その水害の状況を、環境担当の閣外大臣(保守党の政治家)が視察しているということで、閣外大臣の名前(これが意外な人物なんですが、少し後で)がTrendsに入ってからほんの2日(だと思う。間にレミーの訃報が入ったが)。今また、英国は別の嵐(台風)に襲われている。今回のほうが先週より影響範囲が広く、西はアイルランドのコークから、キルケニー、北アイルランドのダウン州やアントリム州(ベルファスト)などからかなりひどい洪水の写真が出ている。
先週、クリスマスの時期の水害。「未曾有の降水量で」こうなったようだが、この時期、順当に寒くて降ったのが雨でなく雪だったら、「水害」にはなっていなかったのではないかと思う:
The Met Office's second highest warning - amber - is in force in Cumbria for Boxing Day, with heavy rain forecast https://t.co/aFDFzwte71
— BBC Cumbria (@BBC_Cumbria) December 24, 2015
FLOOD CHAOS: 'Unprecedented' rainfall leaves swathes of England plunged underwater https://t.co/VRXLLVsRhl pic.twitter.com/uNbDjduFB2
— Daily Express (@Daily_Express) December 27, 2015
そして現在、英国とアイルランドを襲っているStorm Frankの被害。
Storm Frank: Warnings of heavy rain and strong winds for North England and Scotland https://t.co/V8jahrSBAM pic.twitter.com/n8NY6elpVR
— Sky News (@SkyNews) December 29, 2015
これ↑↑、建造物が浮かんでますけど、大丈夫なんすかね。
そんなこんなでこういうジョーク画像が出回る。「ほれ、あそこ流れてくもの、見えます?」、「え、私の信用の隣に浮かんでるやつですかね」、「そうです。あれ、あなたの業績です」
This flood was not only foretold – it was publicly subsidised #StormFrank
https://t.co/SSAZJvyzaJ pic.twitter.com/Gl2L8Tbb2D
— Rachael (@rachael_swindon) December 30, 2015
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RT @bbcweather: Widespread gales inland today with 60-70mph coastal gusts. And here's where the rain is heading... #StormFrank MattT https:… at 12/30 20:08
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RT @deric_hartigan: #StormFrank leaving a trail of flood devastation in Graignamanagh, Co. Kilkenny @IrelandAMTV3 🚧💦 https://t.co/f80Ymr6752 at 12/30 20:09
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RT @oneplymouth: #Stormfrank has arrived view from #Plymouth's waterfront this morning @BBCSpotlight @radioplymouth @itvwestcountry https:/… at 12/30 20:09
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RT @SimonOKing: Bit warm at the North Pole! Thanks to #StormFrank the temp is a very rare +1°C compared to the average -28°C... https://t.… at 12/30 20:10
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RT @BBCNews: #StormFrank
*Flood map: https://t.co/WQVxbIm0Ir
*Forecast: https://t.co/nDMGYeSQg1
*Live: https://t.co/MtPrJEzoMn https://t.c… at 12/30 20:10
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RT @Lazyjacksfowey: Our new floodgates are working well, tide receding, so business as usual in Fowey today #StormFrank https://t.co/0FKEh9… at 12/30 20:11
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RT @DGStandard: Whitesands now deluged #StormFrank #DUMFRIES https://t.co/TP39Syf6sq at 12/30 20:12
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RT @barrabest: #StormFrank making waves at Derryleckagh Bridge, Saval, County Down. Video by Michael McAvoy. https://t.co/8m7dC5M4dV at 12/30 20:12
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Syrian refugees have been building flood defences to help the communities who welcomed them https://t.co/4RvHWT5HCS 嵐で水害発生のイングランドでシリア難民が水防活動 at 12/30 20:15
Warning to drivers from @CheshireFire as #StormFrank hits #Cheshire https://t.co/gvklenwzo5 pic.twitter.com/KqTo3wqNQU
— BBC Radio Stoke (@BBCRadioStoke) December 30, 2015
先日はイングランドで水仙が咲き乱れているという報告があったが、今日はドイツでポピーが咲いているという報告を見た。その写真、よく見るとぺんぺんぐさも咲いているようだ。NASAが「今年のエル・ニーニョは1998年以来のものとなるかも」と述べたとのことでUKでは「エル・ニーニョ El nino」がTrendsに入っていたし、「異常気象」が人々の関心を集めていることはありありとわかる。
で、そんなときに話題になっていた人名のひとつが、Rory Stewartだ。水害に見舞われているカンブリアの選挙区選出の議員(保守党)で、環境省の閣外大臣 (minister) である。
https://twitter.com/search?q=Rory%20Stewart&src=tren
Rory Stewart and Secretary of State announce £40m flood recovery package https://t.co/IuG49arqFl pic.twitter.com/vTGo9ZFtsH
— Cumbria Crack (@CumbriaCrack) December 27, 2015
To give a sense of the challenge on the A591. Now en route to York, Selby + Calderdale for #yorkshirefloods pic.twitter.com/OkFJTssxq7
— Rory Stewart (@RoryStewartUK) December 28, 2015
特に珍しい名前ではないが、ひょっとしてあのローリー・スチュワートだろうかと思ったので個人アカウントのプロフィールを見てみると、 http://www.rorystewart.co.uk/ が個人サイトで……あれ。この人「あの」ローリー・スチュワートじゃん。
http://www.rorystewart.co.uk/about-rory/
He was briefly in the army, before serving in the diplomatic service, running a charity in Afghanistan, and teaching at Harvard University. He is the author of three books and walked 6000 miles across Asia between 2000 and 2002.
このローリー・スチュワート。
![]() | 戦禍のアフガニスタンを犬と歩く ローリー スチュワート Rory Stewart 白水社 2010-04 by G-Tools |
この本について、2010年に書かれた書評:
http://supersymmetry.air-nifty.com/blog/2011/08/post-a06e.html
この徒歩旅行が行なわれたのは2002年ころ、著者は1973年生まれなので、その頃まだ二十代である。今だって、まだ37歳くらいなのだ。私のような凡人はびっくりするような経歴の持ち主なのだが、本書ではそのようなことはおくびにも出さない。現地の言葉を使いこなしている様子、歴史に関する知識、見識、どこをとっても優秀な外交官そのものだと思うのだが、旅の中では教師と一貫して自称している。確かに、在学中にヘンリー王子らの家庭教師を務めているのだからあながち嘘ともいえないが、学問的な好奇心は旅の主目的にはないようなのだ。では、その目的とは。
「はじめに」で彼はこう書いている。「なぜアフガニスタンを歩いて横断したのかと訊かれても、あまりうまく説明できない。たぶん、それが冒険だから、というのが理由だろう。」そう、冒険なのだ。……
ローリー・スチュワートはイートンからオクスフォードというガチのエリートの経歴を有する人だ。そういう階級のこういうバックグラウンドを持つ人が、「グランド・ツアー」よろしくインドからアフガニスタンの一帯(南アジア)を徒歩旅行し、見聞し、体験したことを本にまとめている。もう、すべてが20世紀初頭っぽくてくらくらするのだが、さらに、その彼が、2010年の総選挙で国会議員になっていた(私は知らなかった!)とのことで、まったく古典的じゃないか!と気絶したくなるほどだ。計算しすぎ、狙いすぎの感がありすぎた小説、『屍者の帝国』よりよほどエンターテイメント的なくらい。というか、2010年代の現実は、まともな人が考えたフィクションを軽く超えてしまうという事例がまたひとつ、というところかもしれない。
![]() | 屍者の帝国 伊藤 計劃 円城 塔 河出書房新社 2012-08-24 by G-Tools |
(しかしアマゾンのレビュー、悲惨だね。『シャーロック・ホームズ』のワトソン博士がアフガン帰りの軍医というサー・アーサー・コナン・ドイルの設定も共有されてないところにこのフィクションを投げても、通じないよ、そりゃ)
ロリー・スチュワートについて教えてくれたid:Gomadintimeさんのブログにトラバしたい。
http://d.hatena.ne.jp/Gomadintime/20070302/p2
往時の大英帝国が定期的に産出していた才能あるエキセントリックなオリエンタリストの風情。
その「才能あるエキセントリックなオリエンタリスト」は、2010年から、政治家になっていた(もちろん保守党で)。実に、ますます「往時の大英帝国」っぽい。
※この記事は
2015年12月31日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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