kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2007年09月19日

フランス外相「戦争」発言のあと――ロシア、米国、IAEAほか

フランスは外相の発言のあと、火消しに躍起、ってところなんですかね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070918-00000235-reu-int
イランとの戦争回避のため、あらゆる手段講じる必要=仏首相
9月18日10時57分配信 ロイター

 [アングレーム(フランス) 17日 ロイター] フランスのフィヨン首相は17日、……中略……記者団に「戦争回避のため、あらゆる手段を講じなければならない。フランスの役割は、世界にとって著しく危険となる状況を平和裏に解決することだ」と述べた。
 そのうえで、クシュネル外相が事態は危険だと指摘したことは正しく、発言は真剣に受け止められるべきと付け加えた。

まあ、外相発言は「(シラク政権時とは異なり、今回は)わが国は米国とともに」を暗示することに真意のある発言だったってことだろうけれども、そういう場合、通常は「あらゆる事態に備える必要がある」で止めるものなんだと私は認識していたが、外相はそのものズバリ「戦争 la guerre」という語を持ち出してきたわけで、おかげでイランは「喧嘩上等」な反応を返しているし、つまり「国連? 結局は米国の思い通りに動くものでしょあれは」という認識に傾いているか、あるいは既にそう認識していると考えておくべきだろうし、ということは、今後のIAEAの査察がスムーズに進まなくなる→「イランの非協力的な態度に『国際社会』はもう堪忍袋の緒が切れました」という流れに行くんではないかと(いや、そういう流れを作っているんではないかと)……このくらいは警戒しておいてもよいだろう。

で、上記のフィヨン首相の発言はBBCでは個別の記事では扱われていないようだが(どっか別の記事で言及くらいはされているかもしれないけれども)、代わりにというか、ロシアとフランスの外相会談のことが報じられている。

Russia concerned by Iran war talk
Last Updated: Tuesday, 18 September 2007, 12:21 GMT 13:21 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7000549.stm

ロシアとフランスの間ではいろいろと話し合うこともあるだろうに(エネルギー問題、環境問題など)、やはり最重要トピックとなったのは「イランの核開発問題」だったそうだ。まあ、会談自体が「もうすぐ国連総会だから、その前の打ち合わせをしておこう」ということだと思う。

BBC記事から:
Mr Lavrov said there was no military solution to any modern problem, including Iran's uranium-enrichment programme.

ロシアのラヴロフ外相は、イランのウラン濃縮計画などの現代の問題には、決して、軍事的ソリューションはないのだ、と述べた。

……ロシアが言うなロシアが。

"We are worried by reports that there is serious consideration being given to military action in Iran," Mr Lavrov said.

"That is a threat to a region where there are already grave problems in Iraq and Afghanistan."

ラヴロフ外相は、「イランにおける軍事行動に対して真剣な検討がなされているとの報告/報道には懸念を覚えている。それは、既にイラク、アフガニスタンと極めて深刻な問題が存在する地域に対する脅威/脅迫(threat)である」と述べた。

Clarifying comments he made on Sunday, Mr Kouchner said in Moscow that war was the "worst that could happen".

"Everything should be done to avoid war. We have to negotiate, negotiate, negotiate - without cease, without rebuff," he said.

一方でフランスのクシュネール外相は、日曜日の(フランスのメディアでの)発言をより明確に、戦争は「起こりうる最悪のこと」だと述べた。「戦争回避のためにあらゆることが為されねばならない。中断せず、挫折せず、とにかく交渉し、交渉し、交渉しなければならない」

「『戦争』ということばは、『最悪の事態』の意味です」と今さら言うのなら、最初っからお約束どおり、「最悪の事態」とのみ言っておけばいいだけだ。この微妙な時期に、わざわざ関係代名詞でつながれるような形でla guerreを持ち出すな、という。クシュネール外相は、一国の外交のトップが「戦争」という語を使うことには別の「意味」が生じるということがわからんほど素人じゃないだろうに、NGO活動してきてるんだから。

というわけで、ロシアとフランス、それぞれの外相は「戦争は回避せねば」という基本方針で一致した、というところだろうが、両者のトーンはかなり違うように見える。つまり、ロシアは「何としても回避」というトーンだし、フランスは「回避のため最大限の努力を」というトーンであるように思われる。

さらにBBC記事から:
Mr Lavrov and Mr Kouchner differed on the topic of a third round of UN Security Council sanctions against Iran over its uranium-enrichment programme, as well as possible unilateral sanctions imposed by the US or the EU.

Mr Kouchner urged "precise sanctions" to show that the world community was serious in its opposition to Iran's nuclear programme.

But Mr Lavrov questioned the value of unilateral moves and said the UN should not undermine a recent agreement between Tehran and the International Atomic Energy Agency (IAEA).

両外相は国連安保理でのイランのウラン濃縮計画をめぐる対イラン決議の第3ラウンドという話題では相違した。また、米国またはEUによる単独制裁についても相違した。

フランスの外相は、国際社会(the world community)はイランの核計画に対し本気で反対しているのだということを示すような、「正確な制裁(precise sanctions)」を主張。

一方ロシアの外相は、単独制裁への動きの意味に疑問を呈し、国連は、イラン政府とIAEAとの間で最近為された合意をだめにしてしまわないようにすべきと述べた。

うーん。どうにもこの記事からはわからないのだが、フランスがnuclear programmeという言い方(nuclear weapons programmeとかpossible nuclear weapons programmeとかではなく)をしている一方で、ロシアはどういう言い方をしているのか?

日本語の日常語(メディアのことば)では「核開発」といえば「核兵器の開発」のことだが、一国の外相の発言ではそういうユルい用語法ではないはずだ。

事実として、イランはこの9月はじめに、「遠心分離機3000基が稼動」を認めている(アハマディネジャド大統領の発言)。ただし「いくらなんでもそんなにたくさんはない、2000基弱だ」という見解もIAEAから出されている。そのIAEAも「3000基は分水嶺」というスタンスをとっている(民生用にそんなにたくさん使うことはちょっとないのではないか、ということ)。

基本的に、イランも米国もウソツキなので、「3000基です」といわれてはいそうですかというわけにはいかないし、そこでIAEAの出番となるのだが、何か米国は「この局面で、IAEAはお呼びでない」とか言ってるし(下記)、もう誰が何をしているのか、わけわかんない。

Rice attacks UN watchdog on Iran
Last Updated: Wednesday, 19 September 2007, 11:16 GMT 12:16 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7002371.stm
US Secretary of State Condoleezza Rice ... said diplomacy was best left to diplomats, not a technical body such as the International Atomic Energy Agency.

The criticism came after IAEA chief Mohamed ElBaradei said force should be a last resort in the Iran dispute.

He dismissed talk of military action in Iran as "hype" and urged people not to forget the lessons of war in Iraq.

【意訳】
ライス国務長官は、IAEAのエルバラダイ事務局長が「武力行使はほんとにほんとの最後の手段ということで」と述べたことを受け、外交は外交分野の人間がやるものなのであって、IAEAのような技術屋の出る幕ではないと述べた。また、イランでの軍事行動についての話のことは「大袈裟に騒ぎ立てているだけ」と一蹴し、イラクでの戦争の教訓を忘れないようにとクギをさした。

現状、「お呼びでない」のはIAEAではなく、むしろライス国務長官なのではないか、というのが、伝えられているワシントンでのパワーシフト(チェイニーが主導権を握ったこと)の示唆するところではないかと思いもするが、この際誰でもいい、ライスでもロシアでもいいから、とにかく戦争屋の暴走を止めてくれ、頼むから、というのが個人的心境である。

まあ、ライスの上記発言は、「こらこら、IAEAはニュートラルな存在として、蚊帳の外に出ていなさい、相手が相手なんだから」ということかもしれないけどね。実際にテヘランは次のカードとして「IAEAに協力しない」という札を持っていることをちらつかせている。(狂気の沙汰だ、まったく。)
Tehran has warned that any new punishments could push it to stop co-operating with the IAEA.
イラン政府は、(国連決議での)新たな罰(制裁)があれば、IAEAとの協力を停止する可能性もあると警告している。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7000549.stm


一方で、クシュネール外相の発言については、当初イラン外相が「ではこれでフランスもアメリカのポチ、ということで」という主旨のコメントを出していたが、アハマディネジャド大統領は余裕をぶっかましている。ああ、外交。(っていうか内政への目配り、かな。)
Iranian President Mahmoud Ahmadinejad has said he does not take Mr Kouchner's comments seriously.

"Media speculation is different from real words, and we do not take these remarks seriously," Mr Ahmadinejad told Iran's state news agency, IRNA.

【意訳】
アハマディネジャド大統領は、クシュネール外相のコメントは「はいはい」といって左に受け流してますが何か、と述べている。大統領は「マスコミの観測なんてものはね、現実とは違うんですよ。ああいう発言はね、いちいち本気になっててもしかたないしね」と国営通信IRNAで語った。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7000549.stm

つまり、外向けには「喧嘩上等」な態度を見せつつ、内側には「いや、本気で爆撃してくるってことはないから国民の皆さんは安心してください」と言っているのだ。「西側は、わが国が原子力発電をするのを、『核弾頭を作っているのだろう』と決めてかかっていますが、ご安心ください、わが国は発電をしているだけですから、核兵器を口実に爆撃なんてありませんよ」と言っているのだ。(これはおそらくはイラン国内の「反体制派」への牽制でもあるだろう。)

それが事実であるかどうかを確認するのが、IAEAの役割だ。

国連決議はそれを後押しするものになるべきであり、それを中断したり妨害したりするものになってはならない。

でもここ数年の、「核(兵器)」をめぐる「国際社会の取り組み」の迷走っぷりを見ていると、「IAEAに任せておけば大丈夫」と安心してはいられないんだよなあ。。。

しかもキーを握っているのがロシア。



■イランの「核問題」について、基本資料となりうるBBCのまとめ記事:
Q&A: Iran and the nuclear issue
Last Updated: Monday, 3 September 2007, 07:05 GMT 08:05 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/4031603.stm

特に下記の部分。すごくわかりやすくまとめられている。
What sanctions have been imposed on Iran?

The Security Council has imposed two rounds of sanctions. Resolution 1737 was passed in December 2006. It was written under Article 41 of the UN Charter which allows for economic measures, but not the use of military force.

It mandates all UN member states "to prevent the supply, sale or transfer... of all items, materials, equipment, goods and technology which could contribute to Iran's enrichment-related, reprocessing or heavy water-related activities or to the development of nuclear weapon delivery systems".

In March 2007, the Council passed resolution 1747, also under Article 41. This seeks to tighten the squeeze on Iran's nuclear and missile programmes by preventing dealings with the state Bank Sepah and 28 named people and organisations, many connected to the elite Revolutionary Guard. Member states have been told to exercise restraint in and to report the travel of individuals connected to these programmes.

Imports of arms from Iran are banned and member states are told to exercise restraint in selling major arms systems to Iran. Loans are supposed to be limited to humanitarian and development purposes.


それと、仮にイランのウラン濃縮が「核兵器」のためだとしたときに、それが「地域の安全保障への脅威(ひいてはグローバルな脅威)」になるのかという問題。これは別個に検討されてしかるべきであるのに、「核兵器保有」イコール「安全保障上の脅威」と一気に結論付けられそうな勢いだ(過去2度の対イラン決議を見る限り)。

すぐ隣のパキスタンとインドは核兵器を持っているし、「イランは脅威だ」というどこまでが事実でどこまでがプロパガンダなのかいまひとつはっきりしない言説を前提として語るイスラエルも、核兵器保有の可能性は極めて高い。さらには周辺国には米軍基地がいっぱいあって、そこには核兵器はあるだろうし、核保有国であるロシアなんかほとんど「隣」(間にカザフスタンなどがあるが)の状態だ。

こういうような、「あの国々は核兵器を持っていない」を前提とした米軍の展開というものは、前回(2005年)のNPT再検討会議を決裂させた要因のひとつだったが(エジプトとイランの役割に注目すべき)、「イランの核危機」を語るBBCなどの報道記事で、そこらへんを突いたものはほとんど見ない。何でだろう。。。まあ、トライデント更新を押し切った英国だからしょうがないか。

そういえば、「核不拡散 non-proliferation」という美辞麗句を、最近のイランについてはあまり聞かないような気がする。気のせいか勘違い? 朝鮮半島については聞くけれども。



で、「核」の問題とは別に、というか同時に、「革命防衛隊」の問題(イランの革命防衛隊はイラクに入り込んでいる)があるのだが、この点においてはアメリカの反戦活動のサイトなどに掲示されている古い(2005年とかの)文書のいくつかが言うような「まったくのでっち上げ」ではないと私は思う。さすがに「IRAの作るのと同じ爆発物がヒズボラからイランを経由してイラク南部へ」というの@2005年10月には大笑いしたし(「IRAの作る爆発物」は、トレーサビリティのため、MI5のスパイがIRAに教えたもの)、SASがアラブ人に扮装してバスラで何かをしていてイラク警察につかまった件@2005年9月(このあと英軍の戦車がバスラ警察を攻撃し、「囚われの身のわが軍の兵士を救出」したのだが)ではこれはフレデリック・フォーサイスの小説かと思わされたが――あと、米軍が「IED脅威論」をぶち上げたときに「んなもんが『安全保障上の深刻な脅威』として語られるなら、IRAはどうなる」というようなことで笑いすぎて貧血を起こしたのだが(こういう語りはさすがに無理があると思ったのか、それきりですけどね)――、そういう「ニュース」が続々とあった2005年の時点では「イランが入り込んでいるって、そりゃあんた、バドル旅団とかでしょう」と呑気に構えていたのだが、それは過去の話。下記のようなレポートをFOX Newsとかの「よくわからないけどとりあえずイケイケにしておけ」系メディアとは全然違うようなメディアの記事として読めば、呑気ではいられない。

What happens in the city may may provide a window on the future for the rest of Iraq.
By Sam Dagher | Correspondent of The Christian Science Monitor
from the September 17, 2007 edition
http://www.csmonitor.com/2007/0917/p01s08-wome.htm

それから、イラク人ジャーナリストもこの5月に次のような、鳥肌ものの記事を書いている。

'Welcome to Tehran' - how Iran took control of Basra
Ghaith Abdul-Ahad in Basra
Saturday May 19, 2007
http://www.guardian.co.uk/Iraq/Story/0,,2083387,00.html

米国は、バスラのいくつもの武装勢力のひとつ、マフディ軍の頭目であるムクタダ・サドルはイランとつながりがあると主張していたが、実際にはサドルはイランとはつながりはなく(むしろ、イランとつながりのあるシーア派指導者と対立関係にあると見たほうが正確)、米国は何を根拠にあれこれ主張しているのかよくわからないというのが正直なところだが。
Mahdi army vows revenge on British troops after Basra leader is killed
Ghaith Abdul-Ahad, Richard Norton-Taylor and Ewen MacAskill in Washington
Saturday May 26, 2007
http://www.guardian.co.uk/Iraq/Story/0,,2088624,00.html



約20年前にイランと戦火を交え、毒ガスを使ったりいろいろしたサダム・フセインが今生きていたら、この事態をどう見るだろう、とふと思う。いや、サダム・フセインでなくてもよい。イラン・イラク戦争を戦った人たち、それを生き抜いたイラクやイランの人たちはどう見ているのだろう。

BBCのトップページに出るような記事には、その視点は、私が見る限りでは、ない。

※この記事は

2007年09月19日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:26 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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