kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2016年04月18日

「英国らしいユーモアのセンス」と、「船田船左衛門」的な何か。(高濃度Britishnessに注意)

何か新しいものやことについて、名称やアイディアを「ネットで公募」なんてことをすると、カオスになる――最近日本でも政党の名前について「大喜利」状態になった(個人的には「大喜利」などという上品なものとは思わなかったが)ことがあるが、少し前には、ニュージーランドの国旗の新しいデザイン案が世界的にネットをにぎわせた。これは、最終的には今年3月のレファレンダムで「現状維持(変更しない)」という結論が出たのだが、その結論の報道があったときにまで、何ヶ月も前に「ネットで公募」されたときにネットだけで話題となった「デザイン」にもなっていないような明々白々たるおふざけ画像を「これがよかったなあ」などと言ってしつこくツイートするなどしている人がいて(それも複数)、おまえらが小学生じゃないんならそろそろやめておけ、という気分にさせられ、辟易したものだ。

そう、ああいう「おふざけ」は、最初に見たときはそれなりに笑えても、いつまでもしつこくやられると、イライラする。

これもそうなるのだろうか。

なぜか、これはそうならないような気がするけど。 (・_・)

英国で、"Non-Departmental Government Body" と呼ばれる公的な機関の中に、Natural Environment Research Council (NERC) というものがある(日本語にすれば「自然環境調査評議会」とでもなるのだろうが、「定訳」は調べていない)。具体的にどのようなことをしているかは個別にご確認いただきたいのだが、ここが建造中の新たな極地(南極)観測船の名前を「ネットで公募」した。自分で考えたのを投稿してもいいし、他人が考えたものに投票してもいいという形の、わりと限定的な範囲からの提案を想定した、ゆるくオープンなものだ。

地味といえば地味な話題である。こういう場合、きっと、その分野で大きな功績を残した偉人の名前がつけられたり、何かゆかりの土地の名前がつけられたりする。ペンギン崇拝頻繁にみられる英国のことだから、南極観測の分野に関心の高い人は大勢いるだろうが、サッカーとかテレビのオーディション番組のように広範な関心をひくようなトピックではない……はずだった。そう、たった1人のネットユーザーが、思いつきを書き込むまでは。

その「1人のネットユーザーの思いつき」のことが大きなニュースになったのは、3月のことだった。

Experts could overrule 'Boaty McBoatface' name choice for polar ship
21 March 2016
http://www.bbc.com/news/uk-35861444

The name of a new polar research vessel will be chosen by a panel of experts, even if the public overwhelmingly votes to call it Boaty McBoatface.

Lord West, ex-First Sea Lord, said he was rather proud "silly names" had been suggested but hoped none were chosen.


新たに建造されている南極調査船の名前は、ネット公募では "Boaty McBoatface" が圧倒的な得票数であっても、最終的には専門家のパネルによって選ばれる、という記事である。この "Boaty McBoatface" という、あえて日本語にすれば「船田船左衛門」的な「ばかばかしい名前」が提案されたことについて、元海軍トップが "rather proud" と言っていることなども、もう意味がわからないのだが、誰かが何気なく書き込んだ「ばかばかしい名前」が大受けして、サイトにアクセスする人が急増し、サイトが落ちるなど大変な騒ぎになった。そういったドタバタが、メディアで取り上げられてはまた人々の関心を集めた。Twitterのような「どうでもいい一過性の話題」に人々が気の利いた一言を付け加えて盛り上がっていくような場では、関心の高さはなおさらである。

気象庁に勤める気象の専門家のマットさんは「シフトの間中、思い出し笑いが止まらなかった。グレート・ブリテンの一般の人たちに深く御礼申し上げたい」と言うし:




飛行機について同様に「名前を公募」したが、(「エディ」というキャラクターがいたがゆえに)「ばかばかしい名前」をつけられずに済んだアイアン・メイデンは安堵しているし:




「この暗い世界に差し込んだ一条の光」など、エモいことを言い出す人は出るし:




Twitter momentsまで稼動し始めた:




この段階でも既に、一言で言えば、"those crazy Brits" 案件なのだが、ここからさらに盛り上がるのが「イギリス人、あたまおかしい(いい意味で)」と評価される彼らの本領発揮である。

「思いつき」で "Boaty McBoatface" という「ばかげた名前」を提案したのは、James Handさんという人で、BBCの関係者(以前、BBC Radio Jerseyで番組プレゼンターをしていた)。BBCがノリノリで記事を連発しているのはそういう理由だが、そのHandさんが「必要もないのに謝罪した」からもう大変。



このHuffPo記事(編集が秀逸なので見てみるといいと思うよ)では、先にも言及した元海軍トップがお怒りのようですということが書かれているのだが、それが:
The former First Sea Lord, who has a fair bit of experience in all things ship-related, said: "If you go for crowd search in the current environment where everything is so gloomy then the average Brit comes up with some strange names.

"It's the typical thing of Brits going mad, normally silly season, not at this time of year.

"I would go for an Arctic explorer, this ship is going to replace the research ship 'James Clark Ross' and the 'Ernest Shackleton' both of whom were famous Arctic and Antarctic explorers and I think I would go for that.

"This would be appropriate bearing in mind this is a key bit of research where we're probably leading the world, one of the few areas where we're leading the world and we should all be very proud of it.

"I am rather proud we have silly names going around but I hope we don't select one."

http://www.huffingtonpost.co.uk/2016/03/21/boaty-mcboatface-former-head-of-navy_n_9514252.html?1458554541


元海軍トップの言葉の中にある「シリー・シーズン」というのはウィキペディア英語版を参照するとわかると思うが、「大きなニュースになるようなイベント(国会とか選挙とか)がないとき」で、要するにニュースで「暇ネタ」が多くなり、人々もそれに釣られてまじめな話題をまじめに考えるといった方向性から若干ずれた方に傾く季節で、その季節になるとホワイトホールでは変な歩き方が流行る。

cleeswalk.gif

ともあれ、"Boaty McBoatface" 提案者のハンドさんの「謝罪」の件はこちら:
Boaty McBoatface instigator 'sorry' for ship name suggestion
21 March 2016
http://www.bbc.com/news/world-europe-jersey-35860760

Mr Hand said: "I read the story about naming the ship on the BBC website on Thursday and some of the entries were really funny - my favourite was Clifford The Big Red Boat.

"I thought I would throw one into the ring. By Friday night it was leading by a couple of thousand, and when the site crashed on Sunday it was leading by 8,000. It's been utterly bizarre."

...

"I've apologised profusely to the people behind the website," the former Good Morning Jersey host said.

"It was actually nothing to do with me. It was my suggestion but the storm that has been created has legs of its own.

"I suggested this for the Condor Liberation when they had a poll, I bet they're kicking themselves now."

http://www.bbc.com/news/world-europe-jersey-35860760


……と、サイトがクラッシュしてしまったことについての「謝罪」のように読めるのだけど、あの、この「謝罪」って、真に受けるといろいろとアレなことになってアメリカ人困惑、みたいな、例のあの英国流の「謝罪」ですよね。(・_・)




BBCの記事には、ハンドさんがNERCにあてて「本当に申し訳ありません」とツイートしたら、NERCのジュリア・マドックさんが「謝る必要なんかないですよ。みんな大ウケしてますから (No need to sorry James, we are loving it)」と返事をしたというやり取りも記録されているので、お茶でも飲みながら見てみるといいと思うよ。 (・_・)


NERCの人たちがおもしろがっているというか喜んでいるというのはマドックさん以外のソースでも確認ができて:






しかも、発案者のジェイムズ・ハンドさんはまさかの(The Sunの)Page 3デビュー。




この人たちがこうなるスイッチが入ったときはもうほっとかなきゃしょうがない。お箸が転がってもおもしろいお年頃なので。(なんかちがう)

で、4月17日にまた "Boaty McBoatface" がTrendsに入っていたので見てみると、その「船の名前の公募」が締め切られ、「ボーティ・マックボートフェイス」がダントツで1位、というニュースだった(最終的には一般投票の1位の名前が選ばれるとは限らないという条件になっている)。



既に3月にも報じられていたが、 "Boaty McBoatface" 以外にもいろいろと「ばかげた名前」が提案され(「ピングー」とか、陸上のウサイン・ボルトをもじった「ウサイン・ボート」とか)、総数は7,000件ほどだったという。

最終的なトップ5は:
RRS Boaty McBoatface - 124,109

RRS Poppy-Mai - 34,371 ※難病の子供の名前。

RRS Henry Worsley - 15,231 ※これが本命でしょうね。今年1月に南極大陸単独横断のゴール目前で倒れ、亡くなった探険家

RRS It's Bloody Cold Here - 10,679 ※おもしろくないコメディアンのネタって感じ。

RRS David Attenborough - 10,284 ※いつかこの名前の船ができると思う。


BBCの記事にも出ているが、Boaty McBoatfaceでは「学術的で信頼される調査を行う船」のようには到底聞こえない。人々がおもしろがってこの「船田船左衛門」的な名前に投票したのは、最終的にそれが選ばれるはずがないからだろう(最終的に《意味》など持ちそうにもないという条件がある場合は、英国人はほんとに極端なほど突っ走る傾向がある)。

……というわけで、この船の名前がどういうものになるかはこれからのお楽しみとして、一連のこの「ボーティ・マックボートフェイス」現象は、それだけでも話題(ひとつの事例)として語り継がれていくんじゃないかなと思う。"British irreverence" なんてフレーズ、外交や経済の分野では出てこないよね(出てくるとしたら悪意のある意味になる)。







なお、「boat → Boaty McBoatface」式の「人名化」はいろいろと応用がきく。先にみたアイアン・メイデンの飛行機に関しては:




あと、競走馬に「ホーシー・マックホースフェイス」がいるそうだ。





ここまでお読みくださったかたは、これを見たくなってるのではないかと思うので:

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わたしはこれが見たい。



……あ、これもあるんだ。
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追記 (・_・)




……という、BBCy McBBCfaceのヘンダーソンさんのツイート。


※この記事は

2016年04月18日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 07:00 | TrackBack(2) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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「エド・ボールズ・デー」は何のためなのか。
Excerpt: 昨年書いたのだが、4月28日は歴史と伝統の英国においては「エド・ボールズ・デー」と呼ばれる日である。 これは、2011年4月28日に、労働党の要職者でもあるエド・ボールズ下院議員が自身のアカウントか..
Weblog: tnfuk [today's news from uk+]
Tracked: 2016-04-29 01:20

「船田船左衛門」的な名前をつけられそうになった英国の極地調査船の件で最終結論が出て、全世界が落涙を禁じえない。
Excerpt: 先日、当ブログでも少し書いたBoaty McBoatface(「船田船左衛門」)の件で最終的な結論が出されたことで、またもや Boaty McBoatface がUKのTwitterでTrendsに入..
Weblog: tnfuk [today's news from uk+]
Tracked: 2016-05-06 23:13





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼















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