Panama Papers: Leak firm Mossack Fonseca says it is 'victim of hack'
http://www.bbc.com/news/world-latin-america-35975503
A partner at Mossack Fonseca, the Panamanian law firm at the centre of a huge leak of confidential financial data, says it was the victim of a hack.
Ramon Fonseca said the leak was not an "inside job" - the company had been hacked by servers based abroad.
It had filed a complaint with the Panamanian attorney general's office.
つまり、「モサック・フォンセカ法律事務所」の設立者の一方であるフォンセカ氏が、今回のリークは「内部からのもの」ではなく、国外のサーバーからハッキングされていたと述べた。同事務所は既に、パナマの司法当局に届出をしている。
届け出ているということは、何らかの証拠が残っていたのだろう。この点は、今後パナマの当局が動くことになると思われるが、その結論が出るまでは、何を詮索しても意味はなかろう。ただ、この時点で単にニュースを読んでるだけのうちらにも関係するのは、この「リーク」は「内部告発」とは言えないかもしれない(というか、当の事務所は「内部告発ではなく、外部からの侵入だ」と述べている)ということだ。
ともあれ、これらの2.6TBもの文書を誰がどのようにして持ち出したかは、今は単に「わからない」としかいえないのだが、それがどのようにして今のように報道されるに至ったかは、英語圏ではかなりたっぷり説明されている(日本語圏でも、パートナー・メディアである共同通信と朝日新聞で何か書かれているかもしれないが、私は単に未確認)。自分が2,3見たなかでわかりやすかったMashableの記事:
400 reporters kept the Panama Papers secret for a year. Here's how they pulled it off.
http://mashable.com/2016/04/04/panama-papers-media/
今回の「パナマ文書 #PanamaPapers」の報道は、全世界で100を超える報道機関の連携作業となった。関わったジャーナリストは約400人(それだけの人数が関係してて、このプロジェクトのことが「解禁日」まで外部に出なかったんだからすごい)。全体を仕切ったICIJ (the International Consortium of Investigative Journalists) が「勝手のわからない外国のことは、その地の報道機関・ジャーナリストに任せよう」という方針でこの「特大リーク」に臨んだのだという。
なお、ICIJはこれまでにも「隠し資産」関連の大型リークを何件か手がけている。Swiss LeaksやLuxemburg Leaks, Offshore Leaksと呼ばれたプロジェクトだ(後述)。2010年のWikileaksの華々しい活動以降、うちら末端のニュースの受け手にも明確に「見える」ようになった「リーク」の中には、何者かがガセネタをばらまいたケース(例えば、昨年末のAnonymousのOpKKKを騙った、無関係の人名リストの公表……あれは誰がやったんだろうなあ)や、公表後にいろいろあったのか、元の「リークされた情報」が閲覧できなくなってしまったケース(ネオナチ集団の会員名簿とされるもののリークなど)もあるが、ICIJのこれまでの大型リークは、ICIJのサイトで問題なく閲覧できるようになっている。下記URLからどうぞ。
https://www.icij.org/projects
今回のリーク主が最初に接触したのは、ICIJではなく、ドイツの「南ドイツ新聞 SZ」(ミュンヘン)だった。その経緯について、SZが作成してサイトに埋め込んでいる映像がある。
接触時のやり取りとしてSZが伝えているのは、次のようなことだ(要約はされていると思う)。
リーク主「こんにちは、ジョン・ドウ(名無し)といいます。データを持っているんですが興味おありですか」
SZ「非常に興味あります」
リーク主「条件がいくつかあります。私の生命が危ないので。話をするのは暗号化されたファイルでのみとさせてください。実際に対面することは絶対にお断りします。何を記事にするかはお任せしますので」
SZ「なぜこんなことをなさるのでしょうか」
リーク主「これらの犯罪を公にしたいんです」
その接触があったのが2014年遅くで、接触を受けたのが Bastian Obermayer記者だったそうだ(オベルマイヤー記者は英語とドイツ語でTwitterで書いているので、興味がある方はフォローしてみては)。
It all started in late 2014 when a source that referred to itself as "John Doe" reached out to Bastian Obermayer, an investigative journalist for German newspaper Süddeutsche Zeitung.
http://mashable.com/2016/04/04/panama-papers-media/
今回、パートナーとなっているメディアのひとつ、ガーディアンは、この経緯について次のように説明している。
http://www.theguardian.com/news/2016/apr/03/what-you-need-to-know-about-the-panama-papers
The records were obtained from an anonymous source by the German newspaper Süddeutsche Zeitung, which shared them with the International Consortium of Investigative Journalists (ICIJ). The ICIJ then shared them with a large network of international partners, including the Guardian and the BBC.
「名無し」氏からドイツのSZにもたらされた大量の文書がICIJに渡り、ICIJが世界各国のパートナー・メディアにその文書を渡したという。
はっきりと述べられてはいないが、国別に分けたのではなかろうか。インドのボリウッド映画のスターの文書はインドのメディアに、南アの大統領関係の文書は南アのメディアに、というように。そしてそれから、各地の報道機関・ジャーナリストがその文書について詳細な調査を開始し、4月3日(日本では4日)の解禁日までに記事を準備していたのだろう。
このプロジェクトについて、Mashableが話を聞いているコロンビア大ジャーナリズム・スクールのシーラ・コーネル教授は、次のように述べている。
Sheila Coronel, a veteran investigative journalist and professor at the Columbia Journalism School, said the Panama Papers project has set a new bar for cooperation.
"I've never seen a collaboration of this nature in terms of the number of journalists and news organizations involved and in terms of the countries involved, and in terms of the independence and autonomy that was given to each of these entities to mine this very rich material to find stories that are important and relevant to their own audiences," Coronel said.
mashable.com/2016/04/04/panama-papers-media/
このほか、このMashableの記事はいろいろ細かく説明がなされているので、一読の価値はある。参加しなかったメディア(招かれなかったメディア)についても、アメリカを例に、次のように説明されている。
The project is also notable for which press outlets appear to have been excluded, particularly the largest news outlets in America: The New York Times, The Wall Street Journal and Washington Post, all of which do not appear to have worked on the papers and did follow-up stories.
The Intercept, the investigative journalism outfit started by Glenn Greenwald and Laura Poitras, who were instrumental in reporting on the leaks of Edward Snowden, also appears to not have been involved.
As for why those organizations aren't a part of the project, Walker said that openness to collaboration was essential to the project. Each partner was required to share any relevant or important discovery among all the other outlets, she added.
mashable.com/2016/04/04/panama-papers-media/
解禁日は、なぜか、解禁時刻が来る前に、エドワード・スノーデンがSZの記事の画像をツイートしていた。なぜなのかはほんとにわからない(ひょっとして説明されてるかもしれないが、私は見ていない)。その件、詳細は下記にて。
さて、今回の「パナマ文書」(パナマ・リークス)が暴いたのは、ざっくり言うと、租税回避地(タックス・ヘイヴン)としてのパナマを、外国の富豪が財産置き場として利用していることの詳細な実態だ。リークされた2.6 TBの文書は過去40年分とのことで、そんな「文書」が残されていたということ自体が驚きだと述べる人もTwitterにいた(私も驚いた)。
だが、そのような、タックス・ヘイヴンでの蓄財の実態についての文書が大量にリークされたことは、実際、前にもあった。それについて、昨日(5日)、Twitterでちょこっとメモったので、それを貼り付けておく。関心がおありのかたは、それぞれリンク先でご確認いただきたい。
伊吹太歩の世界の歩き方:タックスヘイブンに流れる日本の「税金」を取り戻せ https://t.co/P8gE7crpeA 2013年7月18日 "国税庁は13年6月、カリブ海のケイマン諸島や南太平洋のクック諸島など国や地域に財産をもつ日本人のリストを大量に入手したと発表した"
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) April 5, 2016
Offshore Leaks (ICIJ) が2013年4月。 https://t.co/3ccpw5I8hV "a report disclosing details of 130,000 offshore accounts in April 2013"
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) April 5, 2016
Luxembourg Leaks (ICIJ) が2014年11月。 https://t.co/PfBlkRCvM6 "a financial scandal revealed in November 2014 by a journalistic investigation"
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) April 5, 2016
Swiss Leaks (ICIJ) が2015年2月。 https://t.co/ZGdPGm6PF0 "In February 2015, the ICIJ released information about bank accounts in Switzerland"
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) April 5, 2016
今回のPanama Leaks (Panama Papers https://t.co/PbStvpFNtF ) は、リーク主の「無名」氏が南ドイツ新聞 (SZ) に連絡を取ったのが2014年遅く。 https://t.co/C1VfpE8xLT
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) April 5, 2016
これら過去の「リークス」の報道も、英語圏では非常に大きく取り上げられていた。特に「スイス・リークス」(HSBCスイスのやっていることの暴露)は、リーク主(内部告発者。後に起訴され有罪となっているが、米NSAによる通信監視の実態の暴露を行なったエドワード・スノーデンとある意味同じような背景を有している)のこともかなり広く伝えられていた。
https://en.wikipedia.org/wiki/Herv%C3%A9_Falciani
スノーデンについての下記の本を書いたルーク・ハーディング(ガーディアン)は、今回、「パナマ文書」の報道チームの一員として記事を書いて書いて書きまくっている。Twitterもフォローしているとたぶんおもしろい。
![]() | スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実 ルーク・ハーディング Luke Harding 三木俊哉 ![]() by G-Tools |
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RT @lukeharding1968: Fergie, Jackie Chan, Simon Cowell, Mark Thatcher, Pedro Almodóvar, Heather Mills..yup, they are all in #PanamaPapers h… at 04/07 00:25
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RT @lukeharding1968: Here's a useful piece curating all @guardian articles from #PanamaPapers. More to come https://t.co/hIPsGqaZ0X at 04/07 00:25
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RT @lukeharding1968: Nice piece in @nytimes on how we investigated #PanamaPapers. Secret meetings, searchable database, global sharing http… at 04/07 00:26
※この記事は
2016年04月06日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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