Guardian's Tehran correspondent expelled without explanation
Saturday January 5 2008
http://www.guardian.co.uk/media/2008/jan/05/pressandpublishing.iran
記事によると、ロバート・テイト記者はイラン人と結婚しているのだが、在留許可(ヴィザ)と居住許可(レジデンス・パーミット)の更新が認められなかった。ガーディアンの編集長が直接イランの文化・イスラム指導省に申し立てを行なったがダメだった。イラン当局は申請却下の理由は説明していない(申請却下の理由を説明しないのは英国も同じかもしれないが。英国では、not satisfied that you are ... だったかnot convinced that you are ... だったかという文面で伝えられるはず)。彼はイラン特派員としてテヘランで3年近くを過ごしているが、既に英国に戻っている(だから本人にも夫人にも身の危険はない)。イラン当局は、ガーディアンが別の記者を派遣する場合は手続きをしてください、みたいなことを言っているらしい。
テイト記者の書いた記事が当局の反感を買ったことで、昨年3月に一度、国外退去を申し渡されていたのだが、ガーディアンの申し立てで在住許可が更新されて、とりあえず事なきを得ていたのだそうだ。
この人の記事の一覧:
http://www.guardian.co.uk/profile/roberttait
どの記事がいかんかったのか、わからないけど、いろいろとぎょっとするようなことを報道してくれた人である。
ところで、ガーディアンのイラン特派員といえば、政治犯を収容するエヴィン刑務所でアクバル・ガンジのインタビューを行なって追放された人もいたはずだ……と思ったら、記事のあとのほうに書いてあった。次の引用箇所を参照。
Two other Guardian correspondents were expelled from Iran. Geneive Abdo left in 2001 and was later told she would not be allowed to return following an unauthorised interview with Akbar Ganji, a dissident then being held in Tehran's Evin prison. Dan De Luce was expelled in 2004 after reporting from the earthquake-damaged city of Bam without official permission.
え、バムの大地震のときに「公式の許可なく」取材して追放された人もいたのか。まあ、実際、GCHQがイランに活動拠点を持っていたとかいう話もあるから(その筋から、11月だっけ、12月だっけ? 米国での「イラン戦争なんて無理」という報告書が生じた、という話。米国はイランとの外交チャンネルは持っていない)、一概に「やたらと追放するな」と批判できる話ではないかもしれない。
テイト記者の「事実上国外追放」を報じるガーディアン記事によると、彼のヴィザ更新が認められなかったことで、英語の新聞で書いている在テヘランの英国人記者は、誰もいなくなってしまった。(BBCなどテレビはまだいる。)イランの駐在ジャーナリスト・ヴィザ取得は簡単ではないため、英語を使えるイラン人を記者として雇っている新聞もある、というが、テイト記者がいなくなったことで、またひとつ、窓が閉ざされた、という気が強くする。イランは戦略として欧州とはつながっておいたほうがいいはずなのに……「陰謀論」思考をすれば際限なくなるのだけれども、最近ロシアと仲良しこよしみたいだし、気になる、とても。
実際、アフマディネジャド政権下のイランでは、報道に対する締め付けが段々と強まっていると聞いている(→2007年5月、Freedom Houseのプレスリリース)。ハタミ政権時代のイランでは「ブログ」のブームはものすごいものがあったようで、おととしだったかな、ペルシャ語(実際に使う人はそんなに多い言語ではない)がネット上で使われる言語トップ10に入るくらいの勢いだった。しかしネット接続は厳しくコントロールされていて、中国のゴールデン・シールド(グレイト・ファイアウォール)(→概略はen.wikipediaを参照)ほどではないかもしれないが、flickrやYouTubeなど世界各地と個人レベルでつながれるサイトは接続制限されている(→en.wikipediaに概略。あと、ちょっと古いんだけど2004-05年の調査とか、RFE/RLだけど2007年12月の「ネットカフェ閉鎖」の報道とか)。ガーディアン記事によると、この1年でアハマディネジャド大統領の政府に批判的なスタンスのサイトや新聞がいくつか閉鎖されている。実際に閉鎖という事態になったことで、残っているサイトや新聞も「自粛 self-censorship」でトーンダウンしている。この数ヶ月の間に、「嘘」を公表したなどのさまざまな罪状で拘束されるジャーナリストも出ている。
こういったことがイランの政府によって行なわれていることが、「イラン戦争」の口実として利用されることを警戒する声もある。私もそれは警戒しまくっているつもりだ。(ネット接続制限だけでなく、死刑や同性愛処罰といった人権問題も、「イランなどというしょうもない国は、攻撃されても当然なのだ」という“世論”をマニピュレートするために、米国によって利用されうる。それもかなり高い確率で。)
で、インディペンデントはふだん読まないので、ガーディアンのこの記事で知ったのだが、インディペンデントで書いていたアンガス・マクダウェル記者も、昨年イランから国外退去となっている(ヴィザなどの更新申請が却下された)そうだ。彼の場合も当局からの理由説明はなかったが、マクダウェル記者は休暇でのドライブ旅行で軍事区域に立ち入ってしまったことで身柄を拘束されたことがあるという。
マクダウェル記者の記事をインディペンデントのサイトで検索すると、2007年6月28日付けのものが最後だから(イランが唐突に石油を配給制にしたことで騒乱になったときの報道)、今から半年くらい前にイランを出国した、ということになるだろう。
マクダウェル記者のブログ:
http://angusmcdowall.com/blog.htm
http://www.angusmcdowall.com/
アンガス・マクダウェルさんのブログから、おまけ:
一応お茶吹き警報を出しておきますが(私は鼻からお茶を吹きました)、テヘランの英国大使館のそばにある「ウィンストン・チャーチル通り」を「ボビー・サンズ通り」と改称してしまった(←これは史上最強のイヤミとして意図されたものだったが、相手が「イヤミをイヤミと受け取らないことが最高のイヤミだ (Always forgive your enemy. Nothing is more embarrassing.)」ということをよく知っている英国人であったせいか、イマイチ不発)イランでは、Darbandというところに、「ボビー・サンズ・バーガー」なるハンバーガーショップがあるそうです。
http://angusmcdowall.com/?p=49
ボビー・サンズは「英国に対する抵抗の闘争」で亡くなったアイルランド人ですが、彼がどういうふうにして亡くなったのかを0.5秒くらい考えると、ハンバーガーショップでキャラクターになってるなんて、あまりに皮肉すぎて泣ける話(泣く前にお茶吹くけど)。経営者はサンズについてあんまり知らないみたいです。おおかたのイラン人も「有名な外人さん」としか認識してないみたい。まあ、政府がどんだけ反米・反英のメッセージを唱え、アイリッシュ・レベルを「シンボル」として担ぎ出そうとも、中東(ヒズボラとか)経由でIRAとイランはつながっていようとも、一般の人たちはそんなもんなんでしょう。ひょっとしたら、「目を疑うほどに男前のベレー帽の男」のポートレイトをファッション・アイテムとして飾りにする、みたいな感じかも。
いつか、シン・フェインの人がテヘランに行くことがあれば、強烈なジョークが出るかもしれない。
※この記事は
2008年01月05日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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http://www.guardian.co.uk/world/2008/mar/16/iran1
(この記事、「イランの女性たち」を核として、「自由」とか「改革」、「私生活」について書かれたよい記事です)
これを読んで結局その後ガーディアン/オブザーヴァーはイランに常駐の記者を入れているのかを確認してみたのですが、いないかもしれません。
イラン総選挙はJulian Borger(ガーディアンの国際部エディター)が報じています。
http://www.guardian.co.uk/world/2008/mar/22/iran
http://www.guardian.co.uk/world/2008/mar/15/iran
22日付でもそうなのですが:
http://www.guardian.co.uk/world/2008/mar/22/iran
ジュリアン・ボージャーは同時にチベットとかフランスとかのことも書いています。
http://www.guardian.co.uk/world/2008/mar/22/tibet.china1
http://www.guardian.co.uk/world/2008/mar/20/france.eu