「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2015年10月16日

専門家に対し、「否定論」を掲げ、「陰謀論」もにおわせながら、罵倒してかかる人々(バングラデシュ)

ちょっと気になるのでメモ。広く共有しておいたほうがよさそうでもあるし。

SITE Intelligence Groupのことは、ジハディスト組織に関連して英語圏のTwitterで最新情報を追っている人なら誰もが知っているであろう。本格的に重要な分析などは有料登録していないと読めないが、「最新ニュース速報」のようなものは無料で公開されている。話題が話題だけに、あまり無垢な人や「戦争なんてものは、70年前に終わったと思ってました」というような文字通りの「平和ボケ」の人には向かないと思うが、チェックしておいて損はないサイトだ。Twitterもある。

この研究機関というかグループのトップが、リタ・カッツさんだ。イラク生まれでテルアヴィヴ大学卒。英語のほか、アラビア語とヘブライ語に堪能で、アルカイダなどイスラム主義組織を専門に研究・分析してきた。

先日、バングラデシュで日本人が殺害されたときに出された犯行声明をめぐって、こんなことがあった。








これについて、SITEのリタ・カッツさんの個人アカウントのツイート。(これ、うまく画像検索するとISISのjustpaste.itのページとかも出てくるので、真正なものということは、理論上は誰にでも確認できるはず。ちょっとテクニックは必要かもしれないから「誰にでもできる」とは断言しない。)








これを、単純にリタさんが書き間違えたのかは私にはもちろんわからない。私にわかるのは、この「誤情報」のあとに、彼女のTwitterにはかなりの数の罵倒が寄せられていたということだ。例えばこれとかこれとかこれとか。

彼女への罵倒でなくても、「バングラデシュでISISが活動」という情報に、「プロパガンダはやめろ」など、すさまじいといってよいほどの拒否感を示す発言もあった。これとかこれとかこれとか。要は「信じられない I don't believe it」ということなのだが、ここまで強い言葉を使う必要があるんだろうか。

ともあれ、これらの反応の中に、下記のURLを示したものがあった。

Police HQ: IS link claims ‘grey propaganda’
http://www.dhakatribune.com/bangladesh/2015/oct/06/police-hq-link-claims-grey-propaganda

published: 03:26 october 6, 2015
Police are saying that reports about the Islamic State’s link to the recent murders of foreigners are nothing but “grey propaganda” from a former Mossad official, who now heads the group that made the alleged IS link claims.

In a press statement, Police Headquarters yesterday said reports of IS claiming responsibility for the murders were “grey propaganda” by Rita Katz, the co-founder of Search for International Terrorist Entities (SITE) Intelligence Group, a private firm based in Washington DC

During an attempt to verify the claim by SITE, Bangladeshi detectives said they found that Katz previously worked for Israeli intelligence agency Mossad. In the past, Katz – the executive director of SITE group – also worked for the FBI, according to the police statement.

Bangladeshi intelligence officials pointed out that none of the seven known websites that officially represent the militant outfit IS had claimed responsibility for the murders.


こういうことが、
ちょっと
(・_・)
な感じで
頭の片隅にあったわけだが
……
10日ほど経過して
……














……と、まあ、こういうことで。

私も全部細かく見てるわけじゃないから、何があったのかは正確には把握していないけれど、

こういうことって、あるんだなあ

(・_・)


と。

で、話が前後するが、バングラデシュでの「イスラム国」を自称する勢力(ネットスラングで「イスイス団」、本稿では「ISIS」と表記)のプレゼンスは、英国では既に(うっすらとではあるが)報道されている。しかし、リタ・カッツさんは「否定論」で殴りかかられた状態だ(彼女に浴びせられた罵倒の多くは、日本語に意訳すると「デマを流すな、バカ」である)。彼女のTLを少しさかのぼるとこんなのがある。


























「バングラデシュからのニュース」の傾向が変わってきたと感じられるようになったのは、2015年に入ってからだ。それまでは、BBCなど英語圏大手でニュース記事になるバングラデシュといえば、自然災害、気候変動の影響といったトピックが主で、稀に経済分野の話があったが、宗教面の話題は、私は見かけた記憶がない。

それが、2015年にはやたらと連続して、バングラデシュから「宗教」をめぐる事件などが伝えられるようになっていた。
















最後の、バングラデシュの首相が「バングラデシュにルーツのある外国人が入ってきて、過激主義を煽動して困っているので何とかしてくれ」って言ってるじゃんね。

つまり「バングラデシュ国内に過激派がいる(入ってきている)」ことは事実として前提されている。

なのに、バングラデシュでの殺人についてISISが犯行声明を出した、という話になると、上記のように、誹謗中傷罵倒なんでもござれの状況を、当局が主導して……。

あんな小さな国で、「ISISが活動している」などということが事実として確定した日には、命綱の「外国からの投資」(今やバングラデシュは「世界のアパレル産業の工場」)がどうなるかわからない、ということは理解できる。だからといって、既にそこにいるものを「いない」とする「否定論」を唱えてみたところで、何の役にも立たないのではないかと思うが、それは部外者の素人だからか。

「否定論」の例。

2445629.jpg




ISISがMENA諸国だけでなくいろんなところにリーチしているのは、実際、既報。今日、たまたま、コソヴォの例がニュースになっていた。




ISISのコソヴォへの伸張については:
「地獄の恐怖で脅かされてから天国では…という話が」――人はどのように「イスラム国(自称)」に入るのか
http://matome.naver.jp/odai/2141278982708524701







2015年11月9日、アップデート。リタさん、まだやられてる。











10月16日に本稿をアップしてから、11月9日にアップデートするまでの1ヶ月足らずの間に、バングラデシュではまた「思想」関連の殺人事件が起きている。

Bangladesh’s ideological murders are a further attack on its liberal ideals
http://www.theguardian.com/world/2015/nov/07/bangladesh-ideological-murders-attack-liberal-ideals

Saturday 7 November 2015 20.21 GMT

……とかいうことを書いてると、「西洋の価値観ガー」と叫ぶモブが押し寄せてくるのではないかということを、私は最近、けっこう真剣に心配している。

そうじゃなくて、人類普遍の価値観でしょう? っていう話も読んでください。(「普遍の」という概念そのものを否定する過激派もいるんだけどね。)

Bangladesh: UN rights chief calls for protection of writers, publishers threatened by extremists
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52472#.VkCWMF40j6M

5 November 2015 – In the wake of recent violence against publishers, writers, bloggers and civil society groups by extremists in Bangladesh, the United Nations High Commissioner for Human Rights today condemned the acts and urged the Government to take “urgent, concerted measures to ensure the protection of all those who are being threatened by extremists operating in the country.”

“At least five Bangladeshi writers and publishers as well as two foreign aid workers have been violently murdered this year in Dhaka and many more attacked and threatened, apparently by groups that believe they have the right to impose their views on others through wanton violence,” Zeid Ra'ad Al Hussein said in a statement.


今の国連人権高等弁務官:
https://en.wikipedia.org/wiki/Prince_Zeid_bin_Ra'ad

※この記事は

2015年10月16日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 22:00 | TrackBack(1) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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バングラデシュの過激主義に関するニュースのメモ
Excerpt: Twitterでメモを取ってたんですが、閲覧数、RT数が多いので、一箇所にまとめておきます。その前に前置き。 バングラデシュは「わが国ではイスイス団やアルカイダの活動はない」といい続けてきました。「..
Weblog: tnfuk [today's news from uk+]
Tracked: 2016-07-21 23:51

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼















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