
そういう「試合前の盛り上がり」を物語るツイートの多くに、WATP という文字列が入っていた。
こういう「アルファベットの文字列」は、サポーターたちの応援のスローガンである。うちの場合はCOYG (= "Come On You Gunners!") だが、グラスゴーのレンジャーズFCのWATPは "We Are The People" である。
私がこのアルファベット4文字がどういうものであるのかを知ったのは、ウェブ検索で導かれたUrban Dictionaryでだった。
Urban Dictionaryは、「辞書」と名乗ってはいるが、普通の辞書とは違った使い方が要求される。ここは「みんなで作る悪魔の辞典」のようなもので、サタイア・冗談を意図している。「語義」は(言語学者や辞典編纂者ではなく)ユーザーが書き込み、閲覧者は「ニヤリ」と笑うことを期待/予期されている。とはいえ、そうして書かれた「語義」はまったくのデタラメというわけではない。風刺は、完全なフィクションの上には成り立たない。今の話題でいえば、「三島由紀夫賞」に「なるべく高齢で、小説家のイメージの薄い文学者に与える賞」といった語義を、気の利いた表現で書いているような感じだ。
で、WATPだが、これを私はどっかの掲示板か何か(Bebo.comのグループだったかもしれない)で見かけて意味がわからなかったので、そのままウェブ検索した。
そして出てきたUrban Dictionaryのページで、このフレーズが「どういうものか」はよくわかった。Bhoyというセルティック・サポであることを表す「記号」をまとった「ネット住民」が、うまいこと言おうとするような語だ。
http://www.urbandictionary.com/define.php?term=WATP
だが、WATPの元となったWe Are The Peopleというフレーズの《意味》は、わからない。出典である聖書を読まなければわからないだろう(読んでもわからないかもしれない)。
そこまでわかっていなくても、「スコットランドのサッカー」という文脈の中で使われるWATPが「何を表すか」はわかる。当面は、それで十分だ。
※この記事は
2016年05月22日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。