「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2016年03月04日

また刑務所職員を標的にしたボム攻撃(ベルファスト)

tb04march2016.png右側のキャプチャ画像(クリックで原寸表示)は、TwitterでのTrendsを追うウェブ・サービスのフィードのもの。この24時間で、夏の音楽フェスのラインナップ発表や、この次の週末のイベントに関するワードがトレンドしているところに、「車両」、「負傷」、「警察」といったワードが入っている。そう、また「ああいうこと」があったのだ。ここしばらく、表向きは、完全に静かだったのに。

というわけで、ふと画面を見たら、East BelfastがUK全体のTrendsに入っていた(キャプチャ画像は後のほうに入れる)。今日は、East Belfast FCというIFA(北アイルランドのサッカー協会)所属のクラブが、敷地内にUVF(オリジナルUVF)のミューラルを描いているのが政治問題化しているということでアイリッシュ・ニュースが記事を出していたため、それのニュース・フィードが一度に出たことで言及数が増えたのかなと思いつつ確認してみたら、「東ベルファストで、車の下に仕掛けられた爆発物が爆発し、負傷者が出ている」というニュースが新たに出ていた。

ボムを仕掛けられたのは52歳の刑務所職員の車で、負傷の詳細は公表されていない段階だが、生命に関わるような怪我ではないとは伝えられている。「紛争」終結後の北アイルランドで、同様の手法で警官が攻撃された事例はいくつかある。例えば2010年1月のPeadar Heffronさん(下肢切断)や、2011年4月のRonan Kerrさん(死亡)。刑務所職員が襲われた事件といえば、2012年11月、David Blackさん(高速道路を車で走行中に銃撃)が殺された事件がある。ここに挙げた事件は、いずれも「解決」はしていないと思う(「逮捕」、「起訴」の話を聞いた記憶がない)。

北アイルランドでは刑務所職員が暴力の標的にされるリスクは依然として「非常に高い」ということが、2015年10月に北アイルランド自治議会で報告されていた。

今日の東ベルファストでの攻撃について、BBC:
East Belfast: Prison officer injured after bomb explodes under van
http://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-35724066


同、BT(ライヴ・ブログ):
Belfast bomb explosion: Prison officer injured by device planted under van - live updates
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/northern-ireland/belfast-bomb-explosion-prison-officer-injured-by-device-planted-under-van-live-updates-34510925.html


同、UTV:
Prison officer injured in bomb in east Belfast
http://www.u.tv/News/2016/03/04/Prison-officer-injured-in-bomb-in-east-Belfast-55135


なお、現場はここ。市街地からは離れているので(「東ベルファスト」自体、川を渡った向こう岸なのだが、現場はその「東ベルファスト」でもさらに奥というか南に入ったところ)、学会や商用、一般の観光でベルファストを訪問するような人が「やだぁ、怖い、きゃあ」と反応するような場所ではない。地元の人が暮らす住宅街のど真ん中だ。


報道写真が出ている場所は、ストリート・ヴューではここ。街の商店街の色合いや看板に使われているフォント(ケルトのフォントが見当たらない)から、「プロテスタント」のエリアであることはわかるだろう。



このまま南進(画像の右へ進行)していくと、道路はCregagh Roadという名前になって(その地名もベルファストでTrendsに入っている)、メソジストの教会がある。

警察のツイート:






「ヒルズバラ・ドライヴ(爆発現場)の家屋からの住民の退避は行なわれていない」というのは、爆発物が路上や住宅に設置されたものではなく、車に仕掛けられていたということを意味する(路上に爆発物が仕掛けられていた場合は、一帯の住民を全員避難させて、爆発物専門の処理班が警察犬を連れて出動し、爆発したものや発見されたもののほかに爆発物がないということを確認する。作業完了までは、住民も家に戻れなくなる)。



以下、Twitterより:















警察の犬(爆発物を嗅ぎ分ける犬)が通りを駆け回っている横を、ベビーカーを押している人が歩いている。封鎖の範囲は狭そうだ(爆発した車がある通りだけか)。

FMDFM:




アイルランド共和国外務大臣:




ほんで、これはもちろん「ディシデント・リパブリカン」、つまり「和平」を進めている「リパブリカン主流派」に反対している「非主流派」がやっていることだと考えられるのだが(むしろ、それ以外は考えられないとも言えるかもしれない)、こういうことがあると必ず、「ユニオニスト」の側から「IRAガー」の声が上がり(→)、「IRAがこんなことをしているのに、ストーモントの議会はそのまま何食わぬ顔でIRA(と彼らは言うが、正確にはシン・フェインのこと)と同席している」という感情的な反発が出る。2015年の夏にストーモントの自治議会が空転したのは、そういう反発を気にしたUUPが「IRAがまだ活動しているなんて、おそろしい」と言って議会から抜けてしまったことがきっかけだった(が、いわゆる「フレッシュ・スタート」という合意を経て、元通りになってる。あれも結局論点が何だったのか、わけのわからない展開を見せたが)。

日本語圏でも、「ディシデント・リパブリカン」(Continnuity IRAとか'New' IRAとか)のやっていることについて「シン・フェインはどう対応するのか?!」的な反応が出ることもあるが、シン・フェインはディシデントの活動については何の余地もない全否定で毎度毎度応じているということは、20回くらい確認しておいてよいと思う。今回のことについても、少し上にマーティン・マクギネスのツイートを入れてあるが、いつもと同じ「全否定」(unreservedly condemn) である。

※この記事は

2016年03月04日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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