kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2008年05月08日

よりによってキングズ・ロードで銃撃戦、しかも射殺された「ガンマン」は弁護士、しかもTaser?

何ともいえずショッキングな事件だ。ロンドン、ウエストエンドの高級エリア、チェルシーで銃を持った男が立てこもり、武装警察との銃撃戦になって、男が射殺された(警官に撃たれて病院に搬送され、その後死亡が確認された)。

それが、例えば数年前に立てこもりが発生したハックニーでのことだとか(あれは、私がステイしていた通りから数本行ったところでの事件で、それ自体ショッキングではあったけれども、「うーむ、あそこなら」って感じでもあったのだ。イーストエンドだしね)、テロ法関連で警察の対テロ部門が張り込んでたとかいうのならまだわかるが、チェルシー、しかもキングズ・ロードのすぐそばでのことだ。イーストエンドのギャングはいないだろうし、テムズ南岸の子供ギャングもいないだろうし、テロリストもいないだろう(IRAはかつてチェルシーに潜伏していたかもしれないが、今はいないと思う)。

この事件を私が最初に知ったのはガーディアンの記事(RSS経由):
Chelsea siege ends as gunman is shot dead after firing on police
http://www.guardian.co.uk/uk/2008/may/07/ukguns.ukcrime

防弾チョッキとガスマスク(CSガスを使っていたのだろう)を着けてフラットに入ろうとしている警官隊(10名くらいか)をズームでひっぱった写真(ロイター)がついているが、記事の内容としては古い。最終的に射殺という事態で終わった事件ゆえに(スコットランドヤードが「犯人」を射殺したのは、2005年7月のブラジル人電気技師の人違い射殺事件以来初めて)、IPCCの調査が行なわれることになるということは重要だが。

この記事によると、チェルシーのキングズ・ロードのすぐそばにあるマーカム・スクエア (Markham Square) のフラットで、男が警官隊に3度発砲し、警官の応戦で撃たれ、事後死亡が確認された。男を銃撃したのはスコットランドヤードのCO19隊で――うは、これはどまんなかの特殊部隊――、スタン・グレネードを使って男が立てこもっているフラットに突入したらしい。地域の人たちも閃光を目撃したりしている。

警官隊が現場に到着したのが午後5時少し前。男はそのときにはすでに自宅フラットのある家屋の裏庭で発砲を始めており、警官隊に対する発砲も行なった。警察の交渉人も現場に到着したが、午後9時、9時半にも発砲音が聞かれた。9時半の発砲は男が警官隊に撃たれた直後のもの。

近所の女性の証言では男が撃っていたのはショットガンだという。女性はたまたま家の外にいたが、家の窓ガラスが割れ、部屋に銃弾が入ってきた。音を聞いて上の階に上がると、男が銃をリロードしているのが見えた。女性は「実感がありませんの。明日になれば怖くなるのでしょうけれども、なぜうちに銃弾が打ち込まれるのかまったくわからないのですから。誰が撃っていたのかわかりません。今まで一度もお見かけしたことがございませんもの」と語っている。

で、ガーディアンのこの記事の段階では、警察が男の身元を発表しておらず、ご近所のご婦人がたも「どなたでしょうね」と述べている。

BBCの報道でも、私が見たときは、「男は身元不明」となっていた。今は更新されているので男の顔写真も出ているが……。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/london/7387002.stm

で、私が見たとき、ガーディアンやBBCでは明記されていなかったが、テレグラフの初期報道によるとその男が32歳の「白人」で、従軍経験があるらしい、とも書かれていた。
http://www.telegraph.co.uk/news/1933922/Chelsea-gunman-Police-investigation-launched.html

これを見たときは「チェルシーに住めるようなお金持ちの家に生まれて、サンドハーストに行って、イラクかアフガンか北アイルランドか知らないがどこかでひどい経験をしてPTSDになったか精神のバランスを崩したかした人」を勝手に想像していたのだが、数時間後、私は「えええええーー」となることになる。

射殺された男はオクスフォード大卒の弁護士(バリスター)だった。
http://www.telegraph.co.uk/news/1934958/Chelsea-shooting-Barrister%27s-family-%27stunned%27-at-gun-rampage.html
http://www.guardian.co.uk/uk/2008/may/07/ukguns.london

えええええーーーー。

この件はテレグラフが最も熱心でかつ早いので(早い分、誤報の可能性もあるが)、主にテレグラフを見ているのだが(テレグラフが誤報でないことを確認するためにガーディアンでちょうどいい)、非常にセンセーショナルな事件だからイヴニング・スタンダードとかが元気になっていて、もう、どこに何が書いてあったかわからなくなるくらいだ。記事の数、更新の頻度、いずれもハンパじゃない。ちょうど何ヶ月か前に東京で、警官が女性につきまとった挙句、女性を射殺し、自分も拳銃自殺した事件があったが、あのときの報道のスピードに似ている。

ともあれ、ガーディアンの取材によると、射殺されたのはMark Saunders(マーク・ソーンダーズ)というバリスター。専門分野は家族法(離婚問題)、32歳で、事件現場となったフラットは賃貸(といってもものすごく高いと思う)。オクスフォードのクライスト・チャーチ・コレッジ卒、1999年に弁護士資格を得てQEB Chambersという法律事務所に入り、後に高等法院の判事になるような優秀なQCたちと仕事をしてきた。仕事上の評判もよく、財産の分割の問題の処理をはじめ、家庭内暴力や子供をめぐる争いなど難しい問題も扱ってきた。『家族法』という専門誌に寄稿し、ソリシターに守秘義務などについてレクチャーしたこともあった。
http://www.guardian.co.uk/uk/2008/may/07/ukguns.london1

そして、テレグラフが真っ先に報じたのだが(あとからガーディアンでも報じられた)、彼はTerritorial Army(英軍の義勇予備軍)にいたことがあった。だから銃のライセンスがあって、銃を持っていたのだろう。
http://www.guardian.co.uk/uk/2008/may/07/ukguns.london
Saunders had belonged to the Territorial Army's Honourable Artillery Company for three years until 2002, military sources said.


http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/1935443/Chelsea-siege-How-elite-unit-ended-drama.html
He had a gun licence and is understood to have used a legally-owned shotgun to fire at police and neighbours in Markham Square, off the Kings Road, and may also have used a handgun.


そして、「優秀な弁護士」が近所に銃弾を撃ちこむというひどい暴れっぷりを見せた原因が……夫婦喧嘩らしい。
http://www.telegraph.co.uk/news/1934958/Chelsea-shooting-Barrister%27s-family-%27stunned%27-at-gun-rampage.html
Eyewitnesses have suggested that divorce lawyer Mr Saunders, 32, went berserk after a row with his wife Elizabeth, who is also a high-flying barrister.

At one point during the five-hour shoot-out with police, Mr Saunders threw a box into the street on which he had written "I love my wife dearly xxx".

...

Sources have said Mr Saunders had been suffering from depression and had spent the day drinking in a local pub following a row on Tuesday morning with Mrs Saunders, 40.

つまり、夫人(自身も著名弁護士)とケンカをして出て行かれて、落ち込んで、パブでしたたかに飲んでいた、と。

こういう話になると、お堅い新聞よりタブロイドが張り切っているだろう。そっち方面にはあんまり興味ないからいいや。

で、テレグラフの張り切り方は別の意味でついていけないのだが、ちょっと引用しておこう。
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/1935443/Chelsea-siege-How-elite-unit-ended-drama.html
Snipers and SAS-trained firearms specialists brought a dramatic end to the Chelsea siege in the biggest spontaneous armed operation in a decade.

Nine marksmen returned fire at the gunman, Mark Saunders, in three separate bursts on Tuesday night.

All of them have admitted to discharging their weapons - likely to be Heckler and Koch Carbines, MP5 sub machine guns and Glock 17 pistols - and will be taken off frontline duties pending a standard investigation.

ここまで銃器の名称を細かく書く必要があるのかないのかというと、たぶんないと思う。それより、最初のパラグラフ(というかリード文)の勇ましさは、ほんとに必要ないと思う。

あと、ロンドンの地域メディアに、警察が使ったのは実弾ではなくTaserで、つまり弁護士はTaserで(結果的に)殺されたという話も出ているのだが、それが本当なら大変なことだ(Taserでの死者は英国ではまだ出てないはず)。それはIPCCのほうからちゃんと発表されるだろうから、それまで待つことにする。

※この記事は

2008年05月08日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 02:15 | Comment(3) | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
銃弾で射殺されたのかどうかという点ですが、本文の最後で言及したロンドンの地域メディアだけでなく、BBCでもその点に含みのある書き方がされています。

Dead barrister's test results due
Page last updated at 03:48 GMT, Thursday, 8 May 2008 04:48 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/london/7389234.stm
→魚拓:http://tighturl.com/7uu

It is not known if Mr Saunders died as a result of a police bullet, and the Independent Police Complaints Commission (IPCC) is investigating.

IPCCの発表、そろそろ出るのではないかと思って数時間になりますが、まだです。BBCの上記記事は日本時間で8日のお昼1:00前なのですが、今のところ変化なく……。
Posted by nofrills at 2008年05月08日 20:59
UPDATE:
Results of post mortem tests are expected to be announced on Friday.
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/london/7391091.stm

というわけで、今日、ポストモーテムの結果が公表されることになっています。警察の撃った銃弾なのか、自身の銃弾なのか、はたまたTaserなのか、そのときに判明すると思いますが、報道が「警察が突入したときには既に死亡していた」という話になっていたりもするので、事実関係がよくわからなくなってきました。
Posted by nofrills at 2008年05月09日 15:44
ポストモーテムが出ました。銃弾は少なくとも5発、銃弾の種類は1種類ではなく、本人のショットガンの銃弾による傷はなし。脳、心臓、肝臓、下半身の大動脈に大きな損傷。(そりゃCO19、実質SAS、急所を狙うよね。)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/london/7391858.stm

以下、BBC記事より:
Independent Police Complaints Commission (IPCC) investigating officer Paul Craig told the inquest there were three separate shooting incidents between Mr Saunders and various armed police officers in Markham Square where he lived.

Metropolitan Police Commander Stuart Osborne told the hearing: "The death of any individual is regrettable.

"In such circumstances as these it makes it even more traumatic for those involved."

...

The hearing, which lasted about 10 minutes, was adjourned for four months - the IPCC will then deliver a preliminary report.
Posted by nofrills at 2008年05月10日 02:01

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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