
現地朝9時ごろ(日本時間で18時ごろ)のTrendsだ。私は朝のBBC Radioの番組(Today)で、それについての話があったのかなと思った。「歴史秘話」が語られているとか、あるいはあの戦争を取材したジャーナリストか誰かが本を出したとか亡くなったとかいったことでニュースになっていて、人々がその名前をツイートしているとか……。
ビアフラ共和国。
"1967年にナイジェリアの南東部に置かれていた東部州が独立宣言したことに伴い樹立されたイボ族を主体とした政権・国家。1967年5月30日から1970年1月15日まで存続した。
"ナイジェリア政府は直ちにビアフラを経済封鎖し、(67年)7月6日にビアフラ戦争へと突入した。……
戦争末期に内陸部へ封じ込められたビアフラでは200万人といわれる餓死者を出し……"
だが、実際にページを見てみると、そうではなかった。これこそが、ケン・サロ=ウィワについて私が思ったような、「ナイジェリアでの話題がなぜかUKでのトレンドになっている」ケースだったのだ。
Twitterでトレンドしていたときの画面は下記の通り。
※画像はクリックで原寸表示。
上の方の「画像の一覧」のところにある「仏頂面のリアーナ」は、おそらく、ミームとして使われているだけで、話題とは無関係だろう。
詳しく見てみないとわからないが、どうやら「ビアフラ再興運動」のような動きが、現地にあるということだと思う。
それを細かく見てみようか……と思っていたときに、とてつもないビッグニュースが入ってきたので、それどころではなくなってしまった。また機会があれば。
この次のエントリは、そのとてつもないビッグニュースについて。
Man arrested over Bloody Sunday is a former member of the parachute regiment https://t.co/ASAu9wIPie pic.twitter.com/XwQgFHgkhP
— BBC News NI (@BBCNewsNI) November 10, 2015
※ツイートして済ませる、ということをやめたので、いちいち時間がかかっています。ブログ記事のタイトルを考えるのも面倒だし時間もかかる。
……と、ここで終わるのも「ビアフラ」に失礼にすぎるので少し。
nofrills / nofrills
RT @gbasky_10031: Indeginous people of Biafra in Aba Enyimba city. Marching for freedom https://t.co/rArXa6Xvrt at 11/10 22:10
nofrills / nofrills
RT @Famoyegun_S: I am Yoruba, i'm not in support of war but i support #Biafra. Let,s have a referendum and let everybody vote. Nothing shou… at 11/10 22:10
というわけで、現地では継続的な「ビアフラ支持デモ」が起きている。スペインのカタルーニャのニュース(議会の動きの件)も同時に流れてきているのだが、両者にはたぶん共通点は多いだろう(自分たちの土地で得られるお金が、中央政府に吸い上げられてしまうという問題など)。しかし、同じであろうはずがないので、妙な単純化はしてはならない。たぶん、ビアフラで実際に起きていることは、議会制民主主義の手続きで事を進めているカタルーニャとは違う。それでも、写真で伝えられてくるのは「大人数の平和的デモ」の光景だ。
一方で、「ビアフラ」というと「戦争」と短絡する人は大勢いるようで、「バカげたことを言うな」とか「戦争したければボコハラムとやってろ」とかいうのも多い。
people agitating for biafra should go and fight boko haram in the NE first. When you experience war first hand come and agitate for biafra
— Momoh Yinusa McBrian (@iammobazz) November 10, 2015
一度「内戦」が起きた国のトラウマは深い。こういう過剰とさえ思えるような反応が起きなくなるまでには、30年(1世代)どころか、もっと長い時間がかかるようだ。ビアフラ戦争からは、45年以上が経過している。
たまたまだが、アイルランド共和国(北アイルランドではない)からは、「プロテスタント」が1916年のイースター蜂起についてとんでもない発言をしているというニュースが入っている。
http://www.irishnews.com/news/2015/11/10/news/dublin-orangemen-criticised-over-easter-rising-remarks-319886/
これも「内戦」のトラウマ……というかアイルランドの「プロテスタント」の場合は、自分たちが安住していた特権が剥奪されたこと、社会の中の「少数者」の立場(「少数の支配者」ではなく)に追いやられたことなど「被害」意識と関わる問題だ。そもそもオレンジ・オーダーの場合は(白人優越主義者の間での「黒人による白人のジェノサイド」言説と同様の)「カトリックに迫害されるわたしたち」というナラティヴがあるわけで、「頭を冷やせ」としか言いようがないのだが。
※この記事は
2015年11月10日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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