kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2007年10月25日

英・アイルランド間のパスポート・コントロールとボーダー

現在、英国とアイルランドの間の行き来にはパスポートは必要ではないが、英国がパスポート・コントロールを電子化する予定の2009年には、パスポートが必要になるらしい。大陸ではシェンゲン協定だというのに、ねぇ。

New Britain-Ireland passport move
Last Updated: Wednesday, 24 October 2007, 13:24 GMT 14:24 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7059580.stm
The move by the governments, reported by the Irish Times, will mean the end of the Common Travel Area between Ireland and Britain which has existed since the foundation of the Republic.

This would mean that anyone travelling between Ireland and Britain would need to carry a passport so that information about their movements will be available to authorities.


記事には、変更の理由は「当局が、ウォッチリストに載っている人物が移動した場合に気付かないということがないように、英国の出入国情報を把握しておくこと」との説明がある。「ウォッチリストに載っている人物」とはすなわち、「テロ容疑者、犯罪者、違法入国者」とのことだそうだ。

で、「英国とアイルランド」というと問題はアイルランド島にあるボーダー(border)なのだが、BBC記事によると、ここではパスポート・コントロールは導入されない。

あのボーダーについては:
http://en.wikipedia.org/wiki/Bunreacht_na_h%C3%89ireann#The_.22national_territory.22
As adopted in 1937 Articles 2 and 3 of the constitution made the controversial claim that the whole island of Ireland formed a single "national territory". These articles offended Unionists in Northern Ireland who considered them tantamount to an illegal extra-territorial claim. Under the terms of the 1998 Belfast Agreement the state amended Articles 2 and 3 to remove reference to a "national territory" and to state that a united Ireland should only come about with the consent of a majority in Northern Ireland, but also to guarantee the people of Northern Ireland the right to be a "part of the Irish Nation" and to Irish citizenship.

つまり、1937年に「アイルランド自由国憲法」が「アイルランド憲法」(<「アイルランド共和国憲法」ではないところが非常に深い)になったときに、第2条と第3条で、「アイルランド島全体がひとつの国土(national territory)」と定義しており、すなわち1922年にできた南北のボーダーを認めていない(これがアイルランドのconstitutional problemである)。これに怒ったのが北のユニオニスト(「われわれは英国人だ」という人々)で、彼らにとって南のアイルランド共和国は「われわれの存在を脅かす『彼ら』」というべき存在だった。(それゆえに、近年の「アイルランドのアハーン首相が北のユニオニスト政治家と会見」だとか、「アイルランド首相がDUPの政治家とともに記念行事に出席」だとかいったことが、「ニュース」になる。)

そして1994年のIRAとUDAの停戦で「北アイルランド和平」が政治的に進み始めたときに、英国とアイルランド共和国の間で「問題」となったのがこの「ボーダーについてのアイルランド憲法での位置づけ」で、共和国側は1998年のベルファスト合意(AKAグッドフライデー合意、GFA)を受け、レファレンダムを実施したうえで、憲法第2条、第3条の改定を行なった。

第2条、旧条文:
The national territory consists of the whole island of Ireland, its islands and the territorial seas.


第2条、新条文:
It is the entitlement and birthright of every person born in the island of Ireland, which includes its islands and seas, to be part of the Irish Nation. That is also the entitlement of all persons otherwise qualified in accordance with law to be citizens of Ireland. Furthermore, the Irish nation cherishes its special affinity with people of Irish ancestry living abroad who share its cultural identity and heritage.

つまり、「アイルランド島全体がひとつのテリトリー」という規定が、「アイルランド島で生まれた人すべてがアイリッシュ・ネイションの一部となる権利を有し、アイルランドの市民となる権利を有する」と改定され、「国土」の話が「国籍」の話になった。っていうかこのNation(大文字)とかnation(小文字)を日本語でどう扱ったらいいのか、考えると夜も眠れません。

第3条、旧条文:
Pending the re-integration of the national territory, and without prejudice to the right of the parliament and government established by this constitution to exercise jurisdiction over the whole territory, the laws enacted by the parliament shall have the like area and extent of application as the laws of Saorstat Éireann and the like extra-territorial effect.

* Saorstat Éireann = the Irish Free State


第3条、新条文:
1. It is the firm will of the Irish Nation, in harmony and friendship, to unite all the people who share the territory of the island of Ireland, in all the diversity of their identities and traditions, recognising that a united Ireland shall be brought about only by peaceful means with the consent of a majority of the people, democratically expressed, in both jurisdictions in the island. Until then, the laws enacted by the Parliament established by this Constitution shall have the like area and extent of application as the laws enacted by the Parliament that existed immediately before the coming into operation of this Constitution.

2. Institutions with executive powers and functions that are shared between those jurisdictions may be established by their respective responsible authorities for stated purposes and may exercise powers and functions in respect of all or any part of the island.

新条文のthe territory of the island of Irelandという長ったらしい表現が泣かせる。in all the diversity of their identities and traditionsというのは平たくいえば「ナショナリストもユニオニストも」の意味。ユニオニスト強硬派(ロイヤリスト)にとってはこれもまだ「余計なお世話」で、ユニオニスト側のGFA反対派はここに噛み付き、また、この新第3条で規定されている「南北のボーダーを超えて」という前提に噛み付いている。

また、ナショナリスト強硬派(リパブリカン)のGFA反対派(Real IRAなど)は、「アイルランド島全体がひとつのテリトリー」という憲法規定が撤回されたことで噛み付いている。

まったく外部の者が淡々と見れば、recognising that a united Ireland shall be brought about only by peaceful means with the consent of a majority of the people, democratically expressed, in both jurisdictions in the island (統一アイルランドは、島の南北双方で、過半数の人々の合意が民主的に表明された場合に、平和的な手段をもってのみ、もたらされる)というのは、「アイルランド共和国」(現存するエンティティとして、またアイルランド独立運動の理念的なものとして)にとって非常に大きな「譲歩」に見えるし、これが「和平」と呼ばれるもののあらわれのひとつなのだと思うばかりであるが。

アイルランド憲法条文のソース:
http://en.wikipedia.org/wiki/Articles_2_and_3_of_the_Constitution_of_Ireland

※この記事は

2007年10月25日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼