どのくらい心あたたまるかというと、マンチェスター・ユナイテッド (MUFC) の話なのに、ガナサポを含め、ほかのチームのサポーターが感動するレベルだ。
90年代から00年代にかけてのMUFCのスター・プレイヤー2人が、現役引退後、プロ生活をずっと過ごしたマンチェスターの町にホテルなどを作って、街のために投資している(ロンドンにも物件持ってるけど)。それだけでも地域(のサポーターの間)ではレスペクトされ尽くしているだろうが、さらに、これから寒くなる季節に屋根のない環境で暮らさざるを得ないホームレスの人たちに、数ヶ月間の居場所を提供するという。
ガリー・ネヴィルとライアン・ギグズが、20世紀初頭、大英帝国の最盛期に建設された旧マンチェスター証取の建物(グレード2指定)を買い取り、ブティック・ホテルとして改装しているのだが、別の居場所を追い出されて駆け込んできたホームレスの人々と支援活動家に対し、改装の作業が終わるまで、建物・部屋を使ってもらってかまわないと告げた。ネヴィルと直接電話で話をした支援活動家は感涙。
当該の物件にホームレスの人たちが転がり込んだことを、マンチェスター警察が「困ったもんですなあ、ネヴィルさん」というようにツイートしたのだが、ネヴィルはこれに対して「バカ言ってんじゃないよ」的に返しもしている(警察は当該のツイートを削除している)。
これにはTwitter上で称賛の言葉が続々。「こんなことをされると嫌いになれなくなる」「もう悪口が言えなくなる」など、MUFC以外のサポの人たちには悩ましいことになっている。
壮麗な建物の内部の写真もなるべく入れるようにして「まとめ」てあるので、ご一読いただきたいと思う。
所有する物件にホームレスが転がり込んできた……これに対するG・ネヴィルとギグズの方針が、オトコマエ
http://matome.naver.jp/odai/2144525222577342801
下記はBBCのニュース映像。「入居者」の何人かのコメント(みんなとても嬉しそう)に続き、ネヴィルと話をした活動家のホールさんに記者がインタビューしている。「冬の間じゅう、あっちの建物、こっちの建物と、追い出されたら転々としていくつもりだったんですが、思いがけず、ずっと使ってくれていいよと言われてとても嬉しいです」というようなことを語っている。
この件での称賛の言葉をかなりたくさん見たが、最も「これだよねー」と思ったのは、下記の言葉だ。ネヴィルにしてみれば「人として当たり前のことでしょ」というようなことだろうが、その行動は、ホームレスの人々を「私たちとは違う連中」と扱い、対立の構図にするのを拒否するものだ。「分断への抵抗」というのは、こういうことなんだと思う。
Love the generosity of Neville and Giggs' homeless hotel and their gracious refusal to turn it into us vs them http://t.co/8kPXHGBSIN
— Johanna Derry ن (@johanna_derry) October 19, 2015
言葉というものは人間にしかないという意味でヒューマニティ (humanity) そのものといわれるが、基本的にその「言葉」だけで構成されているTwitterという場で、最近「人間性」に失望することが非常に多くなっている。そういう中で、常套句だけど「人間性への信頼を取り戻す」ことができるニュース。改めて、ヒューマニティって何だろうね、と考える。
※この記事は
2015年10月20日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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