「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2015年10月05日

多読の素材探しに最適なタイミング……ノーベル医学・生理学賞決定のニュース

今年ももうノーベル各賞の発表の季節で、今日は第一弾の「医学・生理学賞」(生理学・医学賞)の受賞者が発表された。今年は2つの研究成果について、3人の科学者が受賞されたが、そのうちの1人が日本人なので、日本語での報道もたっぷりある。

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英語を学習中で、多読のための素材を探している人は、こういうタイミングを狙うとよい。つまり、国際的なニュースで、日本語での報道もたくさんあって、あまり「時事的」でない話題が出ているタイミング。

(「日本人が殺され、武装勢力が犯行声明を出している」といったニュースは、元々何がなにやらわからない状態というか、「戦争の最初の犠牲者は真実」と言われるような状況を想定しておかねばならないので、「英語学習素材を見つける」にはあまり適していないと思う。)

先日の「ラグビーW杯での日本代表の劇的な勝利(南ア戦)」などでもかなりよさそうな英語記事はあったが、やはりある程度の予備知識(南アがどういうチームであるか、この勝利がどのような意味か、「日本代表」がどういうチームか)がないと、すらすら読むのはかなり厳しそうだった。

が、今回のノーベル医学・生理学賞では、「速報」段階でけっこうよさそうな記事が出ている。というのも、いつもの同賞とは若干異なり、今年は「薬の発見」という一般人にもわかりやすい実績での受賞だからだ。ざっくりとした説明の文章を読むだけでも、何がしかの専門知識(例えば「細胞とは何か」とかいったこと)が要求されるのが例年だが、今年はそれは要求されていない。

たまたま私が見た中で「多読用の素材になる」と思ったのが、New Scientistの下記記事だ。

Nobel Prize for medicine for drugs that have benefited billions
https://www.newscientist.com/article/dn28284-breakthrough-drugs-for-malaria-and-roundworm-win-medicine-nobel







訳読しようとすると少し厄介な文かもしれないが、日本語にいちいち訳さずに読む練習には適している。一文一文が短く、構成も平易で、気取った導入部などもない。日本の高校の教科書のようだ。

「日本語に訳さずに」といっても、無理に「訳さず」に読もうとする必要はない。例えば記事の書き出しの文、
The 2015 Nobel prize for medicine or physiology has been awarded to scientists who developed new drugs for roundworm parasites and malaria. The treatments have improved the lives of 3.4 billion people around the world, says the Nobel committee.


これは、次のようにざっくり日本語にしながら読んだっていい。慣れないうちは「日本語にしない」で「読む」(意味を把握する)ことはなかなか難しいからだ。
2015年のノーベル医学・生理学賞が、roundworm parasitesと、マラリアのためのnew drugsをdevelopした科学者たちに授与された。そのtreatmentsは、全世界の3.4billion人の人びとの生活をimproveしたとノーベル委員会は言っている。


※これ、アズ・イット・イスだと「ルー語」なんだけどね。

"roundworm parasites" みたいな「専門用語っぽい語」は、わからなくても、とりあえずそのまま先へと読み進めていく、というのが「多読」の練習だが、それも慣れないうちは、いきなり辞書を参照したっていい。

全部で9パラグラフあるが、一度に全部読むのが大変なら、3パラグラフずつに分けて3日間かけたっていい。語数をカウントすると全部で454語程度だから、よくある新聞記事の半分くらいの長さだろう。

ついでながら、「薬の発見」でのノーベル医学・生理学賞の受賞は、1988年以来のことだそうだ。



そういったことについて、具体的に知りたければ、ネット検索をすればよい。例えばノーベル生理学・医学賞の受賞者一覧のようなページがざくざくと見つかるはずだ。英語でも、日本語でも。

英語は多読が一番! (ちくまプリマー新書)英語は多読が一番! (ちくまプリマー新書)
クリストファー ベルトン Christopher Belton

英語多読法 (小学館101新書) 知識と教養の英会話 CD2枚付 英語多読完全ブックガイド[改訂第4版] 英語多読・多聴指導マニュアル (英語教育21世紀叢書) 教室で読む英語100万語―多読授業のすすめ

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関連ツイート:










※「マラリアの薬」で受賞した中国の女性科学者さん、漢方薬の研究者で、ニガヨモギから薬効のある成分を発見したのだとか。そのきっかけが、ベトナム戦争のときに中国軍(北ベトナム支援)がマラリアに苦しめられたため、という歴史秘話的な文脈もある。さらに、当時は「個人」が顕彰されることはなかったとか、いろいろ。









アイルランド成分。




※この記事は

2015年10月05日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼