kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2007年09月11日

イスラエルの「ネオナチ」の報道

イスラエルでネオナチのグループが逮捕されたとの報道は、日本語でもあったようだが(下記)、私も最初「意味がわからない」と思った。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070910i213.htm
 ……

 8人は16〜21歳で、いずれも旧ソ連出身のユダヤ系移民。同国中部ペタハティクバで、シナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)に出入りする信者やアジア系移民、同性愛者を次々と襲撃していた。報道によると、自宅でヒトラーの肖像や拳銃が見つかり、押収されたビデオには、8人がナチス式の敬礼をしたり、麻薬中毒者を路上でひざまずかせ、「ユダヤ人」であることをわびるよう脅したりする様子が映っていた。

 イスラエルは、ユダヤ人には無条件で国籍を与えており、8人は子供のころ、両親と移民したらしい。同国には1990年代、旧ソ連から100万人以上のユダヤ系が流入。現在、国内人口の約6分の1を占めるが、イスラエル社会にとけ込まず、ロシア語を使いながら独自の共同体を作っているケースも多い。

 逮捕者の1人は、腕に「白人パワー」という言葉を刺青しており、ユダヤ系としての自覚が薄い「白人至上主義者」だったと見られる。……

むしろ私は「社会にとけ込まず、ロシア語を使いながら独自の共同体」とか「ユダヤ系としての自覚が薄い」という表現にぶっとんだわけだが(「お茶吹き」のレベルではない)。何とも言えんね、この記述。

ともあれ、ガーディアン:
Israeli neo-Nazi ring caught after attacks on synagogues
Conal Urquhart in Jerusalem
Monday September 10, 2007
http://www.guardian.co.uk/israel/Story/0,,2165880,00.html

それと、BBC:
Israeli 'neo-Nazi gang' arrested
Last Updated: Sunday, 9 September 2007, 16:47 GMT 17:47 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6985808.stm

で、読売の記事ではイマイチ具体的でないのだが(文字数制限のためだろう)、この「ロシア出身のイスラエル人で、なおかつネオナチのティーンエイジャー集団」、警察の話を丸呑みすれば、ガチで武装してますがな。BBCには Police say searches of their homes yielded Nazi uniforms, portraits of Adolf Hitler, knives, guns and TNT. とある。つまり「家宅捜索でナチスドイツの軍服やヒトラーの肖像のほか、ナイフ、銃、TNT火薬が押収された」って、ナイフや銃はまだしも、TNTかよ!

イスラエル内部での「人種差別」の問題は、例えばアラブ系イスラエル人(パレスチナ人)に対する根強い差別だとか、うさんくさい(失礼)伝説に基づいてエチオピアからイスラエル国籍を取得した人たち(黒人)にはろくな仕事がないとか、また、それ以前に、建国から一連の中東戦争までの期間に西アジアから移住してきた「ユダヤ人」(ミズラヒム)は、欧州やロシアから移住してきた「ユダヤ人」(アシュケナジム)から差別されていたとか(イラクからもこの時期にイスラエルに移住した人たちがいて、その人たちのことを伝えるドキュメンタリー映画については、以前teanotwarに書いた)、そもそも「ユダヤ人の国家」というもの自体が「人種差別」的であるとか、さまざまな「問題」があるのだが、今回報じられたようなことは、想像もしてみたことがなかった。

つまり、「親の都合でイスラエル人ってことにされたが、俺らそうじゃないし」という心情。そういう子たちが、シナゴーグをぶったたき、ユダヤ人を襲撃する。(そして、外国からの労働者や同性愛者も襲撃する。)

2005年7月7日のロンドン地下鉄・バスでのあの事件のあの「パキスタン系英国人」たちと、通じるものが感じられてならない。

なんでそんなにこだわってしまうのだろう、と思う。

BBCによれば、
The arrests follow a year-long inquiry which began after a synagogue in Petah Tikva, a city east of Tel Aviv, was desecrated with graffiti of Nazi swastikas and the name of Nazi leader Adolf Hitler.

つまり、テルアビブでシナゴーグが襲撃されてから1年間捜査が行なわれた挙句の逮捕。しかもこの子たちは、Petah Tikvaに住んでいる子たちで、つまり地元のシナゴーグを破壊している。

ガーディアンによれば:
The group of eight Russian immigrants aged between 18 and 21 appeared in court following an 18-month investigation into attacks on two synagogues in which swastikas were painted on the walls of the buildings. The men covered their heads with their shirts during the hearing, revealing arms tattooed with Nazi imagery.

つまり、シナゴーグ襲撃は2件、捜査は18ヶ月行なわれ、今回、公判で彼らが法廷に姿を見せた。法廷で頭にはシャツをかぶっていた被告は、腕は見えていて、そこにはナチのスミが入っていた。

ほんとによくわからないのだけれど、彼らの背後にあったのは、おそらく、「やり場のない憤り」だろう。だからといって「88お化け」になるのはいかがなものかと心底呆れるが。日本でモンゴロイドが「ホワイトパワー」なものをかっこいいと思って買ったりしているのも相当イタいと私は思うが、イスラエルで「ホワイトパワー」って、何ごとだろう。。。ひょっとしたら、兵役がいやでいやでたまらなかったとかだろうか。とにかく、話がねじくれていてよくわからない。

さらにBBCから:
Police say the gang members would target homosexuals, Jews who wore a skull cap and drug addicts, often video taping their attacks.

"It is difficult to believe that Nazi ideology sympathisers can exist in Israel, but it is a fact," Revital Almog, the police official who led the investigation, told Israeli public radio.

警察によれば、彼らの襲撃対象は同性愛者、「ユダヤ人らしく」キャップをかぶった人、ヤクでへろへろの人(ガーディアンによればRussianの人だそうで)、など。襲撃の模様はビデオで撮影。(Happy Slappingとも似ている。)捜査を指揮した警察の人は「イスラエルにナチのイデオロギーのシンパが存在するとは信じがたいが、これは事実である」とコメント。

イスラエルには「帰還法」という仕組みがあり(そのイスラエルはパレスチナ人を追い出してその国家を今の形にし、現在もまだ壁の建設という形でパレスチナ人の「排除」は進行中だが)、「ユダヤ人であることが証明されること」(祖父母がユダヤ人であること)を条件に、市民権を与えて移住を促している。これは、人口の維持がプライオリティだからだ(そういうところは北アイルランドのプロテスタントと似ているのだが、実際、NIのプロテスタントはイスラエルのシンパで、カトリックはパレスチナと共闘していた)。

そして、ガーディアン記事によると、近年の移住者は「血筋」こそジューイッシュであっても、「ユダヤ」だから移住するというより、経済的理由で移住するケースが多い。

つまり経済移民で、これは英国に移住したパキスタン系の人たちとも、形としては、同様だ。

で、昨今の英国のメディアは「ロシア」に対する扱いがフェアだとは私には思えないので(そう思える根拠がない、そう思えない根拠ならある)、その辺はガーディアンの記述は割り引いて読むべきだが、「ロシア人街の食品店では(コーシャ・フードではない)豚肉も販売されている」というのは事実だろう。

これが読売のいう「社会に溶け込まず」の一部だ。

また、移住したロシア出身者は自分たちは差別されていると感じ、多くの人たちがユダヤ教の権威から結婚の権利を否定されている(ここ、もう少し詳しく調べないと、どういうことかは私にはわかりません)。

そういう「社会的環境」と、この集団のリーダーの "Eli the Nazi"(19歳)の「絶対に諦めない、俺はこれまでずっとナチだったしこれからもそうだ。皆殺しにするまで」とか「俺は祖父が半分ユダヤ人だから、子どもを作ったらユダヤの血が受け継がれてしまう。だから子どもは作らない」という言葉との関連は、個別に証明されねばならない。

というか、アメリカの有名なホワイトパワーの活動家がジューイッシュだった、という話もあったはずだが、こういうのは本当に、私にはわからない。

わからないのだけど、せめて「わからない」ということを書き留めてはおきたい。

まったくもう、Judt先生は「アメリカのジューイッシュは明日にも絶滅させられるという空想ですべてを考えている」という内容のことをおっしゃっていたし(Judt先生はジューイッシュでロンドナー)、さっき読んでいた中東情勢についての新書でも「イスラエルは、殴られたら鼻血では済まず失血死すると考えていたかのように」という解説があり、実際にイスラエルという国家(とアメリカなど外国のサポーター)の行動はそういうことだと私は思っているが、なんでまたイスラエル国内で「88お化け」なのか。。。

で、ガーディアンから、米国からの報告の部分:
The Anti Defamation League, a New York-based group that fights anti-Semitism, praised the arrest of the neo-Nazis but warned Israelis not to stigmatise the whole Russian community for the actions of a few members.

"The suspicion that immigrants to Israel could have been acting in praise of Nazis and Hitler is anathema to the Jewish state and is to be repelled," the organisation said in a statement. "Members of the group were reportedly from the former Soviet Union and were religiously identified as Christians.

"They were allowed to immigrate to Israel on the basis of law of return which grants even grandchildren of Jews sanctuary in the Jewish state.

"The tragic irony in this is that they would have been chosen for annihilation by the Nazis they strive to emulate." The ADL said that the phenomenon appeared to be marginal and was more a reaction to anti-Russian discrimination in Israel.

うはー、「この1件で、イスラエルに移住してくる人たちはみなネオナチだなどと考えないでください」というコメント、それ自体が、言葉は悪いがヒステリアじゃないのだろうか。

で、「彼らは旧ソ連出身で、宗教的にはキリスト教徒(ユダヤ教徒ではない)」って、現在18歳とか21歳の子が、ソ連のメンタリティを持ってるわけもないだろうに。ゴルバチョフすらリアルタイムではほとんど知らないよ、この年齢では。さらに、「旧ソ連」を言うなら「無神論者」とか「無宗教」であるべきところで「キリスト教徒」。

ますます話がわからなくなった。。。

最後に、アラブ系イスラエル人の国会議員の反応を、ガーディアンから:
Ahmed Tibi, an Arab Israeli member of the Knesset, said that the case illustrated the absurdity of Israeli laws which give extensive rights to newcomers from Russia while denying them to Arab residents who had lived in the region for generations.

absurdityからあとの部分は仰るとおりだと思います。イスラエルは「門戸開放」しながら「先住者の追い出し」を行なっており、このようなナンセンスはとても「民主主義国」のすることとは思えない。ネット上で私が一方的に知っているイスラエル人の人たちもこういう意見でそれぞれの活動(文章、ヴィジュアル・アートなど)をしていたりする。

しかし、その件とこの件はどうだろう、別の話かもしれない。

あまりに事例として極端すぎて私の頭がショートしているだけだろうか。



「ネオナチ」のネタでは以前コメント欄でhit and runがあって対応に時間を取られたので、このエントリのコメントは「承認してから表示」するように設定します。


タグ:イスラエル

※この記事は

2007年09月11日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 01:07 | Comment(1) | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
2008年11月、「ネオナチ」の彼らに暴行などで有罪判決、実刑が申し渡されたとのこと。
Jail terms for Israeli neo-Nazis
Page last updated at 18:35 GMT, Sunday, 23 November 2008
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/7744966.stm

記事によると、テルアビブ地裁で、16歳から19歳の8人が、ユダヤ教徒、外国人労働者、麻薬中毒者、同性愛者への襲撃とシナゴーグへの落書きか何か (desecrating) で有罪となり、それぞれ1年から7年の懲役を申し渡された。AFPの報道によると、リーダーのEli (Ely) the Naziことエリック・ボニトは懲役7年。

8人のうちの1人は祖父がホロコーストの生き残り。判決を申し渡す際、判事は、彼らを真似る者が出ないよう重罰を科すと述べた。「旧ソ連出身のユダヤ人である彼らが人種差別の論を信じる者に共感を覚えたという事実はおそろしいものである」と判事。

で、この記事ではわからないのだけれども、彼らの家宅捜索では銃やナイフ、TNTが発見されていたのだが、その点について判事はどう判断したのだろう……そもそも起訴事実にそれが含まれていたのかどうかがこの記事ではわからないのだが。(ナイフや銃は何とでもいえるかもしれないが、TNTは「護身用」などではありえない。)

記事に書かれている起訴事実は、有罪となった暴行と建造物損壊のほか、犯罪を行なう共謀、人種憎悪の煽動、人種差別を広めるものの頒布(They were charged with offences including conspiracy to commit a crime, assault, racial incitement and the distribution of racist materials.)。
Posted by nofrills at 2008年11月25日 15:14

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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