「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2016年03月11日

「女王がEU離脱を支持」とかいうThe Sunのガセネタの件

9日、英エリザベス女王が「EU離脱を支持」しているとかいうガセネタをThe Sunが一面でぶっとばし、即日バッキンガム宮殿からIndependent Press Standards Organisation (IPSO) に対する申し立てが行なわれるということが起きている。

そもそもThe Sunだし、The Sunであろうとなかろうと女王が公開の場でそんな発言をすることは「まずありえないこと」なので、「はいはい、The Sunのトバシ、The Sunのトバシ」と見ておくのが常識的な対応だったのではないかと思う。実際、ちょっと見たところ「おお!」的にであれ「えっ?」的にであれ、真に受けたような反応をしていたのは、UKIPのナイジェル・ファラージなどが中心となってやってる「EU離脱キャンペーン」の支持者(であることをアバターなどで明示した)アカウントばかりに見えた。

また、バッキンガム宮殿からの動きが報じられる前に、既に、女王のその発言があったとThe Sunが述べている会食の場にいたニック・クレッグ副首相(当時)が「そのような事実はなかった」とコメントを出しており(それゆえにTwitterでNick Cleggの名前がTrendsし、「一方的に裏切られた」感だけを抱えている政治的方向音痴な人たちがまた例によって「ニック・クレッグってまだ生きてたんだ」などの暴言をツイートしていたのだが)、「まともなニュース」として《拡散》されていた形跡はなかった。

日本語圏を除いては。

日本語圏では、時事通信が「女王がEU離脱支持?=王室は『政治的中立』強調」という見出しを打っていて、それがYahoo! ニュースのトップページに配信されているのを、私は見た。この見出しが「元の報道を真に受けたもの」であるかどうかは議論の余地があるかもしれないが、「真に受けていないもの」ではないということには議論の余地はない(「真に受けていない」のなら、そもそも記事にしないのだから)。「マユツバかもしれないけど、一応、拡散しておきますねー」程度に「真に受けた」ものだと言ってよかろう。



なお、時事通信の当該の記事は、その後、内容が書き換えられ(更新され)、見出しも変更されている。Google検索結果に残っている「女王がEU離脱支持?=王室は『政治的中立』強調」(Yahoo! Japan ニュース)の見出しをクリックしても……

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現在(2016年3月11日午後)、表示される記事の見出しは、「女王がEU離脱支持? =王室、大衆紙報道に苦情―英」に変更済みで、記事の内容も当初のものとは異なる。

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※いずれもURLは:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160309-00000167-jij-eurp

ともあれ、バッキンガム宮殿がIPSOに申し立てを行なったあとのことは、日本語でもけっこう報じられているので、今ならいろいろソースはあるだろう(時間が経過すると、日本語圏では、報道記事はアーカイヴなんかされやしないので、ほとんど全部が閲覧できなくなるだろうけど)。

以下、英語圏のTwitterから(単なる記録)。























↑↑↑要注目↑↑↑。「報道の正確性」。んなもん無視されてるのがほぼデフォの英タブロイドの世界で、あえてこれが持ち出されている。


で、The Sunは何でこんなことをしてるのかっていうと、こういうことだろうなというのが……


サイモン・リケッツのこの「読み」は、陰謀論めいているというか「うがった見方」に聞こえるかもしれないけど、実際に翌日のThe Sunの一面がこれだからね。。。「クレッグは離脱派を黙らせようとしているんだよ」「な、なんだってーー」




というわけで、6月の投票日まで、この調子できちゃないきちゃない、ガセネタてんこもりの情報戦が続きますよ。ちなみにThe Sunは一歩も退く気配なし。経験論的なことを言えば、この媒体が「過剰な断言」をするときはたいがい「デタラメ」なんですけどね。





解説:




「デマ元」として考えられるのは…・・・




冗談ではなく、保守党のあの界隈は「白いものを黒と言い続けることで、白いものは白だと述べる人がバカに見えるようにする(白いものを黒だと人々に思わせる必要はない)」という上から目線流の工作はお手の物なので、何がどうなるかを考えて、私はもう既にうんざりしている。

ちなみに、ガチの「王室サポーター」的な新聞、デイリー・エクスプレスは:

※この記事は

2016年03月11日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 19:00 | TrackBack(1) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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The Sunの印象操作について、ISPOが「報道の正確性」の点で問題ありと結論。
Excerpt: つい最近のことだと思っていたが、けっこう前、昨年11月のことだった。 芸能やスポーツや「三面記事」のようなわかりやすいトピックばかりでなく、奥深い洞察や分析、慎重な言葉遣いを必要とするトピックまで、..
Weblog: tnfuk [today's news from uk+]
Tracked: 2016-03-30 19:10

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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