「世論調査ではドナルド・トランプ<<<<<<<<バーニー・サンダース」という結果(ただしその「世論調査」というのがどういう性質のものなのかは私は把握していない)が出ているという。そのサンダースは「トランプが大きな存在になったのはいちいちメディアが取り上げるからだ」ということを言っている(らしい。見出ししか見てない段階でこれを書いているが、あとで記事を読むつもりだ)。
つまり、2015年の総選挙前に英国のマスメディアがこぞってナイジェル・ファラージを取り上げてさしあげたことで、彼が「有権者がまともに取り合うべき政治家」であるかのような方向付けが可能になったように、ドナルド・トランプなんていう、「移民は国外追放だ」といった、理性のない、現実性もカケラもない、過激なだけの煽り文句で、世論の誘導と「右寄り」の議論の基盤づくりをするのが役目である道化(トリックスター)の発言をいちいちメディアがシリアスに取り上げる(それもBBCのようなメディアですら!)ことで、トランプが「世界が待ち構えるべき大統領候補の候補」であるかのように印象付けてきた、ということだろう。
で、トランプなんか選ばれるはずがないと私は思っているのだが(ナイジェル・ファラージと同じような結果になるはずだと思っている)、トランプがまき散らかした毒と憎悪のタネは、確実にこの言語世界に根を張りつつある。そこにあってあたりまえのもののようになりつつある。
「トランプ以前」、つまり2014年までにも、あのような言説には、量は少ないとはいえ、それなりに接していた。けれども、あのような言説が「その界隈」「あの人たち」の外にまで、「ムード」を及ぼすことは、ほとんどなかった。「過激な言説」は、「ああいう人たち」は好きに言っていればいいんじゃない、というようなものだった。
今もまだ、トランプやそのシンパに関しては「ああいう人たち」扱いができているかもしれない。英国人の家族が米国に渡航しようとしている空港で入国許可を取り消されるということが相次いでいるという件についてざっと検索したときにも、「そうすることが当然だ」という意見は(「まとめ」には入れていないが)見なかったわけではない。しかしそれらの意見の主は「いつものあの人」ばかりだった。イギリスでは極右言説でおなじみのユニオン・フラッグのアバターの「ジョーンズ」氏や、ケイティ・ホプキンスのような人たち。アメリカではユーザーネームに見覚えのある「アメウヨ」の人たち。
しかしそれがこれからもそうであり続けるのかどうか。先日、Newsweek日本版で訳出されていたH・A・ヘリヤーさんの記事(原文はSlate.com掲載)は、2000年代前半に登場した(2005年に出た書籍でおおっぴらに語られるようになった)「ユーラビア」言説について、「過激」な言説がいかに一般的な場所にも居場所を得たかを考察している。そして最後で、次のように締めている。
イギリスのキャメロン首相すら、難民・移民について「人の群れ」という極右派が用いそうな言葉を発した。要はイスラム教徒に対する偏見が容認されるような雰囲気が広がっている。
排外主義の偏狭さを最初からもっと白日の下にさらす努力をしていれば、こんなことにはならなかっただろう。歴史的に差別問題に敏感なドイツでさえも、反イスラム政治運動が激化しかけていることが懸念される。
トランプはまさか本気でイスラム教徒の入国を禁止できるとは思っていないだろう。ただ大政党の最有力候補がそんな政策を打ち出せるようでは、既に米政界の「中道」は右へ寄ったも同然だ。反イスラムの偏見は米政界の主流派にも蔓延しかねない。
Not afraid to say #MerryChristmas! pic.twitter.com/8WoFfGbQRZ
— Dr. Ben Carson (@RealBenCarson) December 18, 2015Retweets: 3,228
Likes: 7,655
現時点の数値。
何ですかね、これはね。
ベン・カーソン(共和党大統領候補候補)のこの発言を私が見たのは、ブルッキングズ研究所のシャディ・ハミドさんの下記の「棒読み」ツイート経由だ。
I think I just told someone Merry Christmas yesterday. It was pretty scary though. Thankfully nothing bad happened. https://t.co/EIj9Kscksl
— Shadi Hamid (@shadihamid) December 24, 2015それに対するリプライより。
@shadihamid The Muslim gentleman who works at my corner deli wished me Merry Christmas this morning. No repercussions.
— James North (@jamesnorth7) December 24, 2015一方でこういうのもある。この小学生じみた発言の主は「キューバ系アメリカ人」で「元大使」の人だ。(こうだから、「アメリカン・インテリジェンス」は「チャイニーズ・デモクラシー」と同じような絵に描いたモチだという軽口がたたかれるのだが、こういう点では日本も到底、以下略)
@shadihamid @RealBenCarson Glad you said it. Just don't say it in Brunei, Somalia, Tajikistan, Saudi Arabia or ISIS land and something will.
— Alberto Fernandez (@VPAFernandez) December 24, 2015私が目にしている画面には、同時に、こういうのも流れてきている。
Deck the halls! Muslim #Senegal celebrates #Christmas - https://t.co/iPz9sTqETQ pic.twitter.com/on00X4IrXb
— Al Arabiya English (@AlArabiya_Eng) December 24, 2015こういう叫び声も。
I am a Christian but I won't be taking any time off from reporting Assad @ Co war crimes this Christmas just like any Christmas since 2011
— Free Syria Media Hub (@Free_Media_Hub) December 24, 2015※この記事は
2015年12月25日
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