「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2008年02月22日

イラン人男性の英国による強制送還の可能性をめぐるオンライン署名の日本語化

当方の過去記事をご参照くださった「FemTumYum」さんの22日エントリ「その発言がどのような行為となって誰を脅かすのか:イラン人青年強制送還をめぐって」、およびそのエントリで取り上げられている「にしへゆく」さんの20日エントリに関連して、ないよりはあった方が役に立つのではないかという主旨で、英→日の日本語化。

具体的に言うと、「にしへゆく」さんの20日エントリで紹介されている「オンライン署名」の文面の単なる対訳。

「署名をしようと思っているけれども、何が書かれているのかがわからないので署名ができない」という方がおられたら、是非参照していただきたい。

「そもそもこれは何の話なのだ」という方は、「FemTumYum」さん「にしへゆく」さんのエントリをご参照いただきたい。(当方のこのエントリではその点については扱わないが【→といいつつちょっと書いた。エントリの下の方を参照】、簡単に書いておくと、今オランダに身柄があるイラン人男性が、過去に英国で難民申請を却下されており、英国ではヴィザ切れの状態で、オランダから英国に身柄を移送されれば英国からイランに送還される可能性が高い、という状態。)

署名のやり方の図解:
ipetitionhowto.png

上記を入力して送信すると次のようになりますが、サイト維持費の寄付をしない人はそのままウィンドウを閉じてOKです。
ipetitionhowto2.png

元の文書:
save MAHDI in UK
http://www.ipetitions.com/petition/UKMADHI/

以下、全文対訳(多少の意訳あり)。なお、原文の段階から人名の表記ゆれ or タイプミスが見られるが(Mahdi, Mehdi, Madhi)、日本語の文では「メフディ」に統一した。また、文中【 】で記してある部分は訳者による補記である。

なお、このペティションが「誰宛て」であるのかは日本語化した私にも正直よくわからない。個人的には(というか常識的に判断して)、文面に "TO EVERYONE;" とあるのだから、上記ページに名前とメールアドレスを書き入れて送信することは、嘆願書を書いた人に向けた「参加表明」のようなものだと思っておいてよいのではないかと思う。

In a nut shell he came to England on a student Visa to study, his boyfriend in Iran was caught out and executed, and under torture gave Madhis name.
状況を簡単に説明します。彼は学生ヴィザを取得してイギリスに渡りました。イランにいた彼のボーイフレンドは当局に捕まって処刑されましたが、拷問を受けてメフディの名前を当局に知らせてしまいました。

Madhi made an application for asylum in England , but was refused.
メフディはイギリスで難民申請をしましたが、却下されました。

He tried to go to Canada , but was caught by the German border police and has been in the Netherlands , who as you know give Iranian gays special group status.
彼はカナダに渡ろうとしましたが、ドイツの国境警察に捕まり、それからはオランダにいます。オランダは、みなさんご存知と思いますが、イランの同性愛者を特別の集団として扱っています。

Unfortunately, the UK is demanding him back under the Dublin Treaty, and he is due on the 26th
しかしイギリスはダブリン条約を根拠として彼の身柄の引渡しを求めています。引渡しは26日の予定です。

His fate from then is unknown, but will definitely be deported back to Iran , where undoubtedly face torture and execution.
そのあとで彼がどうなるかはわかりません。しかしイランに身柄を送還されることは確実です。そしてイランでは拷問と処刑が待ち構えていることは疑いがありません。

I have done a petition to the home office and prime minister here and also trying to get Amnesty International involved, as well as putting pressure on the Dutch not to send him back ( Try http://www.minbuza.nl/en/contact and on the left click the tab for "Contact Visas and Legalization" ) by asking people to Please help out by sending a letter of protest or a plea concerning Mehdi Kazemi to the Netherlands Ministry of Foreign Affairs, Division of Aliens, Visas the Movement of Persons, Migration and Alien Affairs Department (DPV/VV).
私はここで、内務省と首相あての嘆願書を作りました。またアムネスティ・インターナショナルにもこの件について関わってほしいと連絡していますし、オランダに対して彼を【イギリスに】送り返さないでほしいと要請してもいます(http://www.minbuza.nl/en/contact で、左側のタブをクリックして、 "Contact Visas and Legalization" を見つけてメールを送ってください)。みなさんもどうか支援をお願いします。オランダの外務省、外国人・査証・人の移動・移民・外国人問題局に対し、メフディ・カゼミについての嘆願もしくは抗議のメールを送ってください。

“TO EVERYONE;
「みなさんへ:

This is a plea to save an Iranian young man who is to be deported back to the UK from the Netherlands , under the Dublin treaty.
これは、ある若いイラン人男性を救ってほしいとの嘆願です。彼はオランダからイギリスに送還されようとしています。根拠はダブリン条約です。

Mahdi has already been refused asylum in the UK and shall certainly face horrific torture and most likely execution if the British government is allowed to send him back to Iran .
メフディは既にイギリスでは難民申請を却下されており、イギリス政府が彼をイランに送り返すことが許されるなら、彼は恐ろしい拷問を受けることは確実です。処刑される可能性も極めて高い状況です。

A campaign must be started to prevent this from happening, especially as the young lad had already suffered and is now going on a hunger strike.
このようなことが起こらないよう、キャンペーンを始めなければなりません。この青年は既に苦しんでおり、今はハンストを始める構えです。

Your support, and advice is requested as if we in the west allow this fellow homosexual man to be executed, then we are no better than those who actually perpetrate the crime, for sexuality is as much a fundamental right as any other.
西洋にいる私たちが同胞であるこの同性愛男性が処刑されることを許すのなら、私たち自身が、【処刑という】犯罪をおかす者と何も変わりがなくなってしまいます。あなたのご支援とアドバイスが必要です。セクシャリティは、他の何にもまして、根源的な権利です。

I implore you, to make your voice heard as it can and shall make a difference.
どうかお願いします。あなたの声をできる限りの範囲に届かせてください。そして事態を動かしてください。

Please help and support this young man who has gone through hell and back and faces certain punishment if not worse if he is returned to Iran , due to the barbaric regime and his well publicised case.
彼は既に地獄を経験しています。そしてイランに戻されれば、少なくともある種の罰は受けます。あの暴力的な政権が広く知られた彼のケースを見過ごすはずはありません。この青年を助けてください。

I would appreciate any suggestions, and feel that a campaign is immediately mounted to draw attention to this matter and save the deportation.
私に対するアドバイスがあればどんなことでもお寄せください。この件に対する注目を喚起し、送還を止めるための動きはすぐに拡大していくと私は思っています【ので皆さん、よろしくお願いします】。

Please do not let another fellow Homosexual human being suffer just for his sexuality that we take for granted in the West.
自身のセクシャリティのために、同胞である同性愛の人間が苦しむというようなことを、また起こさせないでください。西洋にいる私たちが自身のセクシャリティを当たり前のものとしているときに。

This case needs as much media and individual pressure as possible and your help and assistance is requested.
このケースは、最大限のメディアによるプレッシャー、草の根的プレッシャーを必要としています。どうかご支援をお願いします。

Further information on Madias case can be found on the Web and also under my name, if you need further background.
彼の件についてより詳しいことを調べたい方は、ネットで検索してください。私が書いた記事があります。

PLEASE, PLEASE do not let the British Government send another Iranian to his death.
どうかお願いです。どうか、英国政府にまたイラン人を死へと送るようなことをさせないでください。

Yours Sincerely
敬具

Omar Kuddus”
オマール・クドゥス」

“ I had a call from Mehdi this morning 18/02/08 11.00 am UK time, He informed me that he is due to be deported to the UK on the 26th Feb 2008. from Schiphol ( Amsterdam Airport ) 8:00am local time to Heathrow ( London airport) i would imaging 8.30am local time.
「2008年2月18日、英国時間で午前11時にメフディから電話をもらいました。彼は、2008年2月26日の現地時間午前8時に、スキポール(アムステルダム)空港から英国のヒースロー空港に送還されることになっているそうです。英国には午前8時半ごろでしょう。

He is in a very depressive mood and they had to put him on a suicide watch.
彼はひどく落ち込んでいて、【オランダの入管当局では】自殺しないように監視をつけなければならない状態です。

He is planning to go on hunger strike, he told me and I am extremely worried about him.”
彼はハンストを開始するつもりだと言っています。非常に心配です。」

I enclose a brief on his back ground,
彼の背景について、少し書いておきます。

Below is part of his story as published in ukgaynews. Go to http://www.ukgaynews.org.uk/Arch.../April/ 1801.htm 【注:原文でリンクが壊れている箇所、あとで調べて補います】for the full story.
以下は、ukgaynewsにアップしたものの抜粋です。全文は【注:原文でリンクが壊れている箇所、あとで調べて補います】にあります。

Capital Punishment is an inhuman retribution and contributes to the vain circle of violence and retaliation within society. Especially when totalitarian regimes use execution as a legitimate means to oppress, diminish and murder their minority groups. On the other hand, psychological side-effects of executions, in short and long terms, are damaging to the victims’ survivors as well as to the executers of the punishments. Add to this the fact that execution reduces society’s sensitivity against violence and violent behaviour. For the foundations of a civil society, for democracy and establishment of human rights, to respect the rights and the safety of alternative and freethinkers and to promote a non-violence culture, the omission of capital punishment is the first and foremost step.
極刑というものは、非人間的な報復であり、社会の中で暴力と報復の空虚な連鎖を生じさせる。特に全体主義的政権が、抑圧の合法的な手段として処刑を利用する場合には、その国のマイノイティ・グループを数的に減らし、殺害する。一方で処刑による心理的副作用が、短期的なものであれ長期的な者であれ、処刑された人の後に残された【家族や友人といった】人たちも、処刑を実行する人にも残される。これに加えて、処刑はその社会の暴力や暴力行為に対する感覚を鈍らせる。市民社会の基礎として、民主主義と確立された人権のため、主流とは異なる人々や考え方が既成の枠にはまらない人々【or 単に「無神論者」でいいのかも。文脈がないから判断できない】の権利と安全を尊重するために、そして非暴力の文化を促進するために、極刑の廃止は最優先されるべき事柄である。

We may have different political, social and cultural believes and objectives, but we all have come to agree on one point, and that is, the importance of abolishment of capital punishment for the sake of Iranian society.
私たちはそれぞれ、政治的、社会的、文化的に違うことを信じ、違うことを達成したいとおもっているのかもしれません。しかし私たちはみな、この点では同意しているのです――つまり、イラン社会のために極刑を廃止することが重要である、ということ。

We urge everyone to get involved actively in a wide spread war against capital punishment in Iran and help achieve this national goal through joined efforts of all, Iranians, especially the Homosexual community.
イランにおける極刑との戦いに、すべての人に関わってほしいと思います。どうかイラン人、特に同性愛者たちと力をあわせて、この国家的な目標の達成を実現させてください。

Sexuality is as important a fundamental right as all others and should be respected.
セクシャリティは最も重要で基本的な権利であり、尊重されなければなりません。

※以上、英文として存在している文書の単なる日本語化であり、この内容がこの日本語文書を置いている当ブログの管理人(=私)の考えと一致するとは限らないし、一致しないとも限らない。そのことについての意見はここで書くつもりはない。ただし明らかな誤訳や誤変換などのご指摘は歓迎。正直、「読みやすい英文」ではないのでちょっと迷ったところもある。

またちょっとあとで注みたいなことを書き加えるつもり。「ダブリン条約」とか。→めんどくさくなっちゃったんで「ダブリン条約 難民」でググってください。英語では、"the Dublin Regulation" です。これは結果的に難民申請の門を狭める条約です。(それがよりによって欧州最大規模の難民を出してきたアイルランドのダブリンで調印されたという皮肉。)



ちょっと追記。

この嘆願書を書いたOmar Kuddusさんが書かれたものを少し見てみた。見てみた限りでは、ほんとにひとりで、法律的なバックグラウンドもなく動いているように見える。アムネスティ・インターナショナルのUK支部には連絡をして、「彼がまだオランダにいるのなら弁護士と話をして、UKへの送還への異議申し立てができないかどうかを確認する」、「彼がオランダの決定を覆せずUKに戻された場合は、UKでイミグレ専門の弁護士に相談を」といったアドバイスを、具体的な連絡先つきでもらっている。

昨年12月の記事が同じ19歳の男性についての記事、昨年10月にはイラン大統領による「イランにはゲイなどいない」発言などについて書かれた文章。

それから:
現在のところ、メフディ・カゼミさんを支援する団体・ネットワークの存在は、確認できていません。
http://d.hatena.ne.jp/Ry0TA/20080220/1203504301

私もさっき調べてみたけれど、イミグレ法が専門の弁護士がついている難民・移民の支援団体などが彼の件について活動しているということは確認できない。

昨年の非常によく似たイラン人女性の事例では、当該のイラン人女性が英国にわりと長く滞在していて地域でいろいろと活動をしていたりしていたが、今回の19歳男性のケースでは、年齢も若いし、滞在していたのはおじさんの家で通っていたのが英語学校とのことで、たぶん地域のネットワークもなければステューデント・ユニオンもない状態だったのではないかと思う。難民申請も、支援団体に相談せず単独でソリシターを頼んで行なったのかもしれない。

本人が難民申請をしたころに書いた文章が、イラニアンの同性愛者のサポートサイト(在北米)に掲示され、UK Gay Newsに転載されている。
http://www.pglo.net/IRQO/English/pages/43.htm
http://www.ukgaynews.org.uk/Archive/07/April/1801.htm

一部文章が欠けているようにしか見えない箇所もあるが(コピペの失敗という感じ)、「にしへゆく」さんのエントリにある通り、1988年テヘラン生まれで、お父さんは店をやっている事業家。17歳でテヘランで高校まで終えていた2005年9月15日に渡英し、ロンドンのおじさんのところに滞在して有名な英語学校(Leicester Square School of English)で2ヶ月、そして2005年11月にブライトン&ホーヴ(イングランドの南の海岸沿い)に移って、別の英語学校(Embassy CES Collegeのブライトン&ホーヴ校に通う。で、最初の入国時のヴィザが6ヶ月だったので、それが切れる前に2006年11月まで延長した。難民申請はそのヴィザが切れる直前にしているみたい(I am currently living in he UK on student visa which is due to expire in November 2006. I now wish to claim asylum in the UK)で、ここまではまったくイミグレ法的に問題ない。

このときに出した難民申請がその後却下され、そのあとのアピールをしているのかどうかはわからないけれども、「難民申請手続き期間中は仮ヴィザ」というのがあるんだけど、それが切れた後なのか前なのかもわからないけれど、カナダに行くつもりで英国を出てオランダ、ドイツへ。でドイツの国境で国境警察に身柄を押さえられてオランダで拘留中。予定では2月26日にオランダから英国に戻される。そのあとはイランへ、という線が規定路線。

彼が英国に行ったのは、自分の意思ではなくてお父さんに勉強してきなさいと言われてのことで(この家は息子は彼だけらしい。優秀な跡継ぎにしたかったのだろう)、彼は15歳のときから同級生の男子と隠れてつきあっていたから(家の人とかは単に「仲の良い同級生」だと思っていた)、本心では留学はいやだった。でも親にはさからえないから、学校が休みに入ればイランに戻れるのだからとしぶしぶ留学して、ボーイフレンドとはメールをしていたのだが、そのメールが2005年の年末に途絶えた。当初は「どっか田舎にでも行っていてネットが使えないのだろう」と思っていたが、2006年3月にテヘランの父親がロンドンのおじに電話して、ボーイフレンドが当局に逮捕され、彼の名前を当局に言った、当局がうちに来て息子を探していった、と告げた。息子への電話で、父親は激怒していて、テヘランに帰ってこい、帰ってきたらぶちのめすという勢いだった。おじさんは英国での生活が長く頭も柔らかい人で事情を説明したが、彼はとにかくお父さんとイラン政府当局が怖かった。(このとき18歳だ。)

2006年4月ごろ、ふたたび父親からおじさんへの電話があり、ボーイフレンドが処刑されたと告げた。本人への電話でおじさんは、父親も当局を恐れていること、イランに戻ったら彼の身が危ないことを伝えた。このときに彼はおじさんに、ボーイフレンドが同性愛者であることが当局にわかったのはなぜかと尋ねた。おじさんの説明では、ボーイフレンドはある男性と一緒にいるところを捕まり、尋問(といってもハンパではないはずだが)で、これまでに関係のあった男性の名前を告げてしまった。このときに彼の名前が当局に伝えられた。(この「当局」は、仮にSAVAKでないにせよ、「風紀取締り警察」のようなもので相当キビシイのではないかと個人的には思う。)この段になると父親は事態のあまりの深刻さに、息子にはイランに戻ってくるなと伝えてくれとおじさんに話していた。

「EU基本権憲章」には、「あらゆる人は生命に対する権利をもつ。何人も死刑を求刑され、または執行されてはならない(第II条2)。何人も、死刑、拷問又はその他の非人道的もしくは尊厳を冒すような処遇もしくは刑罰を受けるであろう重大な危険がある国へ、退去、追放または引き渡されてはならない(第II条 19)」とある。この憲章は、昨年末のリスボン会議で法的拘束力を持つものになろうとしている(ただし現行の国家の法律に影響を与えたり、それを変更させたりする力はないらしい)。

それでもEU加盟国から「重大な危険がある国への引渡し」は行なわれている。まあ、調べれば調べるほど、今のEUの「人権」への取り組み方は決してユニヴァーサルなものではない、ということがわかるだけではないかと自分では思うので、単に調べるだけでも心理的にかなりきついのだが。

一方で、調べものをしていたらこんなのを見つけてしまったので脱力だ。
Gay Asylum Seeker Wins Fight To Stay in UK
http://gay_blog.blogspot.com/2008/02/gay-asylum-seeker-wins-fight-to-stay-in.html
A GAY asylum seeker yesterday overturned a decision to kick him out of the country.

Andrei Ivanov, 24, says he will face discrimination if he is sent back to his native Moldova.

Police there beat him up after he was seen holding hands with another man, he claimed. He also received death threats.

After being warned his home would be torched, he fled and was smuggled into Britain ...snip...

元記事

このモルドバの男性のケースで、男性に対して「家燃やすぞ」と脅したのは国家の当局らしいけれども、「家燃やすぞ」と実際にことばがあったことをこの人はどう証明したのだろう。そして、モルドバでの「家燃やすぞ」は、イランのような警察国家の「逮捕するぞ」のほのめかしよりも深刻な何かを意味するのだろうか。

なお、つい最近読んだニュース記事で、背景がよくわからないのだけれども、年輩の男性カップルが「出て行かないと家焼くぞ」と脅迫されているというケースが英国内(北アイルランド)にある。

なお、「ゲイに対する偏見から発する一般人による暴力」と、「国家による暴力」とは区別をしておかないとというのが私の考えだ。まず、このケースは「難民」をめぐる問題として扱われるべきだが(最終的には彼がイランではないどこかに、迫害のおそれのない居場所を得ることがゴール)、「難民」の制度は、少なくとも現行のそれは、「迫害の惧れのある国」から脱出した人を、別の「国」が受け入れる、という制度だからだ。その「迫害の惧れのある国」における「迫害」とは、「国家による迫害」である(「難民の地位に関する条約」(難民条約)の対象の難民は、「人種・宗教・国籍・政治的信条などが原因で、自国の政府から迫害を受ける恐れがあるために国外に逃れた者」とされている)。現状はこれですらなんだかんだ理屈をつけて「迫害なんかないから大丈夫」視されているということ。この国際法の軽視。何たることか。

もうひとつ、少し位相の違う話になるかもしれないが、「国家による暴力」を「一般人による暴力」と切り離して考えることの必要性を私は重視するから。じゃないとブラッディ・サンデーのように国家権力が組織的に一般人を射殺した犯罪も、IRAが一般人を射殺した犯罪も、ギャングが一般人を射殺した犯罪も、「一般人への暴力」という点で等価ってなことになってしまうのだが(「人殺しは人殺しだ」みたいなね)、それはおかしいのだ。それに、「一般人による暴力」は多くの場合はその暴力自体が違法行為であり、暴力を行使した側が罰される。イランのような国で「同性愛者が処刑されること」を、日本や英国のような国で「同性愛者がホモフォビアな暴力にさらされること」と同列に並べることは、その国の法律で「犯罪」とされている行為は何なのかを見落として、単に「暴力」という抽象名詞で物事を語り理解した気になってしまうという危険性をはらんでいる。(イランでは公然とした同性愛行為そのものが犯罪として罰の対象とされている。それは、変なたとえだけれど、家を持たないことが犯罪とされている国があると仮定した場合、「若者の集団がホームレス男性に暴行」といったケースでの裁判で、「若者の集団」に暴行罪が適用され、同時に暴行の被害者の「ホームレス男性」も「家を持たない罪」で有罪となる、というような話だ。実際、UAEだったか、知り合いに騙されて車に連れ込まれて車内で男の集団に強姦された欧州のある国の少年が罪に問われているという報道をしばらく前に見た。→あった、IHTのこの記事だ。)(このたとえ話は、「ホームレス男性に暴行」といったことを肯定するつもりで書いたものではない。念のため。)

だからエントリの最後の「デリーのクレガンで年輩の男性カップルが脅迫されている」件については、その上の「モルドバ人男性の難民申請認可」の件からのつながり、ということで読み流してください。新教だろうと旧教だろうと創造論がかなり高い割合で信じられているような北アイルランドの話なんて出せば出しただけややこしいくなるんだけど、なんていうのかな、英国のイミグレには「ゲイへのいやがらせなんてどこにでもあるでしょ、うちに来られてもやっぱりあるよ」という言い訳として使われそうな気すらするしね。イランの彼が直面しているのは「ゲイへのいやがらせ」や「一般人による暴力」ではなくて、「国家による組織的な迫害(の可能性)」であり、どっか別の国家がその国家にその人物を送還するなんてことがあっちゃいかんのです。EU基本憲章にあるとおり。

で、本来ならばここにはこんなことではなく、「オランダの政府の当該部局にかくかくしかじかのメールを出した」ということを書くことができていてしかるべきなのだが、残念なことに、私はそれをまだ書くことができていない。原理原則論でいうなら「EU基本憲章にあるとおりに行動してください」で書けそうなものだが、ダブリン条約との整合性をどう見たらよいのか、さっぱりわからない。(頭が悪すぎる。基本憲章がlegally bindingになったのは昨年末のリスボン条約のときだが、ダブリン条約は10年物だ。こういうときはどっちがどうなのだ。)(←ご存知の方、コメント欄で教えてください。)

少し寝ることにする。正直、21日と22日はディエゴ・ガルシア島のCIAの拷問特別便の件などで疲れた。(ジャック・ストローってよく平気でいまだに閣僚でいられるよな。)

ついでにいうと、今のUKの内務省の強硬路線は異常で、「病人なら車椅子に乗せて送還すればよろしくってよ」がブラックコメディではなく現実だ。そのへんのことは「イミグレ」のタグをつけていろいろ書いてるんでご参照を。

※この記事は

2008年02月22日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 21:56 | Comment(7) | TrackBack(1) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
アップデート。
昨年、英国で難民申請を認められず送還の危機にあったイラン人女性の件で動き、その後もイランにおける「ソドミー行為」での死刑に反対し、活動を続けているイタリア(EU加盟国)のGroupEveryoneが、今回の19歳男性の件でも動くそうです。今後の支援活動などはGroupEveryoneが指揮することになるだろうから、そちらに注目を。

GroupEveryone(イタリア語と英語):
http://www.everyonegroup.com/

同グループの支援について:
http://d.hatena.ne.jp/Ry0TA/20080225/1203898560

同グループのプレスリリース(英文とその日本語訳文):
http://www.delta-g.org/news/2008/02/post-82.html
※これで細かいことがわかった。現状としては、英国がオランダに対し、正式に身柄引き渡しを要請している段階(the United Kingdom has now sent a formal request to Holland asking for Mehdi's return to Britain - according to the Treaty of Dublin, and according to regulation CE 343/2003, in order to proceed with his deportation to Iran.)。GEのプレッシャーの方向としては、EUとUNHCR経由で英国(最近やたらと強硬な「強制送還」を連発している)、ということかと。なお、このケースではプレッシャーをかける相手はイランでは*ない*ので、その点はご留意を。

同グループが身柄の保護を求めていたにも関わらず死刑が執行されたケースについての同グループのステートメント(2007年12月):
http://www.everyonegroup.com/EveryOne/MainPage/Entries/2007/12/6_Iran._The_death_sentence_of_Makwan_has_been_carried_out.html
Posted by nofrills at 2008年02月25日 13:31
どうか、無事で ありますように。
そして、ホモフォビアが この世から消え去ることを 心から望みます。

God Bless Us.
Posted by honda tomona at 2008年02月25日 20:45
Google Newsで見てるんですが
http://news.google.co.uk/news?ned=uk&hl=en&ned=uk&q=%22Mehdi+Kazemi%22&btnG=Search

オランダから英国への身柄引き渡しの26日を過ぎて27日の午後(欧州時間)まで待ってみたのですが、特に新しい話はありません。

英語ではダメそうなのでオランダ語で探したら
http://news.google.co.uk/news?ned=nl_nl&hl=nl&ned=nl_nl&q=%22Mehdi+Kazemi%22&ie=UTF-8&scoring=n

次の記事がありました。オランダ語と、それをfreetranslation.comの機械翻訳で英語にしたもの(オランダ語と英語なんてものすごく近い言語なのに、ほとんど意味不明)を並べておきます。

Iraanse homo-tiener terug naar Engeland
http://www.gk.nl/index.php?id=9&a=bericht&bericht=4464

オランダ語:
Ondanks pogingen van D66-kamerlid Boris van der Ham ziet het er toch naar uit dat de 19-jarige Iraanse homo-tiener Mehdi Kazemi vandaag op het vliegtuig naar Engeland wordt gezet.
英語:
Despite attempts of D66-kamerlid Boris van of the Ham sees it it really to from that the 19-birthday Iraanse gay-teen-ager Mehdi Kazemi today on the airplane to England becomes gezet.,.
内容(推測)※ほとんど意味不明です:
ボリスなんとかさんが努力はしたが、カゼミさんは今日、イングランドに送られる(??? 時制すらわからないので「送られることになっている」のか「送られた」のかも不明。)

オランダ語:
De jongen was eind vorig jaar naar Nederland gevlucht omdat zijn asielaanvraag in Engeland was afgewezen. Hij vreesde bij terugkeer in Iran de doodstraf door steniging.
英語:
The boys was end last year to the Netherlands fled because its asylum request in England had been refused. He feared by return in Iran the death penalty through steniging.
内容:
カゼミさんの状況についての説明。英国を脱してオランダに来たこと、イランに戻れば死刑になるおそれがあること。

※長いので一気に投稿できないため、もうひとつ下のコメントに続く。
Posted by nofrills at 2008年02月28日 03:37
オランダ語:
Het Britse parlementslid Barones Sarah Ludford (foto) heeft inmiddels het Engelse ministerie van Binnenlandse zaken opgeroepen om op zeer korte termijn de zaak van de jongen te herzien.
英語:
The British member of parliament Baroness Sarah Ludford (photograph) has called up meanwhile the English ministry of Interior affairs to revise on very short term the affair of the boy.
内容(推測):
英国のバロネス・セアラ・ラドフォードが、内務省に対し、カゼミさんの申請の処理についての見直しを要請した(らしい。ほんとか? あとで英語ニュースを見る)。

オランダ語:
Baroness Ludford, die in het Europarlement namens de liberaal-democraten woordvoerster is voor justitie: "Het is hoog tijd dat het ministerie van Binnenlandse zaken erkent dat homo's en lesbiennes uit Iran ernstig gevaar lopen als ze worden gedeporteerd naar hun thuisland. We kunnen niet stellen dat we in een liberale en moderne maatschappij leven, terwijl we tegelijkertijd asielzoekers het land uitjagen die dan omwille van hun geaardheid de dood moeten vrezen door steniging."
英語:
Baronesses Ludford, that in the euro parliament on behalf of the liberal-democrats spokeswoman is for justice: "It is high time that the ministry of Interior affairs recognizes that gays and lesbiennes from Iran serious danger walk as they be deported to their home country. We can do not let us assume that we in a liberal and modern society live, while we at the same time asielzoekers the country uitjagen that then because of their character the death must fear through steniging."
内容(要約):
LibDemの欧州議会議員であるバロネス・ラドフォードは(←ここ、あとで事実かどうか確認)、「内務省はいいかげんに、イランの同性愛者は深刻な危険にさらされているということを認識すべき」などと話した。

……ううむ、これはバロレス・ラドフォードの発言について調べる必要はありますね、最低限。しかし英下院議員ではなく欧州議員で、労働党ではなくオポジションの保守党でもなくLibDemで、というあたりをどう解釈すべきか。あとバロネス・ラドフォードがどの選挙区の人なのかとかも。

それと、英語のGoogle Newsに出ていた記事経由で、25日のイタリア、ローマでの抗議行動(英国大使館前)の様子:
http://paulcanning.blogspot.com/2008/02/video-italians-protest-uk-deportation.html

んー、英国内は外務省と内務省は「対立している」といってよいような状況なので(ブレア政権の末期に明らかになったのだが)、外務省にプレッシャーをかけてどうなるものかという点では個人的にはうーん。しかも今、外務大臣はデイヴィッド・ミリバンド。ミリバンドが「西洋的価値観」を言い出したら、イスラームの「悪魔化」に拍車がかかるような気がするのだが(妄想か?)、私はその方向へは加担したくない。
Posted by nofrills at 2008年02月28日 03:38
Baroness Sarah Ludford MEP
http://www.sarahludfordmep.org.uk/
http://en.wikipedia.org/wiki/Sarah_Ludford%2C_Baroness_Ludford
英上院議員を兼務。地盤はイズリントン(a Life peer as Baroness Ludford, of Clerkenwell)。MEPとしての選挙区はロンドン。(今回のイラン人男性の場合、おじさんがロンドンに住んでいるということなのでその関係かもしれないが、労働党の議員が動かないということは吉兆ではないような気もする。ていうか労働党の動きがまったくわからない。)

http://www.libdems.org.uk/party/people/baroness-sarah-ludford.html
LSE卒(International History)、1972年にEuropean Studiesでマスター・ディグリー取得。その後国家公務員となり(ホワイトホールでのキャリア)、バリスター(弁護士)の資格を得て、1979年から85年にRoy Jenkinsのもとでan official of the European Commission in Brussels、という「ユーロクラット」のひとり。現在は、the Alliance of Liberals and Democrats for Europe (ALDE) group on the European Parliament's Justice & Home Affairs Committee をつとめる。また、難民・移民をめぐる問題にとりわけ深く関わっており、欧州議会のクルド人ネットワークのコーディネーターをつとめている。(ついでに、本題とは関係ないけれども、CIAの「拷問特別便」や「秘密基地」を調査する欧州議会の委員会の副議長でもある。これは、この方は「人権」の専門家ということで間違いない。)

それだけではなく、欧州議会の「同性愛者の権利インターグループ」のメンバーであり、英LibDemの欧州司法スポークスパーソンでもある。

バロネス・ラドフォードご自身の声明:
UK must not deport homosexual asylum seeker to face execution in Iran
5.11.05pm UTC (GMT +0000) Mon 25th Feb 2008
http://www.sarahludfordmep.org.uk/news/000991/uk_must_not_deport_homosexual_asylum_seeker_to_face_execution_in_iran.html
[quote]
"Jacqui Smith must recognise and act on the real threat of persecution and even execution which Mr Kazemi would face if he was to be deported to Iran. As with Ms Pegah Emambakhsh, an Iranian lesbian who was granted a reassessment of her own asylum case after I and other parliamentarians intervened, we need the Home Office to accept the facts and genuinely consider the risks of deportation."
大意:
「カゼミさんがイランに退去となった場合に、迫害と処刑の危険にさらされるということを、内務大臣は認識し、それに応じた行動を取るべきだ。私を含め議員が働きかけたあとで難民申請却下の見直しが認められたイラン人女性のケースでもあったが、内務省には事実をしっかり受け止め、国外退去の危険性について偏見なく考慮していただかなければならない。」

"We cannot on the one hand claim that we live in a modern and liberal society if on the other hand we are willing to send asylum seekers back to face stoning purely because of their sexuality."
「自分たちは近代的で自由な社会に生きていると主張しながら、一方では庇護申請者を送り返し、ということをすることはできない。送り返された人はセクシャリティだけが原因で懲罰にさらされるというのに。」
[/quote]
Posted by nofrills at 2008年02月28日 03:52
「メディアが報じているかどうか」に注目をして見ているので見つけるのに時間がかかったが(ガーディアンもインディペンデントもBBCもヘタレ!)、最新状況。
http://groups.yahoo.com/group/gayasylum/message/226

要点だけ書くと、2月26日のオランダから英国への送致は中止され、彼の身柄は今もオランダにあり、3月3日に判事が最終判断を下す。どのような判断が下るかについては、英国への送致というものになる可能性が高い。

アクションのターゲットは英国政府(内務大臣宛てメール/FAX、大使館宛てメール、英国在住者の場合は地元の選挙区の下院議員宛てメールなど)。

で、彼の場合はそもそも最初の難民申請のときにあまりわかってないソリシターに頼んだとか、まともな法的アドバイスを受けられなかったとかそういうことなんだろうけれども、私のところにもごくごく稀に日本人にありがちなヴィザ延長トラブルの相談が来たりするのだが、ヴィザ延長のトラブルになってしまった場合には、とにかく経験があり、最新の法律に詳しいイミグレ法専門のソリシターを見つけること。

それと、イミグレ法は頻繁に変わるし(しかもこの数年の変更の程度はハンパない)、今もまだあれこれ変更の過程にあって、昨年はAということでOKだったのに、今年はAでなおかつBでなければ条件が満たされない、というようなことがあるから、他人の「体験談」は参考にしかならない、ということも極めて重要。それと、「ヴィザ目当てで学校に籍だけ置いていたんですが出席率が低くて」なんてのは、10年前なら何とかなったかもしれないけれど、今は問題外。英国にいたくて学校に通ってるなら、出席だけはしておかないと話になりません。

それと、誰とはいいませんが、ある特定の人物にお願いがあります。「救出します」とかって言うの、やめてもらえませんかね。「救出します」って、何でしょう。「誰それが救出に動きました」ではないんですか。あなたが救出するんですか、彼を。そちらに掲示されているのは実際にアクションをする人たちが書いた文書の翻訳でしょ、それをあたかも自分たちがアクションをとっているかのように言うのはどうかと思いますけどね。個人的な受け取り方の問題でしょうが、彼を利用してるみたいに見えて、見てて不快です。こっちには別に権威も権力もありませんから「禁止する」んじゃなくお願いですけど。(やるのはあなたのご自由に、ということですが、やるなら私から見えないところでお願いします。ムカつくから。)あのときに「だれだれさん救出」と浮かれていたくせに難民の制度についての基本的なことを知ろうという気もなく、「保護すべき当人」の健康状態(自殺企図)についてもまったく把握していなかったばかりか(私のブログにちゃんと書いてあったのに)、最後には「当該国の法律についての興味はない」とメールで述べた人が、今、他人の行動についての報告の翻訳文書に「救出します」というタイトルをつけてアップしてトラバしてくるなんて、私には不思議でなりません。それから、19歳で基礎代謝だけで相当のカロリーを消費する年齢の子がハンストに打って出るしかないとまで思いつめているこの事態に際して「(私たちが)独自に入手」とかって書けるのも不思議。。。なんてのは言語センスの話であって、こっちの印象だからどうでもいいんですけどね。
Posted by nofrills at 2008年02月28日 04:50
オランダから英国に送還されるはずだった日のPink Newsに、Baroness Ludfordのことについて詳細があります。Tony Grewさんの書いた記事:
http://www.pinknews.co.uk/news/articles/2005-6960.html

London Liberal Democrat MEP Baroness Sarah Ludford has written to the Home Secretary to request her to urgently review the case of 19-year-old Medhi Kazemi, ...

つまり、バロネス・ラドフォードはジャッキー・スミス内務大臣に対し、カゼミさんのケース(難民申請却下)の見直しを要請する書簡を送った、ということです。

で、オランダでの彼の事情については:
At the end of last year a court in the Netherlands ruled Medhi must be returned back to the UK.

つまり昨年末にオランダの法廷(何法定なのかは不明)で、英国への送還が決定した、とのことです。

この背後に英国からの要請があったのかどうかはこの記事からはわかりませんが、法的に考えて可能性としては、1)英国が身柄引き渡しを要請した 2)彼がオランダで難民申請をし(かわいそうに、こうだとしたらあまりに情報が与えられていなさすぎたのだろう)、ダブリン条約の「複数国での難民申請は不可」で引っかかって国家間の取り決めとして「英国への身柄引き渡し」しか選択の余地がなかった というあたりかと。

イミグレ法はものすごく複雑で、私も法律を専門としているわけではないのですが、でも多分19歳の彼よりは英語を読むのは慣れていると思うんだけど、とにかく、イミグレ法の解説(法律の条文そのものじゃなくても)を読んで中身を包括的に把握することはとても難しい(そして、把握したころには法律が変わっている……orz)。だからこそ専門の法律家が周りにいてくれないと難しいのですが。

で、とにかく最優先すべきは彼本人の生命と健康です。それが最も確実に早く確認できるのは、OmarさんのYahoo Group(下記)です。
http://groups.yahoo.com/group/gayasylum/

こちらで適宜確認して、新たに大きな動きがあればこのブログでも新規にエントリを立てます。それまで、申し訳ありませんがこのエントリのコメント欄を閉じます(オマー爆弾事件についてそろそろ書かないと、ということがあるので)。
Posted by nofrills at 2008年02月28日 04:59

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在オランダのイラン人少年を救出します!
Excerpt: オランダ滞在中のイラン人ゲイ、メフディ・カゼミMehdi Kazemiさん(1...
Weblog: デルタG
Tracked: 2008-02-25 08:28

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼