「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2015年11月08日

シナイ半島での旅客機墜落に「英国人関与か」と述べている報道に関する記録(2015年11月8日)※9日追記あり

日本語圏でロシア機墜落に英国人関与と報道 「爆破祝う会話になまり」(共同通信)、および「爆破」に英国人関与か=傍受通信にロンドンなまり−ロシア機墜落(時事通信)といった報道が出ている。ソースは、英国のタブロイドの中で極右との親和性が最も高い(EDLを推すなどしていた)デイリー・エクスプレスの日曜版、サンデー・エクスプレスで、共同は「報道の真偽は不明」と書いて締めくくっているが、時事はエジプトでの墜落と関係するとは到底思えない「英国で事件が起きる可能性」についての誰かのコメントで締めくくっている。





これについて、英語圏の報道がないかどうか見てみたが、私が普段チェックしているBBCとガーディアンにはまったく出ていない。以下はそれについての記録である(私の「意見」の表明や「感想」ではない。記録である)。

※以下書きかけの状態でエニスキレンの式典が始まったので作業が中断している。作業を続けようとしたが、ブラウザがもっさもっさで作業スピードに合わないので、うんざりしてお茶を入れているところだ。しばらくしたら更新する。→書いた。


まず、共同通信および時事通信の報道にあった「バーミンガムとロンドンのアクセント(訛り)」をキーワードとして、Google News検索をしてみる。下記はそのキャプチャの一部(クリックで全景・原寸大のキャプチャが表示される)。キャプチャ取得日時は、2015年11月8日19時45分ごろ(日本時間)である。



初報のエクスプレスは「10時間前」のタイムスタンプになっている。そのあと、いくつかの英語メディアが後追い報道しているが、10時間も経過しているというのに、主流メディアというか(言っちゃ悪いけど)「まともなメディア」が1つも報じていない。

『クリスチャン・トゥデイ』は宗教色が強い媒体で、対イスラム過激派という点で中立性・客観性が期待できるメディアではない。「いくつもある立場のひとつ」の媒体だ。

『デイリー・メイル』、『デイリー・スター』はどちらも英国のタブロイドで、内容の正確性以前にセンセーショナリズムが優先される(『メイル』はまだましな方だが)上に、日曜版は平日以上にセンセーショナルだ。

『デイリー・スター』も、初報の『デイリー・エクスプレス』同様、英国政府(特に治安筋)の食わせる情報をそのまま垂れ流すか、センセーショナルに飾り立てて流すメディアだ。というか、『スター』は「マジメに、記事を読みたいから買う」という人がいるのだろうかというレベルのタブロイドだ。

ここに示したキャプチャの一番下にある『Arutz Sheva』は、以前にも何度か言及したことがあるが、イスラエルの「宗教的シオニズム」のメディア。がっさりと雑な話をすると、最近は何でもかんでもやたらと「ハマスがーーーー」と叫んでる媒体で、「イスラム敵視」が基本にあり、客観性など期待すべくもない。ちなみにこの媒体は英語では「イスラエル・ナショナル・ニューズ・ドット・コム」を名乗っているが、何が「ナショナル」なのか私は知らない。
https://en.wikipedia.org/wiki/Arutz_Sheva

もう1つある『タイムズ・オヴ・イスラエル』は、デイヴィッド・ホロヴィッツの媒体だ。これについても前に言及したことがある。「自称中立」のお手本のようなメディアだと私は思う。
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Times_of_Israel

で、これは「イスラエルで報じられている」とは言えるにしても、「イスラエルの主流メディアで報じられている」とは言えない状態だ(ハアレツも、エルサレム・ポストもない)。

また、ページ全体のキャプチャには、これらに加えて末尾にアイリッシュ・インディペンデントのURLがあるが、この記事はロイターのもので、本題は「ほぼ確実にボム」ということをエジプトの調査当局の人が述べているという件であり、「バーミンガムとロンドンのアクセントの英国人が……」云々はわずか1文にすぎず、しかも「マユツバで読め」と行間からシュプレヒコールが聞こえてくるようなトーンの記述だ。
http://www.independent.ie/world-news/europe/russian-plane-crash-investigators-now-90-sure-bomb-went-off-on-jet-34179911.html

"Chatter" picked up by GCHQ reportedly featured jihadists with London and Birmingham accents celebrating in Egypt after the explosion.

http://www.independent.ie/world-news/europe/russian-plane-crash-investigators-now-90-sure-bomb-went-off-on-jet-34179911.html


次に、当該の「バーミンガムとロンドンのアクセントの英国人が」云々説の出元は英国の諜報機関であるGCHQなので(ていうかそもそもGCHQが傍受した通信の内容をこんなふうに外部に漏らすなんてこと自体がうわなにをするやめろ……じゃないのかという。オマー爆弾事件のときのこととかいろいろ)、英国のメディアで、初報のエクスプレス、それに乗っかったスターとメイルのタブロイド3紙のほかに何かないかと見てみるのだが、ないんだな、これが。

BBC Newsのトップ。ビルマ(ミャンマー)の総選挙、米西海岸の「ミサイル」騒動についてのヘッドラインなどの中に、シリア内戦についての軍事介入に関する英軍トップの発言(すさまじいまでの「NATOによるコソヴォ空爆」臭)と、シナイでの飛行機墜落の原因はいまだはっきりしないというヘッドラインがあるが、「バーミンガムとロンドンのアクセントのある英国人」云々は気配すらない。キャプチャ取得日時は2015年11月8日20時10分ごろ(日本時間)。



BBC Newsの全体のトップにはなくても、BBC News UKのトップにはあるのではないかと思うかもしれないが、こちらにも気配すらない。今日はとにかくリメンブランス・サンデー(戦没者追悼の式典)がトップニュースで、続いてシナイ半島で足止めをくったままの英国人(ドイツとかは飛行機飛ばしてるのに、英国は……ていうことで現地カオスらしい)のことなどが出ているのに、「英国人が墜落に関与か」とかいう話はまったく見当たらない。もしリアルな話なら、少なくとも「ジョン・レノンのギターの競売」よりは重要だろうに。キャプチャ取得日時は2015年11月8日20時10分ごろ(日本時間)。



ガーディアン(日曜なのでオブザーヴァー)のUKエディションも見てみたが、「コービンがーーーーーーーーー」のヒステリックな叫び声が響き渡っている一方で(本当に下品だよね)、「バーミンガム訛りの男とロンドン訛りの男」の話は見当たらない。わずかにEditorialとして「ジハディの脅威について」とあるだけだ(私はまだ読んでないので中身は知らない)。キャプチャ取得日時は2015年11月8日20時50分ごろ(日本時間)。



というわけで、もし本当に、エクスプレス記事(&共同通信、時事通信記事)が報じていたように、「ロシア機の爆破に英国人が関わっていた可能性が高い」のなら、「それ、なんていう第三次世界大戦?」という話なのだが(リトビネンコ殺害事件以降の両国間の関係を参照)、英国で記事にしてるのがエクスプレスとスターとメイルでは、「カッパが見つかった」程度のこととしか扱えないと思う……。

ただしこのあとで、より信頼性の高いメディアが記事にする可能性はある。その場合、「GCHQの誰か」ではなく、「警察のテロ対策班」とか「MI5」とかいったところの人が、おそらく名前を出して発言するのではないかと思う。

実際、例えば「英国政界や芸能界の最上層部が児童虐待を行ない、隠蔽していた」件でも、最もセンセーショナルな「疑惑」(殺人)はタブロイドというか週刊誌のネタでしかなく、それが一般に報じられたのは、「その線で警察が動き出した」(捜査を開始した)あとだった。(そして、警察が動き出してみたものの、結局は証人が1人しか出てこないので、虚言の可能性も含め、まともな話ではないということで収束しそうな感じなのだけど。)

あと、今回、興味深いのは、News Corp組(サンデー・タイムズとザ・サン・オン・サンデー)の記事が見当たらないことか。。。テレグラフは今日(リメンブランス・サンデー)は、「過激派」どころじゃないという可能性が高いにせよ。

いずれにせよ、初報から10時間経過して報道がないということはほぼ「フカシ」と見ていいように思いはしますが、まだ「フカシ」と決まったわけではないので、週明けの報道にも注目が必要かと思います。

※こういう記録は、Twitterでやればものの15分だと思うが、ブログだと文章を考えなきゃと思うので集中力が切れたりもするし、画像をアップしてリンクしたりという手間がとてもタルくて、何時間もかかる。効率が悪い。でもTwitterに戻る気は、今のところ、ない。これは慣れの問題だし、それ以前に今はブラウザの動作の問題にすぎない。



以上、11月8日時点。

以下、11月9日の追記。


11月9日午前4時台のタイムスタンプで、NHKが記事にしている。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151109/k10010298901000.html
https://archive.is/qxDwK



共同や時事の記事に比べて情報量がぐっと多く、「シナイ半島の武装勢力のなかの英国人」にまで言及している(特に新情報なのかどうかはわからない。シナイ半島に西欧世界出身のジハディが入っていることは既報)。

この記事について、はてブのコメント欄には次のように入れてある。
なんでいかにも怪しい「GCHQ筋」の、よりによってエクスプレス(東スポ以下)の記事がこうなるかな。何かあるのか。11月9日 4時28分 https://archive.is/qxDwK See also: http://nofrills.seesaa.net/article/429294499.html

http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20151109#bookmark-270930903


続いて英語圏。キャプチャ取得は以下、2015年11月9日16時台(日本時間)。

Google newsでのlondon birmingham accentsでの検索結果:


エクスプレスの報道がオーストラリアのメディア(The Australianのブログなど)に拡散している。News Corpの媒体の記事もヒットしている。なお、7日付のBBCの記事は、既に見たキャプチャーにあるが、BBCが毎日やっている「BBC以外のメディアが何を報道しているか」の記録で、「BBCの報道」ではない。

News.comの記事より。「ロンドンとバーミンガムのアクセント」への言及は冒頭だ。そして、この相当に長い記事で、冒頭の部分以外ではこの件(エクスプレスの報道内容)についての言及は、どうやらないようだ。長いからスキャンしただけだが、冒頭でのエクスプレス報道の紹介(リンクあり)と、エジプトの事故原因調査当局者の発言についての米国での報道(News Corp仲間のNYのタブロイド)のあとは、各国の対応がどうなっているかの「まとめ」だ。この記事はGoogleで「9時間前」のタイムスタンプがついているが、記事自体はNovember 9, 2015 7:58am(日本との時差は1時間だっけ)。



それから、シドニー・モーニング・ヘラルド。Googleのタイムスタンプでは「14時間前」、記事本体ではNovember 9, 2015 - 4:01PM (ん? 更新でもされてるんだろうか)。記事末尾に「ロイター、ブルームバーグ、AP」とあるので通信社3社の報道の「まとめ」だ。「バーミンガムとロンドンのアクセント」云々の言及は、やはり「エクスプレスでこういう報道があった」という記述だけだが、非常に重く扱われているという印象を受ける。記事は冒頭1パラは見出しの内容(エジプトの当局者が墜落原因はテロリストのボムだと90パーセント確信していると述べている)で、続いて第二パラグラフで "Alarming evidence has also emerged that British extremists were behind the bombing, which claimed 224 lives." と書いたあとで写真(サンクトペテルブルクの大聖堂でろうそくを捧げる人々)を挟んで:



(「こういう報道があった」という記述による拡散を狙った情報出しは、情報機関は得意中の得意ですよね。ただ今回、GCHQってのが気になるんですよね。。。ここがこういうふうに表に出てくるか? 「治安筋」ではなく)

で、オーストラリアンは、「ブログ」とはいえ、これはひどい。エクスプレスの記事を、ほぼそのまんまコピペしてるだけ (^^;) ……というか、逐一同じにしないために「煽り」調になってる。こういうのは個人ブログならありがちなんだけど、大手新聞のEuropean Correspondentがやることだろうか。書き出しの数パラグラフを見れば、いかに「ほぼコピペ」かがわかると思う。



続いて、Google Newsの検索結果から、さらに先の部分。



名指しにされた「バーミンガム」の媒体、バーミンガム・メイルが記事を立てている。月曜日の紙面に掲載されていることだろう。これはサンデー・エクスプレスのコピペではなく、自分たちでGCHQに話を聞いているようだ。エクスプレスのような下品さ(ここは「テロリストの脅威」を煽り立てるフィア・モンガリングを日常的に行なっている媒体だ)はない媒体なので、読むならこの記事がよいかもしれない。

Brummie accents 'intercepted by GCHQ' after Egypt air crash
http://www.birminghammail.co.uk/news/midlands-news/brummie-accents-intercepted-gchq-after-10407040

13:12, 8 Nov 2015
Updated 13:14, 8 Nov 2015
By Josh Layton



……と、バーミンガム・メイルの記事の文中に、本件が既報であるかのようなリンク(ぱっと見、ここでエクスプレスにリンクしているのかと思ったが、確認したらバーミンガム・メイルの別の記事へのリンクだ)があるのでそのリンク先を見たが、シャルム・エル・シェイクで足止めを食っているバーミンガムからの旅行者についての6日付の記事で、「GCHQの誰かの発言によると」という話ではない。リンクする記事を間違えたのだろうか。

この記事は最後に、2008年にタリバン戦闘員がバーミンガム弁(日本の感覚でいうと「名古屋弁」に似てます。自分が名古屋出身だもんで言うわけじゃないけど、メディアでのバカにされっぷりなど、よく似とる)をしゃべっていたということが紹介されているが、バーミンガムでジハディといえば、持ち出されるべきはそんな話なのかと……。下記に詳しくメモしてあるけれど、爆発物製造で裁判になった事例がある。
http://matome.naver.jp/odai/2143282813064729201?&page=5




Google News検索結果より、次。(サンデー・)エクスプレスの追加報道。「報道」ていうか「アメリカの議員がこんなに恐ろしい警告ををををををを!」とかいう話で、お前らは『ムー』かというトーン。1分以上かける気にならないのでスルー。
http://www.express.co.uk/news/world/617945/Islamic-State-ISIS-Russian-plane-bombing-passenger-jet-terrorism

さらに次、IBTだが、これちょっと重要っぽい(ので、テキスト検索にひっかっかるよう引用しておく)。

Russian plane crash: Leader of Sinai Province group Abu Osama al-Masri named as bombing mastermind
http://www.ibtimes.co.uk/russian-plane-crash-leader-sinai-province-group-abu-osama-al-masri-named-bombing-mastermind-1527764

By Fiona Keating
November 8, 2015 14:06 GMT

Whitehall officials confirmed that Abu Osama al-Masri, an Egyptian cleric and frontman of Sinai Province – a militant group linked with Islamic State (IS) and active in the Sinai peninsula – is a person of interest in the 31 October crash of Russian flight KGL9268. Masri claimed responsibility for the Russian plane crash in an audio statement entitled entitled "We Downed It, So Die in Your Rage", issued on 4 November. This was the same day that David Cameron announced the suspension of British holiday flights to Sharm el Sheikh.

A Twitter account used by Sinai Province sent out a message on 4 November which seemed to suggest that a bomb, rather than a missile, was involved in the explosion.


と、こんだけ長々と引用したけれど、見るべきは冒頭の3語。ホワイトホール(つまり英国政府の関係省庁の誰か)からの確定が来てる。

IBTのこの記事は、サンデー・タイムズやインディペンデント・オン・サンデーの報道を参照しつつまとめられていて、何がどれの記述なのかがちょっとよくわからないのだが、サンデー・エクスプレスの報道については下記のように、ほぼ「怪情報」扱いだ。(適切な態度だと思う。)

There are unconfirmed reports that British jihadis trained in Syria with an "electronics background" could have assisted in making the bomb which caused the fatal plane crash. British intelligence picked up "chatter" which reportedly featured jihadists with Birmingham and London accents celebrating in Egypt after the aircraft came down.

http://www.ibtimes.co.uk/russian-plane-crash-leader-sinai-province-group-abu-osama-al-masri-named-bombing-mastermind-1527764


※IBTの記事の重要な部分の情報元はサンデー・タイムズだ。
LONDON: Abu Osama al-Masri ... has been unmasked as the suspected mastermind behind the alleged downing of a Russian jet, a media report claimed. "Intelligence chiefs believe that the plane, which crashed last weekend killing 224 people, was brought down by a bomb planted by an offshoot of IS in the Sinai peninsula," The Sunday Times reported. The group's frontman, Masri, an Egyptian cleric, brokered a pact with the IS last year in Syria, it said.

http://timesofindia.indiatimes.com/world/uk/Egyptian-cleric-masterminded-crash/articleshow/49718187.cms


(Twitter使わずにいるとこういう作業がめんどくさいな……4倍くらい時間がかかる。あと、ひょっとしたら見落とすんじゃないかというのもある。私にとってのTwitterの問題は日本語圏の個人なので、英語のRSSリーダー代わりに見てる範囲だけで閲覧専門で何とかするかな。)

8日のサンデー・タイムズは……







ここまでまとめると、つまり、シナイ半島でのロシア機墜落について、日曜日の「英国政府筋」の報道は2通りあったことになる。

1つはサンデー・エクスプレスの「攻撃成功したなと喜び合う戦闘員の通信を傍受したところ、ロンドン弁とバーミンガム弁でしゃべってた」というもの。この件はバーミンガム・メイルも別途記事にしているが、エクスプレスの報道が日本やオーストラリアでも拡散していることが確認できた。

もう1つはサンデー・タイムズの「英当局が、ISISシナイ半島支部の指導者、アブ・オサマ・アル・マスリに関心を寄せている」という報道で、こちらはあまり拡散している様子はない。Twitterで見ても、見出しをフィードするボットばかりが目立つ。
https://twitter.com/search?f=tweets&vertical=default&q=Abu%20Osama%20Al-Masri&src=typd

が、カナダのメディアが大きく取り上げている。NYTのカリマチ記者も「興味深い」と述べている。






ここまで報道があれば、BBCなどでも「○○紙の報道によると」という記事(メディア・ウォッチ以外の)が出ていてよさそうなものだが、見当たらない。そんなことより、「リメンブランス・サンデーでジェレミー・コービンがどれだけひどかったか」を書き立てることに集中しているようだ。実に、ばかばかしい。

以下、キャプチャはいずれも2015年11月9日18時半ごろのもの(日本時間)。

BBC Newsのトップページ。トップニュースはビルマ(ミャンマー)の選挙。続いてオーストラリアの難民センターでの「暴動」(イラン人が死亡したことがきっかけ)、3番目がロシア、モスクワのFSB本部での「アート・パフォーマンス」(?)。サンデー・エクスプレスの報道内容も、サンデー・タイムズの報道内容も、相変わらず影も形もない。



では、BBC NewsのUKはどうかというと、財務関連のニュースは別として、「これよりは『英国人ジハディの関与の可能性』や、『アル=マスリ主犯説』の方が重要だろう」というニュースがごろごろしているのに、サンデー・エクスプレス、サンデー・タイムズ、いずれの報道内容も記事として出ていない。



ではガーディアン(UK版)はどうかというと、こう。



通常、サンデー・タイムズのようなメディアで「政府筋」としてああいう大きな報道があると、BBCやガーディアン、テレグラフなど他のメディアも追随するんだけど……。

なんですかね、これは。


※この記事は

2015年11月08日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 20:49 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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