今週、Twitterがまた表示方法を変えた。報道機関のサイトのTweetボタンを使ったり、単に記事のURLをコピペするなどして報道記事のURLをツイートすると、URLが非表示になり、それに紐付けられている「Twitterカード」だけが表示される(見出しは残る)。
例えばこのような表示になる。
※以下、キャプチャ画像はすべて減色処理を施してある。
これは、BBCの記事にあるTweetボタンを押して、自分では何も加えずに投稿したツイート。
こういう場合、今回の表示変更前は、"... considering Yahoo bid" という見出しのすぐあとに、当該記事のURLが(実際にはt.coの短縮URLを、元の長いURLに変換した形で)表示されていた。つまり、自分で何も書き加えなかったら、ツイートがURLで終わっていたのだが、表示変更後はそのURLが消えてしまうことになり、ツイート本文には「記事の見出し」しか残らない。その代わり、直後にその報道記事に設定されている「Twitterカード」が展開されて、記事で使われている写真(「見出し画像」)と見出しとリード文が表示され、どの報道機関のサイトの記事か(この例でいうとbbc.com)が表示される。
このように「URLで終わる場合」が以前どのような表示だったかというと、適切に示せるスクリーンショットが残っていないので全然関係のないものだが、次のようになっていた。つまり、外部の短縮URL(bit.ly, is.gd, ow.lyなど)を使ったツイートは別として、元のURLをそのままコピペしたツイートは、ツイート本文だけでどのサイトのどんなURLを貼り付けているか(どのサイト、どのページにリンクしているか)がわかるようになっていた。
変更後は、「Twitterカード」内に表示されているサイトのURLの部分にポインターを合わせると、Twitterの短縮URLであるt.coのアドレスが表示される(下図参照)。
しかしこれでは、そのt.coのアドレスが実際にはどこにつながるかが実はわからないのではないかという気がした。そしたら今日、たまたまTrends経由で怪しげな事例に遭遇したので、それについて少しメモっておこうと思う。
その話に移る前に、「URLが非表示になり、Twitterカードで代用された」ことの日本語圏への影響について、少し書いておく。
日本語の記事の「Twitterカード」は、広く知られているように、英語の記事のそれとは違い、まったく役に立たない。英語の記事では見出し全部に加えて20〜30語くらいのリード文が表示されるので十分に参考になるが、(2バイト文字で、なおかつ語間にスペースが入らない)日本語の記事では、見出しは2〜3文字、リード文も2〜3文字しか表示されていないというのが、(例外ではなく)デフォである。(これ、ちゃんと表示させることはできるはずなんですが、Twitterはそこにはあんまり関心がない。世界において「日本語はマイナー言語」ってのは、こういう扱いを見ればわかることですね。)
下記のキャプチャは、Cnet日本語版の記事にあるTweetボタンを押して、単に見出しとURLをツイートしたものだが、Twitterカードの中で、見出しは3文字、リード文は2文字しか表示されていない。
ツイートの末尾にURLがあれば、まだ、「Twitterカードの表示が不十分なだけ」に見えていたものが、今回の表示変更で何だかあまりにあまりなことになってしまい、どうかTwitter社には「日本語圏でもまともに表示されるTwitterカードの表示のさせ方」を早急に徹底していただきたいと思う。この形(大きな写真を使うもの)でないTwitterカードは既に、この「短すぎて役に立たないTwitterカード」という問題は解消されているのだから、こちらもそう遠からず解消されることを期待したい。
さて、話を戻して今日遭遇した「怪しげな事例」の件。端的にいえば、スパムである。
発端は、UKでのTrendsに、"Email and Facebook Support" というフレーズが入っていることに気づいたことだ。あまりに凡庸なフレーズはTwitterではtrendsに入れないように処理しているはずだし(例えば「〜で逮捕された arrested in 〜」のようなものは、何度ツイートされてもTrendsに入らないようになっている)、そもそも "Email and Facebook Support" などというフレーズがTrendsに入るほど頻繁にツイートされるというのがどういうことかというのも、ちょっと想像がつかない。どこかの公共的なサービス提供者(電話とか交通機関とか)が「メールやFBでのサポート」を、例えば「打ち切ることにした」ら大ニュースになるだろうが、そんなことがあるとは現実的には考えられないし、一方でそんなことでもなければ大ニュースにはなりそうにもないフレーズである。では、なぜこんなのがTrendsに入っているのか……ひょっとしたらどこかの企業が何かをやらかして炎上しているのかもしれないし、一応見てみるか、とクリックした私を待ち受けていたのが、一目見てわかる「スパム」の山だった。
ただ、その「スパム」は、これまでに何度も遭遇したものとは少し違っていた。下記の2例を具体例としてみていこう。
Twitterでのスパムといえば、以前記録してあるもののように、既にTrendsに入っているキーワードを狙って機械的に(botで)投稿するものが大半だ。多くはアイキャッチ的に何か画像を添え、goo.glの短縮・転送URLを使って宣伝したいURLをツイートする(それらのURLは不用意にクリックしないほうがいいです)。あるいは「アクセスアップ支援」系のスパム業者が請け負っているのか、特定のサイトやYouTubeの動画を宣伝している場合もある。いずれにせよ、それらのスパムのツイートで展開される「Twitterカード」があるとしたら、その宣伝先のサイトのものだった。例えば下記の実例のように。
先日のブログ http://t.co/wGbFviC9de で述べた、「笑える話」の宣伝スパムの実例。ジェフリー・ハウの訃報がTrendsに入っていたときに見かけた。それなりにRT数・Fav数があるが、それら全部スパムアカウント。 pic.twitter.com/yoN7hhNxAR
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) October 11, 2015
(ところでこの「笑える話」系のサイトの宣伝、ここ1ヶ月くらいでようやく見なくなったと思う。しつこかったね……)
一方、今日見たものは、「普通のサイト」のTwitterカードが表示されている。上で示したキャプチャ画像の1件目はEff.orgの「オンライン・コミュニケーションのプライバシーを保護する法律」の改正に関する米議会の動向を伝える記事だし、2件目はIB Timesの記事で、FacebookがインドのIT技術者を惹きつけているという話題だ。
2件目の話題は私には関心はないのだが、1件目はちょうど関連ニュースがあったら読もうと思っていた話題だ。1件目っていうのは、これね。
一見して「スパム」とわかるものについているURLをクリックすることは普段なら絶対にしないのだが、EFF.orgのTwitterカードが表示されているし、きっと、goo.glの短縮URLに続けてEFF.orgのURLを打ち込んで、後者が今回のTwitterの表示変更でツイート本文から消えているのだろうと思って、そのEFF.orgのTwitterカードのURLをクリックしてしまった。
その結果がこれである。
……あたし、EFFのURLを
クリックしたはずなのに……
先ほどのキャプチャ画像をご確認いただきたいが、このスパム・ツイートに入っているEFF.orgのカード、ポインタを合わせてURLを表示させると、「http://t.co/T7UUtnEo4z」と出てくる(※自動リンクされないよう、部分的に全角英字を使っています)。
これを短縮URLを読み解いてくれるサイトで解析すると……
つまり、スパマーがツイート本文にはりこんでいるのが表示されているgoo.glの短縮URLと同一である。
もう一度ツイート本文を確認すると、スパマーは特にEFF.orgへのリンクをすることなく、単に、"EFF Supports Rep. Goodlatte's Manager's Amendment ..." (原文ではアポストロフィの文字化けあり)というEFFの記事見出しに続けて、goo.glの短縮URLをはっているだけだ。
なぜそれでEFFのTwitterカードが表示されてしまうのだろう。。。
上のほうで見たキャプチャ画像にあったもう1件のスパムでは、FBとインドの技術者についてのIB Times記事のカードを表示させていたが、こちらもEFFを利用したスパムと同様で、IB TimesのTwitterカードにあるibtimes.comのURLにポインタを合わせると表示される短縮URLは、スパマーがツイート本文に書いているgoo.glの短縮URLと同じである。
このgoo.glの短縮URLを展開すると、次のようになる。
※画像クリックで原寸表示。
ここで出てくる「フェロゾ・ネット」というのは、検索すると、スペイン語圏(アルゼンチンか)のウェブ・ホスティング・サービス。何が置かれているかわかったものではないが、何が置かれているにせよ、IB Timesとは無関係だろう。
そこがなぜ、IB Timesの記事に添えられているTwitterカードを表示させているのか……。
とまあ、こんな感じで、「Twitterカードで表示されている」ことがすなわち「本当にその報道機関のサイトにつながる」ことを保証しはしないということが、いちユーザーとしては非常に気になる。というか、怖いですね、率直に。
単なるスパムならうっとうしいだけかもしれないけれど、誰かが何かよからぬもの(「悪意ある」なんとか)を踏ませようとしたときに、こういうのが利用(悪用)されるとしたら……。
そういうわけで、私は今後なるべく「URLがツイート本文に表示されず、Twitterカードだけが表示される」状態にしないようにしていこうと思ってます。
そうするにはどうすればいいかというと、各記事のTweetボタンを押してそのまま送信するのではなく、URLのあとに何か(ハッシュタグであれ、via @bbcworld のような表示であれ、記事からの抜粋であれ、自分の「感想」であれ)を書き添えておけばOK。下記は、上の「Yahoo買収」の記事と同様に、BBC記事のTweetボタンを押して、表示されていたURLの後にハッシュタグを書き加えてから投稿したもの。URLが消えることなく本文に表示されており、Twitterカードも展開されている。
追記:
昨日ブログに書いた https://t.co/O9sPEI5WN7 「メジャーな報道機関などのサイトのTwitterカードを表示させたスパム」を今日もまた見た。さらに流行るかもしれない。これはクリックしないように注意といっても難しい pic.twitter.com/4uP5pIdHc6
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) April 14, 2016
※この記事は
2016年04月13日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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