
2.22で「にゃーにゃーにゃー(にゃんにゃんにゃん)」で「猫の日」である。ネットが日常的なものになってからできたものかと思っていたが、「日本の猫の日実行委員会が1987年に制定した記念日」とのことで(組織の名称が「実行委員会」ってのが時代を感じさせる)、ほぼ30年前から続いている「ネット以前」のものだった。
日本では語呂合わせで2月22日だが、「猫の日」は世界各国でそれぞれ定められている(ウィキペディアにも書いてある。米国では10月29日で、時差の関係で日本では10月30日だが、時期的にハロウィーンと重なっているので案外目立たないかもしれない)。欧州の多くの国では2月17日が「猫の日」で、今見てみたら、イタリアから関連のツイートがけっこう流れてきていた。

……などというどうでもいいことをゆるく思いつつ、ブラウザのタブの一枚でFlickrの「猫」関連グループを眺める。そういう趣旨のグループは数え切れないほどあるが、一番大きいのはAll Catsというこのグループだろうか(猫そのものを被写体とする写真のグループで、人間が画面に入っていないもの専門)。「猫」関連のグループは、世界のいろんなところの猫さん大集合でどれも見ていて楽しいのだが、自分が猫を見るのは街中なので、自分が参加するには、街中にいる猫を撮影した写真を集めるグループが一番しっくりくる。「AlleyCat (町猫)」という名称のそのグループは、グループ名に漢字が入っているのが理由なのか、あるいは単に「街中の猫」の写真が撮影される圏の違いなのか、日本と中国からの参加者が圧倒的に多いようだ。
実に、猫は世界中にいる。それを言うなら人間だってそうなのだが、猫は人間と一緒に、人間たちの中で暮らしている。パレスチナのガザ地区でも、シリアでも。
シリアで「蜂起」が始まって1年くらいの間は、「ネット革命家」やその支持者たちは、「インターネットなんだから、やっぱり猫だろう」ということだろうが、猫をよく話題にしていたし、一部は「シリアの革命ねこたち」というようなTumblrのページを作ってさえもいた。やがて、シリアからはそのような「軽い話題」も聞こえてこなくなった。シリアで猫というと、包囲され食料が入ってこない街で特別に、猫を食料としてもよいというファトワ(宗教上の決定・指示)が出たというようなことばかりになった。
アーティストのBanksyは、2015年初めにガザ地区に潜入した際、「ねこちゃんを描いておけば、みんな、見るんだろ?」とばかりに、イスラエルの軍事力で破壊されたベイトハヌーンの家屋の残された壁に、かわいい子猫の絵を描いてきた。
6月には、その壁の持ち主(家を失った人)が鶏小屋に使う材料を集めてその壁の周りを囲んで絵を保護するようにしたそうだが、青空のもと、「廃墟」でしかなかったこの壁にかわいいねこちゃんが登場したときには、子供たちが喜んでいる様子が伝えられていた。
http://edition.cnn.com/2015/12/03/world/gallery/year-in-pictures-2015/
猫は人とともにある。
イラクからも、「猫」の話題が来ている。正確には、イラクから脱出を余儀なくされた人間たちと、猫と、欧州の人々の協力の話題だ。
The epic journey of a refugee cat to find its family – video https://t.co/GyXKtFmxCj イラクからの脱出を余儀なくされた家族。猫を置いていけないと連れていったがギリシャではぐれてしまった。そして…
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) February 20, 2016
飼い猫の「クンクシュ」を連れてイラクを脱出した一家(お母さんと子供たち)はギリシャのレスボス島に何とか到着したが、あまりの人の多さにびっくりしたクンクシュがパニクって逃げ出してしまった。飼い猫とはぐれた一家はそのまま欧州の中へと進むよりなかったが、クンクシュはギリシャで猫たちの中に紛れ込んでいた。見慣れない猫を見つけた活動家は、真っ白なクンクシュを保護して「ディアス(デウス、神)」と名づけ、飼い主探しを始めた。Facebookを中心にネットで広範囲に(共通語である英語で)呼びかけが行われ、ドイツを経て、ノルウェーで難民として当座の居場所を得た一家と猫のクンクシュは再会を果たした。
We found @DiasTheCat's family! His real name is Kunkush. Had to stay tenaciously hopeful. This makes it all worth it https://t.co/mSbdxzUklK
— Amy Shrodes (@amyshrodes) February 14, 2016
My EXCLUSIVE on amazing tail of Kunkush the migrant cat will feature in nationals 2day: #Kunkush #Iraq #Refugees https://t.co/mvYWESTvW4
— Ross Kempsell (@rosskempsell) February 19, 2016
As promised, our cat video. Refugee family fled Iraq, lost pet on the way, now reunited with Kunkush the cat. https://t.co/s97qBOosq7
— Matt Wells (@MatthewWells) February 19, 2016
This is the tale of Kunkush the cat, who became separated from his family when they fled Iraqhttps://t.co/wBueMNeNMD
— The Guardian (@guardian) February 19, 2016
ギリシャ語でもドイツ語でもノルウェー語でも、クンクシュについてのツイートはある。
Το θαύμα για τον Kunkush έγινε, μακάρι όλα τα ζώακια στην Ελλαδα βρουν την δίκη τους. https://t.co/pJ9r7tK1mu
— vivi (@dimivi3) February 16, 2016
Facebook kan vara helt fantastiskt ibland. Tack vare alla delningar har katten Dias som visade sig heta Kunkush... https://t.co/pB5OyI5jGR
— SVEKATT (@SVEKATT) February 16, 2016
#Iraq Refugee Family Reunited With Cat Kunkush Lost in Greece on a 2000 Mile Journey to a north european country pic.twitter.com/M25GSZgEQ6
— Alexander Hansen (@AlexanderXV) February 19, 2016
Katten Kunkush, som NOAH skrev om nylig, har blitt gjenforenet med sin familie i Norge - etter at de kom fra... https://t.co/SXApCUAzhB
— NOAH dyrsrettigheter (@NOAHaktiv) February 19, 2016
Her kommer katta Kunkush tilbake https://t.co/pcb5geu4B7
— Azar Alsharif (@azaralsharif) February 19, 2016
保護されたときはもっさもさでガリガリだった白い猫は、保護した人たちによってもふもふのふわふわの姿を取り戻し、ノルウェーの家族のもとへ届けられた。
See journey of 'refugee cat' Kunkush reunited with his family after 2,000 mile adventure https://t.co/nukCXPr4dP
— Daily Mirror (@DailyMirror) February 20, 2016
'Refugee cat' Kunkush reunites with Iraqi family after four-month, 4,000km adventure https://t.co/9pkB8M9770 pic.twitter.com/kshEKPfMme
— Compassion 4 Animals (@AmyRoseKathryn) February 21, 2016
‘Kunkush’ the #cat reunited with #IraqiRefugee family after epic journey https://t.co/unc0nl2GqC pic.twitter.com/ooxPZoOzvX
— Al Arabiya English (@AlArabiya_Eng) February 21, 2016
This refugee cat who got lost while fleeing Iraq has been reunited with his family https://t.co/1984lyZ8ca pic.twitter.com/JC8MHPRJxX
— DailyEdge.ie (@dailyedge) February 21, 2016
大げさなように聞こえるかもしれないが、これは「人と人をつないでいく、希望の物語」として語られている。暴力と敵意と疑念とデマが支配的な世界で。
「猫なんか」と言う人もいるかもしれない。けれど、猫がいたからこそこういう「つながり」ができたのだし、それがネットによって目に見えるものとして記録もされている。
そんなニュースを見ている「猫の日」である。
にゃーにゃーにゃーの日のためのポルノ、あるいは「借りたい」。 #猫の日 https://t.co/H6jqrlhLpC pic.twitter.com/5eQU1szS1U
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) February 22, 2016
偶然だが、こちらもページ全体がにゃーにゃーしい。 #猫の日
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) February 22, 2016
BBC News - 'Refugee cat' reunited with family https://t.co/fRjELnHBui pic.twitter.com/tIp620hm0a
今日の東京は曇りで薄寒く、陽だまりもできないので、いつものねこさんはいつもの場所にはいないだろう。こういう日、あのねこさんはどこにいるのだろうか。雨の日は。雪の日は。
※この記事は
2016年02月22日
にアップロードしました。
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