kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2007年06月22日

アラン・ジョンストン記者、拉致から100日



Alan Johnston banner
※この↑バナーをクリックすると、BBCのサイト内、ジョンストン記者拉致事件の特集ページに飛びます。
当ウェブログでのジョンストン記者関連の過去記事(タグつけてあります)。

3月にBBCのアラン・ジョンストン記者がガザ市で拉致されてから、6月20日でちょうど100日となった。BBCでは全社をあげて――英国内の本社や支局だけでなく、アスコット競馬場やグラストンベリー・フェスの中継地から、連ドラ『イーストエンダーズ』の撮影現場、また海外の支局まで――、ジョンストン記者の解放を願って、仕事を一時中断し、一同集合して沈黙という形でvigilが行なわれた。

Vigil for BBC captive's 100th day
Last Updated: Wednesday, 20 June 2007, 15:59 GMT 16:59 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6768423.stm

その様子を、BBCのin picturesはもちろん、ガーディアンも写真集(ギャラリー)として伝えている。ロンドン市内のバタシーの発電所跡に投影される記者の顔写真、パリのエッフェル塔のところで行なわれた「国境なき記者団」のvigil(参加者が報道各社のロゴを掲げている)、『イーストエンダーズ』の撮影現場、NY支局、100日を表す100個の風船で祈りを捧げるご家族、など。

BBC World Newsのニュース映像@youtube:
http://uk.youtube.com/watch?v=DhXT0jLaVbw
(パリでは朝日新聞が参加しているのが映像から確認できます。)

また、BBC World Newsは拉致から現在までを1分半ほどにまとめた映像をYouTubeにアップしている。先日出されたものだと思うが、記者を拘束している武装勢力(自称Army of Islam)のメンバーの映像というものも含まれている(顔は覆面のためまったく見えません)。最後の方に出てくるバタシーの発電所跡に投影されたメッセージには、LET'S NOT FORGET ALAN JOHNSTON AND 15 OTHER JOURNALISTS HELD HOSTAGES IN IRAQとある。
http://uk.youtube.com/watch?v=opGNaHy4paE

【キャプチャ画像】
alanjohnston100days.png

ジョンストン記者はガザ地区にいると考えられているが、ガザ地区はたいへんな混乱状態になっていて、ファタハとハマスの二大勢力の政治的対立と、両者関連の武装勢力の衝突/戦闘と、イスラエルによる武力攻撃と、2006年の選挙の結果ハマスが政権をとったことに起因する西側の経済封鎖(これはもうずいぶん長く続いている)が重なるように同時進行している。このあたりの事情は、「パレスチナ情報センター」さんのStaff Note、2007年5月19日記事、「ガザ混乱――内紛/抗争なのか?」(早尾貴紀さん)に詳しい。

さらに今月に入ってからは「内紛」と呼ばれる事態(というかハマスへの圧力だと思うけど)がますますエスカレートしてきたことが報じられていると思ったら、14日にはハマスの武装勢力(al-Qassam Brigades)がファタハの武装勢力(パレスチナ自治政府の治安部隊)を押さえて(<適切な用語かどうかわかりませんが)ガザ地区を制圧。続いてこれを「軍事クーデター」と扱ったアッバス議長(ファタハ)がハニヤ首相(ハマス)ら閣僚を解任(ハマス側はこれを認めていない)したうえで、非常事態宣言を出し、「人殺しのハマスとは話をしない」と、どっかで聞いたようなことを言っている。(背景解説は「パレスチナ情報センター」さんのStaff Note、2007年6月15日記事、「ハマスとファタハの抗争と連立内閣崩壊を言う前に――意図的な連立潰し」(早尾貴紀さん)や、アンチ・ハマス的言説としてthe Observer, "How Hamas turned on Palestine's 'traitors'", Sunday June 17, 2007を参照。)

というわけで、ハマスはいろいろと大変だ。そもそもハマスが政権をとったのは2006年1月の議会選挙で議席の過半数を得たからで、つまり有権者の支持を一番たくさん集めたからだが、「そこらへんどうよ」って話が、BBCに出ている。読者からの質問に、The BBC's Middle East editor Jeremy Bowenが答えているページだ。

Q&A: Your Gaza questions answered
Last Updated: Wednesday, 20 June 2007, 11:34 GMT 12:34 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/talking_point/6221606.stm
Q: We hear little about how the Palestinian people view this new Fatah government. Do they feel that their democratically elected Hamas government has been unfairly swept away by outside influence?
Elliott Leyton, Paradise, Newfoundland, Canada

This week Palestinian pollsters have been trying to find out what Palestinians think. One poll, from Near East Consulting, found that approval ratings for Fatah's President Abbas have risen, and those of Ismail Haniyeh, the sacked Hamas prime minister, have fallen.

When asked whether the strategy of Hamas or Fatah was more appropriate, 70% of Palestinians polled in the West Bank and Gaza preferred Fatah's strategy. Some 63% said they supported a peace agreement with Israel.

Of those who described themselves as Hamas supporters, 35% said that Hamas should drop the part of its charter that says that Israel should be eliminated.

というわけで、今週の世論調査の結果、ファタハのアッバスの支持率は上昇、ハマスのハニヤの支持率は低下、またいずれの方策を支持するかとの質問には、西岸とガザを合わせて70パーセントがファタハと回答した。(そのあと、イスラエル関連の回答部分についてはここでは言及しない。)

・・・だから何だというのだろう。「世論調査ではかくかくしかじかだから、ハマスの内閣はつぶされても民意に反してはいない」というのなら、議会制民主主義とは何かって話になってしまう。頭の痛いQ&Aだ、まったく。

BBCの人の回答は大雑把すぎてよくわからないし、質問者が尋ねていないこと(イスラエル関連)をいきなり回答しているし(BBCのページの下の方を読むと、なぜここで唐突にイスラエルの話をしているのかがわかるのだが)、「西岸とガザを合わせて」ってのも今のこの状況では。。。なので、もう少し正確な数値を見たいと思い、調査を行なったNear East Consultingの名称で記事を探すと、下記が見つかった。ロイター。

Gaza entrenches divides in Palestinian politics
18 Jun 2007 18:27:19 GMT
http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/L18705771.htm
An opinion poll conducted by Near East Consulting after Abbas named a new, emergency government following Hamas's rout of his Fatah forces in Gaza, concluded that one Palestinian in three supported Fatah and about half that number favoured Hamas -- while 43 percent of respondents trusted neither major party.

うーむ。BBCにある「70パーセント」とは数字が一致しないし、同じ調査の別のところの解説だろうか。記事はこのあと「その他の勢力」(PFLPとか)の話、イスラエルの獄中からのマルワン・バルグーティのメッセージ(今回のガザ制圧を「軍事クーデター」と位置付けて、「ハニヤは首相を解任されたことを受け入れよ」と言っている)、などなどで、この調査の結果についての詳しい紹介はない。

Google Newsでほかの報道を見た限り、BBC記事にある「今週の世論調査」は、Near East Consultingが非常事態宣言後に行なったとロイター記事にあるこの調査のことというのは間違いなさそうだ。

Near East Consultingのサイトで詳しいデータが見られるかもと期待したが、まだ出てなさそう。代わりに、この5月の調査のデータが簡単に見つかったので、それを見てみる。

General Monthly Survey, May 2007
http://www.neareastconsulting.com/surveys/all/p25/

これは興味深い。いろいろと立体的に見えてくる気がする。

例えば、Main issue that makes you feel depressed(あなたの気が重いのはなぜか、主な要因):

Region of residence Total
West Bank Gaza Strip
Main issue that makes you feel depressed The economic hardship of my household 14.7% 5.3% 11.1%
The absence of security for me and my family 20.8% 27.2% 23.3%
The internal power struggle 46.3% 57.0% 50.5%
Hamas in power 1.7% 4.0% 2.6%
Fateh in opposition .8% 3.3% 1.8%
The Israeli occupation in general 2.1% 1.3% 1.8%
Family problems 5.9% .3% 3.7%
im not depressed 7.6% 1.7% 5.3%
Total 100.0% 100.0% 100.0%


つまり「ハマスが政権を担っているから、希望が見えないのだ」と回答したのは、西岸が1.7パーセント、ガザが4.0パーセント、両地区で2.6パーセント。「内部的な権力闘争のせい」が両地区で50パーセント超、特にガザでは57パーセントで、これを素直に見れば、「ハマスだからいや」というわけではなく、「争ってばっかりいないでちゃんとしてくれよ」ということじゃなかろうか。

「最も信頼するのは誰か」の質問では、「アッバス議長」が西岸で62.8パーセント、ガザで52.5パーセントで両地区では58.9パーセント。一方で「ハニヤ首相」は西岸で37.2パーセント、ガザで47.5パーセントで両地区では41.1パーセント。この時点(今年5月)で、2006年1月の選挙のときの「ハマスが過半数」という勢いはなくなっていたようだ。

「ファタハとハマスの間の危機はだれのせいだと思うか」では、「主にハマス」が西岸で20.0パーセント、ガザで22.3パーセントで両地区で20.9パーセント、「主にファタハ」が西岸で14.3パーセント、ガザで17.3パーセントで両地区で15.5パーセント、「どっちも」が西岸で65.7パーセント、ガザで60.4パーセントで両地区で63.6パーセント。

BBCのJeremy BowenがQ&Aの回答で提示している「ハマスかファタハか」という見方は(これは米国やEUが好んで提示したがる見方であるけれども)、この調査結果の数字を見る限りは、「んんんんーーー」な感じがする。なお、「アッバスの支持率(rate of approval)」、「ハニヤの支持率」を直接問うた項目は、5月の世論調査のオンラインでの調査結果公表ページには見当たらない。

この世論調査には、これらのほかに、「ガザ地区では両派以外の第三者が煽っていると思うか(そういう「陰謀論」が根強いのだそうで)、Yesの場合はそれは誰か」とか(あの国やあの国の名が)、「ガザ地区の騒乱は党派間のものか個人間のものか」といった項目があり、非常に興味深い。解決できるのは誰かという質問に対する回答結果が、「誰にもどうしようもないけど、いるとすればマルワン・バルグーティ」という空気なのかなと読み取れるあたり、2002年から2003年のIRAの武装解除について「何だかんだ言っても、結局のところジェリー・アダムズに任せるしかない」というムードだったことを思い出させる。

話が果てしなく脱線しかけているが、とにかく最近はそういう状況で、ハマスにとっては逆風などというものではない状態が続いているのだが、ハマスの拠点はガザ地区にあり、アラン・ジョンストン記者はハマス政権下でガザ地区で拉致されて「Army of Islam」を名乗る集団に拘束されている。

ガーディアンの18日記事(By Rory McCarthy)にあるように、これまでジョンストン記者解放の交渉は、主にPAの情報機関、つまりファタハが行なってきたが(ハマスの閣僚、特にハニヤ首相によるメディアに対する発言はあったが、犯人との交渉はPAが行なっていた)、先週の「ハマスによるガザ制圧」でファタハはガザ地区にいられなくなってしまった。つまり、ガザでのことはハマスがやるしかない状況である。(ガーディアンによると、PAの情報機関の人は「これで解放は難しくなってしまうかもしれない」とコメントしているそうだ。)しかしパレスチナ自治政府からハマスが排除されてしまったとなると、ハマスのステータスはどうなるのか、そこらへんも何が何やら、私にはわからない。

ガーディアン記事から読み取れるように、ガザ地区には金目当てで誘拐や武器密輸を行なう犯罪集団(部族)があるが、ジョンストン記者を拉致したファミリーや「Army of Islam」を名乗る集団はハマスのコントロール下にはない。それどころか敵対している(が、全面的にファタハ支持というわけでもない)。今月初めに記者のビデオが出されたころには既に何度かハニヤ首相が「すぐに解放すべき」と発言していたが、記者が解放される気配はまるでなく、Army of Islamからは「英国の刑務所にいるアブ・カタダを解放せよ」という(無茶な)要求が繰り返されただけだった。(それでも、あのビデオはジョンストン記者が生きていること、健康状態にさほどの問題もなさそうなことを示すものとして歓迎はされたが。)

で、先週末、ハマスによるガザ制圧(アッバスやバルグーティが「軍事クーデター」と呼んだ事態)のころに、ハマスが「Army of Islam」に解放を説得したそうだ。しかし、ハマスは「解放ということで合意し、ほどなく解放される」と言っていたものの、「Army of Islam」はそれに応じようとしなかった――彼らはアルジャジーラにビデオを届け、その中で覆面の男(スポークスマン)が「ハマスとの話し合いで進展は見られたが、それでもなお、われわれの要求が通らなければ記者を殺すかもしれない。さらに進展があればまた報告する」と述べている。(詳細は下記。)

'Kidnappers' deny Johnston deal
Last Updated: Sunday, 17 June 2007, 17:57 GMT 18:57 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6761043.stm

これに対し、ハマスからはMahmoud Zahhar元外相がBBCアラビア語放送に出て、「記者を拘束している勢力と話し合いを持ち、月曜日(18日)を返事のデッドラインとすると通告した。もし記者が解放されなければ、現在の政府(アッバスが作った非常事態内閣なのかな、日付がちょうど非常事態宣言の境目で、私にははっきりわかりません)が彼を無事解放する仕事を行なうことになる」と発言、またロイターには「解放されなければ、あらゆる手段を使って彼の生命を守り解放することになるだろう」と述べており、交渉では埒が明かないから実力でと考えていることを示唆している。(詳細は下記。)

Hamas sets BBC reporter deadline
Last Updated: Monday, 18 June 2007, 17:14 GMT 18:14 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6764679.stm

……という状況のなか、ジョンストン記者の拉致から100日が経過、というのが現状。

なお、上のほうで参照したNear East Consultingの5月の世論調査に、ジョンストン記者の身柄の無条件解放について賛否を問うた項目がある。

Support or oppose releasing the British journalist without conditions
http://www.neareastconsulting.com/surveys/all/p25/out_ct_region_q25.php

無条件解放に「賛成」としたのは、西岸で78.9パーセント、ガザで91.7パーセントで、両地区では84.1パーセント。「反対」は西岸で21.1パーセント、ガザで8.3パーセントで、両地区では15.9パーセント。パレスチナ全体で、圧倒的多数がジョンストン記者の無条件解放を望んでいると言える。



ガーディアンの記事から、現在のガザの状況について詳しくレポートされている部分を、少し引いておこう。記事を書いたローリー・マッカーシーは2003年から2005年までイラクにいて、その期間中に一度「警官の制服を着た武装勢力」に拉致されたことがある(幸いにもすぐに無傷で解放された)。イラクの前はパキスタンにいて、アフガニスタン攻撃を報じている。イラクのあとエルサレムに転勤する前にベイルートでアラビア語を学んでおられる。

Renewed threat to kill abducted reporter
Rory McCarthy in Jerusalem
Monday June 18, 2007
http://www.guardian.co.uk/israel/Story/0,,2105263,00.html
... Hamas has said one of its priorities in Gaza is to establish security after months of lawlessness and feuding. It is a goal Hamas regards as important to maintain its credibility among Gazans after so much fighting and one of the first Hamas actions since the takeover was to crack down on some of the powerful, armed clans which make their money smuggling weapons and other contraband.

On Saturday, Hamas stormed houses belonging to the Astal clan in Khan Younis, a town in the southern Gaza strip. The clan had refused to give up its weapons. Hamas forces said they found weapons and drugs in the raid. Eight people were injured. "The point is to collect all illegal weapons from all families," said Islam Shahwan, a Hamas militia spokesman.

During the fighting last week, Hamas secured the effective surrender of several hundred members of another heavily armed family, the pro-Fatah Bakr clan. But the Dogmush present a bigger challenge. The clan is split into different factions which, over recent years have allied with Fatah, Hamas and the Popular Resistance Committees. The clan, particularly the Army of Islam, was one of the groups behind the capture a year ago of the Israeli soldier, Corporal Gilad Shalit, who remains in captivity. But in December two clan members were shot dead by Hamas fighters. Since then, the Dogmush, with up to 2,000 armed men, have been feuding with the Islamist group.

Most Palestinian officials believe Johnston was seized not because of some radical agenda, but to exert leverage on the then Hamas-led government. That his capture came amid the rapid and violent descent into anarchy in Gaza only made it more difficult to negotiate his release.

マッカーシー記者はここで、現在のガザ地区の状況を単に「ハマスとファタハの対立」と説明するのではなく(BBCのJeremy Bowenはそうしようとしているように思われるが)、より入り組んだものとして解説している。記者を拉致し拘束しているthe Dogmushという人数の多いファミリー(クラン)は、内部的にハマス支持やらファタハ支持やらPRC支持やらに分かれている。また、ジョンストン記者拉致事件は、主義主張(「囚人を解放せよ」)によるものというよりは、ハマス主導の政府に対し(おそらくは犯罪者集団/犯罪組織としての)プレッシャーをかけることが目的だという見方が、パレスチナ当局では強い。

ローリー・マッカーシーはイラクについて1冊の書籍をまとめている。私もまだ未読だけど、公式サイトで一部が読める。
0701180560Nobody Told Us We Are Defeated: Stories from the New Iraq (Chatto & Windus Paperback Original)
Rory Mccarthy
Chatto & Windus 2007-03

by G-Tools




ジャーナリストの拉致・拘束といえば、1986年にベイルートで英国と米国のジャーナリストがイスラミック・ジハードに拉致された事件では、拘束は5年以上に及んだ。このときは、解放交渉を行なったTerry Waiteさんまでが人質として拘束された。

1986: British journalist McCarthy kidnapped
http://news.bbc.co.uk/onthisday/hi/dates/stories/april/17/newsid_4693000/4693188.stm
# たまたま「マッカーシー」さんだが、ローリー・マッカーシーとは別人(ジョン・マッカーシーさん)。テレビのプロデューサーで、帰国間際に空港の近くで拉致された。

1990: Irish hostage released in Lebanon
http://news.bbc.co.uk/onthisday/hi/dates/stories/august/24/newsid_2511000/2511857.stm
# 見出しでIrishとなっている人質のBrian Keenanさんは北アイルランドの人(プロテスタントのバックグラウンド)で、UKとアイルランドの二重国籍。この5月のジョンストン記者の誕生日ではキーナンさんは彼にあてたメッセージを出している(要RealPlayer)。

1991: Beirut hostage John McCarthy freed
http://news.bbc.co.uk/onthisday/hi/dates/stories/august/8/newsid_2492000/2492499.stm

ジョン・マッカーシーさん、ブライアン・キーナンさんらの事件当時の報道などの様子は、Stiff Little FingersのBeirut Moonのプロモで少し見ることができる。
http://uk.youtube.com/watch?v=I3QHkmJMhn4

最後の方に拘束されていた人々が解放されたことが顔写真とテロップで示されるが、このとき、英国のサッチャー政権は例によって例のごとしの「対決姿勢」で、イスラミック・ジハードに働きかけようとしなかった。(北アイルランド人のキーナンさんは、アイリッシュとしてアイルランド政府が働きかけた。)SLFのこの曲はそのことについてのもの。曲としては、1979年とか80年ごろのSLFの曲に比べると平板で、印象に残りにくいのだけれども。

※この記事は

2007年06月22日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 16:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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