment projects, such as a German-funded industrial zone.

As much as £7.7bn has been offered in aid to the Palestinian economy, but the select committee has been told the investment is pointless without freer movement of labour.

西岸地区で、ドイツ資本の工業団地の計画があるのね。でも移動の制限で労働力がなければ工業団地だけ作っても意味がない、と。

西岸地区については、そこから切り崩す方向なのかな。つまりハコモノ的なものを作っておいて、「投資が無駄になった」ということにならないようにして、移動の自由の制限を何とか解決していく、と。

なんかすごい紛争転換なのだが。「北アイルランド流」ですらない。

エドワード・サイードの意見を読むことはもうできない、ということが、こういうときにしみる。

※この記事は

2008年06月05日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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