kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


2016年05月02日

レスター・シティの「御伽噺」は、「ありえないことが起きる」より可能性が低いと見られていた。

いつも通りに英国のニュースをネットで見ている限り、現在の英国でのトップニュースは「労働党内に反ユダヤ主義が存在しているとされる問題」だが、これが異様なほどメディアによってヒートアップさせられているのは、5月5日投票予定の地方選挙、特にロンドン市長選挙前というタイミングによるものだ(「反ユダヤ主義が組織内に存在していること」が問題なら、労働党で亡命ユダヤ人の息子が党首をしていたころに、保守党所属の国会議員がナチのコスプレでパーティーを開いていたようなことは「愚か者の愚行」で済ませられまい)。これは、あとに残す影響などを考えるとめちゃめちゃ毒性が高く、気が重くなるような話であるにせよ、どのくらいの人がどの程度の関心を抱いて記事などを見ているかというと、「その筋のプロ」や「政治オタク、選挙戦略オタク」、「非難されている人々の支持者」や「陰謀論者」が格別高い関心を持っているだけで、一般にはさほど……、というに近い状態なのではないかと思う。

イングランドの外ではどうかわからないが、少なくともイングランドで一般に広く関心を集めているのは、そのような「選挙前の煽りネタ」よりむしろ、サッカー、プレミアリーグの「アンダードッグ」のことだろう。少し前まで、トップ4のチームにはまだリーグ優勝の可能性があったときには(私の観測圏によるものかもしれないが)まだそこまでではなかったと思うが、いい感じで首位にいたはずのうちが圧倒的な4位力を見せ付けるようになったときには(私の観測範囲でさえも)「御伽噺 fairly tale」とか「夢を実現させた人たち dream makers」とかいった表現がぽんぽん飛び出すようになり、4月末にはついに「あと1勝で自力優勝」というところまで来ていたレスター・シティFCのことだ。

そのレスター・シティ、5月1日(日)にはマンチェスター・ユナイテッドのホーム、オールド・トラフォードで試合を行ない、日本でも(レスターに岡崎が所属している関係で)スカパーか何かで試合が見られる環境にあった人が大勢いたようで、大変な話題になっていた。サッカーニュースのサイトやスポーツ雑誌などのサイトだけではなく、一般のメディアでまで大きく取り上げられているのを(テレビはないし新聞もほとんど見ない)私でも目にした。

1日の試合は、ボール支配率は圧倒的にMUFCが上回っていたが、結果は1-1のドローで(終盤、1人累積イエローで退場となっても、ホームの大歓声に押されるMUFCに得点させなかったのがすごい)、最速での優勝決定は、2日(月)となる(ちなみに、英国と日本の時差は、英国が夏時間の期間中は、8時間だ)。リーグ2位のトッテナム(以下、「白いとこ」)がチェルシー(以下「青いとこ」)に負けるか引き分けるかすればレスター・シティのリーグ優勝が確定し、白いとこが青いとこに勝てば、もう少し先になる。

その月曜日、レスター・シティのプレイヤーやチームスタッフは、サポさんたちと同様に、テレビに釘付けになって白いとこ対青いとこの試合を見ていることになるだろうが、監督のクラウディオ・ラニエリさんは96歳のお母さんとランチをするためイタリアに戻り、試合が行なわれている頃にはイングランド行きの飛行機に乗っているそうで、ご本人が「白・青の試合結果を知るのは、私が一番遅くなるでしょうね」と言っている。そんな記事が、ガーディアンのトップページに出ている。



レスター・シティの話題なのに、いちいちマンチェスター・ユナイテッドのプレイヤーが入っている写真を使ってくるのがガーディアン(元マンチェスター・ガーディアン)なのだが、そんなことをいちいち書きたがるのは薀蓄たれのオタクだけだし、「何でここでレスターの選手の写真じゃないのか!」と怒る人がいたら、「これがガーディアン・クオリティ」と思って落ち着いていただければいいと思うだけで、別にどうでもいいよと思った方には、「オタクの無駄知識」と受け流していただければよい。

で、そのレスター・シティ。かつてはよほど詳しいか好きな人でない限りは、「ああ、二部リーグにいるチームですね」という認識だったと思う。ウィキペディアで確認すると、2003-04シーズンはプレミア・リーグにいたものの、翌年にはチャンピオンズ・リーグ(紛らわしい名称だが二部リーグ)に降格して、プレミアに来たのは昨シーズン、2014-15年のことだ。二部リーグにいた期間中には、さらに1つ下のリーグ・ワン(紛らわしい名称だが三部リーグ)に落ちていたこともある。

昨今、「サッカー(特に欧州サッカー)」といえば「ビッグ・マネー」ということになっている。個々のプレイヤーでも高額な移籍金や所得が話題になり、果てはメッシやネイマールのように「脱税」だの「隠し資産」だのといったことでスポーツニュースを飛び越えて一般ニュースになることもあるが、何より、クラブそのものを大富豪が「入手・所有する」ようになったことで、「うちらの町のクラブはうちらのもの」という昔ながらのありかたは、少なくともイングランドのプレミア・リーグのような有名リーグでは、もはや当てはまらない。プレミアでプレイする20のクラブのうち、自分または誰かにとっての「うちらの町のクラブ」の所有者(オーナー)が、どこかよその国の大富豪だということに驚いてみせる人は、もういないだろう。レスター・シティも例外ではない。

レスター・シティの選手のユニフォームの胸にでかでかと表示され、ホーム・スタジアムの名称に冠されているKING POWERは、タイで空港免税店をチェーン展開する大企業の名前だが、これは単なる「胸スポンサー」、「スタジアムの命名権を取得したスポンサー」ではなく、クラブのオーナーの企業である。



King Powerの創業者であるVichai Srivaddhanaprabha氏が所有するAsia Football Investmentsというコンソーシアムが、2010年に前のオーナー(クロアチア生まれだが、1969年以降アメリカを拠点としてきたビジネスマンで、2007年からレスター・シティFCのオーナーだった)からこのクラブを買った(King Powerは、2007年からの胸スポンサーでもあった)。この辺、少しややこしいので英語版ウィキペディア(下記)でご確認いただきたい。
https://en.wikipedia.org/wiki/Leicester_City_F.C.#2010.E2.80.93present:_AFI_era

というわけで、レスター・シティも他のあまたのイングランドのクラブと同じく、この10年近くは「外国の富豪が所有しているクラブ」だったのだが、「誰もが知っているビッグネーム」では全然なかった。2010年には浦和レッズから阿部勇樹選手が移籍したが、当時は二部リーグ(チャンピオンシップ)だった。ドイツ・ブンデスリーガのマインツから岡崎慎司選手が移籍した2015年は、プレミアに昇格したばかりのシーズン(2014-15)をリーグ14位という成績で終えたところで、少なくとも上位4チーム(欧州チャンピオンズ・リーグ出場権獲得)界隈では、「レスターはプレミアに上がってすぐ降格しなくてよかったね。がんばってください」的なクラブと見られていた。

この時点で、「2015-16シーズンにレスター・シティが優勝する」という可能性を本気で取りざたする人がいたとしたら、クラブ関係者を除いては、「信者」レベルの熱狂的なサポか、未来から来た人だろう。「まあ、一応」的に賭け屋で500円とか1000円といった感覚で日常使うような金額分、買っておいた、という人はいっぱいいたかもしれないけど、本気でこうなると思っていたわけではなかろう。









今シーズンが始まったとき、レスター・シティは「ものの数」に入っていなかった。「そういうクラブ」じゃなかった。経済メディアのフォーブズ(米国)には、レスター・シティのデータがなかった。2010年までオーナーが米国拠点のビジネスマンだったのに、である。







レスター・シティはプレミアの「名門」「強豪」と称されるクラブとは、まったく互角に渡り合えそうにもないと誰もが思っていた。5月1日の試合のときにも、「年俸で考えたら、今日の試合はレスターの11人対ルーニー1人で行なわれるべきではないかと思うのも仕方ないよねー」といったことがツイートされていたが、思わず (・_・) ←こんな顔でうなづいていた。





そういうクラブが、ひょっとしたら優勝を決めるかもしれない。しかもオールド・トラフォードで……前回は2002-03年シーズンのうちですってよ。泣けるビデオどうぞ。



……話がずれていそうに見えるかもしれないが、ずれていない。 (・_・)

そういうわけで、日本でも、「日本人プレイヤーが所属するクラブが優勝しそうだ」という以上の大騒ぎになっている。

個人的に、日本語圏の浮き足立った報道には接さないので、どういう言葉で語られているかは正確にはわからないのだけど、テレビなどではジョン・カビラさんのようなイケボイスで「奇跡の優勝まで、あと○勝!」みたいな語られ方がしてるじゃないのかなあと、日本語圏のスポーツニュースの言語的クセのようなものから類推している。今年のレスター・シティについて、「悲願の」、「念願の」は当てはまらない(それが当てはまるクラブがあるとしたら、確実にうちだろう)。

よく指摘されることだが、「奇跡」というのは、少なくともキリスト教文化圏では過剰に宗教的な表現なので、こういう場合にはまず使われない。英語では今回、 "dreams come true" (夢が現実になった)といった調子で語られている。

試合の日、ガーディアンでは「夢劇場」と見出しを打っていた。(「夢劇場」って書くと、日本語では大衆演劇っぽくなるなあ……)







Twitterでレスターの街の様子が流れてくるのを見ていたが、「小都市」ではないもののマンチェスターのような規模でもない都市であるレスターの人々が、「うちらの町のクラブ」のシャツを着て、スカーフ(マフラー)を持って、パブなどで盛り上がっているのを見て、2016年にこういう光景をリアルタイムで見られるとは思ってなかったなあ、などという感慨に浸っていた。「勝って当たり前」のクラブでは全然ないことで、レスターという町の人々の顔が見えるような報道が行なわれている。Sky Newsがレスターの町のパブから中継し、報道写真家はキング・パワー・スタジアム前でファンをとらえる。






年齢も、性別も、人種・民族も、さまざまだ。

ロンドンのような大都会だけじゃない。これがイングランドの今だ。

レスターからマンチェスターまでは107マイル程度で車で2時間ほど。オールド・トラフォードにはチケットを持ったレスターのサポさんたちがバスで観戦に訪れていた。明らかに親子、明らかに祖父と孫、明らかにきょうだい、明らかに、明らかに……レスターという町に住んで地域社会を作っている人たち。














1日の試合後のオールド・トラフォード。



「レスターに所属していた当時はプレミアに昇格したら、街の雰囲気はどうなるんだろうと想像しながらプレーしていました。残念ながら、僕がプレーしていたときには、それを叶えることはできませんでしたが、サポーターがジャンプをしながらチャントを歌う姿をテレビで見ると懐かしさを感じますね」

……

イングランドで過ごした2シーズンは、グランドでもピッチ外でも充実した生活を過ごしていたという。

「街中も普通に歩けました。サインとか写真撮って、とかもなく、友達感覚で『がんばれよ』って接してくれるんです。でも、市場に買い物に行くとオマケをしてくれる反面、『最近、なんで試合に出てないんだよ』とか色々言われましたよ。そういうときは『監督に訊いてくれ』って返すんですけど(笑)。そういったコミュニケーションも面白いし、サッカー文化を感じました。街にサッカーが根付いているという部分では、浦和もレスターと近い雰囲気を感じることもあります」

阿部勇樹が語る 古巣レスターのプレミアリーグ昇格
2014年11月10日
http://www.jsports.co.jp/press/article/N2014111015200202.html
※2014年にプレミア昇格を決めたときのインタビュー。検索で見つかった。


















ところで、Twitter日本語で「レスター」で検索したら、下記のニュースのフリップ的なものが話題になっていた。





確かに「マジやばい」んだけど、「マジやばい」で片付けられるのは上の3つまで(オッズ1000倍まで)だろう。てか「月面着陸」てさあ、こんなところにまで私が陰謀論についてこられるのは何の陰謀だよ。

その次、オッズ2000倍の「エルヴィス・プレスリーがalive and kicking」とかいうのは、あたしがこんなのに賭けるとしたら何かの罰ゲームだなというものだし、一番下のオッズ4000倍の「ローマ法王が」……

ちょっとーっ。 O_O

これ超えるの、無理でしょ。






「カトリックを強硬に否定するプロテスタント」といっても、日本語圏ではたぶん伝わらない。「イスラム過激派のテロについて、イスラム教徒はなぜ非難しないのかー」という「単にあなたが十分に広い範囲を見ていないだけ」ゆえの言いがかりをつけている日本人が、「だってキリスト教徒はローマ法王がメッセージを出すでしょ」みたいなことを発言しているのを読んで、「イスラム教徒だって、各地のモスクの偉い人や、カイロのアズハルが……」以前に、あなたさまは中学校で「ヨーロッパの宗教改革」をお習いあそばされていらっしゃいませんのことですかと頭がクラクラしたこともあるのだが、そのくらい、日本では「キリスト教は全部同じ」といわんばかりの雑な理解がまかり通っている。事実は、「うちらは多神教だけどぉ、海外は一神教なんでしょ?」みたいな単純さで把握も理解もできるものではない。






レスター・シティ、オーナーのホームであるタイでも盛り上がってますよ、っていう写真がいっぱいあるんだけど:



仏教色豊かになりすぎている(笑)。合掌






追記:







※この記事は

2016年05月02日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:00 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

……全文を読む
▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼















×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。