kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2007年05月24日

ベルファストにはまだ「分離壁」が作られるようだ。

北アイルランドでは、5月8日を境に、過去にあった「紛争」はシステムとしては完全に過去のものになるはずだった。いや、そう簡単に「昨日までとは違う」ということになるはずはなかったのだが、それでも少なくとも、過去に作られ現在も残っている「紛争」は、徐々に取り払われていくと誰もが少しは思っていただろう。

それだけに、インテグレーテッド・スクールの敷地内に「ピースライン」を新たに建設、という報道には、「まだやるんですか」と思うばかりだ。

Row over playground 'peace wall'
Last Updated: Wednesday, 23 May 2007, 18:22 GMT 19:22 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/6685355.stm

Peaceline plan for integrated primary
£100,000 barrier to be built through school car park
Wednesday, May 23, 2007
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/education/article2574383.ece

話はこうだ。昨年夏、ベルファスト北部、Newtownabbey(2001年センサスではカトリックが19.4%、プロテスタントが76.2%)にあるHazelwood Integrated Primary School近くのカトリックの住宅街の家々が、プロテスタントのバカどもに襲撃された。襲撃したバカどもは学校の敷地を通り抜けて住宅街に入ったようだ。そして今年、NIO(英国政府の北アイルランド庁)は昨年のような襲撃が発生しないようにと、学校の校庭に、高さ25フィート(約7.6メートル)のメッシュ状の柵(fence)を建設することにした。その予算£10万。

皮肉なのは、この学校が「インテグレーテッド・スクール」、つまり「宗派別ではない学校」だということである。(基本的に、北アイルランドではカトリックの学校とプロテスタントの学校ははっきりと分かれている。)

ヘイゼルウッド小学校は1985年に開校となった、北ベルファスト唯一のインテグレーテッド・スクールだ。しかも、インテグレーテッド・エデュケーションが始まったのが1981年であり、1985年開校ということは北アイルランドでの宗派の違いを乗り越える教育という取り組みの初期から続いている小学校ということになる。
http://en.wikipedia.org/wiki/Integrated_Education

学校側はフェンス建設計画について「フェンス建設は非常に残念なことではあるが、近隣住民の方々の安全を守らねばならない」といったコメントを出している。(引用はBBC記事から。)
Hazelwood Primary said it was "deeply concerned" to hear that residents, living adjacent to the school grounds, were attacked last summer.

In a statement, it added: "We believe that the protection of life both inside and outside of the school is of paramount importance, and have given our full support to community initiatives that address some of the underlying problems in the area.

"Therefore, we have given our full support to community initiatives that address some of the underlying problems in the area.

"We have also agreed plans, in conjunction with DENI, to upgrade security in the school grounds.

"It was with great sadness that we heard of the Security Minister Paul Goggins' decision to erect a 25-foot heavy grade fence in the school grounds."

DUP(プロテスタント強硬派)のカウンシラーも「このような時期にまた『ピースライン』を作らねばならないとは残念なことだ」とコメントし、「しかし人々の安全が第一である」と述べている。(引用はBBC記事から。)
DUP assembly member Nelson McCausland said it was sad at this time to be erecting another peaceline.

But he added: "I will support anything that will provide safety and security in their own homes.

"My priority is the safety and security of families."

スラオさんのスレ:
http://sluggerotoole.com/index.php/weblog/comments/playground-politics/

6番目のコメントに「うちの子を2人ヘイゼルウッドに通わせている。NIOは『十分に相談した結果、ピースラインの建設を決定した』、と言っているが、児童の親として、私は何も聞いていない」とある。つまり、NIOは(例によって)適当に形だけ「相談」したのだろう。

3番目のコメントには「街灯とCCTVを設置すれば襲撃なんて激減する。実例がある」とある。実際にそういう対策がとられ、それで効果があがっている地域があるのなら、なぜニュータウンアビーでは「壁」なのだろうか。

英国政府は、和平だ和平だと大騒ぎをしておいて、どうしてこういうことをするのだろう。(NIOが決定しているのだから、責任は北アイルランド自治政府にではなく、英国政府にある。というか、治安についての事柄は、当分は英国政府が管轄する範囲内に留まるはずだ。)

昨年8月に襲撃があったからこれからフェンスを建設する、というのはあまり筋が通っていないし、第一、そういう場合は襲撃する連中を止めればよいのであって(まさか「どうにも止められない」というほどのことではあるまい)、何もあからさまに「分断」を示す建造物を作らずともよい。特にベルファストは過去においてさんざんそれを見せられてきているのだから。
http://en.wikipedia.org/wiki/Peace_lines

しかもこの小学校は「分断を乗り越えよう」という取り組みの最前線だ。何もそんなシンボリックなところに、「壁」を作らなくてもよいのではなかろうか。しかもそれを目にするのは子供たちである。目にした子供たちは「あれは何だろう」と思うだろう。それは「厳しい現実」を知ることだ、と片付けられるのだろうか。

つい先日、大人たちが「これで終わった」と安堵したのを見たばかりの子供たちが、どうしてまた「壁」に直面させられなければならないのだろう。

他に方法はないのだろうか。

スラオさんの別スレ(時間差で二重にスレ立てしちゃったらしい)。
http://sluggerotoole.com/index.php/weblog/comments/peaceline-to-run-through-integrated-primary/

7番目のコメントで、昨年襲撃されたという地域の住民たちが警察は何もしていないと述べている、とある。

想像だが、英国政府・NIO・警察は、その地域のロイヤリスト武装組織(UDA)と一種の「取引」をしたのだろう。大掛かりな検挙・逮捕はしないし、組織もつぶさない。そのための「壁」(それがあれば襲撃は発生しないし、組織を解体せよという圧力もあまり強まらない)。

IRAとも同様の「取引」はあっただろうし、今でもおそらくはあるのだろうが、それでもしかし、IRAは、ここに来るまでに「ただの身内の口喧嘩による殺人事件」が極限まで政治化され、海を越えてUSにまで持ち込まれたり(ロバート・マッカートニー殺害事件)、誰がやったのか結局まだうやむやなままの「英国史上最大(当時)の現金強奪事件」(ノーザンバンク強盗)があったりと、相当のプレッシャーを受けている。もちろん私もすべての報道を読んでいるわけではないから正確なところはちょっとわからないけれど、それでも、IRAに対するプレッシャーのようなものがUDAに対してある、ということはほとんど聞かない。

警察は「地域の政治的代表者」と話し合ったのだそうだ。地域の政治的代表者とは地方議会の議員とかNIアセンブリーの議員(MLA)であろう。どれどれ。。。

http://en.wikipedia.org/wiki/Belfast_North_%28Assembly_constituency%29
すげぇな、ここのMLAは。ナイジェル・ドッズ(DUP)にジェリー・ケリー(SF)。(^^;

http://en.wikipedia.org/wiki/Newtownabbey_Borough_Council
地方議会(区議会みたいなもん)では、定数25のうちDUPが12、UUPが6、アライアンスが2で、SLDPとSFはそれぞれ1、そのほかが3で、全体的には圧倒的にユニオニスト。

で、そういうところで「政治的代表者と話し合った」って、結局ユニオニストと話しているだけだろう。

詳細が開示されるべきだと思う。もちろん、ここで「壁」を作れば2〜3ヶ月先の襲撃は防げるのだから、とりあえず作っておかねばという考え方は「間違って」はいない。しかし、警察やら政治家やらが集まって、なぜそんな解決策しか出てこないのかを考えないことには、この先も「襲撃があるのなら、壁を作ればいいじゃありませんか」ということになってしまい、2007年の「北アイルランド和平」など、「トニー・ブレアの10年間の締めくくりの花道」であり、「米寿を迎えたイアン・ペイズリーの権力欲を満たすためのもの」であり、「シン・フェインが平和的政治勢力であるということをアピールするための材料」でしかなくなってしまいかねない。

※この記事は

2007年05月24日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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