「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2016年04月17日

カナダのトルドー首相というパーフェクト・ヒューマンが、今度は量子コンピューターについて語ったので。

ここまでくるとギャグ。昔の少女マンガの類型で、「冴えない主人公(女子)が憧れている生徒会長(男子)」。お蝶婦人みたいな完璧な人と付き合ってる……って、この人の場合、ほんとにそういう人と結婚してるから、本当にフィクションの中の人なのではないかと思う。恵まれた容姿にドラマみたいなバックグラウンド、政治家として必要な弁論の才に、党を率いるリーダーシップ、明確な理念、妻との間にはかわいい子供が3人……

さらに加えて、カナダの首相、ジャスティン・トゥルードー(トルードー、トルドー)は、量子コンピューターについても語れるっていうんだから。

事の次第はこう……オンタリオ州ウォータールーにあるペリメーター理論物理学研究所(→YouTubeでのアウトリーチ活動がおもしろそう)を訪れて、目に見えやすい物理実験などを行なったトゥルードー首相が、マンガみたいにややこしく数式がみっしり書かれた黒板を背にして記者会見に臨んだところ、ひとりの記者が質問に入る前の前置きとして、冗談めかして「ここではぜひ量子コンピューターについてお伺いしたいところですが」と述べたあと、「イスイス団とどう戦っていくか」を質問した。

普通なら、首相が量子コンピューターについて知ってるはずがないので、「ははは」と苦笑して「イスイス団とどう戦っていくか」の話になる……ところ、このパーフェクト・ヒューマンは立て板に水のごとく、「通常、コンピューターというのはですね、通電しているかしていないかで動作します。1か0かの二元論ですね。一方……」と語り始めた。

“Normal computers work − either there’s power going through a wire or not. It’s one or a zero; they’re binary systems. What quantum states allow for is much more complex information to be encoded into a single bit. A regular computer bit is either a one or a zero, on or off. A quantum state can be much more complex than that because, as we know, things can be both particle and wave at the same time, and the uncertainty around quantum states allows us to encode more information into a much smaller computer. So that’s what’s exciting about quantum computing, and that’s where we’re going.”

Justin Trudeau Was Asked About Quantum Computing And Actually Gave A Pretty Good Answer
http://www.buzzfeed.com/craigsilverman/justin-trudeau-was-asked-about-quantum-computing-and-actuall




上記BuzzFeed記事によると、「繰り返しが多い」といった欠点はあるものの、「基本的な部分の理解は正確」で、「首相が知っていると思われるよりはるかに豊富な知識」があり、まとめると「専門家も及第点」といったところのようだ。少なくとも、はったりでデタラメを並べているわけではない。

サイモン・シンも太鼓判。




で、こんなことをやられちゃったらネットはもちろん大騒ぎ。

アルジャジーラは「マイク・ドロップ」だと言うし(mic drop = 「話はこれで終わり!」):




隣国のパーフェクトな首相にめろめろになってるアメリカのリベラルのメディアは「目がハート」だし:




英インディは「完璧マンなのでは」と:




さっきのBuzzFeed記事に入ってたんだけど、しまいには "unicorn" (現実には存在しないすばらしいもの)を動詞(自動詞)として用いる人が出る始末:




なんか始まりそう。個人的には "unicorn oneself" という他動詞のほうが好みだけど:




なお、この日の研究所訪問と記者会見の本題は、ペリメーター研究所への公的資金での支援のことだったそうです。




というわけで、「男性一般にとってのハードルをあげまくっている」と評されるトゥルドー首相にこれからも注目ですね。



検索したら出てきた2012年の映像。じわじわくる。イラク戦争のときのフランスのドミニク・ドヴィルパン首相がこんな感じでしたね。



改めて見てみると、この人、それなりにバックグラウンドがありますね。「教育学」で学位を持ってて「学校の教諭」として働いていたというのは知ってたけど、科目が「フランス語と数学」で、その後さらにモントリオール・ポリテクニークで工学を学び、マクギル大で環境地理学で修士過程(途中で中断)。
Trudeau has a bachelor of arts degree in literature from McGill University and a bachelor of education degree from the University of British Columbia... After graduation, he stayed in Vancouver and he found substitute work at several local schools and permanent work as a French and math teacher at the private West Point Grey Academy... From 2002 to 2004, he studied engineering at the École Polytechnique de Montréal, a part of the Université de Montréal. He also started a master's degree in environmental geography at McGill University, before suspending his program to seek public office.

https://en.wikipedia.org/wiki/Justin_Trudeau


で、「ユニコーン」的にもてはやされるこの政治家に対しては、リベラル嫌いの側から、「マスコミの礼賛が北朝鮮的だ」とかいったことも言われているということも、蛇足ですが、書いてはおきます。そういう大げさな比喩はいかがなものかと思うけど、支持者の間での「個人崇拝」が、反対側からはそう見える、ということかも。



トルドーさんから、九州の地震で被災された方々へのお見舞いの言葉。

※この記事は

2016年04月17日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 05:00 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼















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