「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2018年06月26日

言葉だけの世界に基づいて、言葉だけでない世界に実在する人の人生を断ち切るということが起きて(含: 「はてな」の複雑なサービスの説明)

「えっ」としか言葉にならない。ご家族・ご友人・同僚の方々にはどれほどのショックであることか……。私には「深く哀悼の意を表す」といった決まり文句を書くことしかできないが、実際のところ「哀悼の意」以前の「衝撃」の段階で止まっている。

起きてはならないことが、起きたのだ。

25日(月)昼の時点で既に、報道は多く出ていた。そのあとも記事は続いた。「セミナーで講師をしていたIT専門家が殺された」、「その専門家はブロガーでもあった」という方向の報道をいくつか見たが(例えば毎日新聞: archive)、たぶん逆で、「ブロガーが殺された」、「そのブロガーは本職では専門家だった」という事件だ。

記事の見出しを見るだけでも痛ましいが、NHKの記事を2つ見ておこう。

セミナー講師 刃物で刺され死亡 交番に出頭の男が刺したか
2018年6月25日 1時42分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180625/k10011494201000.html (archive)
警察によりますと、刺されたのは、この施設で開かれたIT関係のセミナーで講師を務めた東京・江東区の会社員、岡本顕一郎さん(41)で、セミナーの終了後、トイレで男に背中を刃物で刺され、その後、死亡が確認されました。

男はナイフのようなものを持って自転車で逃走し、警察は殺人事件として行方を捜査していました。

警察によりますと、24日午後11時前に福岡市東区の交番に血のついた刃物を持った男が出頭し、「人を刺した」と話したということです。

警察は、この男が岡本さんを刺したとみて確認を進めています。


ITセミナー講師死亡 逮捕の男 背中や胸を何度も刺したか
2018年6月25日 14時55分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180625/k10011494661000.html (archive)
24日午後8時ごろ、福岡市中央区にある企業の創業支援施設で、IT関係のセミナーの講師を務めた東京・江東区の会社員、岡本顕一郎さん(41)が、セミナーの終了後、トイレで男にナイフで刺され死亡しました。

警察は、交番に出頭した福岡市東区の無職、松本英光容疑者(42)を殺人などの疑いで逮捕しました。

調べに対し容疑を認め、「ネット上で恨んでいた。死なせてやろうと思った」などと供述しているということです。

警察によりますと、松本容疑者は会場の施設で岡本さんを待ち伏せし、背中や胸、首などを何度も刺したということです。

その後、松本容疑者が出頭した直前、インターネット上に、「俺を『低能先生です』の一言でゲラゲラ笑いながら通報&封殺してきたお前らへの返答だ。『こんなことになるとは思わなかった』なんてほざくなよ。これから近所の交番に自首して俺自身の責任をとってくるわ」などと書き込まれているのが見つかりました。

……

岡本顕一郎さんは、インターネットで「Hagex」という名前でブログを運営し、この中でネットの匿名掲示板やソーシャルメディアでのトラブルなどをいち早く紹介したり、わかりやすく解説したりする、いわゆる「ネットウォッチャー」の1人として知られていました。


Hagexというハンドルネーム/IDは、見れば「ああ、あのブログの人」とわかる程度にはネット上で知っていたが、特に接点はなかった(「はてな」社のサービスのユーザーとしてすれ違うくらいのことはあっただろう)。そのブログはとても有名で、毎日チェックするという人も非常に多そうだ。私個人は「話題になっているときに見てみる」程度でしかないが、私と同様に「読者とは言えないが、知っている」という人を入れたら、氏の書いたものにそれなりの頻度で接している人は、膨大な数にのぼるだろう。

その人が、「ネット上で恨んでいた」という理由で、ネット上の誰かに刺し殺されたという。

事実上「知らない人」のことなのだから、「気の毒に」と思いはしても衝撃などは受けなさそうなものなのだが、実際にはそうではない。ネット上で「脅迫」だの何だのということと無縁ではないためだろう。


「福岡での殺人事件の被害者は、どうやらはてなのid:hagexさんのようだ」ということ(→こちらを参照)を知ったのは、サッカーの日本とセネガルの試合が終わって少ししたころ。「うそっ、何で……」という衝撃のまま、その後はYahoo! Japanのニュース「はてなブックマーク」を参照しながら、起きたことを把握しようとした。そして、「これはネットで発言している人なら、誰に起きても不思議ではないことかもしれない」と思った。インターネットのクリシェを使えば、まさに je suis... の標語の出番なのではないかと。

次の瞬間、私は怖くなった。それは必ずしも実際に私自身が脅迫されているからというわけではなく、ここで「je suis... の標語」という要素を持ち込んでしまうと、そのこと自体がやがて誰かの「恨み」を引き起こすのではないかと。それこそ、この程度のことでも、「あいつ、フランス語を知っていると自慢していやがる」などと解釈されることは、十二分にありうる。それがネットだ(ちなみにリアル世界では、je suis... 程度で「自慢」だなどと言い出す人はまずいない。逆に「それしか知らないの」と呆れられることはあっても)。

このように警戒心が過剰になれば、表現するということ、発言するということ自体に、それまではなかったようなためらいを覚えるようになる。

「恨み」を動機とした加害と被害の関係にまるで関係のない者でも、ネットという場では、自分もその機序とは無縁ではいられないということに気づく。

もはや事件前の「平常」には戻れないかもしれないとさえ思う。その「平常」とは「常識の範囲内ならある程度は無神経でいられること」だ。

■「ネットウォッチ」(ネットウォッチャー)
報道では「被害者はダークウェブの専門家だった」 (archive) ということに注目しているものもあるが、「岡本さん」がそうであったとしても、「ブログを書いているid:hagexさん」はそうであるとはいえない。氏のブログは、サイドバーにある自己紹介文に明確なように、「(ダークウェブではなく)オープンなネット上で起きていることを解説する」という主旨だった。いわゆる「ネットウォッチ」だ。

「ネットウォッチ」においては、ネット上に横行している詐欺的な活動や、ネットで目立っている(あるいは流行っている、あるいは注目されている)馬鹿げた発言などについて、からかい気味にツッコミを入れたり揶揄したりといったことがなされることが多い。個人的にはそういうこと、特にキャラの濃い誰かがどう発言したとかいう「ゴシップ」はほんとどうでもいいので、id:hagexさんのブログ・エントリを見かけても、タイトルでそれ系のものだとわかるときはスルーしていた。

だが、id:hagexさんのブログにあるのはそういう「ゴシップ」だけではなかった。

といっても、こうなってしまったあとに本業であることがわかったガチのサイバー・セキュリティ関連のことは、氏のブログで見た記憶はない(もちろん、私は氏のブログの熱心な読者ではなかったので、たまたま私が見ていないだけかもしれない)。

popularentries-hdinfo.pngid:hagexさんのブログのサイドバー(「サイドバー」などというものも、閲覧環境の変化によって、もはや「過去の遺物」になりかけているかもしれないが)にある「人気記事」は、左に掲示するキャプチャー画像のようになっている(なお、「はてな」社のサービスを使っていない人にはわかりづらいかもしれないが、それぞれの標題のあとに赤い文字で記されている数字は「はてなブックマーク」の件数。Hagexさんのブログは「はてな」社のサービスを利用しており、「人気」は閲覧数などではなく「はてなブックマーク」の件数ではかられる)。

この10件のうち、「技能実習生を時給400円で働かせて作るセシルマクビーがヒドイ」(2017年)、「悪のデパート日本大学 #日本大学」(2018年)、「ぜひ観て欲しいNHK教育テレビの番組4つ」(2014年)、「朝日新聞デジタルの解約が死ぬほど面倒だった話」(2018年)の4件は、「ネットウォッチ」とは関係ない。(日大に関するエントリは「ネット上にある情報のまとめ」だが、それが「ネットウォッチ」とは言えないのは、ネット上のゴシップではなく実際に「リアル世界」で大問題になっている件についてこれまでネット上に出てきていたことのまとめだからだ。)

家を建てる時の心得」は2ちゃんねるの実用的で汎用性の高いテンプレ(「テンプレ」=大雑把には「頻繁にコピペされる文」)の単純なコピペ(2012年)、「ネットのお坊っちゃんは見ない お勧め『ドンキ系Webサイト』9選」は、はてなのサービスを使ってる層とは違うネットユーザー層がよく見ているサイトのまとめ(2013年。なお@cosmeがここに入ってるのはよくわからん。「男の人は化粧品使わないし、このサイトは見ないよね」ってだけの話じゃん。むしろ、化粧品使わないのにここ見てる人がいたら「お仕事で必要なんですね。マーケティング関係ですか? それともしっくりくる単語を探しに来た翻訳者ですか?」っていう感じ……ということをいちいちブログでエントリ立てて書くなり2ちゃんねるでURLを「晒して」書き綴ったりすると「ネットウォッチ」をやってることになるのだろう)、「Facebookはバカばかり」は「ネット上のデマ」の検証(2012年)で、これらは「ネットウォッチ」というより「ネット上のことに関するエントリ」だ。

残る3件、エントリの標題に個人名が入っているものが「ネットウォッチ」である。個人的にこれらはどれも読んでいない(&読む気にならない)ので正確な内容はわからないが、ネットで名前を知られている人(ネットで名前を出して言論活動をしている人)の発言のおかしなところを指摘する、という内容だろう。そしてid:hagexさんというブロガーは、特にこういうことをしている人として広く認識されていたようだ。

(「〜ようだ」というのは、私自身にはそういうイメージはなく、事件後に「あんな発言をしていたのだから云々」という誤ったロジックによる被害者糾弾の発言をいくつか見てしまったことで改めて知ったからだが。)

■はてなのいろいろなサービス
上の方で、この事件は「IT専門家が殺された。その専門家はブロガーでもあった」というものではなく、「ブロガーが殺された。そのブロガーは本職では専門家だった」という事件だろうと述べた。もっと細かく言えば「はてなユーザーが殺された」という事件だ。別な観点から言えば「一方的に恨まれた人が、一方的に恨んだ人物によって殺された」という事件でもあるようで、要は、視点をどこに持っていくかでどのように語るかは変わってくるのだが、「ネット上で恨んでいた」と加害者の言う「ネット」は、「はてな」という企業が提供しているサービスと考えてよさそうだ。

この「はてな」のサービスというものが、なかなかに複雑で、使っていない人にはよくわからないらしいく、今回の事件を伝える新聞社の報道記事を見ても「ええと?」と思う部分がある。その点を少し説明できれば、何か役に立つだろうか。

まず、id:hagexさんのブログはhatenadiary.jpで運営されているが、このhatenadiary.jpは「はてな」という会社で提供しているブログサービス、「はてなブログ」の開設時に選べるドメインのひとつだ(要は「無料レンタルブログ」。当ブログのseesaa.netというドメインと同様のもの)。「はてなブログ」の開設に必要なのは、基本的に「はてな」のユーザー登録だけである。

「はてな」ではユーザー登録するとIDがもらえる。私ははてなではid:nofrillsだ。Hagexさんはid:hagex。このIDを使って、はてなが提供する各サービスを利用できる。「はてな」社の提供するサービスは多岐にわたっていて、IDを1つ持っていれば「はてなブログ」が開設できるし、「はてなブックマーク」も使えるし、「人力検索はてな」で質問をしたり回答をしたりすることもできるし、etc, etcということになっている(私の場合、「はてなブックマーク」は http://b.hatena.ne.jp/nofrills で、「はてなダイアリー」は http://d.hatena.ne.jp/nofrills だ)。だから、例えば「ブログ」だけを使うつもりで登録した人が、流れで「ブクマ」も使うようになった、といったことも多くあるだろう。こうして「はてな」のサービスを常態的に使っている人々の間では「コミュニティ」みたいなものができるし、それが揶揄気味に「はてな村」と呼ばれ、ユーザーが「村人」と呼ばれることも多い(私は10年以上のユーザーだが、「村」の中で人が集まっているところにはあまり行かず、目立たないところで一人で過ごしているからか、「村人」扱いをされることもない)。

「はてなブックマーク」は本質的には「オンライン・ブックマーク」で、家のパソコンのブラウザでブックマークしておいた記事が、会社のパソコンでは読めないといった問題を解消してくれるサービスだ(自分のブラウザではなく、オンラインの「はてブ」にブックマークしておけば、ログインさえできればどのパソコンからでもアクセスできる)。その際、整理・分類のため「タグ」をつけることができ、また100字を上限に「コメント」が使えるのだが、それが記事についてのメモでなく、「論評」の目的で使われていて、「はてブ」という空間で議論になることがある。また、似たような関心を持っているユーザーがブクマした記事を知ることができれば何かと便利ということで「ソーシャル」なつながりも設計に組み込まれ「ソーシャル・ブックマーク」という位置づけがなされているのだが、「似たような関心を持っているユーザー」という話だったはずが、運営側がプッシュするのはやがて「みんなが関心を持っていること」へとシフトしていき、「非モテ」だの「ネットウォッチ」だのが必要以上に目立つようになって、今に至るっていう感じ? まあとにかく、あそこはとてもいびつな情報空間だと思うが、ウェブサービスとしては便利だ。

ちなみに2011年に「はてなブログ」が提供される前、というかまだ「ブログ」というものが一般的でなかったころ(英語圏でblogger.comが流行る前)から、「はてな」では「はてなダイアリー」という「ウェブ日記」が提供されていた。id:hagexさんは「ダイアリー」時代からのユーザーで、今のブログで閲覧できる最古のエントリ(2004年のもの)は「ダイアリー」で投稿され、後に「ブログ」に引っ越した(ログを移した)ものだ。(なお、はてなダイアリーは私も使っていたことがあるが、今はプライベートに設定してあり、私しか閲覧できない。そう設定した理由は「揉め事」関連ではないが、その理由はここではどうでもいいので省略。)

これら「はてな」の複数のサービス内では、はてなIDを使って他のユーザーに呼びかけることができる(「IDコール」と言う)。相手のメールアドレスなどを知らなくても、「ブクマ」でも「ブログ」でも本文入力欄に「id:user1 貴ブログの最後の行、EnglaandとあるのはEnglandのスペルミスでは」などと書けば連絡ができるという機能で、これはこれで便利なものだ――ただし、場が荒れていなければ。

すでに説明されていることが事実として正しければ、今回の殺人事件の加害者は、この「IDコール」という機能を使って、id:hagexさんをはじめ、大勢のはてなユーザーに絡んでいっていた。それも通常のやり取りではなく、「バカ、低能、死ね」といった罵倒の言葉を投げつけていた(私個人はまるっきり知らないのだが、ここに報告が多数ある)。そして規約違反で運営に通報されていた。それが「恨み」につながった……って、こんなん、どう反応していいかわからんよ。

■匿名ダイアリー
「はてなブログ」や「はてなブックマーク」は、IDを開示して利用するサービスだが、「はてな」が提供している中には、IDを秘匿して利用するサービスもある。それが、「実験的サービス」という位置づけで「はてな」本体とは別に「はてラボ」という区分で運営されている「はてな匿名ダイアリー」だ。id:hagexさんに対する殺意を抱いていた人物が「犯行声明」と読めるものを書き込んだのは、この「匿名ダイアリー」である。

「匿名ダイアリー」は「増田」と呼ばれる。「匿名」=「アノニマス」→「アノニマス・ダイアリー」→「マス・ダ」→「増田」ということだそうだ。何年にスタートしたサービスなのかは覚えていないが(正確なところは調べればわかるのだろうが、省略)、10年以上は「実験的」なサービスとして存続していると思う。いつまで実験してんだ。旧ソ連の「5カ年計画」とかのほうが短いよ。

そもそもなぜ「匿名ダイアリー」などというものが作られたのかというのも、「はてな」の中の人たちに聞けばわかると思うのだが、「はてなダイアリー」であれ「はてなブログ」であれ、IDを開示して(つまり「ネット上での自分の名前で」)書く文章とは別に、つまらないことを何となく書いてみたいときにIDを表示しなくてよければ気軽に書けるよね、的な目的だと告知されていたように記憶している。が、実際には名前を出しては書けないような内部告発文書や、「どこのブログをやっている人」とかいったこととは関係なく、1回きり、言いっぱなしで済ませたいことなどの投稿の場として存在感を発揮することになる。

この「匿名ダイアリー」は「はてなブックマーク」で話題になることが多い。「はてな」自体が「はてなブックマーク」の中に「匿名ダイアリー」の特設コーナーみたいなのを設けている(そして、問答無用で「おもしろ」というカテゴリに分類している。まったくタコすぎて話にならない)。注目される投稿には、内部告発文書など深刻なものもあるが、多くは「素朴な疑問」とか「ついつい反応せずにはいられないようなダジャレ・言葉遊び」とか「生活の知恵」とか「ちょっとした思い付き」、「夫(妻)への疑問」の類だ。個人的には、誰か疑問への答えを書き込むなどしたことはあるが、そういうのにまで脈絡なく罵倒のレスがつけられるような状態で(それこそ「目玉焼きにはしょうゆ」と書いたら「しょうゆなんてバカの使うもの、さっさと死ね、生ゴミ」と罵倒されるような)、積極的に使いたいと思うようなサービスではない。何にでも罵倒して回っているような人が常駐しているのだろう。そんなところには近寄らないのが一番だが、使いたい人はいつでも使うことができるし、いつ降ってくるかわからないいわれのない罵倒や悪口の類が気にならなければどんどん使えばよい。名前を出さずに発言するために使える場があること自体は悪いことではない。

今回、そういう場に「犯行声明」が投稿されたわけだ(投稿のURLは、1400人以上のはてなユーザーとともに私も「はてブ」につけてあるが、ここではリンクしない)。※下記報道記事には「SNS」とあるが、SNSではなく、「匿名投稿サイト」である。SNSというより「匿名掲示板」に近い。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180625-00000059-sasahi-soci
 松本容疑者はなぜ、面識のない岡本さんを狙ったのか。岡本さんはインターネット上でハンドルネーム、「Hagex(ハゲックス)」でブログを執筆し、ネット界では知られる存在。岡本さんはインターネットから、日々のトピックを拾い出して独自の視点で伝えるブログが人気だった。

「松本容疑者は、面識がない岡本さんにネット上で馬鹿にされたと思い込んで、福岡のセミナーに来ることを知り、殺そうと思ったと動機を語っている。岡本さんから『ネット弁慶』と指摘されたことに腹が立ったと語っている」(前出・捜査関係者)

「ネット弁慶」とは、インターネットでは、威勢のいい、強気な話を書き込むが、実際の日常生活ではその逆で、小心者、気弱な人間という意味だ。

 松本容疑者は、交番に出頭直前、SNSに「犯行声明」ともいえる内容を24日夜10時29分に書き込み、投稿していた。

 声明は<おいネット弁慶卒業してきたぞ>という書き出しで始まる。……

 岡本さんはHagex名で5月2日、〈低能先生という荒しがいる。はてなブックマークに出現し、IDコール利用して複数のユーザーに対して誹謗中傷を繰り返している。当然、すぐにアカウントが凍結されるのだが、新規のアカウントを作り罵詈雑言を行っている。彼は「低能先生」と呼ばれ、最低でも2016年ごろから活動しており、以下のページは低能先生が利用したアカウントがまとめられている。私も低能先生に、お下劣な言葉を定期的に投げかけられているのだが、昨日は凄かった。なんと1日に7回も低能コールがきた〉などと困惑し、書き込んでいた。


■荒らし
この「なんとか先生」(以下「なんとか氏」)という荒らしについて、私には何のことだかわからなかったので、さまざまな報道が出る前、25日の早朝にググってみた。下記のnoteの記事(tekito_yumaさんによる)が私にはわかりやすかった。
https://note.mu/yuma_tekito/n/n5af3164a8a8d

こちら↑によると、「はてなブックマークでインフルエンサーを批判すると現れるはてなブックマークのIDコールを利用して『死ね』とか『低能』等の暴言を吐き続ける人のことです」。

つまり、他人を罵倒するときに「低能」「低能」と言うので、そこから「低能先生」と呼ばれるようになったようだ。「ひどい呼び名だ」という声もあるが、他人に対する自分の発言が自分に返ってきているだけである(被害者のid:hagexさんが「低能」呼ばわりしたというのは、事実に反する誤解である)。

この「なんとか氏」がこちらのtekito_yumaさんに対し、殺害予告と取れる発言を「はてなブックマーク」上で行っていることも記録されている。

「なんとか氏」はそういうことを、「はてな」の提供するサービス上で、IDをころころと変えながら、多くの人に対して行ってきた。

「なんとか氏」の標的とされた人たちは、そういうのにたまりかねて「はてな」に通報する。「はてな」はその都度、「なんとか氏」のIDを使えないようにする。すると「なんとか氏」は新たにはてなのIDを取得する。そしてまた同じことの繰り返し……ということが行われていたことがこちらのエントリ(およびそのリンク先)からもわかる。

ランダムに、自分の気に食わない発言に対して、次々と捨てアカウントを取得してはしつこくIDコールを飛ばして罵倒しまくるような人の標的にされたらと思うだけでげんなりするが、ネットをやっていれば、「通りすがりに罵倒だけしていく人」「しつこく罵倒を繰り返す人」など珍しくもない。自分でサイトをやって掲示板をつけていればその掲示板が荒らされ、ブログをやってコメント欄をオープンにしていればコメント欄が荒らされ、掲示板もコメント欄も使わなくなったら今度ははてなブックマークで罵倒されたり変なタグをつけられたりするのがネットだ。

そういう場合、まずやるべきことは、直接相手にしないこと(「あなたが何を書こうが、私は見ていない」と明確に述べることは有効かもしれない)。それから、自分でアクセス制限とかできる立場にあれば制限をかけること(TwitterやFBでは「ブロック」)。他者の提供するサービス上のことであれば、管理者に通報すること――というのが、長らく「ネットのお約束」だった。今もそうだ。

そうすることは安全なことだった。「ネットでのことは、リアル世界には出てこない」という前提があるから。

その前提が、今回、揺らいだかもしれないのだ。

■「ゲラゲラ笑いながら」通報してる人なんかいない
「はてな匿名ダイアリー」に投稿された「なんとか氏」の「犯行声明」と思われる文には、「俺を……ゲラゲラ笑いながら通報&封殺してきたお前らへの返答だ」という一節があった。報道の記事には、加害者と被害者は直接の面識はなかったとあったが、ネット上での接点はどうなのだろう。加害者が一方的に絡んでいっていたのか、相互のやり取りがあったのか……。ネット外で何かが起きるのに「直接の面識」があったかどうかはさほど関係ないということは、イスイス団などのジハディズム集団について「実際に顔を合わせることもなく、ネットだけでYouTube動画を見て洗脳され、Skypeで話をしただけでシリアに行ってしまう」という事例がたっぷり報告されている以上、報道機関でも認識されていると思うのだが、どうなのだろう。

ともあれ、ネット上には誰かが「お前ら」と扱えるような集団が存在するわけではなく、あんたがいわれのない罵倒を投げつけていたために「はてな」社に通報することになった「お前」が何人もいて、あんたが刺したために血を流して死んでしまったid:hagexさん=岡本さんはその一人だった……ということを言ったら、話は通じるだろうか? 私にはわからない。

わかるのは、自分が他者に対して投げつけていた「低能」という言葉が、呼び名として自分に向けられたときに「バカにしている」と怒り狂うような人物は、実際にいるということだ。(何も不思議なことではないかもしれない。「お前が発言するのは不快だから俺は全力で妨害するが、俺の言いたいことを言わせないお前は言論の自由を侵害している」という人物だって実際にいるのだ。)

そして、自分が自分の為したことゆえに人々を怒らせ、呆れ返らせているという事実を見ずに、「自分は他人からバカにされている」という誤った事実認識の中にいたがる人物は実際にいるということ(根本的には、これは、病的に低い自己評価の問題ということになるのだろう)。

規約違反・迷惑行為による通報を、人々が「ゲラゲラ笑いながら」やっていると思っているのは、(「呆れられている」のではなく)「自分がバカにされている」という認識があるからこそだろう。

実際には、そういう通報を「ゲラゲラ笑いながら」やっている人なんかいない。たいていは無表情かうんざりした顔をしているだろう。「またか……」という沈んだ気持ちを抱えながら。あるいは「またかよ!」という怒りを抱えながら。

知りもしない人のことを嘲笑するほど、ネット上の他人はヒマではない。自分の感情で精一杯だ。だからこそ、あなたは他人を罵倒しているのではないのか? 単に他人の感情を害したくてやっているのではないか?

そもそもあなたが知りもしない他人をだれかれ構わず罵倒などしなければ、「通報」などという反応を引き起こすこともなかったのだ。


■乱暴な言葉のその奥に
繰り返しになるが、私は個人的に「ネットウォッチ」には興味はない。「はてな」のサービスを長く使っていると、そこで(アルゴリズムによって)可視化されてくる程度に多くのはてなユーザーが関心を持っているために、「そういうものがある」的な認識は得るのだが、それ以上ではない。関心のないスポーツについて、何となく知っているようなものだ。

「あなたも『はてな』のサービスを使っているのだから、この話題に興味があるでしょう」とばかりに決め付けられたことや、一方的に絡んでこられて閉口したことはあったし、勝手に「ヲチ対象」にされていることに気づいたこともあったし、だからこそ積極的に嫌っているという面はあるのだが、いずれにせよ無縁だ。そもそも興味がないから見ないだけでなく、「ネットウォッチ」を標榜する掲示板などには近づかないし、その雰囲気がする見出しなどはスルーする。そんなふうなので、多くの人が抱いている(らしい)「Hagexというブロガーはこんな人だ」というイメージは、私にはない――というか、正直びっくりした、事件後に「あんなことを発言していたのだから当然だ」的な言葉を見て。「ネットウォッチ」のエントリを読んでないからわからないんだけど、そこまで言われるほど?

いや、というかそれ以前の問題として、どんな発言をしていたにせよ、それとこれとは別だし。

私が「id:hagexさんのブログ」というものを明確に認識したのは、「Facebookはバカばかり」をはじめとする「デマ検証」のエントリだった。2016年後半以降は、post-truthとか#fakenewsといった言葉を与えられている現象、つまり(日本語でいう)「ネット上のデマ」に関する指摘だ(なお、この「デマ」は日本語での日常的な用法でのもので、「不正確な情報」「根拠のないうわさ」「事実に裏付けられていない風説」のことである。個人的に「デマ」という語をその意味で使うことは避けているのだが、ここでは使うことにする)。

それら一連のエントリは、「SNS」というものが生活の中にしっかり組み込まれたあとでそれ以前の「Web 2.0」のユートピア的な観測がごりごりと砕かれていく中で、ネット上の日本語圏において実際に「みんなが発言」するようになったらどうなったかということについて、共感をもって読み、なるほどと納得することができた。

id:hagexさんが刺殺されたということを知り、私が最初に思ったのは、この「デマ検証」のエントリのことだった(そのことと「犯人の動機」を私がどう思ったかはまったく関係ない。念のため)。「あの人といえば、これ」というくらいしっかり紐付けされているのだ。





当該部分を全文引用しておこう(読みやすさを考えて改行を増やした。そういえばこのエントリが書かれた2012年はまだ「はてなダイアリ」d.hatena.ne.jpでの更新で、「はてなダイアリ」ではpタグは段落後のアキが大きく取られるように出力されてて、1行空きを入れる必要がなかったんですよね)。
・その1 嘘がソースの話は信用するなボケ
心が震度7レベルで感動しようが、社会正義に目覚めようが、自分を深く反省するきっかけになろうが、元になったエピソードが「嘘」だったら、それは意味がない。

「いい事だったら嘘なら嘘でも構わない」という考えの人は、インターネットの利用に向いていないので、今すぐプロバイダーに解約の電話をいれて、スマートフォンはたたき割った方がよい。そんな人はデマを拡散するだけの加害者にしかならないからだ。

いや、インターネットがなかった関東大震災でもデマのせいで人が殺されているわけだから、耳を切り落とした方がいいかもしれない(あ、切り落としただけじゃダメだわ)。

誰しも「間違ったことを発言したり、それを信じたり」することはある。重要なのは、間違いを知った時に「素直に事実を認めて、謝ること・訂正できる」ことだ。

しかし、「いい事だったら嘘なら嘘でも構わない」というのは、開き直りでしかない。

今回は結果として「たまたま」「偶然に」いい結果だっただけ。これは6発入る拳銃に、5発弾丸をつめて行う逆ロシアンルーレットをしているのと同じだ。今回は幸運なことに発砲しなかっただけ。

嘘をソースに物事を考えることは、常に逆ロシアンルーレットをやってるいるのと同じだ。助かる方法は、弾を全部抜くか拳銃をテーブルに置いてルーレットを止めるしかない。

・その2 安易に拡散するなハゲ
Gさんも大変問題だが、その投稿を何も考えずに拡散するユーザーも問題だ。この行為は放火魔が着火した箇所に、ガソリンをぶちまけているのと同じ。

悪いことをやっている自覚(いや、むしろ善行をしていると思っているに違いない)もなければ、注意・修正コメントを受ける確率も低く、間違った情報をずっと拡散しつづける。

このデマ拡散ユーザーが、インターネットの情報の質を低下させる原因となっている。


使っている言葉が、単語単位で攻撃的だったりトゲがあったりはするが、言っていることはとても理性的でまっとうだ。

実生活の中で、こういうふうに「言い方はきついが、言ってることはまとも」というタイプの人はいくらでもいる。そういう人が「言い方がきつい」ことだけで評価されるということはあまりない。「言い方」と「言ってること」以外に、例えば表情とか身振り手振りとか、あるいは声のトーンとか話すスピードとか、あと、それこそ服装のセンスや髪型、雰囲気みたいなこともあって、「全体」で評価される(「評価される」という日本語に違和感があれば、「印象を与える」とか「そういう人だと認識される」と読み替えていただきたい)。

しかしネットは、基本的に、「言葉」だけの場だ。

そして、そこには「その人」全体を評価する要素がほとんどないにもかかわらず、私たちは「ネット上にいる○○さん」について何かを――すべてを――知っているような気になってしまう。「あの人は、ああいう人だから」と語れてしまう。

ちょうど、テレビに出ている芸能人について、実は何も知らないのに、テレビに映ること、テレビで語られることだけで「あの人はこういう人」という印象(「イメージ」)を決めてしまっているように。

今回の事件で、加害者はid:hagexさんを刺し殺したつもりだろう。でも殺されたのはid:hagexさんをその一部として持つ岡本さんだ。



追記(26日深夜)
IT講師殺害、九州大卒の容疑者「地味で真面目」
2018年06月26日 15時56分
http://www.yomiuri.co.jp/national/20180626-OYT1T50065.html
(via はてブ; どなたかが取ってくれていたアーカイヴ

父親に話を聞いている(個人的には、こういうときに家族の人を「さらす」のはやめてほしいと思う。宮崎勤や秋葉原の加藤のご家族のような犠牲と引き換えの「知る権利」など、誰にもない。それを追求する権利など、マスコミにはない)。この記事によると、id:hagexさんを殺した容疑者は、高校までは優等生で運動部所属、大学は九州大学文学部。

だれかれ構わず連呼し投げつけていた罵倒の言葉のひとつの「低能」は、「九大卒の俺様」という意識の裏返しかもしれない(そもそも「低能」という罵倒を聞くのも30年ぶりくらいだが)。

大学ではイスラム文明について学び(専攻か所属ゼミがそうだったってことですよね)、「読書も好きで、海外の小説も読んでいたという」(え? 「海外の小説」を読むのって、そんなに特筆事項なの?)。そして大学を卒業したあとはラーメン屋のバイトを経て正社員。「約3年前まで働いていた」とあるので、約3年前にその仕事をやめたのだろう。そのあとも実家には戻らずに福岡市内で暮らしていたということだろうか。

記事についている容疑者の写真(歩いているところを真横から撮影したバストショット)で、容疑者は襟に二本線の入った黒かネイビーのポロシャツを着ている(フレッドペリー?)。めがねも小じゃれているし、髪も伸びっぱなしという感じではない。見た目からわかることなどごくごくわずかであるとはいえ、本屋の雑誌コーナーでMono Magazineとか立ち読みしてそうという印象で、「一方的な恨みを抱いてつけねらった初対面の人を刺し殺すような異常な人」には到底見えない(いや、「一方的な恨みを抱いて……異常な人」に見えるような人など、たぶん、まずいないと思うけれど)。

なぜ話をしようとしなかったのだろう。なぜ、だれかれ構わずいきなり罵倒して回っていたのだろう。「ネットというのはそういうところだ」と思い込みでもしていたのだろうか。「そういうところだ」と思っていたのに、そういう口の利き方をしたら拒絶されたので「集団リンチ」と思ったのだろうか。そして……いやあ、筋が通らない。

10年位前、「はてな」の「村」の中心が「ブックマーク」であると同時に「ダイアリー」で、ダイアリーで言及し合ってはごちゃごちゃやっているのが「村」のいつもの光景だった時期に、彼がはてなの「村人」だったなら、どうだっただろう。もっとひどいことになってただろうか。あのころは、とにかく他人とみればけなし、くさしまくるという「芸風」の人が目立っていたからね。その人はアカデミックなステータスのある人だが、Amazonの書評でもとにかくけなしまくりくさしまくっていて、「はてな」でもそりゃもうものすごかった(名前を出すとご当人のエゴサにひっかかって、その後延々と粘着されそうなので、名前は出さない)。あと、かの池田信夫氏(この人は名前は出しても大丈夫だろう。ていうか修正主義者しっしっ)と、氏を批判する立場の何人もの人々(亡くなった碧猫さん、私が言及することも禁じられているおえらい方を含め)。あのころ、はてなダイアリーってエンジニアでなければ学者・研究者が使うものっていう感じでしたよね。

ていうか単に自分で「はてなブログ」始めてればよかったんじゃね? って思う。でも最近3年くらいだと「ブログは儲かる」とかいう話ばかりで、かつての「ダイアリー」時代のような感じで使おうっていう雰囲気ではなかったのかもしれない。

なんか「居場所を奪われた」的な話になってるみたいだけど、「俺の発言できる場」ということなら、ネット上で自分の居場所なんか、自分で作れよ、はてなID取れるならできるだろ、ってことでしかないような気がするなあ。

それと、いい大学出てる「学歴厨」は東京で仕事をすれば根拠のない全能感に満たされたみたいな世界観変わるんじゃないかなと思うよ(そこらじゅうに「東大法学部卒」みたいな人がいるから)。あるいは海外。特にニューヨークとか行くと日本の大学なんてほとんど知られてないから(東大、京大でも「大学として」というより「都市名として」認識される感じだとか)リセットできるっていう話。

もうひとつ。

「本当の引き金は6月10日の"増田"ではないか」Hagexさん殺害事件、親交のあったおおつねまさふみ氏に聞く
https://abematimes.com/posts/4440615
(via はてブ

「匿名ダイアリー」に投稿されていた「犯行声明」と思われるもの(現在は閲覧できない)は、「早くやれよ」という投稿(これもまた異様だった。「早く早く早く」と何度も繰り返していて)へのレス(リプライ)だった。「早くやれよ」に対し「ネット弁慶卒業してきた」というレス。この「早くやれよ」投稿が6月10日だったのかどうか、もう確認ができないのでわからないけれど、このabematimesの記事でおおつね氏が指摘している「6月10日の……揶揄、いじりの投稿」」は、その「早くやれよ」という投稿だったかもしれない。むろん、誰が投稿したのかはわからない(「匿名ダイアリー」は、はてなのスタッフも誰が投稿したのかを調べることができない仕様であるらしい。投稿者本人は、自分のIDでログインした状態なら、自分の過去投稿一覧を見ることができるけれども)。

あと、この記事から。
マーケティングアナリストの原田曜平氏は「"リアルかネットか"という議論が続いてきたが、"ネットはリアルになった"と捉えた方がいい。容疑者にとって、はてながリアルな居場所だったのだろうし、被害者にとっても正義感を持ってやっていたブログはリアルな場だったのだと思う。運営会社や警察も含め、今までのような自由な空間のままでもよいのか、ということは議論されてもいいと思う」とコメントしていた。


それと、
編集者・ライターの速水健朗氏は「ネット上にはHagexさんやはてなのサービスの独特の空気感を知っている人は割といるが、マスメディアで報道する人たちとの認識の乖離がこんなにあるケースも珍しいと感じた。……

(^^;)

「こんにちは、 かわいい犬ですね」

※この記事は

2018年06月26日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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