Gay Iranian deportation reviewed
Last Updated: Thursday, 13 March 2008, 17:12 GMT
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7294908.stm
つまり、彼がオランダから英国に身柄を戻されてすぐさまイランに送還される、という危険性は、なくなりました。最悪の場合、オランダからの便が英国に到着して、そのままテヘラン行きに、という可能性も考えられただけに、これはひとまずは「よいニュース」だと私は思います。ご本人はハンストもしているとのことで、精神的にも身体的にも疲労困憊していると思われ、何もしていない自分が「ほっとした」などというのは極めて不適切なのですが、私は感情としては、いくらかはほっとしました。
※
BBC記事の内容:
英国で難民申請を却下されたイラン人19歳男性のケースについて、ジャッキー・スミス内務大臣【注:ジャッキー・スミスは女性なので、以下の「彼」は19歳男性を指す】が再検討を行なう運びとなった。スミス大臣が再検討をしている間、19歳男性のイランへの送還は延期となる。
19歳男性はオランダに渡っていたが、オランダでの難民申請は通らなかった(ため、英国に身柄を戻される)。イランにおいては同性愛行為は違法であり(Homosexual acts are illegal)、この男性のボーイフレンドは自身が処刑される前に男性の名前を告げていた。
スミス大臣は、「19歳男性に代わっての陳情があり、また、当初の決定がなされて以降の情勢の変化にかんがみて、私は彼がオランダから英国に戻され次第、彼のケースについて再検討がなされるべきだと決定した」
再検討を行なうとの宣言のあと、サザーク&バーモンジー選挙区選出のサイモン・ヒューズ議員(Lib Dems)は、19歳男性が英国に戻ってきたら支援していくと断言した。「彼が英国に戻ってきたときには、彼自身とその家族、(難民申請を)専門とする法律家と私で緊急に会合をひらき、内務省への新たな申請を準備する」
以上が手続き的なことの説明の部分。サイモン・ヒューズの発言から考えて、19歳男性に再申請の道が開かれることはほぼ確実だろう。(つまり、ジャッキー・スミスによる「再検討 review」の結果は、「今の結論のままイランに戻す」ということにはならない。)このBBC記事にはヒューズの名前しか出ていないが、ほかにLibDemの議員(MPもMEPも)も動いただろうし、オランダからの働きかけもあっただろう。ひょっとしたら労働党の議員も動いたかもしれない。
そして、これ自体は「最悪」を脱した、ということだ。ここで終わりではない。
BBCの記事では、このあとはゲイ・ライツ団体のコメント(Stonewallのチーフ・エクゼクティヴのBen Summerskillのもの)、欧州全域でゲイ・ライツ団体が動いたこと、などが書かれている。
そして最後に、この19歳男性について、「2005年に英語の勉強のために英国に来たが、ボーイフレンドがイラン警察に逮捕され、ソドミーで起訴されて絞首刑になったと知らされた」といった説明がある。
ボーイフレンドについて、BBCが「ソドミーで」起訴され絞首刑になったと書いているということは、何らかの裏が取れたのだろうか。そこはちょっとよくわからない。
というわけで、一応ほっとしてよいニュースだと思うが、この記事には個人的には大いに不満がある。
一点は、同時期にイランへの送還の可能性はまだ消えないという決定をつきつけられた40歳女性について何も書いていないこと。
もう一点は、この「問題」を「ゲイ・ライツ団体が動いている問題」として書いていること。
これはゲイ・ライツの問題ではなく人権の問題なのだ、となぜ書いてくれないのだろう。欧州人権規約の存在を、なぜ、少しでもにおわせて書いてくれないのだろう。
個人的には、私は彼がゲイだからこのことに関心を持っているわけではない。ゲイだからという理由で迫害されるおそれが非常に高い場所に送り返されようとしている人間だから、だ。(「ゲイだから」という方向性は、私には、「アンチ・イスラム」の潮流とあまりに親和性が高く、あまりに危険なもののように思えてしかたがない。)
ま、こんなところで私のような、英国籍でもなくレジデントでもない一個人が「関心を持った」からって、何も「解決」などしないのだが、せめて書き留めることくらいはできるのだ。
※この記事は
2008年03月14日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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