kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


2007年12月03日

Banksy, 今年の「クリスマス企画」はベツレヘムで。

banksy-bethlehem.jpg

先週、Somersetのグラストンベリー・フェス会場付近のBanskyの「作品」が塗りつぶされているのが発見されたそうだが、ご本人はこの冬、ベツレヘムに進出している。

Graffiti artist Banksy goes to the Holy Land
Mon Dec 3, 2007 12:03pm GMT
http://uk.reuters.com/article/entertainmentNews/idUKL0233047720071203
The elusive street artist has painted six provocative new images -- including a dove of peace strapped with a bulletproof vest and a young girl with pigtails frisking an Israeli soldier -- on buildings around the West Bank town.

Banksy ... has also converted a fast food shop opposite Bethlehem's Church of the Nativity into an art gallery showing work by artists from the Palestinian territories and abroad.

つまり、ベツレヘムの街角でいつもの調子のお絵かきをしたほか、聖誕教会の向かいにあるファストフードの店を、パレスチナや世界各地のアーティストのギャラリーとした。クリスマスの時期の観光振興プロジェクトの一貫らしい。ガーディアンによると、昨年ロンドンのオクスフォード・ストリートでやったSanta's Ghettoを、今年はベツレヘムで行なっているとのこと。

ベツレヘムは、言うまでもなく、イエス・キリストが生まれたとされる街で、パレスチナ自治区(ヨルダン川西岸地区)にある。キリスト教徒も少なくない。「平和」ならば、イエス・キリストの生誕を祝う(とされる)クリスマスには、全世界から訪問者を集め、にぎやかで華やかな祝祭空間となるだろう。

しかし現実には、「イスラエルの『平和』を保つため」との名目で建設された「壁/バリア」がそこにあり、「年に一度のお祭り」どころか、そこに暮らしている人々の日常生活の前に立ちはだかっている。
West Bank barrier
The construction by Israel of the West Bank barrier has had a severely negative impact on Bethlehem; politically, socially, and economically. The barrier runs along the northern side of the town's built-up area, within metres of houses in 'A'ida refugee camp on the one side, and the Jerusalem municipality on the other.

http://en.wikipedia.org/wiki/Bethlehem#West_Bank_barrier

「壁」によって、エルサレムとベツレヘムが完全に分断されたのは、2005年のことだ。下記は当時のNPRのレポート。
http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=5038381

その前、2000年のベツレヘムでのクリスマスを、旅行で訪れていた方がレポートしておられる(日本語)。(含:びっくりゲスト登場)
http://www5a.biglobe.ne.jp/~kirita/tyuutou-1224.htm

Banksyは、2005年の夏に西岸地区の「壁」にお絵かきをしている。このお絵かきについては、地元の人が「美しくしてくれなくていいから、壁そのものをなくしてほしい」としごく当然な感想を述べていたという報道もあったけれども、今回のSanta's Ghetto in Bethlehemを写真で紹介するガーディアンのページ(下記)には、Banksyではなく地元のアーティストのお絵かきも紹介されている。(踊るラクダ、足がかわいい。)
http://www.guardian.co.uk/arts/gallery/2007/dec/03/1

ガーディアンの記事にご本人コメント:
Guerrilla artist Banksy in Holy Land
Aidan Jones
Monday December 3, 2007
http://www.guardian.co.uk/uk_news/story/0,,2220999,00.html
Banksy said: "Because of the troubles Bethlehem is no longer a top tourist destination, but it would be good if more people came to see the situation for themselves.

"If it is safe enough for a bunch of sissy artists, then it is safe enough for anyone."

「紛争のせいでベツレヘムは人気の観光地ではなくなってしまったけれども、もっと多くの人が実際にここを訪れて自分の目で状況を見ることはよいことだろう。アーティストなんていうひ弱っ子が大挙して押しかけても安全なら、誰にとっても安全だし」


でも今回の「ベツレヘムでのBanksy」を紹介する記事で一番充実しているのは、予想外なことに、タイムズだ。どれか1つだけ読むならタイムズ記事がいい。

December 3, 2007
Let us spray: Banksy hits Bethlehem
Sheera Claire Frenkel
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/middle_east/article2988367.ece
... By taking the idea to the West Bank, the artist hoped to shine a light on the plight of Bethlehem. Less than three weeks before Christmas, its shops remain boarded up. Since construction of the security barrier began in 2002 tourism has plummeted. Officials estimate that more than half of the city's population does not have a job.
(サンタズ・ゲットーの)アイディアをヨルダン川西岸地区に持っていくことで、バンクシーはベツレヘムの苦難に光を当てようとしている。クリスマスまで3週間を切っているというのに、ベツレヘムの商店は(入り口部分などに)板を打ち付けたままである。2002年に「壁」の建設が始まって以来、観光は著しく衰退した。当局の推計では、ベツレヘム市民の半数以上が仕事にあぶれている。

"You wouldn't worry about Christmas becoming too commercial in Bethlehem - they couldn't afford it. There's more festive lights in the window of your local Woolworths than you'll find in this entire town," Banksy, who hides his real identity, told The Times via a text message.
「ベツレヘムでは、クリスマスが商業化されすぎるのではないかと心配することはない。そんな余裕はありゃしないだろう。ベツレヘム全域のクリスマスの照明より、イギリスのどっかの街の1軒のウールワース(コンビニみたいなチェーン店)の窓の照明のほうが多いくらいだ」と、バンクシーはタイムズ宛ての携帯メールで述べた。

More than 70 per cent of the work-force in the city depended on the 100,000 tourists that used to stream into it during the holidays. Last year fewer than 12,000 crossed through the checkpoint at the security barrier to visit the city, Palestinian tourism officials said.
かつてはクリスマスの時期に10万人の観光客が訪れていたベツレヘムでは、労働力の7割以上が観光客に依存していた。しかし昨年、「壁」の検問所を通ってベツレヘムを訪れた観光客は12,000人にすぎない、とパレスチナの観光当局は語る。

Banksy said: "It would do good if more people came to see the situation here for themselves. If it is safe enough for a bunch of sissy artists then it's safe enough for anyone."
バンクシーは「紛争のせいでベツレヘムは人気の観光地ではなくなってしまったけれども、もっと多くの人が実際にここを訪れて自分の目で状況を見ることはよいことだろう。アーティストなんていうひ弱っ子が大挙して押しかけても安全なら、誰にとっても安全だし」とも語る。

Tony Blair, the international envoy to the Middle East, has said that restoring tourism in Bethlehem would be a cornerstone of his efforts to revive the Palestinian economy.
中東特使のトニー・ブレア(前英首相)は、ベツレヘムの観光を回復することは、パレスチナ経済復興へ向けての自身の取り組みにとって基礎となるものだと述べている。

Iman Hamamin, a 27-year-old Bethlehem resident, awoke yesterday to find two donkeys, by an Italian artist known as Eric the Dog, painted on to his wall. "We like this artwork very much," he said. "For some it is a time of cheer, but for us it is a reminder of how bad the economy has become."
ベツレヘムに住むイマーン・ハマミンさん(27歳)は、昨日朝目を覚まし、自分の家の壁に2頭のロバが描かれているのを発見した。イタリアのEric the Dogというアーティストによるものだ。「いい絵だよね」と彼は言う。「この時期は楽しい時期だという人もいるけれども、僕らにとっては何でこんなに経済が悪化してんだということを思う時期だ」

...

Artists worked late into the night preparing Santa's Ghetto for the opening today. The exhibition includes work by the Palestinian artist Suleiman Mansour, Peter Blake, Sam 3, Blu, Swoon, Ron English, James Cauty and Abdel al-Hussein.
今日オープンした「サンタズ・ゲットー」の準備のため、アーティストたちは夜遅くまで作業をしていた。展覧会には、Suleiman Mansour, Peter Blake, Sam 3, Blu, Swoon, Ron English, James Cauty, Abdel al-Husseinといったアーティストが参加している。

Mansour recreated one of his most famous pieces for the show after it was destroyed in the American bombing of Tripoli in 1986. Colonel Gaddafi, the Libyan leader, bought the original 1973 painting that depicts a Palestinian man carrying the city of Jerusalem.
スレイマン・マンスールは、1986年に米軍がトリポリ(リビア)を爆撃したときに破壊された、彼の代表作のひとつを再び製作した。その作品は1973年にカダフィ大佐が購入したもので、パレスチナ人の男性がエルサレムの街を運んでいる様子を描いた絵画だ。

"The walls here are bigger than we expected. But it is the best street art place ever. The wall space is amazing and intense. It is the type of place artists should be," the Faile, a North American artist duo, said.
北米の2人組、Faileは、「『壁』が予想していたより大きいけれど、ストリート・アートにはこんなに適した場所はない。アーティストならこういうところに来ないと」と語る。

The pieces in Santa's Ghetto can be bought at the site only. Reprints and signed posters by Banksy can be bought at www.santasghetto.com.
「サンタズ・ゲットー」の出展作品は現地でのみ購入可能。バンクシーのサイン入りの複製は、サイトで購入可能である。
http://www.santasghetto.com/


サイト、すごく重いんですが:
http://www.santasghetto.com/

ギャラリーの参加アーティストは:
3D
Abdul Rohman Elmzyen
Adam Koukoudakis
Aiko
Ayed Arafah
Banksy
Bast
Ben Turnbull
Blu
Conor Harrington
Eine
Erica il Cane
Faile
Gee Vaucher
James Cauty
Jonathan Yeo
Karim Dabbah
Kelsey Brookes
Lucy McLauchlan
Mark Jenkins
Antony Micallef
Paul Insect
Sir Peter Blake
Peter Kennard
Kat Phillips
Ron English
Sam 3
Sickboy
Souleiman Mansour
Swoon
Yousef Katalo

作品は、
http://www.santasghetto.com/art_room1.asp
から、VIEW ALL ART AS SLIDESHOWで見るのが私は楽しかったです。

Samer Maywi というアーティストは、板に描いたハンダラ君。

3Dは、UNKLEのアルバムのジャケットのが出てる!
B000PTYPW0War Stories
UNKLE
Surrender All 2007-07-02

by G-Tools


あと、公式サイトの「壁」のところによると:
http://www.santasghetto.com/wall.asp

Banskyの「ネズミ」は、レイチェルのお墓だそうです。今回のネズミはパチンコを持っている。

「兵隊の所持品検査をする少女」はDehaisa難民キャンプの建物の壁に描かれたもので、最初は少女の足元に銃を描いていたのだけれども、描いているときに地元の人が「逆だろ、逆」と言ってきたので、兵士の足元に置くように変更したそうです。

「ロバと兵士」は、Bansky本人は「ロバまでIDチェック」という皮肉を意図していたのだけれども、地元の人たちは「ほんとにあるんだよ、ロバのIDチェック」と言っているそうです。

「サンタズ・ゲットー」はいかなる人種・宗教・政治組織・ロビーグループとも組んでおらず、作品を販売したお金はすべて、ベツレヘムの子供・未成年者のためのプロジェクトに使われるそうです。
http://www.santasghetto.com/point.asp
We would like to make it very clear Santa's Ghetto is not allied to ANY race, creed, religion, political organization or lobby group. As an organisation the only thing we'll say on behalf of our artists is that we don't speak on behalf of our artists. This show simply offers the ink-stained hand of friendship to ordinary people in an extraordinary situation.

Every shekel made in the store will be used on local projects for children and young people. Not one cent will go to any political groups, governmental institutions or, in fact, any grown-ups at all.

最後の「政治団体や政府機関にはこの活動でのお金は行かない、というか大人には一銭も渡さない」というのが、意味が深いし意義も深い。

※この記事は

2007年12月03日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:50 | Comment(1) | TrackBack(2) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
BBC in Pictures:
http://news.bbc.co.uk/2/hi/in_pictures/7125611.stm

1〜6が今回のBanksyの壁画、7はBanksyのオブジェ(石を投げつけられて傷ついたケルビム:「幼子イエス」だと思われて議論をかもしたとか。Banksyが最初から「宗教をからかわれると怒るのはムスリムだけ」という言説がいかに神話であるかをあぶりだそうとしてやってたとしたら天才)。

7はSam3(スペイン)とパレスチナ人アーティストのコラボ。

Sam3については:
http://www.flickr.com/groups/sam3/
http://sam3-security.blogspot.com/

8はBanksyの2005年の「芸術テロ」。

あと、Banksyが「作品」を寄贈したロンドンのパーラメント・スクエアでの座り込みのブライアン・ホーさんの看板類を再現した作品で、Mark Wallingerが今年のターナー賞を獲得しました。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/7124575.stm
http://nofrills.seesaa.net/article/33334854.html
Posted by nofrills at 2007年12月04日 11:36

この記事へのトラックバック

壁画、ふたたび
Excerpt: イギリスの落書き芸術家バンクシー(Banksy)の新作は西岸地区ベツレヘム近郊の隔離壁。nofrills さんが today's news from uk ブログでイギリスでの報道や作品展のサイトへ..
Weblog: 壊れる前に…
Tracked: 2007-12-08 00:07

Santa’s Ghetto
Excerpt: Wisam and Sam3 という方の作品のようだ。 クリスマスといえばベツレヘムというのがクリスチャンの常識だが、ベツレヘムにもThe Wallがある。 「壁」とは(高さ9メートルもある巨大な壁..
Weblog: 彎曲していく日常
Tracked: 2007-12-08 20:38





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

……全文を読む
▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼