kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2007年09月17日

フランス外相「戦争」論(タイトル適当)



ロシア訪問(月曜日から)を前に、フランスの外務大臣が「イランとの戦争」についてテレビとラジオで次のように述べたそうだ。
"We have to prepare for the worst, and the worst is war," Mr Kouchner said in an interview on French TV and radio.

「最悪の事態に備えねばならない。そして最悪の事態とは戦争だ」

http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/6997935.stm

BBCがウソを書いているとは思わないが、念のために、フランスでの報道を確認してみる。あたしゃLe Mondeしか知らないのでそれで。
La crise du nucléaire iranien impose de "se préparer au pire" qui "est la guerre", a déclaré Bernard Kouchner, dimanche 16 septembre, tout en affirmant que la négociation devait primer.

http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3218,36-955841,0.html

BBCのは仏→英直訳だ。

BBCから:
But Mr Kouchner said even in the absence of UN action, the European Union should prepare its own sanctions against Iran.

"We have decided while negotiations are continuing, to prepare eventual sanctions outside the ambit of UN sanctions. Our good friends, the Germans, suggested that," he said.

Le Mondeから:
"Nous avons décidé, pendant que la négociation se poursuit - et elle doit s'amplifier - de nous préparer à des sanctions éventuelles en dehors des sanctions de l'ONU, qui seraient des sanctions européennes", a confirmé Bernard Kouchner. "Nos amis allemands l'ont proposé", a-t-il ajouté, en précisant qu'il s'agirait de "sanctions économiques à propos des circuits financiers".

ドイツが提案したって? eventual sanctions outside the ambit of UN sanctions, つまりdes sanctions éventuelles en dehors des sanctions de l'ONU, つまり「国連ではないところでの制裁」、つまり「EUの制裁」。

「EUの」? 「NATOの」だろう、はっきり言えば。

イランがウラン濃縮を止めないのはイランが核兵器を作っているからで、核兵器を持ったイラン(<ここが仮定法)は地域の安全保障上の脅威になるから、集団的自衛権、というストーリーだろう。どうせ中国とロシアは安保理で拒否権を行使するだろうから、という。

実際、イランに対して昨年末に国連安保理決議が出されたときは確か中国とロシアが動いて、軍事制裁、つまり国連憲章第7章42条ではなく、非軍事制裁、つまり同41条になったはずだ。……と、こういうところで記憶に頼るのは危ないので、ソース。

http://www.globalpolicy.org/security/sanction/indxiran.htm
Resolution 1737 (December 23, 2006)

The Security Council unanimously imposed sanctions against Iran. The text, calling for steps required by the IAEA, bans trade with Iran of all items, materials, equipment, goods and technology which could contribute to Tehran's uranium enrichment program and contains a list of persons and entities, whose assets are subject to a freeze. It also established a new sanctions committee to monitor compliance of the resolution.

国連安保理決議1737そのものをglobalpolicy.orgからPDFでDLして確認すると、Acting under Article 41 of Chapter VII of the Charter of the United Nations, とある。中国やロシアの動きについてはBBCあたりでニュース記事を検索すればわかるだろう。今はそれをせず、先に行く。

このあと、今年3月にも対イランUNSC決議が出されている。それが:
Resolution 1747 (March 24, 2007)

In this resolution, the Security Council builds on its previous decision to impose sanction on Tehran by banning arms exports from Iran and imposing a freeze on the financial assets of 28 individuals and entities. After lengthy negotiations, the text takes into account some of the concerns expressed by South Africa, Indonesia and Qatar, such as the acknowledgment that all parties to the NPT, including Iran, have a right to peaceful uses of nuclear technology. The resolution also includes mechanisms for future negotiation with Iran and reference to a nuclear-free Middle East.

この決議1747の文面を確認すると、この時点でも、Acting under Article 41 of Chapter VII of the Charter of the United Nations, なのだが、……ダメだ、頭がふわふわしていて文が読めない。情けないが。

決議1747のころはアメリカがまだ、比較的gung-hoではない方向を向いていた。でもこの5月か6月ごろだっけか、潮流が変わった。昨日のオブザーヴァー社説の書き方でいうと、「ブッシュ政権内のパワーバランスは、イラン政府との慎重な交渉をとの立場のライス国務長官から、イランとは対決すべきだとの立場のチェイニー副大統領に移ってきている」。

ちょっと検索してみたら、今年5月のTimeの「ワシントン裏話ブログ」みたいなブログ(Joe Kleinによる)が出てきたのだが:
Cheney's Iran Fantasy, May 25, 2007 9:54
http://time-blog.com/swampland/2007/05/cheneys_iran_fantasy.html

Joe Kleinは別々の筋から同じことを聞いたから確実だろうとして、次のようなことを書いている。
2006年12月、ラムズフェルドが政権を去ろうとしているときに、大統領と軍の統合参謀本部とがペンタゴンにある『タンク』(国家安全保障問題についての極秘のことを話し合うための部屋)で会議を開いた。ブッシュ大統領は、イラクへの増派について尋ねた。軍のほうでは一致して反対した。次にブッシュ大統領は、イランの核施設を爆撃したら成功するかと尋ねた。イラン政府と軍に甚大な損害を与える空爆は可能であり、それを行なえばイランの空軍、指揮系統、核施設の一部は壊滅するであろうとの答えではあったが、統合参謀本部は、そのような方向性でいくことには一致して反対した。その理由は、イラン内部についてわかっていることが極めて少ないからだ、という。爆撃したとして、すべての施設を爆撃できるかどうか。さらに、イランはイラクに入っており、米国がイランを爆撃すればイラク駐留米軍への攻撃は激しくなるに違いない、と。

Kleinによれば、このときはブッシュ大統領は統合参謀本部の意見を聞いて、「プランB」、つまり不安定化のための極秘工作(このブログが書かれた週にABCが報じた:Steve Clemonsがいわば「総本山」、ほかにScott Hortonら)を行なうことにした。しかしどうやらチェイニー副大統領は「プランA」、つまり爆撃を推進したがっている。

まったくもう、「実はよくわかっていないがとりあえず行ってみよう」って、小学生の裏山の探検じゃあるまいし。しかも軍人は一致してNOと言っている。じゃあしょうがねーな的に極秘工作というのも、米国ってのは「成功」したことだけで脳内お花畑か、しかもその「成功」はどのくらいの量の血を流させ、どのくらいの数の人間の心を破壊したのだと思うばかりだが(死の部隊も「自由の戦士」ってか)、そのことはここでは度外視する。

この8月、米国は「イランの革命防衛隊を『テロ組織』と認定することにした」と言い出した。だってそれって他国の軍隊の一部でしょ、と世界は唖然としたのだが、革命防衛隊に関連する企業や個人が、3月の決議1747で、Entities involved in nuclear or ballistic missile activities (←この or は何だ。核弾頭があることが実証されていない段階で、核ミサイルの可能性は否定されてしかるべきだろうに)としてリストアップされており、アメリカの口実は「そういう活動に資金が流れることを防ぐため」だった(ホワイトハウスの発表など)。

というところで落ち着いて考えてみると、アメリカは「イランの革命防衛隊はテロ組織」→「テロとの戦い」で「国際社会」は納得、という線を固めつつ、「イランは核兵器を開発しているのだ」→「地域安全保障への脅威」→「国連で制裁決議、とりあえず非軍事」→「非軍事制裁で態度を変えなければ軍事制裁」という線を求め、二方面作戦を行なっていると思われる。(さらに裏でcovert operationがある。)それは、流れを作っているのが「ハト派 dove」と呼ばれる人たちであろうと、「タカ派 hawk」と呼ばれる人たちであろうと同じだ。

問題は、チェイニーのような「タカ派」は頭がとにかく「戦争」ということでいっぱいになっているということだ。結論は「戦争」。その結論に至るまでの手続きはいろいろあるだろうが、結論は「戦争」。

米国の、決してブッシュ政権に批判的とはいえないような人でも、チェイニーのことは「イランを攻撃することについて病的オブセッションがある」と書いていたのをしばらく前(革命防衛隊をテロ組織指定するという話が出たあと)に見かけたが、本当にご病気でオブセッションがおありなら、笑うに笑えないが、『博士の奇妙な愛情 Dr Strange Love』ではないかと。

まったくほんとに、イラク戦争に懲りず、前回の大統領選挙でブッシュ&チェイニーを当選させた奴、出て来い!って感じだな。

で、今回のフランス外相の発言についてだが:
France warning of war with Iran
Last Updated: Monday, 17 September 2007, 07:20 GMT 08:20 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/6997935.stm

私はフランスに詳しいわけじゃないし、ものすごく関心があるわけではないのだけれども、この外相って、確かサルコジのサプライズ人事というか、社会党の人で『国境なき医師団』のファウンダーだよね、と思って検索してみたら:
http://bebepiupiu.blog12.fc2.com/blog-entry-186.html
サルコジ大統領の新内閣は大方の予想どおりだったとは言え,その大胆な組閣は,やはり様々な憶測を呼んでいるようです。まず,最大野党(社会党)の人気政治家であり,”国境なき医師団”の創始者であるベルナール・クシュネール(元保険相)が外務大臣に。……


それと:
http://www.mofa.jp/mofaj/press/kaiken/hodokan/hodo0001.html
報道官会見要旨 (平成12年1月25日(火)17:00〜 於:会見室)
コソボ・ミッション特別代表来日(冒頭発言)

(報道官)ベルナール・クシュネール国連事務総長特別代表(国連コソボ・ミッション=UNMIK=の長)は2月1日から5日まで、夫人と一緒に来日する。クシュネール特別代表は「国境なき医師団」(MSF)を創設、もともとは医師で、フランスの保健・人道的活動大臣を務めた方である。……

という具合なわけだが、どこもかしこも「国境なき医師団(MSF)」を引き合いに出しているが、実際には彼はMSFは設立から9年後の1980年に脱退し、新たに「世界の医師団(Médecins du Monde)」を立ち上げている。(ちょっと手抜きして)en.wikipediaの説明を読むと、政治とNGOの活動との関係を深めるべきだとの意見がMSFでは受け入れられなかったことが脱退・別組織設立の理由だとのこと。

http://en.wikipedia.org/wiki/Bernard_Kouchner
によると、「人道的介入」論の支持者で、イラク戦争の(本当の)目的であった「サダム・フセインの政権からの追放」を支持。

# こういう人物を「外務大臣」というポストに起用したサルコジ、シラクとは違った方向でひどいタヌキだ。せっかく英国が、トニー・ブレアという「役者」とおさらばして少しは正気を取り戻したかに見えているなかで。

さて、次にどんなことが出てきますかね。「イランでは、サダム・フセイン政権下のように、人々が圧制に苦しめられている」とかいうのが出てくると私は思っているけれど(そしてそれはある程度までは「事実」だ)、何しろアメリカが国交断行して30年近くになっているわけで、何をやり出すか(言い出すか)、おそろしくてたまらない。

なにしろ、「サダムに油まみれにされたかわいそうな水鳥」(でも実際にその水鳥を油まみれにした油はサダムが流したのではなく米軍の爆撃で流れ出た)、「セルビアはエスニック・クレンジングを行なっている」というキャンペーン(でもアルバニアの武装勢力の暴力は語らず)、「イラクで捕虜になった女性兵士、果敢な抵抗の後に奇跡の救出」(完全にフィクション。映画『ブレイブハート』のほうがまだ史実に忠実なくらいにフィクション)、などなど、これまでの実績が華麗すぎてめまいがするくらいなのだから。

BBCのフランスの外相の発言をもう少し見てみよう。
Mr Kouchner said negotiations with Iran should continue "right to the end", but that an Iranian nuclear weapon would pose "a real danger for the whole world".

つまり、「イランとの交渉は絶対に諦めてはならない」ということを言いつつ、「イランが核兵器を持てば全世界にとって脅威である」と言う。(an Iranian nuclear weapon would pose a real danger ... の仮定法に注目。ってかここが仮定法であることを見逃してはならない。)

で、その「イランの核兵器」ってのはあるんですか?

つまりこれは、「イラクの大量破壊兵器」の二番煎じだ。で、首相や大統領(つまり「首脳」)ではなく外相が、そして米国や英国ではなくフランスが、こう述べたのだ、ということに注目すれば、解釈は:
1)世論の「イラクを忘れたのか」という反発と攻撃を受ける役回りのストローマンとしてフランス外相が立った、ということかもしれない
2)米英ですでにそのコンセンサスはあり、フランスも今度は「安保理で拒否権を行使する側には回らない」との態度表明をしている、ということかもしれない
などが可能だろう。個人的には、何となくだが、「ドイツの提案で(EU制裁)」とわざわざ述べていることからして、「ドイツも支持している」のアピールをしている、つまり「国際社会の支持」のアピールだと思う。

余談だが、イラク戦争のときに、「国際社会って言ってもハンガリーとかポーランドとか……うーん」という反応が返ってきたことは、アメリカにとってあんまり嬉しいものではなかっただろう。ラム爺は「新しいヨーロッパ」とか言っておだてていたけれどね。そもそも、国連決議はないが国際社会は一致して支持、なんていうアホなことをしようとするからいかんのだが。しかし今回は、さすがにアメリカも懲りたのだろう、「国連決議」という形式は整える方向だろうけれども……「国連決議」があれば必ず「国際社会の意思」という方向でプッシュしてくるだろう。でもその「国連決議」が、核弾頭の存在が立証されていないのに、nuclear or ballistic missile activities と書いてしまっているような代物なのだ。

フランス外相発言をもう少し:
He said a number of large French companies had been asked not to tender for business in Iran.

"We are not banning French companies from submitting. We have advised them not to. These are private companies."

"But I think that it has been heard and we are not the only ones to have done this."

これは、「企業の自由な活動を国家が制限するということではないが、イランでの新規入札は控えるようにとアドバイスをしている。これは命令ではない」とか、「このように民間企業にアドバイスをしているのはフランスだけではない」といったことで、要するに、ガチのリベラリスト(自由主義者)やリバタリアンの観点からの批判――国家による統制にNO!というもの――を封じ込めたいのだということだろう。

フランスでの動向はわからないのだけれども、リバタリアンといえば、昨日FRBのグリーンスパン元議長が「イラクね、ありゃ石油ですよ、いわずもがなでしょう。ただ政権がそれを認めていないだけでしてね」とかいうことを言ったという記事があったな。
http://observer.guardian.co.uk/world/story/0,,2170237,00.html

BBC記事は、記者による「外相コメント」の解説で締められているが、これは「フランスも米国のポチになった模様」ということでよろしいのかな。
The BBC's diplomatic correspondent Jonathan Marcus says France has changed its approach to world affairs under its new President Nicolas Sarkozy, adopting a harder line on several issues, and seeking to improve relations with the United States.

But it is the tougher rhetoric aimed at Tehran which will please Washington the most, he says.

そんなに挑発したら、イランは(ただでさえああなのだから)マジで挑発に乗ってくるだろう。そのとき犠牲になるのは、誰なのか。

イランの内部のことなど、私には知る術がほとんどない。ペルシャ語も読めないのだ。イランでどんなことが起きたとしてもほとんど知ることができない。私はそれを前提にしている。で、私にできることといえば、ウッカリしているうちに、挑発合戦の中で自分も「やーい、おまえのかあちゃんでーべーそ」と叫んでいた、ということが発生しないようにすることだけだ。今のところ。

BBC記事にある、prepareとかnot rule outといった言葉が、本当に表しているものの意味を考えながら。
But Mr Kouchner said even in the absence of UN action, the European Union should prepare its own sanctions against Iran.


The United States has not ruled out a military attack against Iran to prevent it from acquiring a nuclear weapon.


# 相手が持ってもいない核兵器を標的にしてんじゃねぇよ。



■続報:
イランが「喧嘩上等」になってます。あーあ、いわんこっちゃない。
Iran scorns French warning of war
Last Updated: Monday, 17 September 2007, 13:59 GMT 14:59 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/6998602.stm
Iran's foreign ministry said the remark had damaged the credibility of France, while the official Iranian news agency accused Paris of aping Washington.

イランは「フランスはアメリカのポチ」と解釈しましたね。

これで安保理常任理事国で「ポチ」認定されていないのはロシアと中国……ああ、絶望的。イランとの戦争を回避してくれと頼める相手が、過去ではなく現在において、ある意味で「帝国主義」じみた(<自分でも用語法が危なっかしいと思うがとりあえず)ふるまいを拡大させつつあるロシアと中国かよ。

もう、IAEAのエルバラダイしか行き先がない。
http://www.guardian.co.uk/iran/story/0,,2171099,00.html

※この記事は

2007年09月17日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 22:55 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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