
ネット、特にソーシャルネットという場で日本の選挙について読むのも書くのもほとんどやめていましたが、10日は投票所に行って、投票用紙に「この人に国会という場にいてほしい」と自分なりに考えた人の名前を書いて投票箱に入れてきました。投票済証は、投票所を出る手前の机に座っていた係員さんに「投票済みの証明書をいただきたいのですが」とお願いしたら、その方が担当者さん(庶務の方、と呼んでいました)を呼んでくれました。つまり、いつもと同じです。
投票所は地元の小学校なのですが、校門を入ってから投票所として利用されている建物までの数メートルの空間の片隅に、犬のリードを持って待っている人が2人ほどいました。お1人はちょうど、投票を終えて出てくるご家族と交替で投票に行くタイミングだったようです。「投票所の犬たち」がハッシュタグになるのは英国だけで、犬を連れた方はずいぶん気を使っていらっしゃるように見えました。
投票所内は、私が行ったときはすべてのブースに人がいるけれど、並んで待ちはしない程度に混雑していて、親御さんにぴったりくっついて選挙区、比例と進んでいく小学生くらいの子供も何人かいました。普段、この学校に通っている子にとっては、いつも見慣れた場所がいつもとは違う用途で、いつもいない人々でいっぱいになっている光景は、おもしろく見えることでしょう。
「ネット選挙(選挙運動)」が解禁され、いろいろと様変わりした選挙だったのかもしれませんが、個人的にネット(特にソーシャルネット)にはうんざりしているので、大手報道の記事はポータルサイト経由でいくらか読んだけど、特にソーシャルネットで流れる候補者の選挙運動の様子や「みんなの意見」的なものは見ないようにしていました。はてブの「お気に入り」で見かけたのが選挙ネタというより「デマ屋」ネタ(ですよね)のこれと、人々が相手にせずにほっといたら、タコツボの中で一定範囲の人々の間で元気の素になってしまってるらしい「陰謀論」のとても詳しい検証(おつかれさまですとしか言いようがない)。その「陰謀論」は、ネット(特にソーシャルネット)で注目されているある候補者さんが信じているらしいのですが、その候補者さんがなぜ注目されているのかも、注意を払ってこなかったので知りません。過去(今回の参議院選挙のずーっと前)に2度ほど、その候補者さんについてどう思うかを尋ねられたことがあると思うのですが、どう思うかも何も、「それって、誰ですか?」でした。私はその人については確かに聞いたことはあったのですが、別に興味を引かれる点はなく、Twitterでもブログでもその人について言及したことはなく、RTなどもしていないと思います。それでも、その人についてどう思うかを別な人が尋ねてくるということがあった程度には、よく知られた人だったのでしょう。
そうやって、「ネットの有名人」は誕生するんでしょうね。上記の「陰謀論」のほか、「ニセ科学」でも問題視されているという指摘を、登録しているpaper.liのページで見かけましたが……ええと、ヒマなときなら読んでたかもしれません。(でもあいにく、ヒマじゃないんですよ。まだBrexit後のごたごたは続いてるし、Euro 2016でのフーリガンのことからチルコット報告書のことまで、書きかけのものがたくさんある。ダラスの警官銃撃事件は犯人像がまだ完全にはわかっていないし。)
あ、あと、もう少しだけ今回の選挙に言及したものがあります。
それは報道に関するもので、「NAVERまとめ」で自分がページを作成したとき(カテゴリ未設定の状態)に、サイドバーに表示されていたのだったと思います。
NHKニュース7とニュースウォッチ9が参院選についてやらなすぎておそろしすぎる件 https://t.co/c9aJgHdZqM ここ、笑うところ? > "NHKの朝のニュース、参院選自体には全く時間を割かず、ひたすらアメリカの大統領選やってた。" 7月6日(水)
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) July 8, 2016
それから、自民党の使っている「中立性」という言葉の定義がおかしい、という点についてのもの。これは、はてブの「お気に入り」経由(私がはてブでフォローしているどなたかがブクマしていた)で見たのだったと思います。
自民党が「学校教育における政治的中立性についての実態調査」をはじめ「密告」をお願い→批判殺到し削除? https://t.co/IQcseWG9X4 "自民党によると「子供たちを戦場に送るな」と主張するのは中立性を逸脱した教育だそうです"。「中立性」の定義がおかしいよね。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) July 8, 2016
あの人たちのいう「中立」は「NOと言わないこと」だからね。「NOと言うからには、何か "思想" があるに違いない」っていうパラノイアが深いところに組み込まれてる。だから男女同一賃金要求も選択的別姓要求も「思想」にされる。そのうちに残業代まともに払えってのも「思想」にされるよ。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) July 8, 2016
こういうことを十二分に踏まえた上で、「自民党に投票する」のはどういうことか、よく考えるべき。んで、投票したら「わらにもすがる思いで〜」とかいうお涙頂戴の言い訳をするな。政権与党は「わら」では断じてなく、政権与党に投票し現状維持・今の路線の継続を支持することは「大船に乗る」行為だ。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) July 8, 2016
誰か候補者個人の「陰謀論」や「ニセ科学」に警戒することも重要ですが、政権与党のこういう無茶苦茶な行為(これは、言語・ロゴスに対する蹂躙です)は、そんなものとは比較にならないくらいに危険なものだと思います。でも、そういうことをする人々(ついでにいえば「江戸しぐさ」のような歴史の捏造を行なった人々でもある)を、多くの有権者が「支持」するんですよね? 目立っておかしな(トンデモな)陰謀論者やニセ科学信奉者に注目しながら、「消去法だ」と言って。
というわけで、本エントリは「特に発言はしていませんが、投票はしてきました」ということを言うために書いたものです。
「投票に行ってない奴は文句を言うな」などと絡まれたときに、このページを示そうと思っています。
※この記事は
2016年07月11日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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