「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2016年05月22日

サッカーのサポーターが使う応援スローガンと、Urban Dictionary

昨日(21日の土曜)、イングランドでFAカップの決勝が行なわれる前に、スコットランドでスコティッシュ・カップの決勝が行なわれていた。ハイバーニアン(エディンバラ)対レンジャーズ(グラスゴー)で、Twitterで私が見る世界ではレンジャーズのサポの人たちが盛り上がっていた(直接試合を見に行けない人たちが、キックオフ前のスタジアムの観客席の様子の写真などをRTしていた)。結果はこの通りで、それも2-2のドローで突入した後半アディショナル・タイムでのゴールが試合を決めたとのことで、試合終了後にハイバーニアンのサポの人たちがピッチになだれ込んで一騒ぎあり、試合後にレンジャーズのサポの人たちが(勝ち誇って)騒ぐ、ということにはならなかったため、私の見ている世界は比較的静かだった。

rfcsc-min.png……とまあ、そういう感じで終わったのだが、試合前にRTされてきたツイートで、スタジアム内(グラスゴーのハムデン・パーク……イングランドのウェンブリー・スタジアムに相当する施設で、どのチームのホームでもない)の観客スタンドに「ユニオニストの意匠」が並んでいるのを見て、来期からスコティッシュ・プレミアリーグが……といったことを思わずにいることは難しく、5月下旬という時節柄、7年前の2009年に北アイルランドで起きた「勝ち誇ったレンジャーズ・サポによる集団暴行事件」(男性が1人殺された)のことなどを思い出してしまい、スコットランドのサッカーに特に高い関心があるわけではない私が東京でそんなことを思っているということ自体が「普通のレンジャーズ・サポ」の人たちには失礼なことなのだろうと思ったり、とぐるぐるしていた。

そういう「試合前の盛り上がり」を物語るツイートの多くに、WATP という文字列が入っていた。

こういう「アルファベットの文字列」は、サポーターたちの応援のスローガンである。うちの場合はCOYG (= "Come On You Gunners!") だが、グラスゴーのレンジャーズFCのWATPは "We Are The People" である。

私がこのアルファベット4文字がどういうものであるのかを知ったのは、ウェブ検索で導かれたUrban Dictionaryでだった。

Urban Dictionaryは、「辞書」と名乗ってはいるが、普通の辞書とは違った使い方が要求される。ここは「みんなで作る悪魔の辞典」のようなもので、サタイア・冗談を意図している。「語義」は(言語学者や辞典編纂者ではなく)ユーザーが書き込み、閲覧者は「ニヤリ」と笑うことを期待/予期されている。とはいえ、そうして書かれた「語義」はまったくのデタラメというわけではない。風刺は、完全なフィクションの上には成り立たない。今の話題でいえば、「三島由紀夫賞」に「なるべく高齢で、小説家のイメージの薄い文学者に与える賞」といった語義を、気の利いた表現で書いているような感じだ。


で、WATPだが、これを私はどっかの掲示板か何か(Bebo.comのグループだったかもしれない)で見かけて意味がわからなかったので、そのままウェブ検索した。

そして出てきたUrban Dictionaryのページで、このフレーズが「どういうものか」はよくわかった。Bhoyというセルティック・サポであることを表す「記号」をまとった「ネット住民」が、うまいこと言おうとするような語だ。
http://www.urbandictionary.com/define.php?term=WATP

だが、WATPの元となったWe Are The Peopleというフレーズの《意味》は、わからない。出典である聖書を読まなければわからないだろう(読んでもわからないかもしれない)。

そこまでわかっていなくても、「スコットランドのサッカー」という文脈の中で使われるWATPが「何を表すか」はわかる。当面は、それで十分だ。


※この記事は

2016年05月22日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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