Magical History Tour:
http://www.comedycentral.com/motherload/player.jhtml?ml_video=92012
※This video expires 09/24/2007 だそうですので、それまでにご覧ください。
ブッシュ大統領のスピーチのスクリプトはこちら:
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2007/08/20070822-3.html
しかしこのスピーチの原稿を書いたスピーチライター、大丈夫なんですかね。
何年も前の話ですが、「日本についての英語での質問に英語で回答する」という作業を少ししたことがあって、そのときに質問してきた子が「第二次大戦は自由主義と共産主義との戦いだった」と思い込んでいて、噛み合わない話になったことがあります。その子がそう思い込んでいた原因は、authoritarianという語にあったようでした。「スターリンはauthoritarianだった」というところから出発して、「ナチス・ドイツもそうだった」、「大日本帝国もそうだった」というふうに結びついて(そこまでは特に間違いではないにせよ)、「スターリンは共産主義者だった」ことから、authoritarianをcommunismの同義語だと考えており、したがって「第二次大戦は英米など自由主義諸国と、共産主義諸国との戦い」という認識に至っており、「戦後、ドイツは東西に分けられ半分は共産主義のままだったが、日本はまるごと自由主義陣営に入った」ことをもって「自由主義が勝利した」と結論づけていた。
80年代生まれの子だから、東西冷戦というものについてリアルタイムではほとんど何も知らないのは当然のことかもしれないけど、ここまでスゴいとは思ってなかったんでショックで頭痛を起こしました。「いやぁ、非米活動委員会のマッカーシズムを経験した国はさすがだな」、みたいな感覚。(←非常に乱暴な認識です。そうとでも片付けてないとショックを乗り越えることができなかったので。)
でもブッシュ大統領のこのスピーチを書いたスピーチライターは、ひょっとしたら、そういうバックグラウンドの持ち主なのかも。で、ジョン・スチュワートのまとめ方を見ると、しゃべっているブッシュ大統領は何も理解していない、ただしゃべっているだけ、ということがよくわかります。
ジョン・スチュワートをもう1件。超大国アメリカの世界新秩序について。
Billions and Billions:
イラクがクウェートを侵略したときの話で出てくる「当時の国防長官」は、言うまでもないと思いますが、現在副大統領をしているディック・チェイニーです。若いころの写真。(一番左にいるのはドナルド・ラムズフェルド、後の「ラム爺」である。)撮影日は1975年4月28日、ということは29日から30日のフリークエント・ウィンド作戦の直前、または作戦の最中(時差次第)。
※この記事は
2007年08月30日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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戦後の共産主義諸国で体制が意図的に記憶の改変を行っていたことはたまに聞きますが(*)、米国の歴史教育がどうなっていた(いる)のかはよく知りません。単に無知なのだとしても十分に不安ですが、こういった教育を施しているのだとしたらおぞましいです。
ブッシュの発言も間抜けとしか言いようがありませんが、今後またあのような大統領が出てこないためにも、「唯一の超大国」の有権者の皆様にはもう少し歴史を知ってもらわないと困りますよね。
(*)例えば今でも旧東独出身の若者には「第二次大戦中、東独のレジスタンスとソ連赤軍が一緒になってナチスと戦った」と信じている人がそこそこいるらしいです。Tony Judt著"Postwar"のどこかに書いてありました。
どうもです〜。
> 「第二次大戦は自由主義と共産主義との戦いだった」云々のくだりに衝撃を受けました。質問をした人が勉強不足なのか、それとも米国が意図的に史実を捻じ曲げているのかが非常に気になります。
もう何年も前のことで細部の記憶も消えているのですが、論理的にも間違った思考をしていたし(「スターリンはauthoritarianでcommunist」→「○○もauthoritatianなのだからcommunistだと考えられる」がそもそもの間違い)、あれが「教えられる内容」の問題なのかどうかはわかりません(そういう問題ではなかったと思っています)。さすがに本気でそういう思考をしている人はいないかもしれないけれど、「広告代理店」的には、こういう「わかりやすい」ミスリード(mislead, not "misread")は、「俺も昔はそう思ってたから、けっこう誰でもはまりやすくね? だからこれ使えんじゃね?」みたいな面があるかも、という気はします(具体的な根拠はありません。私の妄想かもしれない)。
例の件は、覚えている限りでいうと、確か高校の課題でessayの下調べをしているのだがHelp! I'm confused! という相談で、authoritarianということばが雑に扱われたままの状態なのが原因と考え、totalitarianということばを紹介し、the USSR was on the American and British side at the time. ということを、WW IIを年表で解説したページを参照させて説明したら、「言われてみれば!」ということで(<「をいをい」ですけど)、WW IIは「(共産主義と対置される)自由主義」をめぐる問題ではなかったということで解決したとThank youのメールをもらいました。きっと、それまで聞いたこともない用語で短絡していたんでしょう。自分がconfusedであるとわかっていたのだから、その子個人は大丈夫だと思います。
まあ、こんな質問ばかりではなく、「今度日本に行くのですが、キティちゃんが好きすぎて気が狂いそうです。グッズを全部買うにはどこに行けばいいのですか」とか(「そこまで好きならピューロランドに」と返事)、「ミシマについての卒論を書いているのだが、日本語が不十分なので確認をしたい。この未英訳作品の題名の英訳はこれでよいか。またあなた個人はミシマをどう考えているか」とかいう内容の「日本についての」質問が多かったです。
「ミシマ」の質問者さんは大学生で、ポール・シュレイダーの例の映画がきっかけでMishimaを読むようになったと言っていました。(あの映画は、映画そのものを見ないとわからないのですが、三島が「文学者」として扱われていないのかも。ちょっとこわくなりましたけどね、「日本では三島は死後○年の今でも絶版になっていない」という事実がどう解釈されうるのか。)
> 今でも旧東独出身の若者には「第二次大戦中、東独のレジスタンスとソ連赤軍が一緒になってナチスと戦った」と信じている人がそこそこいるらしいです。
これはすごい話ですね。Tony Judtの例のあれはあまりに大著すぎて読めないかもしれないし、そもそも置き場所がない、ということでまだ入手していないのですが、あれだけの大著で2000円台と低価格ですし、置き場所さえ作れば。。。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0143037757/nofrills-22/ref=nosim/
Google BookでTony Judtで検索したら下記の論集が見つかりました。上記の件に関係のある記述はないし、たったの2ページですが、pp. 157-158です。
Jan-Werner Müller Ed., "Memory and Power in Post-War Europe: Studies in the Presence of the Past", Cambridge University Press
http://books.google.co.jp/books?id=wOsSG0K8hCYC&dq=tony+judt&as_brr=3
amazon.co.jpでもsearch insideありとの表示ですが、「このWebページのリンクは有効期限が切れているか、無効です」で残念。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/052100070X/nofrills-22/ref=nosim/
ジョン・スチュワートの「ココア吹き」では、「日本はパールハーバーを奇襲した。そしてアメリカは中国を侵略した」のところで人々がゲラゲラ笑っているのは、それが「ネタ」として共有されているということで、こんなことを言うとアメリカの人たちに失礼かもしれないけど、少し安心しました。「アルカイダは911をやった、そしてアメリカはイラクを侵略した」がここまで見事に「笑うべきこと」として語られているということで。
というのは、GWBの演説だけだと、米国外の者にしてみれば、「アメリカってトンデモさんしかいないんじゃないの?」という印象ですし(コンディの知性も使い方に問題があるし)、だからこそ「インサイド・ジョブ」説が尤もらしく聞こえることもあるだろうし(政府はトンデモさんで、政府とはまったく逆の (not別の) ことを言うのはマトモな人たち、というような論理展開)。
あまり引っ張る話題でもないと思うのですが、誤った引用をしてしまったので訂正だけさせてください。ちゃんと調べたら「東独のレジスタンス」ではなく「東独軍」でした(=もっとひどい記憶の改変)。
原文は、
"We should not be surprised to learn that long after 1989 children in eastern German secondary schools continued to believe that East German troops had fought alongside the Red Army to liberate their country from Hitler."
Tony Judt,(2005) "Postwar", p.642.
です。結構すごいですね。日本もあまり外国を笑えないような気もしますが。
今後もちょくちょく訪問させてもらいますね。それでは、失礼いたしました。
どもー。訂正をわざわざありがとうございます。
いやーしかしこれ、Judt先生の記述に誤りがないことを前提として、East German troops had fought alongside the Red Army to liberate their countryって、「改変された記憶」による「レジスタンスが赤軍とともにヒトラーに対して戦った」より、もっと苦しい話じゃないですか? East German troopsっていつからあったんだよ、という。そこまでして「東ドイツ」を切り離し、正当化したいのか、と。
なんか、アイルランド(南)の歴史教育で、独立戦争は教えられていてもその後に続いた内戦は教えられていなかった、というのを思い出します。祖国解放の「英雄たち」が、同胞と殺し合いをして、現在の共和国を築いた、というのは80年代(だったかな?)までは正面から語られることはなかったとのこと。そしてその「物語」の中では、「殺す、弾圧する」のは常にBritsで、「殺される、弾圧される」のは常にIrishだった。IrishがIrishを殺したことは、語らないことで隠蔽された。(ソースは、私が所持している書籍のどれかですが、どれだっけ?な状態で、まったく役立たずであいすみません。それこそ「記憶の改変」があるかも。(^^;)
それこそ日本での「アイルランド」のステレオタイプ、「抵抗の民」というのも、この「物語」に乗っかっている。そして「ケルトの精神」で説明しようとしたり。(「ケルトの精神」の存在は否定しませんが、それとこれとが関係あるのかどうかは個別に立証しなければならないのに、安易に関連させて見てしまう。まあ、ベッカムのフレンドリーな笑顔を見て「イギリス紳士」と言うのと同様でしょうけど。)
ナショナリズムって何でしょうね。。。また遊びにおいでください。
New York University historian Tony Judt delivered "Disturbing the Peace: Intellectuals and Universities in an Illiberal Age," part of the University Professorship Lecture series, in December.
http://www.nyu.edu/about/tony.judt.html
発言主がどこの誰であろうと、その発言は正しいか間違っているかだ、という「普遍」の価値観で権力に対峙した20世紀のインテリジェンツは、もはや存在しない、というのがジャット先生の講演の導入。それは自分にとって耳の痛い話を誰かに言わせておけるパトロンがいなくなった、という政治的な理由が最大のものだ。
# 聴衆が笑っている当てこすりのところが、私にはわからないので笑えない。。。さびしー。
「言論」で生計を立てることの現代の困難さについて。
「言論」をしょって立つ「調査ジャーナリスト」として、アンナ・ポリトコフスカヤ(ロシア)、ヴェロニカ・ゲリン(アイルランド)という2人(2人とも射殺された)に言及。ほかにもイスラエルのジャーナリストの名が挙がる。
そしてジョン・ミアシャイマーとスティーヴン・ウォルト。あの論文がハーヴァード大のサイトから削除したこと(大学が削除したこと)をcowardlyということばで非難。ハーヴァードがあれをやったということの意味。
……ここまででだいたい22分です。残り80分ほど、わくわくしながら聞くことにします。