「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2007年09月11日

【メモ】9月11日のイスラエルとトルコ(911であることが関係あるのかないのか)

2007年9月11日、BBC Newsのトップページを見たら、ガザ地区からイスラエル領内にロケット弾が打ち込まれたというニュースが一番大きなニュースとして報じられている。
bbc-11092007.png

ヘッドラインにinjureの語はあってもkillという語はないから、現時点で死者は出ていないようだ。

Rocket injures dozens in Israel
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6988463.stm

BBCは速報から順次記事更新というスタイルで進めているので、私が見つけた版は一応キャッシュ(ウェブ魚拓)をとっておく。あとから資料的に参照したい場合に備えて。

Last Updated: Tuesday, 11 September 2007, 06:47 GMT 07:47 UK
http://megalodon.jp/?url=http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6988463.stm&date=20070911175031

Last Updated: Tuesday, 11 September 2007, 08:58 GMT 09:58 UK
http://megalodon.jp/?url=http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6988463.stm&date=20070911191036
※現時点の最新の記事がこれ。

報道の内容は下記の通り:

発射されたのは1発のようだ(a rocket fired from Gazaとあることから)。この発射地点はベイトハヌーン。着弾したのはZikkimのイスラエル軍の訓練施設。訓練施設にいた兵士ら69人(数値はBBCの08:58 GMT記事のもの)が負傷。軽傷の人は入院もせず既に病院から出ている。

で、着弾地点のZikkimという場所は、BBCの記事にくっついている地図を見ると、イスラエル最南端、ガザ地区との国境(←このborderは「国」の境だという前提での用語)に接しており、ベイト・ハヌーンも国境はすぐそこという場所。「隣町」くらいの距離だろう。

犯行声明は、Islamic Jihad(イスラム聖戦)とPRC(the Popular Resistance Committees)が出しているというが、この二者の共同の声明なのか、それぞれが勝手に出しているのか(つまりどちらがやったのかがわからない状況)、あるいはたまたま同じときに両方がロケット弾を発射して、一方は軍基地に着弾し爆発したが一方は不発だったとかあさっての方向に行ってしまったとかいった事情なのか、そこらへんは現状のBBC記事からはわからない。

いずれにせよ、犯行声明を出したのはハマス(の武装部門)ではない。

しかし、BBC記事によると、ハマスでは「神から与えられた勝利」と述べているとのことで(Fawzi Barhoum, a spokesman for the Islamist Hamas movement ... called the rocket attack a "victory from God".)、ガザ地区を実効支配している状態のハマスが、IJやPRCのブレーキ役というわけでもない、ということは察することができるし、その点に間違いはなかろう。

一方でイスラエルは「報復」ないし「反撃」を、つまりガザ地区への攻撃(おそらくは「総攻撃」と呼ばれる規模のものになるだろう)を示唆している。
A spokesman for the Israeli foreign ministry, Mark Regev, told the BBC that his country would respond to the strike.

"We will act, but I think it's very important to make the point that there is no reason for this," he said.

"We pulled out of the Gaza Strip two years ago, we took down all of the settlements, we pulled out all our military personnel, we ended the military occupation and these extremists who are shooting rockets really have no positive agenda. It's just nihilism."

イスラエルが、2年前のガザ地区からの撤退や入植地の撤廃を「軍事占領の終わり」と見なしている、ということはよくわかる。

BBCの記事がやっかいなところは、記事のこの部分のあと(08.58 GMTの版で、Psychological impactという小見出しのあと)で、ガザ地区のミリタントの「標的」を並べている部分だ。

過去において、ガザ地区からのカッサムは、一般市民の施設に着弾し、被害を出したことがある。しかし今回のカッサムは、軍施設に着弾している。これが狙い通りだとすると、IJであれPRCであれ、発射した側は「軍事標的への攻撃」を行なった、ということになる。

そしてこの「軍事標的への攻撃」をどう扱うか。より直截的にいえば、これは「テロ an act of terrorism」なのか。

現時点では、イスラエルはこの事態に際しこの言葉を使っていない。

しかし、BBCが「デイケアセンターにカッサム」という過去の事例を今回の事例と並置して見せることで、「ガザ地区からロケット砲で攻撃がなされる」=「テロ」という認識がされることは避けられない。それをBBCが意図的にやっているのか、それともそうではないのかまでは私にはまったくわからないが、少なくともライティングとしてはやや軽率だと思う。

ただし記事ではこのあと、次のような部分が続いており、つまりイスラエルには「ガザ地区からロケット砲で攻撃が」に対処する必要がありその用意がある、ということを述べている。さらに、一部の閣僚は「集団懲罰」としか呼びようのない方策をとれと主張しているようだ。
The Israeli Prime Minister, Ehud Olmert, told the country's military to draw up plans to curb rocket attacks from within the Gaza Strip.

It stopped short of calls from some ministers to expand military operations in Gaza, or to cut Israel's supplies of water and electricity to the territory.


これと、先に引用したイスラエル外相のコメントの内容を合わせて判断すると、「国境のこっち側に撤退した軍を標的にしてカッサムを撃ってきた武装勢力」という説明がなされているのだと思うが、ではそこをどう評価するかということになると、もっと大きな流れを詳細に見てみないと、何ともいえないところだ。このBBC記事にはそのことが欠け落ちているように読める。

実はBBCで見出しだけを見たとき、私はこれが「アルカイダ系を名乗るパレスチナ・ガザ地区の武装組織もしくはグループ(アラン・ジョンストン記者拉致事件に出てきたような)が、9月11日という節目の日に、何かを思い起こさせることを目的とし、またガザ地区は何でもありの状態になっていると示すことを目的として、国境の向こうの非軍事的施設を攻撃したのではないか」と恐れた。結果的にはそれは杞憂だったようだ。標的が軍の基地だったという点においては。

BBC記事の結びの部分に、特派員のコメントとして、「イスラエルが何を問題としているか」が書かれている。
The BBC's Joe Floto in Jerusalem says the Israeli authorities will be looking urgently at two questions.

The first and most immediate is why its soldiers were housed under canvas in an area prone to this kind of attack.

The second will be much harder to address - how to prevent Palestinian militant groups from firing their rockets into Israel.

Last year the Israeli army carried out a five-month offensive inside Gaza to do just that.

Hundreds of Palestinians were killed in the operation.

After Tuesday's attack politicians and military commanders will be under intense pressure to respond forcefully, our correspondent adds.




これとは別に、2007年9月11日に、トルコでも「爆弾」事件があった(爆発前に発見され被害なし)。

Turkish bomb 'catastrophe' foiled
Last Updated: Tuesday, 11 September 2007, 10:30 GMT 11:30 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/6988697.stm

首都アンカラの市街地に、爆発物(種類は記事に明記されていない)を大量に積んで偽のナンバープレートをつけた車が停まっているのを爆薬検知犬が見つけ、当局が対処した、とのこと。

BBC記事にもあるが、トルコでは2003年に英国総領事館や英国の銀行(HSBCだったと思う)などで爆弾が爆発したり(イスタンブール)、今年の5月には自爆攻撃があったり(アンカラ)しているが、トルコの場合、クルド分離主義者やらイスラミストやらウルトラナショナリストやら、爆弾のプレゼント主として想定される勢力が複数あり、今回のこの自動車爆弾(未遂)が誰によるものかは、犯行声明が出るまでは、まったく誰とも言えないだろう。




※この記事は

2007年09月11日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 19:53 | Comment(1) | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
どうやら、イスラエルによる大規模報復はないということで決定、その限りにおいては安心してよさそうだ。

Israel holds back from rocket attack retaliation
Sarah Bridge and agencies
Wednesday September 12, 2007
http://www.guardian.co.uk/israel/Story/0,,2167528,00.html

しかし:
An anonymous official told news agencies after a meeting with the prime minister, Ehud Olmert, that Israel was hesitant about fighting on a second front at a time of rising tensions with Syria.

シリアに対するあれこれは、ちょっとフォローしきれていないのだが、
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6989961.stm
も参照。こういう「情勢」のなかで、「インド洋で米国の船に給油」とかやってると、それが何に使われるのか、ほんとわかんないと思う。米国から油がイスラエルに行っているとかいうのではなく、単に、「情勢」があまりに流動的すぎる。それを「現実」と呼び、その「現実に対応するべき」という考え方もあるのだろうが(「テロとの戦い/対テロ戦争」はまさにこういう意味での「現実への対応」だが)、私はその考え方に立たない。そもそも、なし崩し的にあれも「テロ」これも「テロ」と位置付けることが得策であるとは思わない。それは「相手からの反発」とかいうことでなく、例えばCIAが何をしているのか、MI6が何をしているのかということと関連している。

閑話休題でイスラエルの対ガザ地区の件:
But it was considering putting pressure on Hamas, which controls Gaza, to stop the rocket attacks by non-military means, such as cutting off electricity, fuel and water supplies.

...

Two small extremist groups, Islamic Jihad and the Popular Resistance Committees, claimed responsibility for yesterday's strike.

But Israel holds Hamas responsible for having done nothing to halt the violence.

まあ、IJとPRCがハマスの直接のコントロール下にないということはイスラエルは認めているということだが、無茶苦茶だ。ハマスが手をこまねいているからといって、ガザ地区への電気、燃料、水の供給を絶つということは、「集団懲罰」にほかならない。

イスラエル的には、これは「テロとの戦い」なのだろう。
Posted by nofrills at 2007年09月13日 00:52

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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