「この先への不安」が広く共有されるとき、大きな流れとして「過去への郷愁」だとか「現状への愛着」が起きるし、それが支配的になるのが常だ。バラク・オバマ大統領の任期2期8年の終わりに際し、「過去への郷愁」は生じているようには見受けられないが(さすがに誰も、オバマの前を懐かしんだりはしていない)、「現状への愛着」は日を追うごとに強まっているように見えた。そのピークが先週(1月9日から15日の週)の前半で、私は完全に、見てるだけで食あたりを起こすような状態となって、ニュースサイトにアクセスすることすらほとんどやめていた。バラク・オバマというまっとうな人を正当に評価することは必要だし、当然のことだ。しかし、次がひどいからといって、美化はいけない。次がセクハラじじいだからといって、今のオバマ・ファミリーを理想化しつくすようなことをして、「バラク・オバマの8年」を語ってはならない(確かに理想的な家族だろうが)。しかし、目に見える(狭い)範囲では、そういうムードが横溢していた。
そのときに、ブログに書いておこうと思って、メモ用紙に殴り書きした単語の群れがあるのだが、見事に意味不明、ダダイストの自動書記かと思うくらいに意味不明だ。私は何を思って、何を言語化しようとしていたのだろう。うん、「エジプト」はわかる。2013年、モルシ政権を転覆させたタハリール広場の「デモ」で、国際メディア(すでにアルジャジーラは追い出されていたが)のカメラに常に移る場所に掲げられた大きなバナー。それは、エジプトとはほとんど関係なく、基本的に「すべてオバマが悪い」というもの、バラク・オバマを批判する「反オバマ」のものだった。でも、そのことを今思い出して、私は何を書こうとしていたのだろう?
そんなふうにぼんやりとしている中、任期の終わりまであと2日というときに飛び込んできた超ビッグニュースがこれだ。
日本のメディアではどうだか知らない。BBCやガーディアンではトップニュースだ。

記録はとってある。全体から見れば、ごく少ししかとれていないが、どうせこんな程度でも「長い」とか文句を言われるのだろう。(私はこれを作成するにあたり、これの何倍の文字情報を見ていることやら。)
ウィキリークスに情報を流したマニングの恩赦について、日本の大手報道が報じていそうにもないことの記録
https://matome.naver.jp/odai/2148471362598559001
「恩赦」といっても、チェルシー・マニングについては、「刑の取り消し」「即時釈放」ではなく「刑期の大幅短縮(減免)」であり、マニングが釈放されるのは5月17日とまだまだ先だ。それに、そもそもマニングはあんな長期の刑(35年)に処せられるべきではなかったし(35年はdispropotionateとしか言いようがない)、収監中にあんな目にあわされるべきではなかった。彼女が自殺未遂で病院に運ばれたと報じられたのはかなり最近のことだが、自殺未遂に追い込まれたこともひどければ、その情報が外部に出された経緯もかなりひどかった。彼女はあまりにつらい思いをさせられた。それは第一義的には、バラク・オバマ政権の内部告発者を敵視した政策ゆえだ。だが、それでも、任期最後にオバマが行なった「チェルシー・マニングの刑期の大幅短縮」は、正しいことであると讃えられており、オバマへの感謝の言葉が多くウェブ上にアップされている。
あとで書き足すかもしれない。今はこれだけ書くのが精一杯だ。
※この記事は
2017年01月18日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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