書けないのでリンクだけ……というのもバカみたいなので言い訳みたいなことだけ書いておこう。「Twitterを使うのをやめる」と言ったばかりなのだが、自分の見るTwitterの画面は、「Twitterだけで完結する作業」(RTとか引用RTとかFave...いや、Likeとか)のスピードに最適化された情報量が流れてくるので、いちいちブログの画面を開くとか、はてブを使うとかいったページ遷移をしているだけで、もう話が追えなくなる。なので、こういう特大の緊急ニュースのときは、Twitterで作業せざるを得ない。その方法しか、今の私には取れない。決して「Twitterを使い続けていく」ことにしたわけではないということはご理解いただきたい(正直、かなりうんざりしている。それでも、知らない人とまともなやり取りができて嬉しいという経験も今日もあったのだが)。
つい先日、フランスのジャーナリスト、アンナ・エレルの本(下記)を読んで、これはとびきりやばいんじゃないかと改めて思った点がある。特にどのページのどの記述というのではなく、全体的に、「女ごときが、男をコケにしている」ことだ。
![]() | ジハーディストのベールをかぶった私 アンナ・エレル 本田 沙世 日経BP社 2015-05-20 by G-Tools |
西洋の男女平等が前提の現代社会で生まれ、なおかつ/または育ってきて、ある程度の年齢になってから「女は外に出るものではない」とか「夫の言うことにはすべて従え」とか「ブルカの下はセクシーなランジェリーを着るんだ」などといった価値観を自分のものとしている人物が、そのことをすべてあのように全部暴露されたときに抱く歪んだ復讐心はいかほどのものか。そしてさらに、連中はそれを、めちゃくちゃにはぎ合わせたような「信仰」で正当化しているし、彼らの世界の中ではそれが「正しいこと」(神の意思にかなうこと)だ。
そういった「西洋社会に対する復讐心」が、「同志」たちの間で増幅され、武器・弾薬・爆発物を含む「周到な準備」というみっちみちに軍事的・技術的なものと重なり合って現実のかたちを与えられたときに、どのようなことになるか。
それを見せられたのだと思う。
パリ同時多発テロ(2015年11月13日夜)、初報から1時間の英語圏報道の記録
http://matome.naver.jp/odai/2144746429043746601
#ISIS claim on #ParisAttacks : "France remain at the top list of #ISIS targets" pic.twitter.com/qNJuNtEF0K
— Rita Katz (@Rita_Katz) November 14, 2015
犯行声明の言葉、読むだけで侵食されてくる気がしてダメだ。読めない。フランス語なのでめっちゃ距離のある言語なのに、文法や単語でわからないところが云々以前に、英語でこういうのを読んだことがあるため、見ただけで「わかる」部分が……
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) November 14, 2015
『ジハーディストのベールをかぶった私』には、著者のアンナ・エレル(30歳のジャーナリスト)が「メロディ」という人格(20歳目前の改宗者女子)で、シリアのジハディストと接触を重ねるうちに、内面が侵食されていくような感覚を抱く、ということについての描写がある。そして接触してきた相手を、アンナは気味悪がっていたにもかかわらず、その「死」が報じられたときには(誤報だったのだが)感情的に動揺している。
深淵を覗き込む者は……という例のあれである。
そういった「体験記」を読むだけの私にも、それは伝染してくる。
それを拭い去りたいが、拭い去ることはできないだろう。それが「宗教」の力だ。「定量化」なんかできないけど。
まだ「IRAの犯行声明」(ザックザクの軍事調がベース)のほうがまし。めちゃくちゃおっかないし、主義主張がものすごいけど、スピリチュアルというか精神的ではないので。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) November 14, 2015
こんなものに「代弁者」ヅラされている一般の(なおかつ大多数、ほとんどの)イスラム教徒は、たまったものじゃないだろう。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) November 14, 2015
これは、ええと誰だっけ、アメリカの猟奇連続殺人鬼の、「狂信的キリスト教徒」の母親(「他人と交わることは悪に染まること」「女はお前を堕落させるためだけの存在」云々と息子に語り続け、そのように教育した)の主張が、「キリスト教徒」全体を代表していなかったのと同じだ。
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) November 14, 2015
「お見舞い申し上げます」的な言葉も出てこない。パリにはさほど思いいれは抱いていないかもしれないが、それでも私にとって一種「特別」な都市のひとつだ。
10年前、2005年7月7日に、ロンドンで公共交通機関が標的にされたときに、初期の大混乱の状況で、まだネットも今ほど情報が早くなくて、日本のテレビのニュースでは「10箇所で爆発」のようなことを速報していたあの状況、あのときの自分の心理を思い出した。
2005年7月7日のときは、テレビのニュースを見ながら、2001年9月11日のことを思い返していたのだ。
自分の中に「知識」として蓄積された「誰か知らない人の内面にある憎悪」。それはこの1年半くらいの間で、それまでの10年分をゆうにしのぐくらいの量になっている。
ただの「知識」だ。だが、それは瓶に入れてしっかり栓をして保管しないとならない激薬物のようなものだ。最新のニュースや被害者の声をガーディアンのLive blogなどで追いながら、そう感じている。
#ISIS floods #Twitter wt celebratory tweets on #ParisAttacks & threats for more
Twitter must stop serving #ISIS now! pic.twitter.com/AuYHHi38Pf
— Rita Katz (@Rita_Katz) November 14, 2015
※本稿、書くのに5時間ほどかかった。
※この記事は
2015年11月14日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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