そのシャルム・エル・シェイクから、飛行機の墜落のニュースが伝えられたのは、10月31日のことだった。Kogalymavia(コガリムアヴィア)という、私は聞いたことがないロシアの航空会社の便で、サンクト・ペテルブルクに向かってシャルム・エル・シェイク空港を飛び立って20分かそこら、シナイ半島から出ないうちに墜落したという。乗客だけでも200人以上。
「全員絶望」、「現地は悪天候で捜索難航」といった厳しい状況が、英語の速報ニュースで伝えられていたが、基本的にこういう「事故」に関するニュースはもう書き留めないでおこうと思うようになっていたので、最初に見たのがどの報道機関のどんな速報だったのかはわからない(たぶんAFPかロイターだ)。季節の変わり目で、急な気流の変化があったのだろうか、などと思っていた。また、当初は、上記NHKの記事にもあるように「エジプトの国営メディアによりますと、この旅客機のパイロットは離陸後に『技術的な問題が発生したため近くの空港に着陸したい』とエジプトの航空当局に連絡してきたということです」と報じられており、航空機事故として一般人が特に注目すべきものではないのではないかと思っていた。
そのころにも既に、「イスラム国」を自称する勢力(ネットスラングで「イスイス団」、本稿では「ISIS」と表記)につながっている現地武装勢力は、「われわれがやった」と述べていた。確かにISISはMANPADSと呼ばれる地対空ミサイルを持っているということが知られている。が、機体が急に下降し始めたときの高度が高く、仮にそれで攻撃したところで届かないということが指摘され、「また、あの連中はやってもいないことをやった、手柄だとフカしているのか」と冷笑的に扱われていた。私も無条件に、そう思っていた。彼らのような勢力の大げさな発言は、「フカし」と扱うのがデフォだからだ。
しかし、墜落から3、4日が経過するうちに、何か怪しいな、という感じになってきた。比較的早い段階で「ブラックボックスをエジプト当局が回収した」と伝えられていたのに、その解析結果がニュースにならない。ただ、通常ではない音が記録されていたとロシアのメディアが報じたとか、副操縦士は当該機のテクニカル・コンディションについて不満をもらしていたと妻がロシアのメディアに語った(←いろいろフラグ立ってると私は思うんですが、冷戦期のスパイ小説の読みすぎかもしれません)などという話が聞こえてくるばかりだ。そもそも、墜落から12時間ほどの段階で、エールフランスやルフトハンザが「シナイ半島の空域を避ける」という決定を下していた。旅行業界には大きな影響を及ぼすにも関わらず、段階的にではなく一気に大きな決定がなされたことは意外なように思われた。
Airline @lufthansa to avoid flights over #Sinai after Russian plane crash; @airfrance reportedly taking same action https://t.co/Q0oj1nyPUX
— BBC Breaking News (@BBCBreaking) October 31, 2015シナイ半島の飛行機墜落、そういうことなのかな。
https://t.co/aIm4IGoaDs
— nofrills (@nofrills) October 31, 2015このBBC Breaking Newsのツイートは、下記のようなスレッドになっている。

BBC Breaking News on Twitter: "Airline @lufthansa to avoid flights over #Sinai after Russian plane crash... via kwout
……という流れでの、5日未明(日本時間)の英国のこの決定&声明である。
No 10 statement on flights being halted from Sharm to UK over Russian plane bomb fears https://t.co/zg3B3yjK6C pic.twitter.com/whvA5Pp2ol
— BBC Breaking News (@BBCBreaking) November 4, 2015Statement on UK flights from Sharm el-Sheikh airport in Egypt https://t.co/joPQENNGJk
— Foreign Office (FCO) (@foreignoffice) November 4, 2015UK sending security team to Sharm el Sheikh tonight. All flights from there to UK delayed til their work is completed.
— alex thomson (@alextomo) November 4, 2015Flights from Egypt's Sharm el-Sheikh to the UK have been delayed amid concerns the Russian jet was brought down... https://t.co/jVb2y0AHEQ
— BBC Politics (@BBCPolitics) November 4, 2015シナイ半島でのロシア機墜落で、エールフランス、ルフトハンザ、エミレーツが既に原因が特定されるまではここを飛ばないと決定しているが、先ほど、今度は英首相官邸が「今晩シャルム・エル・シェイク出発予定の英国機は離陸を遅らせる」と。
https://t.co/hdBshtaTn2
— nofrills (@nofrills) November 4, 2015これ、首相官邸が出してるというのがすごい。声明はこちら。
https://t.co/Yp30i8PJGb
「あくまで大事をとった措置」「今夜中には問題は解決されると思うが」など、攻めのアンダーステートメントに凄みを感じる。
— nofrills (@nofrills) November 4, 2015"Russian plane may have been bombed - UK," says a BBC headline. Article here: https://t.co/3qIwEKQIlo #SinaiCrash pic.twitter.com/ah5cG4rYmR
— nofrills (@nofrills) November 4, 2015This is the directive from the Irish Aviation Agency to halt flights to and from Sharm al-Sheikh and over Sinai https://t.co/hpsG5HyIcH
— Erin Cunningham (@erinmcunningham) November 4, 2015アイルランド共和国もシャルム・エル・シェイク便停止、シナイ半島の空域は飛ばないと。
https://t.co/AQ5zXIVZ7i
— nofrills (@nofrills) November 4, 2015The Irish Aviation Authority orders Irish airline operators not to fly to or from Sharm el-Sheikh in Egypt pic.twitter.com/rMDIma2SSQ
— Fergal O'Brien TV3 (@FergalOBrienTV3) November 4, 2015シナイ半島のロシア機墜落がボムだったとして、なぜボムが飛行機の中に入ったか。それについて、欧州では人気の高いリゾート地(日本にとっての「グアム」のような)であるシャルム・エル・シェイクは、空港のセキュリティがぐだぐだだったという個人の体験談なども報道記事に出てるようだ。
— nofrills (@nofrills) November 4, 2015そしてこれ。
After COBR mtg @PHammondMP announces UK now advising against all but essential travel by air to Sharm el Sheikh. https://t.co/pJCcs7yOce
— Foreign Office (FCO) (@foreignoffice) November 4, 2015旅行会社・エアラインがこの動き(を取るしかない)。
Travel firm @ThomasCookUK cancels flight & holiday programme to Sharm el-Sheikh up to and including 12 November https://t.co/zg3B3yjK6C
— BBC Breaking News (@BBCBreaking) November 5, 2015Thomson cancels all flights from UK to Sharm el-Sheikh up to and including 12 November https://t.co/JXBXmRpCT4
— ITV News (@itvnews) November 4, 2015"easyJet will cancel its flights to and from Sharm El Sheikh tomorrow. It will keep its flights to and from Sharm El Sheikh under review"
— Chris Choi (@Chrisitv) November 5, 2015そんな中でこんな話が流れてきて、これはもう「慌てている」という印象しか与えないよね。
#BREAKING: Head of Egypt's Sharm el-Sheikh airport replaced amid concern that Russian plane was downed by a bomb - AP
— Grasswire Now (@GrasswireNow) November 5, 2015たまたまだが、エジプトのシーシー大統領は英国を訪問中で、日程を切り上げて帰国することもなく、予定をこなしている。
一方で、ロシア機墜落についての英国政府の声明の文言は、徐々にアンダーステートメントが消えて、ストレートなものになりつつある。
こうなると、イスイス団のビデオが出ても「また、やってもいないことをやったとフカしてるな」(生温かい笑み)だったオンライン・メディアの中の人たちの根拠が気になる。 / “'Significant possibility' that…” https://t.co/gdmPuxYicX
— nofrills (@nofrills) November 5, 2015https://t.co/gdmPuxYicX ……と、ブクマするときのコメントを書いてる間にアップデート来た。 https://t.co/AYEtm0l8zX 「ロシアのメディアは、英国がフライトをサスペンドしたのは勇み足というトーン」とのモスクワ特派員の報告。
— nofrills (@nofrills) November 5, 2015その後、ロシアは「英国がまたとんでもない言いがかりをつけている」というトーンの報道を行なっているようだ。エジプトも。
なら、とっととブラックボックスの解析結果を、まともに発表すればいいのに。

Home - BBC News via kwout

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で、ブログでこういうことを書いているとまた、「西側メディアの言うことなら何でも正しいと思っているバカ」とかいう罵倒が、知らない人から飛んでくるんだよね。(罵倒したければどうぞご勝手に。でも罵倒してるヒマがあったら、考えられる事故原因についてのまともな発言をエジプト当局に求めたほうが生産的ですよ。)
一方のISISの声明については、WSJのターメル・エル・ゴバシーさんが書いた記事が日本語で読めるので、そちらをどうぞ。
http://jp.wsj.com/articles/SB12055383950015144394104581336251422708160
最新の状況は、ガーディアンのライヴ・ブログによると、ロシアが逆ギレしたらしい。
http://www.theguardian.com/world/live/2015/nov/05/egypt-bomb-fears-leave-thousands-stranded-in-sharm-el-sheikh-live-updates

'Significant possibility' that Isis downed Russian plane, UK says – live updates | World news | The Guardian via kwout
※この記事は
2015年11月05日
にアップロードしました。
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