幸い、自転車は壊れなかった。相手の自転車と絡み合って外せなくなるようなこともなかった。っていうか倒れたのはこちらだけ。つまり一方的に倒されたのだ。相手は側の構造物の壁に自分の自転車をもたせかけ、無傷で立ってたのだから。
Twitterですでに書いているが、「来週はもう仕事納めですね」ってときになってから、自転車で事故にあった。双方自転車だ。こちらは基本スピードなど出ないタイプのミニベロ車(折り畳みを街乗りで使っている)、相手は、私は自転車には特に詳しくないので特定はできないが、ロードバイクだかクロスバイクだか、とにかくスピードが出る種類の自転車で、「あさひ」などのショップでよく見かけるブランドのもの。それが、猛スピードで真横から突っ込んできた。といっても「交差点での事故」ではない。当方は道路(歩行者と自転車が通れるようになっている公道)を減速して左側走行中で、相手は商業施設の自転車置き場からその道路に出るための細い通路を、スピードを出して、道路手前で一時停止もせず、つっこんできた(そもそもその通路は、自転車に乗って走行すべき通路ではないのだが)。
負傷して通院し、処方箋を出してもらって湿布薬や痛み止めを受け取りに行く薬局で、薬剤師さんが「どうしたんですか」と声をかけてくれるので、「あの施設の横の自転車置き場からの通路を爆走してきた自転車に衝突されたんですよ」、「えー、こわい。あそこ、歩行者もいっぱいいるじゃないですか」、「ですよねー。それに通路は自転車乗車禁止ですけど、それでも乗ってくるのがいるし、それも猛スピードで、前方確認してない」、「ながらスマホとか、今多いですもんねー」、「一瞬だったんでそこまでは確認できなかったんですけど、そうかも」などと話す。事故現場はここの最寄り駅近くではないのだが、日常の足として自転車を使う人なら十分に毎日の行動範囲に入るし、施設名を挙げて「あの横」というと、「あー、あそこ、やばいっすよね」的な「ヒヤリ・ハット」なエピソードが出てくる。
路面にたたきつけられてしばらく息もできず、痛みに固まって、ただ「路面、冷たい……」ということしかわからない状態で、身を起こすことなど当然できずにいた私に、「すみません」の一言もなく、カジュアルな「だいじょうぶかい」という言葉を何度かかけ、倒れて起き上がれずにいる人間に手を差し出してとっとと起こそう(あちらにしてみれば「助け起こそうとした」つもりかもしれないが)とした相手、スピードを出して自転車に乗って移動すべきでないところを猛スピードで突進してきた相手は、30歳くらいと思われる男だった。自転車はクロスバイクなのかロードバイクなのかは私にはわからなかったがママチャリではなくそういう系で、前かごなどはついておらず、荷物を運ぶような用途ではなく乗るためだけに使われていることは明白で、つまり、そんな自転車で、歩行者と共有している道路を、そんなスピードで走ってんの、といわずにはいられないようなもの。しかも奴が走ってきたのは「道路」ですらない。駐輪場から道路に出るまでに使う「通路」だ。「自転車は押して歩きましょう」と注意喚起されているような通路。
「しかも」が続くが、しかもそこは建物の1階に入っているスーパーマーケットの出入り口の前で、スーパーのカートを押して自転車置き場まで行く人や、キャスターつきのショッピングバッグ(下図のようなもの)を引いた超低速歩行の高齢の女性や、親の手が一瞬離れてしまった子供などなどが入り乱れる空間だ。もちろん、どこにでもいる歩きスマホの人はここにもいる。
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そんな場所だから、昼間の混雑する時間帯は、区内の各駅前や公共施設前と同じように、区のシルバー人材センターのようなところから派遣される交通整理員さんが目を光らせている。しかし、夜になるとそういう「目」がなくなる。
そういうところで、自転車走行禁止の通路をスピードを上げて走ってきた前方不注意のごっつい自転車に、歩道だからと速度を落としていたミニベロ車の私は真横から激突され、吹っ飛ばされ、地面にたたきつけられたのだ。
というわけで前方不注意ダメ、ゼッタイ。
※「いらすとや」さんのイラストを一度使ってみたかったので自転車同士の衝突の図を探したのだが、さすがにそれはなかったので、一番近い「自転車が歩行者に突っ込むの図」を拝借。
「自転車スマホ」を含め、前方不注意の自転車は、こちらがどんなに注意していても、向こうからつっこんでくる。受傷後、八百屋のおかみさんとか図書館の人とかに三角巾で吊ってる腕のことを聞かれて手短に説明すると、「自転車に乗りながらスマホなんて無茶やってるのが多いじゃない、怖いわよねー」といった反応が、きまって返ってくる。「みんなそう認識している」状態だ。それでも自転車スマホする人は、外出すれば毎日見かける。自転車スマホ&イヤホン&無灯火&逆走という、上海雑技団にでも入りたいのかと思ってしまうママチャリもいる(逆走ほんと怖いんだよね。逆走してきて普通のスピードで右折してくるのと、左側走行のこちらがあわや前輪接触、なんてことは珍しくない)。自転車保険加入を検討しなければならないと思う。
あと、これは薬局の人からも八百屋のおかみさんのような人からも言われたんだけど、自転車であれ何であれ交通事故はその場は痛くなくてもあとから来るから、発生したそのときに警察を呼ぶことが重要(私も、大丈夫だと思ってその場では呼ばなかったことを後悔している)。今回の私の受傷の場合、レントゲンではケガの内容が確認できずCTでの精密検査となったので、窓口で支払った医療費が2万円を超えている。治療の発端でこの負担だ。この先まだ時間も費用もかかる。一方で仕事は著しく制限される。月給生活ならまだいいかもしれないが、ほんと、たまらん。
で、右手をひじから先はギプスに包帯で固定した状態だが、右の指先は使えているので(その点、一切動かせなくなる腱鞘炎よりはまだまし)、こうしてキーボードも叩くことはできる。とはいえ無理な姿勢になっていて背中や腰、患部にも決してよくはないので、ブログも書きかけのものを書く予定だったのが書けなくなっているし、ましてや新記事は書けていない。Twitterのほうでちょぼちょぼとフィードはしている。今年の英&アイルランドの「30年ルール」での公開文書がすごいのでブログに書きたいのだが、それもできない。ぐぬぬ。
そうそう、右の手先は動かせるのだけど力を加えることができないので、「密封容器(タッパー)のふたをあける」、「ひねって回すふたをあける」、「輪ゴムをかける」、「靴下の左右を合わせて口ゴムのところをくるっとひっくりかえす」といった日常動作ができなくなっている。単に「手が使えない」というだけではなかなか想像しづらいディテールだと思う。輪ゴムが使えないので何でも洗濯ばさみで止めているし、靴下も左右合わせて洗濯ばさみで止めているので、家中の洗濯ばさみが動員されてしまった。補充しないと。
※この記事は
2017年12月31日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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